みんな水の中 の商品レビュー
3種類の様式で書かれたASD、ADHD当事者の体験の記録。 たいへん豊かな内面世界を覗き見ることができる。 私がASD(自閉スペクトラム症)に興味を持ったのはオリヴァー・サックスの「火星の人類学者」からだったが、これほどまでに豊かな内省と表現を見ると、当時の世の中的な認識とは隔世...
3種類の様式で書かれたASD、ADHD当事者の体験の記録。 たいへん豊かな内面世界を覗き見ることができる。 私がASD(自閉スペクトラム症)に興味を持ったのはオリヴァー・サックスの「火星の人類学者」からだったが、これほどまでに豊かな内省と表現を見ると、当時の世の中的な認識とは隔世の感があるし、私自身の認識もかなり変わってきている。これは、ASD当事者達が繰り返し自分たちの物語を語ってくれたおかげだと思う。 ところで著者はたぶんネイチャーアクアリムが好きなんじゃないかと思いながら読んでいたところ、250ページで水草水槽に関する蔵書が話に出てきて嬉しかった。良いですよね、水槽。
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この本に書かれていることはASD、ADHD当事者としての一例に過ぎない。前者に力点を置いて書かれているし、著者の出自もやや特殊であるので、例えばADHDに関心があって手に取った人にとって、果たして相応しいかどうか…とはいえ、著者の棲む世界については豊富な人文知と文学をはじめとする...
この本に書かれていることはASD、ADHD当事者としての一例に過ぎない。前者に力点を置いて書かれているし、著者の出自もやや特殊であるので、例えばADHDに関心があって手に取った人にとって、果たして相応しいかどうか…とはいえ、著者の棲む世界については豊富な人文知と文学をはじめとする芸術的体験を駆使することによって見事に描かれており、一読の価値がある。なかでも〈エス〉をキーワードとした、中動態が基調となる世界観にはハッとさせられた。
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思っていたのと違ったが、例えるならTwitterでもブログでもない、SNSへの投稿を散漫と眺めているような良さがあった(伝わるか不明な説明) パッと読んで、ふむと思う、また引用される作品の多岐さも面白い。良書
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当事者研究とは言うものの、自分のことをこれだけ見つめて言語化し、なおかつ、それを読者がドン引きするレベルで公開する、その勇気と言うか、勢いが凄い。言っていることは極めて真っ当で勉強になる。特に、「エス」についての指摘は目から鱗だった。それがフロイトの無意識の概念とハイデガーの存在...
当事者研究とは言うものの、自分のことをこれだけ見つめて言語化し、なおかつ、それを読者がドン引きするレベルで公開する、その勇気と言うか、勢いが凄い。言っていることは極めて真っ当で勉強になる。特に、「エス」についての指摘は目から鱗だった。それがフロイトの無意識の概念とハイデガーの存在論、更には中動態的な世界の捉え方に通じるものであること。言われてみればなるほどだ。
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【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC07071093
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ASD+ADHDの当事者である文学研究家である著者の語りをテクストとしてまとめた書籍。それを多様な方法で、詩として、コラム?論文?として、そして私?小説として、書かれている。独特の用語などあり、理解するものではないが、ゆらゆらとした感性を味わうものだが、思いは組める。それだけでな...
ASD+ADHDの当事者である文学研究家である著者の語りをテクストとしてまとめた書籍。それを多様な方法で、詩として、コラム?論文?として、そして私?小説として、書かれている。独特の用語などあり、理解するものではないが、ゆらゆらとした感性を味わうものだが、思いは組める。それだけでなく、いわゆる宗教2世問題も抱え、ACやトラウマ、ジェンダーの問題など、当事者が抱えている問題について著者の体験は身に染みた。自自グループや当事者研究が自己理解を進め、将来的には多様性の問題として医学的な問題からは離れる夢など興味深く読めた。当事者理解には適した本だと思う。
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2022.5.8市立図書館 このところはまっている「ケアをひらく」シリーズ、文芸誌「文學界(三月号)」の鼎談(齋藤環、頭木弘樹と著者)を読んだ芋づるで予約を入れた。 が、「チェルノブイリの祈り」と同時に順番が来てしまって、こちらは読み始めることもできなかった。またそのうち借り直す...
2022.5.8市立図書館 このところはまっている「ケアをひらく」シリーズ、文芸誌「文學界(三月号)」の鼎談(齋藤環、頭木弘樹と著者)を読んだ芋づるで予約を入れた。 が、「チェルノブイリの祈り」と同時に順番が来てしまって、こちらは読み始めることもできなかった。またそのうち借り直す。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
発達障害、自閉症スペクトラムの当事者による本である。知能指数が高いタイプにおける苦悩が赤裸々に綴られている。 個人的にはアノニマスであることがリカバリーには必要というのが業界では一般的に語られているところではあるが、本人特定ができるところでの出版というところについては複雑な心境を持ってしまう。 著者イベントにも参加したのだが、その中の発言を聴いて上記については思った次第である。 ご本人のリカバリーが更にすすむことを願ってやまない。
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『みんな水の中』 多数派のためにデザインされた環境のお陰で僕は生きにくさをあまり感じずに能力を発揮できるのだなと痛感する。 「脳の多様性」を考えることで、健常者VS障害者のような二項対立ではない、環境との摩擦に苦しむ多くの人が楽に呼吸することができるようになる社会へ! #読了 #...
『みんな水の中』 多数派のためにデザインされた環境のお陰で僕は生きにくさをあまり感じずに能力を発揮できるのだなと痛感する。 「脳の多様性」を考えることで、健常者VS障害者のような二項対立ではない、環境との摩擦に苦しむ多くの人が楽に呼吸することができるようになる社会へ! #読了 #君羅文庫
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ASDかつADHDの文学研究者である著者が、先人の自身の体験世界を詩(のようなもの)、論文(的なもの)、小説(風のもの)という形式で伝える。 発達障害者の方が感じてる世界はどんなものかという一端をつかむことができた。著者の透徹した自身への観察眼とさらけ出し具合には感服した。文学や...
ASDかつADHDの文学研究者である著者が、先人の自身の体験世界を詩(のようなもの)、論文(的なもの)、小説(風のもの)という形式で伝える。 発達障害者の方が感じてる世界はどんなものかという一端をつかむことができた。著者の透徹した自身への観察眼とさらけ出し具合には感服した。文学や芸術によるケア、セラピー、リカバリーの可能性も感じた。
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