みんな水の中 の商品レビュー
ASD、ADHDと診断された著者が、自身の生活とたくさんの文献を引用しながら、その生活について書いている本。ただの人文書ではなく、詩や小説なども記載されており、どう形容していいかわからない体裁を保っている。 僕自身はそういった診断を受けたことはないが、僕もそうかもと思う箇...
ASD、ADHDと診断された著者が、自身の生活とたくさんの文献を引用しながら、その生活について書いている本。ただの人文書ではなく、詩や小説なども記載されており、どう形容していいかわからない体裁を保っている。 僕自身はそういった診断を受けたことはないが、僕もそうかもと思う箇所に付箋を貼っていったら付箋だらけになってしまった。これが著者のいうように「脳の多様性」という言葉につながってくるのだろうか。 ASDやADHDなど名前をつけないと、そういった性質を持つ人の理解が難しい"定型発達者"と呼ばれる人たちもまた、「脳の多様性」についての理解の不足、あるいは欠陥があると考えることもできるのではないだろうか? と考えてみたい。"人それぞれ"って言葉を実際にはどのように受け止めたらいいんだろう。 「ユニバーサルデザイン」を時に、この本に出てくる人物たちにとってやさしい工夫や環境調整が果たしてされているのだろうか。どんな調整が必要なんだろう。そんなことを考えたくなった。 再読して理解を深めたいと思った本でした。
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ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)を診断された大学教員が、「詩」「論文的」「小説風」の三種類の様式で、赤裸々に自身の体験世界を伝える。テキストデータ引換券付き。 ちょいと難しかった。
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ASD、ADHDの方が見えている、感じている 世界を、言語てではなく、感覚的に、 身体的に、感じることができた。
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脳の多様性という言葉で一気に理解欲が湧いてくる。 言葉というツールを通して、 発達障害の世界を観ることが出来る。 読んでいて、自分にも当てはまるような事が多々あるが、私は今健常者として暮らしている。 時々生きずらさを感じるのは、普通の事として受け入れている。でも、それを症状として...
脳の多様性という言葉で一気に理解欲が湧いてくる。 言葉というツールを通して、 発達障害の世界を観ることが出来る。 読んでいて、自分にも当てはまるような事が多々あるが、私は今健常者として暮らしている。 時々生きずらさを感じるのは、普通の事として受け入れている。でも、それを症状として医療にかかると病気の一つとなる。それによって救われる人がいることを知った。 同じ世界に、昔から存在する人たちだと思う。 今でこそ病名がついているけれど、昔から共存して暮らしていたはず。 今は、それも難しい部分があるのかも。 このように言葉に文章にしてくれて理解が深まったと思うし、ポジティブに受け止められる社会に期待したい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
大学准教授の著者は発達に難あり(ASD(自閉症スペクトラム症)とADHD(注意欠陥・多動症)を併発)。そんな自身を「詩のように。」「論文的な。」「小説風。」の3種の形式で「私という唯一無二の人間の自己解剖記録」(P46)を書き表している。 「論文的な。」では著者自身の症状と著者と周囲の関係性が書かれている。言語の「中動態」というのは初めて聞いた。「あげもらい」の使い分け(うちの息子(9歳)未だに間違えるよ…)が難しいというのは「中動態」が関係しているのかな。 性についてかなり赤裸々に書かれていて少し驚いた。ぶっちゃけるなぁ。すごいな。 「文学によって癒されている」というのは定型発達の人たちと同じだと思うけど感じ方が違うんでしょうね。少し同意できる部分があるので私もちょっと凹凸してるんだろうなと再認識。
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この本を読むと「発達障害」とか「発達障害者」という単語は簡単に使えなくなる。代わりになんと言えばいいのだろう。 その当事者である文学研究者が、自分の世界の見え方を教えてくれる。なかなか言語化できない、普通だったらできないようなことができる人を得た、いい人を得たな(誰が?何が?)と...
この本を読むと「発達障害」とか「発達障害者」という単語は簡単に使えなくなる。代わりになんと言えばいいのだろう。 その当事者である文学研究者が、自分の世界の見え方を教えてくれる。なかなか言語化できない、普通だったらできないようなことができる人を得た、いい人を得たな(誰が?何が?)と思った。 I部など、最初読んだ時、見た時「え⁉︎」となってしまった。II部では当事者でない者にもわかりやすい言葉で説明されている。Ⅲ部では、II部で書かれたことが具体的に小説の形になっていて、本当の意味での理解はできないにせよ、そういう感じなのかとだいぶなじんだ感じがした。 以下は、本書の主旨と離れるかもしれないが、私自身がこの本を読んで心に残ったところ。 恨みの物語から解放されるように心がけること。誰かを、あるいは何かを恨んでいると、その物語の回路に呪縛されたままになってしまうから。 自身を別の新しい物語に送りだす。 新しい物語を生きはじめる。 (197ページに書かれていることを自分の都合に合わせて抜き出す) "心が傷ついている人が創作物に触れると、そこから元気や勇気を受けとることができる。その時起こっていることは、小規模でも確実な治癒や療養なのだ。" 201ページ "私は文学と芸術によって多重スティグマを「あやす」ことができ、それを低減させた。特に外国語や古語を現代の日本語に置きかえる翻訳作業は、私を自由の時空へと導き、多重スティグマを溶解させた。読者諸兄姉も、ぜひとも試していただきたい。簡単な英語でも日本語の古文でも構わないから、あなたが訳してみたいと思ったものを、日本語のあなたが好きな文体へと鋳造しなおしてみてください。" 203ページ
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ひっくりかえるほどすごい本だった これが精神医学の最前線か 何度も読み返したくなり、布教用にもう一冊買った
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多数派が生きやすい環境において、少数派は「なんか違う人」と認識される。見た目では分からないが、感じ方や考え方が全く違う人がいると言うことを、理解すべきではないか。 という事を当事者の目線で語っている面白いけど、読みにくい本。、
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巻頭から読み始めて疑問を感じた人は、Ⅱの14章から読んでみるといいと思う。この本が書かれた背景が分かると、難解な章をすんなり捉えられるようになる。
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