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スモールワールズ の商品レビュー

4

768件のお客様レビュー

  1. 5つ

    213

  2. 4つ

    330

  3. 3つ

    169

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

    3

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2024/03/17
  • ネタバレ

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軽く読める短編集を、と思い購入。 軽く読めるテーマは少なく、まさにタイトル通り、各々の見て感じている「世界」を詰め込んだ、といった感じ。 どのお話も主人公の立場や構成が異なり、読後胸に残る感情も違ってくるのが面白かったです。 私は「花うた」が好きでした。 親しい方、世間の目が許さずとも、秋生さんと深雪さんの間にだけ存在する小さな世界があるんだろうな、と思うからです。

Posted byブクログ

2024/03/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

それぞれのスモールワールドの話なのかな。だからか歪みを感じる話が多々。 ぬりかべみたいな姉が実家に帰ってきて金魚すくい大会に出場する「魔王の帰還」以外の、すっきりしなさといったら。 まず1話目「ネオンテトラ」から後味が悪い。他人の家で行為に及ぶ姪が気持ち悪くてたまらないのだけど(私なら引っ越してしまいたい)、主人公がどうしてそこまで…という気持ちが拭えない。ただ、そうなってしまう要素は、彼女の周りに沢山あったと同情もする。 「魔王の帰還」、大和郡山が舞台っぽい。 読み返してみると、新しい父親との関係のために娘を貶める母親を持つ菜々子と、明らかな暴力を目の前にして正しいことをしたはずなのに被害者からも憎まれた鉄二の凄惨な話なんだけど、「シャラポワみたいな女性が来る」に興味を持って合コンに行く勇さんや、そんな勇さんを大好きなんだなと感じる姉の気持ちの強さに持って行かれたな。読後感よいです。 幼い子供が亡くなってしまった事件「ピクニック」、ラストの真相解明で急に怖くなった。 最後の一文「早く。」の切羽詰まった雰囲気が余計に怖い。 被害者の妹と加害者の文通の話「花うた」も気持ちの持っていきようが分からない話だった。 読みながら加害者に肩入れしてしまいそうだったり、そんな自分を留めようとしたり、被害者であるお兄さんにも問題がある人だから妹を逃してあげられてよかったのでは?と思ってしまったり、心が揺さぶられる話だった。 15年会わなかったFtMの子が訪ねてくる「愛を適量」もまた、あげて落とす話だった。 予想はしてたけど、この父親もまた「ピクニック」同様、当事者意識のない父親だったんだな。 「式日」の後輩は「ネオンテトラ」の笙一だと思って読んでいた。やるせない。 「好きなところを好きなふうに走れる」ことができなかったのかな。

Posted byブクログ

2024/03/13

ずっと読みたかった短編集が文庫化されていたので購入。 短編集はほのぼのであればあるほど途中で飽きてしまう傾向にあるので、そうでないといいなと思いつつ読み始めましたが… 想像を絶するインパクト大な作品の数々。 表紙やタイトルで判断することなかれ、これはただのほっこりヒューマンドラマ...

ずっと読みたかった短編集が文庫化されていたので購入。 短編集はほのぼのであればあるほど途中で飽きてしまう傾向にあるので、そうでないといいなと思いつつ読み始めましたが… 想像を絶するインパクト大な作品の数々。 表紙やタイトルで判断することなかれ、これはただのほっこりヒューマンドラマではありません。 全話心に残って、時にぞっとさせられる結末でしたが、特に好きだったのは「花うた」です。 兄を殺された妹と、その加害者との文通ですすんでいくストーリーで、それ以外に余計な背景の描写が一切ありません。 その分、二人が筆を進めながら何を思っているのか、手紙の空白の期間にどういう心境なのか、想像させられます。 そして、ああ、そうだったんだ、と少しずつ彼のことがわかっていく感覚がなんとも切なく、印象的でした。 一冊を通して、「スモールワールズ」というだけあってそれぞれの世界を覗き見しているような作品です。 ネオンテトラで生、式日で死、という構成も素晴らしいと思いました。(式日の登場人物に隠された秘密も含め。) こんなに心に残る短編集は初めてかもしれないです。今後も追いかけたくなる作家さんに出会えて嬉しい気持ちです。

Posted byブクログ

2024/03/11

短編ごとに、構成の仕方ががらっと変わる。 表情がこんなにもパラパラと変わるのかと驚く。 全体からあたたかさを感じるものや、気味の悪さを感じるもの、違和感を感じるもの。

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2024/03/09

濃厚な短編集でした。 特に好きな短編は、「愛を適量」でした。 料理においてよく聞く適量ってこの言葉、本当に曖昧で難しい! しかも、適量が味を左右しがち。 そんな風に、自分が好きな味付けだからと、自分が良かれと思って塩を多めに振ったら、相手の求めている味(こと)と違うってことを痛...

濃厚な短編集でした。 特に好きな短編は、「愛を適量」でした。 料理においてよく聞く適量ってこの言葉、本当に曖昧で難しい! しかも、適量が味を左右しがち。 そんな風に、自分が好きな味付けだからと、自分が良かれと思って塩を多めに振ったら、相手の求めている味(こと)と違うってことを痛感するこの話。 相手の求めていることは、相手への愛がないと気づけないというけど、それが出来る人ってどれだけいるんだろう。(私は自信ありません) 私を含め、誰しも経験をしたことがあるであろうそうした気持ちのかけ違えに共感して、本作の中で一番心揺さぶられました。 スモールワールズってゆうタイトルは、短編の主人公達のそれぞれの家族に、それぞれの物語があることを感じさせました。 街ですれ違う人たちみんなにスモールワールズがあることに、人間が複雑な世界に生きている怖さとグロさのようなものを感じました。

Posted byブクログ

2024/03/09
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※このレビューにはネタバレを含みます

初めての作家さん。ほのぼの系短編集に見せかけてなかなか毒のあるお話も! 好みは後半の三篇。 「花うた」 …おとこのこは、ひらいたてでおんなのことてをつないで、それをずっとみていました。 罪の自覚と赦しのお話。春の情景が目に浮かぶ、素敵な終わり方。 「愛を適量」 …南国の太陽の下で象に乗って笑う息子を想像すると、寂しくても生きていける気がした。 不思議な形で、解ける親子の確執。最後、お父さんがちゃんと〈息子〉を思っているところがいいなあ。 「式日」 …どこで降りるにせよ、今度のボタンは自分が押す。 ここまで全篇読んできて、もう結末がわかった状態で読む後輩と先輩の最後のやりとりはとても切ない。先輩、魚引き取ってくれたかな。

Posted byブクログ

2024/03/03

各話が少しずつ重なり合う短編集。 描写にリアリティがすごくあって、温かさも冷たさもずんと胸に響いた本作だった。 人によって、見方によって物事は色を変えるんだなと、ぞくりとした。 「魔王の帰還」が前向きで好きだった。 地力のある文章を書く人だなと思った。 ☆3.8

Posted byブクログ

2024/03/03

第165回 本屋大賞候補作 「誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集」とある。 短編集としか、読めず、連作が掴められなかった。 もう一回、読んだら、連作が掴められるか。

Posted byブクログ

2024/03/01

それぞれにはっとさせられる作品、中でもネオンテトラがよかった。全く違うタイプの作品が続くけど、特に小さい世界という気はしなかったのに、ラストの作品でふにおちた。

Posted byブクログ

2024/02/21

ズシッと来た。どれも重たく、しかし心の中にするりと入り込んでくる。 六編の短編が収められているが、全て長編小説のような濃度があり、圧倒的である。 中でも「花うた」は抜群の出来栄えだ。受刑者と、彼が殺した人物の妹との往復書簡は人の転落と再生を見事に浮かび上がらせる。人の一生には無限...

ズシッと来た。どれも重たく、しかし心の中にするりと入り込んでくる。 六編の短編が収められているが、全て長編小説のような濃度があり、圧倒的である。 中でも「花うた」は抜群の出来栄えだ。受刑者と、彼が殺した人物の妹との往復書簡は人の転落と再生を見事に浮かび上がらせる。人の一生には無限の闇と光がある。そのどちらも描いた傑作である。

Posted byブクログ