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声の在りか の商品レビュー

3.7

140件のお客様レビュー

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2024/02/04

これは、寺地さんの優しい世界だぁ…。 声の在りかというのは、心の中にとどまって実際に伝えられなかった声のこと。 主人公の希和は、夫と小学生の息子と暮らす主婦。近所の小児科のビルに放課後クラブ(小学生の放課後の学童みたいなもの)というのができたところから物語は始まる。 希和は、その...

これは、寺地さんの優しい世界だぁ…。 声の在りかというのは、心の中にとどまって実際に伝えられなかった声のこと。 主人公の希和は、夫と小学生の息子と暮らす主婦。近所の小児科のビルに放課後クラブ(小学生の放課後の学童みたいなもの)というのができたところから物語は始まる。 希和は、その後その学童で働くことになるんだけど、働きながら、自分の気持ちとか、これまでの人生とか、色々考えて少しずつ変わっていく。 最後まで外形上の大きな変化はないんだけど、希和の心は、様々な子どもたちやその子たちが抱える問題に触れるたびに、変化したり強くなったりしていく。 希和の中にある確固たるものは、子どもたちを守りたいと言う気持ち。 子どもの頃いつも一緒に下校していた女の子(小児科医院の娘)が一人の留守番中に侵入してきた男に襲われたこと、地域でおきる子供を狙う犯罪、そういうものから守りたいのはもちろんなんだけど、きっとあらゆる理不尽から守りたいと思っている。 私は親から、世の中は理不尽で、不公平なものだ、だから世の中には何も期待せず、どんな世の中や情勢であっても常に自分の力で生きていくだけの力をつけろと、子ども時代からずっと言われてきました。 でも、これを言われたのは三人きょうだいの中で私だけなんです。もう、それ自体が理不尽で笑っちゃう。 このことに限らず、きょうだい間で理不尽や不公平が当たり前だった家庭で育ったので、わたしの子どもは一人っ子です。複数の子どもに同じ教えをできない、平等な愛を与えられない両親を見ていて、自分の子に私と同じ思いをさせたくなかったし、私は親とは違うんだとは自信を持てなかったから。 希和は、子どもが一人っ子だから可哀想、一人っ子なら楽だよねと言われ心がモヤモヤしてたけど、私は強い意志をもって一人の子どもを育てると決めたから、たとえ何言われても平気ではある。でも、一人っ子に口出す問題については、ほっとけ、という気持ちは常にある。 何が言いたいのかというと、それくらい、親の姿、大人の姿というのは子どもの人生に影響を及ぼすんです。 希和も要もそれがわかってる人たちだから、この本は共感度が高くて、私の心を読み取ったのかなと思うほど共感の嵐でした…。共感しすぎて、読みながら胸が何度か苦しくなったほど。 我が子に、繊細さのない人になってほしいという気持ち、私もそう思ってる、その方が生きていくの楽だからね。でもずっと、本当にそうで良いのかなとかモヤモヤしてはいる。 要が希和に言った、声にだせなくても、ただそこにいるだけで誰かが救われることもあるっていうのは、本当に優しい励ましだ。 こんないい人(要)が、好奇の目で見られても潰されずに信念を貫いて生きていること、やはりご両親は良い子育てをしたんだと私も思うよ。 子育て中の母親の、ご両親は良い育てをしたんでしょうね、って最大限の賛美なんです。我が子がどんな大人になるかわからない中(特に、私達世代が過ごした子ども時代と、我が子が過ごしている今の時代は色々と違いすぎて、どうして良いかわかんないことも多いのだ)で、こんな素敵な大人なってほしいっていう意味も含まれているのだ。

Posted byブクログ

2024/01/31

言葉にしづらい胸の内をこれだけ的確に文字にするってすごい!と感嘆! やはり作家さんてすごい。 胸の内にモヤモヤとしてる思い…読みながら「わかるー」とか「そうそう、そういう想い!」「伝わらないんだよね〜」「上手く表現できなかったけどそういうことか…」と納得したり感心したり…さすが作...

言葉にしづらい胸の内をこれだけ的確に文字にするってすごい!と感嘆! やはり作家さんてすごい。 胸の内にモヤモヤとしてる思い…読みながら「わかるー」とか「そうそう、そういう想い!」「伝わらないんだよね〜」「上手く表現できなかったけどそういうことか…」と納得したり感心したり…さすが作家さんだなぁと(^^) ストーリーとはまた違ったところに惹かれてしまった。 どのお話もあるある! 微妙なところで声を上げられるか… 自分の本心はどこにあるのか… 誤魔化していないか?自分の心に蓋をしていないか? 自分の思い込みで心に蓋をしてかえって物事を複雑にしてしまっていることもあるんだよなぁ〜 案外声にしてみたら簡単だった!って時もあるよね(勿論そーでない時もあるけれど) 自分だったら…と自分の気持ちに向き合いながら読了。 友人と寺地さんの小説の話で盛り上がり思わず図書館でタイトルに惹かれて手にした一冊。 また読もう、寺地さんの小説!

Posted byブクログ

2024/01/30

主人公である希和さんがすごく素敵だなと思った。 例え世間一般の「普通」からずれていても、自分で考え、自分の価値観を見つけ、自分の言葉で表現をするということは、自分の心を守るためにも大切なのだと思う。 世の中って本当に色々な人がいて、一人一人で価値観も違う。でもそれが本来「普通」の...

主人公である希和さんがすごく素敵だなと思った。 例え世間一般の「普通」からずれていても、自分で考え、自分の価値観を見つけ、自分の言葉で表現をするということは、自分の心を守るためにも大切なのだと思う。 世の中って本当に色々な人がいて、一人一人で価値観も違う。でもそれが本来「普通」のことであると思う。

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2024/01/28

大人になるにつれ、言いたいことは良くも悪くも言えなくなってくる。 言いたいことをしまい込んでいた希和が、「自分の声」を取り戻していく様子は格好いいなと思った。 でも、自分がそうできるか?そうしたいか?と問われると、それは無理だなとも思う。 自分に嘘はつかず、でも波風は立てずに生き...

大人になるにつれ、言いたいことは良くも悪くも言えなくなってくる。 言いたいことをしまい込んでいた希和が、「自分の声」を取り戻していく様子は格好いいなと思った。 でも、自分がそうできるか?そうしたいか?と問われると、それは無理だなとも思う。 自分に嘘はつかず、でも波風は立てずに生きていきたいなぁ。

Posted byブクログ

2024/01/23

わたしの思っている常識や考え方は違う方向から見ると意味が変わるようなことを言いたいのかしら?でもあまり刺さらなかった、うん、そうだけどちょっと違うかなあー、っていう本のように思いました。自分でも何が言いたいのかわからなくなってしまった。

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2024/01/14

言えないこと、言えなかったこと、びっくりしすぎて反応できなくてしばらくしてからああ言えばよかった…と思うこと。そんな声こ在りかの話。 言ったらいけないかな、と思っていることはでも、言わなきゃわかんない。いつ、どうやってどんなふうに言うかは大事だけど、タイミングを逃したらだめだし。...

言えないこと、言えなかったこと、びっくりしすぎて反応できなくてしばらくしてからああ言えばよかった…と思うこと。そんな声こ在りかの話。 言ったらいけないかな、と思っていることはでも、言わなきゃわかんない。いつ、どうやってどんなふうに言うかは大事だけど、タイミングを逃したらだめだし。 希和が少しずつ声を飲み込まなくなって自分を表現していくのが読んでてとてもいいなぁと思った。

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2023/12/14

ただ、そこにいること...に、意味がある。 一緒だとうれしいね。 目立たないけど、深い言葉って、たくさんあるんだね。 今なら少しは、感じることが出来る。 もう、遅いけどね

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2023/11/09

連続短編集で一個一個内容が深くて考えさせられる。言葉にしないと伝わらないことは沢山あってそんなことは分かっているけれど「言わない方がいいだろう」と思い込んで声に出せなくなる私には共感作品でしかなかった。 もやもやしながら生きてる人にはぜひ読んで欲しい小説。

Posted byブクログ

2023/11/04

言いたかった言葉、伝えたい言葉、何度もそれを押し込めて周りに合わせていく。それは楽なことでもあるけれど、どんどん心の中を漂って苦しくなる。母として妻として息苦しさを抱え込んでいる希和。大人だって、昨日と今日は少しずつ違っていて毎日が新しいことの繰り返し。つまずいて流されていつしか...

言いたかった言葉、伝えたい言葉、何度もそれを押し込めて周りに合わせていく。それは楽なことでもあるけれど、どんどん心の中を漂って苦しくなる。母として妻として息苦しさを抱え込んでいる希和。大人だって、昨日と今日は少しずつ違っていて毎日が新しいことの繰り返し。つまずいて流されていつしか自分の考えがなくなってしまう。わたしの「声」を取り戻す大人の成長物語。いろいろ自分を振り返ることができる作品でした。

Posted byブクログ

2023/10/29

日常で思う事は多々あり、言ってもなあ、わかってくれないのが先になる。でもね言わなけゃわからないこともある。自分は言えてるかな…

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