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三時間の導線(下) の商品レビュー

4.3

12件のお客様レビュー

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2023/09/10

スウェーデンの小説の翻訳だが、夢中になった。 上巻は、大量の死者が発生していた件を巡り、グレーンス警部が事件関係者を何としても逮捕すると熱いモノを滾らせ、手段を択ばないと、あのピート・ホフマンに協力を依頼するというようなことになる。 下巻は、ホフマンの活躍でもたらされた情報、スヴ...

スウェーデンの小説の翻訳だが、夢中になった。 上巻は、大量の死者が発生していた件を巡り、グレーンス警部が事件関係者を何としても逮捕すると熱いモノを滾らせ、手段を択ばないと、あのピート・ホフマンに協力を依頼するというようなことになる。 下巻は、ホフマンの活躍でもたらされた情報、スヴェンとヘルマンソンの調査と分析とで“敵”の様子が見え、緊迫した「戦い」が展開する。そしてグレーンス警部は意外な黒幕に辿り着き、対峙して行くことになる。 執念深く、強い押し出しで関係者に切込むグレーンス警部は、本作では事案に携わる人達と心を開き合うというような場面が在る。そして仕事一筋の老刑事が、「許せん!」と熱いモノを滾らせる、人々の安寧と生命、その生命の尊厳を護るという警察官の矜持を胸に奮戦する様子が実に好い。 色々と経緯が在って、グレーンス警部に協力して闘うことになったピート・ホフマンは今作でも好い感じだ。クールで、何処までも計算して動いているのだが、少し見当がズレても動じずに思惑を遂げてしまう。悪漢達を向こうに回しての大奮戦だが、ストックホルムに残している妻や未だ幼い息子達への思いも熱い。今作では、グレーンス警部がこのホフマンの妻子達と関わることにもなる。 現実にスウェーデンを含む欧州諸国で問題になっている事柄を織り込みながら、劇中人物達の物語が展開するというのが、このグレーンス警部のシリーズの面白さだと思う。今般も何か凄く夢中で作品を読んだ。

Posted byブクログ

2022/07/26

グレーンズ警部のシリーズだとは知らず、パウラ(ピート・ホフマン)のシリーズだと思っていました。 常に用意周到な男、ピート。 必要とされることが、人生に大きな意義をもたらすものなのですね。 善行をしていると信じていた彼も気の毒でした。 ピートには家族でゆっくり過ごしてもらいたいもの...

グレーンズ警部のシリーズだとは知らず、パウラ(ピート・ホフマン)のシリーズだと思っていました。 常に用意周到な男、ピート。 必要とされることが、人生に大きな意義をもたらすものなのですね。 善行をしていると信じていた彼も気の毒でした。 ピートには家族でゆっくり過ごしてもらいたいものですが、まだシリーズは続くようなので申し訳ない気持ちはありますが楽しみです。

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2022/01/31

CL 2022.1.30-2022.1.31 グレーンス警部のシリーズを、そうと知らずに何冊か読んでいるらしい。 三秒間の死角も読んだけどほとんど覚えていない。 それくらいわたしには合わなかったみたい。 ホフマンを家に帰れないようにしたのは自分なのに 息子のことで説教垂れるとは...

CL 2022.1.30-2022.1.31 グレーンス警部のシリーズを、そうと知らずに何冊か読んでいるらしい。 三秒間の死角も読んだけどほとんど覚えていない。 それくらいわたしには合わなかったみたい。 ホフマンを家に帰れないようにしたのは自分なのに 息子のことで説教垂れるとは。

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2021/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

うーん。そうくるか。 このシリーズは、最後の最後に驚きのどんでん返しが起きるような作品ではないので、予想外の事はあまり置きません。とはいえ、組織の頭目の最後はあっけなかったですね。途中で、「なんか、彼怪しいな。伏線?」と思っていたんですが、半分当たって、半分外れたという感じでしょうか。 なにやら、シリーズは続くっぽいです。最初が“3秒”、次が“3分”、今回が“3時間”という事は、次は“3日”??長くね?

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2021/07/26

読み進めるうちに、ハラハラドキドキ感が高まった。昨日、グレーンス警部を老害と書いてごめんなさい。結果はどうであれ命を張ってホフマンとの約束を全うしようとする姿勢に再びファンになった。初の単独著書になったが読み続けると思う。

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2021/07/05

ストックホルム、遺体安置所で死体が増えていた。アフリカ系。グレーンス警部の挑む謎は、アフリカからの違法移民に関わる犯罪だった。 文庫解説では、シリーズ最高傑作に位置づけられるとされていた。最初は引き込まれるのだが、事件解決のために「彼」の助けを借りてからは、下巻、ほとんど予期し...

ストックホルム、遺体安置所で死体が増えていた。アフリカ系。グレーンス警部の挑む謎は、アフリカからの違法移民に関わる犯罪だった。 文庫解説では、シリーズ最高傑作に位置づけられるとされていた。最初は引き込まれるのだが、事件解決のために「彼」の助けを借りてからは、下巻、ほとんど予期した通りストーリーが進むので30分ほどで読み飛ばしてしまった。残念ながら意外性と深みが足りなかった。

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2021/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

グレーンス警部シリーズは、登場人物それぞれが異なる正義を持っていて、単純な善悪で語ることのできない複雑さ、リアリティを持っていて、だからこそ物語に入り込め、アクションシーンで手に汗を握れるのだと考える。今作もそうで、冒頭で記述された事件には、登場人物の悪意だけではなく善意も絡んでいた。そして、主人公たちの行動の是非を、読者自身に問うような結末であった。星三つなのは、訳者が代わり、文章に幾分か読みにくさを感じたため。

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2021/05/24

三時間は、三分や三秒と同じくらい長かった。 いやぁ、これまた読むのを止められない小説だったことよ。グレーンスが走るところは胸がアツくなりますね。不自由な脚に、年老いた体に鞭を打って走る姿に。 年々ガンコになるのかと思いきや、少しずつ丸くなっていく様で微笑ましさも。 解剖技術者と...

三時間は、三分や三秒と同じくらい長かった。 いやぁ、これまた読むのを止められない小説だったことよ。グレーンスが走るところは胸がアツくなりますね。不自由な脚に、年老いた体に鞭を打って走る姿に。 年々ガンコになるのかと思いきや、少しずつ丸くなっていく様で微笑ましさも。 解剖技術者との展開気になるわ~~!! 本筋事態は前作もそうだったんだけど組織犯罪の規模が大きくなると、犯罪者の狂気っぷりが小さくなるのが少し残念。 そういや検事出てこなかったな。エリートは1人出せば充分なのかな笑

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2021/05/16

グレーンス警部シリーズ第7弾。難民問題が事件へとつながっていく。大量の難民がコンテナで運ばれ亡くなっていく現実。そこにビジネスとして介入する組織。人を人とも思わないような環境に置くこと。それに対するグレーンスの怒り。いつも苛立ってばかりのグレーンスだけれど今作は信頼というのも一つ...

グレーンス警部シリーズ第7弾。難民問題が事件へとつながっていく。大量の難民がコンテナで運ばれ亡くなっていく現実。そこにビジネスとして介入する組織。人を人とも思わないような環境に置くこと。それに対するグレーンスの怒り。いつも苛立ってばかりのグレーンスだけれど今作は信頼というのも一つのテーマにもなっていてある交流でこれまであまり見れなかったグレーンスの姿が見える。アクションシーンも冴えているけれど今作は特に感情の面で読み応えがある。ラストもなんとも言えない気持ちが残るし事件の大きさ、悲惨さが読み終えた後も残り続ける。

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2021/05/16

 グレーンス警部と潜入捜査員ピートとのW主人公シリーズ三部作も、いよいよ大団円を迎える。  『三秒間の死角』が、作品の完成度やインパクトのわりに正当な評価を得ていなかったものの、アンデシュ・ルースルンドの名は、元囚人の肩書きステファン・トゥンベリとの共著『熊と踊れ』二部作により...

 グレーンス警部と潜入捜査員ピートとのW主人公シリーズ三部作も、いよいよ大団円を迎える。  『三秒間の死角』が、作品の完成度やインパクトのわりに正当な評価を得ていなかったものの、アンデシュ・ルースルンドの名は、元囚人の肩書きステファン・トゥンベリとの共著『熊と踊れ』二部作により、一気にエース級作家として知れ渡り、それを受けてか、『三秒間の死角』も『THE INFORMER/三秒間の死角』のタイトルでNYを舞台にストーリーもシンプル化した形に差し替えられたものの、ともかく映画化された。  以降、『三分間の空隙』、そして本作と、あっという間の三部作翻訳が完了し、ついに最終編とあいなる。ただし、前二作を含むこれまでのグレーンス警部シリーズ全作の共著者であったペリエ・ヘルストレムの病死により、本作では初めてアンデシュ単独での執筆となる。共著がどのように書き進められる作業なのか知るべくもないが、本作で判断する限り、スピードが増して、むしろ読みやすくなり、アンデシュの持つストーリーテリング能力を、むしろ見直した感がある。  のっけから暗闇、上下左右を死んでいく者たちに囲まれ、自身も死にそうになる圧迫感のある状況下、物語はスタート。死んでゆく彼らが何者なのかの説明はまったくなし。  続いてグレーンス警部のいつもの描写。亡き妻を偲んで警察署内の自室のソファで眠り、妻を想いレコードをかけるセンチメンタルな日々。事件の一報。コンテナいっぱいに詰められた死体が港に到着したのだ。何という事件だろうか。  一方、西アフリカ移民の食糧輸送を妨害するテロリストの攻撃から輸送トラックを守るために雇われている、我らがピート。彼が、相変わらず命がけの戦場に身を置く有様と、全く対照的に彼を待つ、妻と二人の男児というホームシックな情景も描かれる。ピートとグレーンス。二人の抱える状況はやがて交錯する。西アフリカ移民という国際状況。対するは、移民の密入国支援で稼ぐ謎の組織。相変わらずの緊迫感溢れる構図である。  本作には、実は作者の懇切丁寧なあとがきが付加されている。亡くなった共著者への哀悼の想いがまずは強いのだが、これから孤軍奮闘で作家活動を継続してゆかねばならないアンデシュ自身のこだわりとして、ミステリーには謎解きの上に事実を混入して重厚化させる、という作品作りへの拘りが語られている。  本書でも、その意向がしっかりと実現されていると思う。世界の人々が予想もつかないような事実の重み。誰かの調整を必要としている救いのない現実。それでいて、語られるストーリーの間断なきスピード感と、アクション。複雑極まりない人間たちが織り成す葛藤と、タペストリのように縦横に織られる精緻な紋様。  グレーンス警部とピートの間の距離は二作目でぐっと詰まったが、三作目はこの傑作シリーズに恥じず、またも一気に二人の絆を強め、締めてくる。よりタイトに。よりスタイリスティックに。  本書で公開される強烈な悪と人間の残虐と欲望の泥濘には、吐き気さえ覚えてしまうものだが、そうした世界に対峙する男たちの、内を貫く正義感や家族愛が、だからこそ輝く。本書では、グレーンスが、ふとしたことで子供たちに慕われ、自分の中のやさしさ、という慣れない感覚にたびたび震える。そんなヒューマンなシーンもとても印象的だし、ピートとの物言わぬ信頼感や、隔たった二つの世界でのチームワーク含め、何ともスマートかつ重厚な物語に仕上がっている。  さて、本作でシリーズも終わりと覚悟していたが、作者自身による意外なあとがきが残されている。ある意味嬉しい驚愕だ。

Posted byブクログ