アースダイバー 神社編 の商品レビュー
「日本人の先祖は、どこから来て、どうやって日本人になったのだろう?」 最近の研究では、1万5千年くらい前に、もともと住んでいた縄文人と外から来た弥生人が一緒になって日本人の源になったようだが…、本当か? この疑問に人類学者の中沢新一は、身近な「神社」を通して明解に答えてくれる。...
「日本人の先祖は、どこから来て、どうやって日本人になったのだろう?」 最近の研究では、1万5千年くらい前に、もともと住んでいた縄文人と外から来た弥生人が一緒になって日本人の源になったようだが…、本当か? この疑問に人類学者の中沢新一は、身近な「神社」を通して明解に答えてくれる。 僕は、子供の時から、自分の先祖はどこから来たのだろう?と、疑問を持っていた。父に聞いてみると祖父は稲佐山で被爆し、その後運転中に脳卒中(?)で亡くなったらしい。だから詳細はたどれないのだが、親類が調べたところ「濵田」家は、島根県の浜田市から長崎の旧西彼杵郡の大瀬戸町に流れ着いたという。ネットで調べてみると「濵田」は、三重県の浜田村がルーツとある…。まあ、これ以上調べようがないが、気にはなっている。誰か詳しい人がいたら、ぜび教えてほしい。 NHKの『ファミリーヒストリー』という番組では、著名人の祖先を丹念にたどってゆく番組なのだが、引き込まれる。その中でも、福山雅治さんのファミリーヒストリーが一番面白かった。僕が思春期に育った稲佐山近辺の話が盛りだくさんだった。さらに、NHKの『日本人のお名前』という番組では、苗字の由来(例えば、佐藤家、鈴木家)をさかのぼる。おそらく、誰しも、自分の苗字やルーツがどこから来ているかが気になるから、こういう番組が成り立つのだろう。 じゃあ、そもそも、日本人は、どこから来て、どうやって日本人になったのだろうか? そんなの歴史の教科書を読めばすむことじゃん、と言われるかもしれないが、歴史の本や教科書は、まったくつまらない。そもそも書かれた歴史がどれくらい本当か、怪しい。 その点、中沢新一の『アースダイバー』シリーズは面白い。人類学者がフィールドワークで歴史の謎を紐解いてゆく。現存する地形や地層や物証、方言や風習または古地図などで、太古の昔を探ってゆく。極端に言えば、タモリさんの『ブラタモリ』(これもNHK)もフィールドワーク的手法で、大昔の日本を探っていき、面白くしたバラエティー番組だが、中沢新一も超難解な学問を素人にわかりやすく解説してくれるので、人気がある。『アースダイバー 神社編』は、『週刊現代』に連載されたものをまとめて、2021年に発刊されている。週刊誌を読む僕のようなオジサンは、こういうネタが好きなのだ(笑)。 一番面白いのは、第八章『対馬神道』。 2千数百年前、中国の南西部に住んでいた倭人という海洋民族が対馬に移り住んで(後の弥生人)、先住民の縄文人と交じり合い日本人となってゆく『日本のはじまりの島』が対馬。対馬には、そのころの歴史を引き継いだ神社や風習があり、中沢新一は『対馬神道』と呼び、日本の思想の根源のひとつを示すものと論を展開している。 実は、僕は対馬に幼少期に3年間住んでいた。 深い神秘的な山。入り組んだ海岸線から広がる蒼い海。夜、小高い山から海の遠くに隣の国の光が見えた。そんな、対馬での生活の体験を思い浮かべながら本を読んだ。う~~ん、そうだったのか!と何度もうなずいた。さすが中沢新一、アースダイバーの中でも最も研ぎ澄まされた『神社編』。深い歴史の森の中で、フクロウ(この本を読んだ人)だけが、祖先の真実を知っている…。
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安曇族のような、海洋民族の足跡がなぜ山岳地帯にあるのか、よくわかる。長江文明とのかかわりに興味がわいてきた。
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アースダイバーや大阪編は既読。 本書は、ちょっとアチコチ引っかかる処が多かった。 ・弥生人を揚子江以南の苗族出身として、漢民族の支配から逃げたゾミアとしているけれど、遺伝子情報ではウラル海辺りの北方出自のはず。確かに稲作は揚子江以南から伝わったと聞くけれど。 弥生人の到来と漢民...
アースダイバーや大阪編は既読。 本書は、ちょっとアチコチ引っかかる処が多かった。 ・弥生人を揚子江以南の苗族出身として、漢民族の支配から逃げたゾミアとしているけれど、遺伝子情報ではウラル海辺りの北方出自のはず。確かに稲作は揚子江以南から伝わったと聞くけれど。 弥生人の到来と漢民族が支配を広げた時期も合わないのでは。 ・太陽神が女神になったのは、持統天皇が古事記、日本書紀を作らせたから。それ以前は男性神アマテルだったのでは? ・日光感精説話を南方系の海洋民のものとしているけれど、これは北方騎馬民族の伝承じゃないの? ・金太郎は太陽神の子供としているけれど、山の神とヤマハハの子供でしょう。後の文章では太陽神と海の神、山の神が同一視されたとあるけれど、それは海洋族にとっての話だよね。 ・九州から丹後半に至った磯部族が伊勢湾の磯部族に再会したことになるわけだけど、どうして同族と認識できたんだろうか。丹後で籠神社を祀ったのは、海部氏か和仁氏じゃなかったっけ。伊勢神宮の歴史を考えるとそうかなとは思うけれど、不思議に思う。 ・尾張氏も磯部氏の出だという。纏向の元ヤマト政権にも尾張氏は参加しているよね。磯部の出って本当? そんなわけで、中沢氏のロマンに酔えない読書となりました。まあ、安曇氏の信州進出は面白かったかな。
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「日本人の先祖は、どこから来て、どうやって日本人になったのだろう?」 最近の研究では、1万5千年くらい前に、もともと住んでいた縄文人と外から来た弥生人が一緒になって日本人の源になったようだが…、本当か? この疑問に人類学者の中沢新一は、身近な「神社」を通して明解に答えてくれる。...
「日本人の先祖は、どこから来て、どうやって日本人になったのだろう?」 最近の研究では、1万5千年くらい前に、もともと住んでいた縄文人と外から来た弥生人が一緒になって日本人の源になったようだが…、本当か? この疑問に人類学者の中沢新一は、身近な「神社」を通して明解に答えてくれる。 僕は、子供の時から、自分の先祖はどこから来たのだろう?と、疑問を持っていた。父に聞いてみると祖父は稲佐山で被爆し、その後運転中に脳卒中(?)で亡くなったらしい。だから詳細はたどれないのだが、親類が調べたところ「濵田」家は、島根県の浜田市から長崎の旧西彼杵郡の大瀬戸町に流れ着いたという。ネットで調べてみると「濵田」は、三重県の浜田村がルーツとある…。まあ、これ以上調べようがないが、気にはなっている。誰か詳しい人がいたら、ぜび教えてほしい。 NHKの『ファミリーヒストリー』という番組では、著名人の祖先を丹念にたどってゆく番組なのだが、引き込まれる。その中でも、福山雅治さんのファミリーヒストリーが一番面白かった。僕が思春期に育った稲佐山近辺の話が盛りだくさんだった。さらに、NHKの『日本人のお名前』という番組では、苗字の由来(例えば、佐藤家、鈴木家)をさかのぼる。おそらく、誰しも、自分の苗字やルーツがどこから来ているかが気になるから、こういう番組が成り立つのだろう。 じゃあ、そもそも、日本人は、どこから来て、どうやって日本人になったのだろうか? そんなの歴史の教科書を読めばすむことじゃん、と言われるかもしれないが、歴史の本や教科書は、まったくつまらない。そもそも書かれた歴史がどれくらい本当か、怪しい。 その点、中沢新一の『アースダイバー』シリーズは面白い。人類学者がフィールドワークで歴史の謎を紐解いてゆく。現存する地形や地層や物証、方言や風習または古地図などで、太古の昔を探ってゆく。極端に言えば、タモリさんの『ブラタモリ』(これもNHK)もフィールドワーク的手法で、大昔の日本を探っていき、面白くしたバラエティー番組だが、中沢新一も超難解な学問を素人にわかりやすく解説してくれるので、人気がある。『アースダイバー 神社編』は、『週刊現代』に連載されたものをまとめて、2021年に発刊されている。週刊誌を読む僕のようなオジサンは、こういうネタが好きなのだ(笑)。 一番面白いのは、第八章『対馬神道』。 2千数百年前、中国の南西部に住んでいた倭人という海洋民族が対馬に移り住んで(後の弥生人)、先住民の縄文人と交じり合い日本人となってゆく『日本のはじまりの島』が対馬。対馬には、そのころの歴史を引き継いだ神社や風習があり、中沢新一は『対馬神道』と呼び、日本の思想の根源のひとつを示すものと論を展開している。 実は、僕は対馬に幼少期に3年間住んでいた。 深い神秘的な山。入り組んだ海岸線から広がる蒼い海。夜、小高い山から海の遠くに隣の国の光が見えた。そんな、対馬での生活の体験を思い浮かべながら本を読んだ。う~~ん、そうだったのか!と何度もうなずいた。さすが中沢新一、アースダイバーの中でも最も研ぎ澄まされた『神社編』。深い歴史の森の中で、フクロウ(この本を読んだ人)だけが、祖先の真実を知っている…、ホーホーホー♪ 次回をお楽しみに♪ フクロウ館長より
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中沢新一さんの本は、他のアースダイバー、虹の階梯、東北本、カイエドソバージュなとなど昔から好きで読んでました。 今回も、アースダイバー新編が出てるのを本屋さんで見て手に取りました。 面白かった。冒頭の犬の墓場話からアズミ、ミワ、対馬、出雲に至るまで。。 ただ、所々なんか飛躍してな...
中沢新一さんの本は、他のアースダイバー、虹の階梯、東北本、カイエドソバージュなとなど昔から好きで読んでました。 今回も、アースダイバー新編が出てるのを本屋さんで見て手に取りました。 面白かった。冒頭の犬の墓場話からアズミ、ミワ、対馬、出雲に至るまで。。 ただ、所々なんか飛躍してない?と思った点があったのも事実。。昔中沢さんの本を読んでた時と違い、いまはDNAやら色んな科学的解析も進んでるし、色々な分野でデータ重視されてます。 そんな環境に慣れた身で、この本を読んでると、中沢さんの想像力は素晴らしいとは思うけど、そーかなーと思える記述も散見される。。。 と、そんなときAmazonで年間読書人という方のこの本の書評を読んでぶっ飛びました。曰く、中沢氏は学界から全く相手にされてない。なぜなら事実を積み上げてないから、という。ええええー。そーなんですか?? 確かに旧石器人はアナロジーに優れてるなんて文章があって、うーん。なんで断定できるのだろーか。。人それぞれじゃないの?的な疑問が浮かびつつ、それでも面白い読み物だし、読み進めておりました。。 博学にして、共通項を見つけがち、アナロジーにも優れる氏。。 おそらく、中沢さんの文章、思考が、いまの環境に追いついてないのかもしれない。そんな気がしました。 ネットに情報が溢れてない頃は、中沢さん的な共通項を直感で見つけ本で主張する。すると凄いってことになったのでしょう。 普段からデータ出せと言われてる生活してる読者や、ネットで調べればスグわかってしまう今日この頃。。直感で共通項を指摘する、てのは。ん?なんで断定してんの?との思いが先にたってしまいます。。 こんな時代、年間読書人さんの書評が染みました。 日経サイエンスの「ヤポネシア」特集は、DNA分析で日本人がどこから来たのか紹介してる。。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC18CCA0Y1A610C2000000/
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日本人のルーツを探り、古い地層の中に潜っていくアースダイバーの旅。 今回は、縄文と弥生。 私なりに読み解くならば、今回のポイントは、ともに南洋の海からやってきた縄文人と弥生人は、前者がポリネシア系、後者が漢民族の支配に抵抗した中国南部(ベトナムとの国境付近)の少数民族の特徴を色...
日本人のルーツを探り、古い地層の中に潜っていくアースダイバーの旅。 今回は、縄文と弥生。 私なりに読み解くならば、今回のポイントは、ともに南洋の海からやってきた縄文人と弥生人は、前者がポリネシア系、後者が漢民族の支配に抵抗した中国南部(ベトナムとの国境付近)の少数民族の特徴を色濃く残す(つまり、漢民族や朝鮮半島人ではない)、ということ。 学校の授業で習う渡来人が日本の外来文化の全てと思うとまちがえる、ということだ。 彼らは、稲作の知識の有無、という決定的な違いこそあったが、海洋民としての共通性も持っていた。 このことが、縄文系聖地と弥生系聖地との複雑な変遷の原因となる。 農業生産物という蓄積可能な財産が生まれたことにより、資源循環型のアニミズムが変革されたこと。環太平洋に起源を持つ太陽信仰。中国南部で古来から行われてきた鵜飼の日本での分布。 いわゆる縄文人は、シベリア経由で当時陸続きだった列島に入ってきた、という説も有力らしいので本書の考察(というよりイマジネーション)がすべて正しいかはわからないが、古来からの祭りや信仰の中に、日本人の源流についての知識がまるでDNAのように埋め込まれていることへの興味は尽きない。
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アースダイバーシリーズの最新作。これまでの地形アプローチだけでなく、神社の儀式のアナロジーのアプローチから日本人のルーツを探る一冊。漢民族でもなく、縄文人でもない倭人という視点は目からうろこであった。ぜひ読むべき一冊
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