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スモールワールズ の商品レビュー

4

762件のお客様レビュー

  1. 5つ

    212

  2. 4つ

    325

  3. 3つ

    169

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

    3

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2024/06/27

短編集。どれもじんわりグッとくる。魔王の帰還のお姉ちゃん、見た目は豪快そうなのに繊細。これ以外の主人公のように、相手のことも考えられる余裕のある人になりたいわ。

Posted byブクログ

2024/06/27

普通の日常が描かれている短編小説です。 短編だからこそ盛り上がる所とか、感動場面がはっきりしているのかな思いきや、それを感じ取れなかった。 一言で言えば、自分には合っていない作品だった。 それでも、『ピクニック』は最後にどんでん返しがあり、誰にも怒りをぶつけて良いのか分からな...

普通の日常が描かれている短編小説です。 短編だからこそ盛り上がる所とか、感動場面がはっきりしているのかな思いきや、それを感じ取れなかった。 一言で言えば、自分には合っていない作品だった。 それでも、『ピクニック』は最後にどんでん返しがあり、誰にも怒りをぶつけて良いのか分からない様な作品は好きです。 タイトルに『スモール』と付いているので、日常と言う小さな世界における、小さな感動作品なのかも知れません。

Posted byブクログ

2024/06/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ブクログのおすすめに出てきて気になったので読んでみた。 連作小説なので、ストーリーの中で作品がリンクしていく。どれも短編として切り取って読んでも綺麗に完結する話だが、ストーリーが上手く交差しているので、同じ世界で同じ時間軸を生きていると理解させられる。それぞれの家庭が、それぞれの秘密を抱えながら、社会に溶け込んでいる。この作者さんはその描写が上手い。また読み返したいし、他の作品も是非読んでみたい。 ネオンテトラ 不妊に悩む美和が、父親から虐待を受けている笙一を気にかける。笙一は姪の有紗の中学の同級生。美和が次第に笙一に恋愛感情を抱くようになるのかと思ったが、好きと思っているわけではないと読み手側に何度も釘を刺してくる。そうした感情とはまた別に笙一の子供を欲しいと思うところが気色悪い。有紗と笙一が自分の家で事に及んでいることに美和が気付いても何も言わず、有紗が妊娠して子供を産んだら取り上げて自分の子供として育てているのがグロテスクすぎた。育てていたネオンテトラをトイレに流すシーンも冷酷。子供を持った途端に切り替わるところが恐ろしい。 魔王の帰還 ネオンテトラを読んで後味悪い系の話がずっと続くのかと思いきや、スカッとする話だった。188センチの姉、でかい。名前は真央であだ名は魔王。コッテコテの岡山弁で尚更いかつい。なのに死んだ金魚に手を合わせる優しさを持ち合わせている。菜々子を冷やかす子供達にも容赦なくビシッと叱る。そこにシビれる!あこがれるゥ!こんな姉みたいな人になりたい。 ピクニック 序盤でほのぼの幸せストーリーと思ったら、生後10ヶ月の未希が死んで一変。希和子が警察に連行され、瑛里子は妹(真希)がいたが生後6ヶ月で亡くなっていたことを知る。真希を亡くし存在を無かった事にした希和子と、未希のことを忘れたくないと思う瑛里子は対照的。瑛里子は第二子の真実(まみ)を授かり、なんやかんやで母子仲直り!チャンチャン!かと思ったが、最後に読者にのみ明かされる真実によって地獄に叩き落とされる。真希は幼かった瑛里子が覆い被さって窒息死、医者だった父により死因は書き換えられ、その父は自滅のような死(飲酒運転による事故死)を遂げる。希和子は辛い記憶に蓋をするが、ある日、未希の姿に真希を重ねてしまい、無意識のうちに殺してしまう。「誰も悪くありません。真実とお母さんを、絶対にふたりきりにしないで。お母さんの中に眠っているものを二度と起こさないようにして。」というラストが怖い。 花うた 受刑者・被害者家族・弁護士の手紙のやりとり形式で話が進行する。初めは名前が向井深雪で、次の手紙では新堂深雪になっている。兄を死なせた受刑者の秋生の苗字も向井であれ?と思いながら読み進めた。2人が手紙を交わしていくうちに、お互いが心のやわらかい部分を曝け出し、色々な感情を抱きながらも受け止め合う様子は人間らしいと思った。秋生が書いた『どろぼうの男の子』の話のラストが優しくて泣きそうになった。 愛を適量 父の慎悟と娘でF to Mの佳澄(かすみ/よしずみ)の話。寂しいおじさんが突如転がり込んできた娘と生活しながら心を通わせていく。温泉旅行で慎悟が自分のモノをやれたらいいのになぁとぼやいた後、おっさんのなんかいらねえよ!と笑い飛ばす佳澄のシーンが微笑ましかった。その後、佳澄のために渡そうとしたお金が既に本人に奪われていたことが発覚した時はこちらまで悲しくなった。でも、佳澄のいう(慎悟の)自己満のために使われたくないから!っていう気持ちもわかる。最後は慎吾が過去に佳澄を突っぱねた事に対して謝り、佳澄も父が本当に自分のことを愛してくれていたことへの感謝の気持ちを伝えて終わる。ここで仲直りできたって思うのは安直すぎるかな?でも2人とも幸せになってほしい。 式日 飛び降りで死んだ父の葬儀に出てほしいと頼む後輩と、それに応える先輩の話。話の中では先輩の視点で語られ、後輩は名前で呼ばれることはないが、読んでいくとネオンテトラに出てくる笙一だとわかる。笙一は父から受けた(ときには母からも)虐待によりトラウマを抱えており、所々で痛々しい。父が自分の家を訪ねてきたあの時、ドアを開けていれば…と考えてしまうことを明かすシーンはかなり辛い。人が良すぎる気もするが、親のことを憎みきれない部分があるのがリアル。これからは幸せに生きてほしいと思うが、ネオンテトラで笙一がバイク事故で亡くなると分かってしまっているので、読者側も救われない。 魔王の帰還→ピクニック ニュースで報道されていた亡くなった赤ちゃんは未希 花うた→ピクニック 弁護士の伊佐利樹の父親は希和子の弁護士をしていた大樹 愛を適量→花うた 看護師の深雪の後輩は佳澄 ネオンテトラ→式日 父を亡くした後輩は笙一

Posted byブクログ

2024/06/11

可愛らしい装丁に惹かれた。6編の短編が収められている。みんなそれぞれが何かを抱えていて、それでも生きていこうとする決意の上に成り立っているのが平凡で平坦に見える日常なのかもしれない。 『ネオンテトラ』 倫理的にどうなのかと思うような行動をとってしまう麻子。そうまでして、子どもが...

可愛らしい装丁に惹かれた。6編の短編が収められている。みんなそれぞれが何かを抱えていて、それでも生きていこうとする決意の上に成り立っているのが平凡で平坦に見える日常なのかもしれない。 『ネオンテトラ』 倫理的にどうなのかと思うような行動をとってしまう麻子。そうまでして、子どもが欲しいと願う女性の気持ち。それに寄り添えない不道徳な夫。 中学生の恋愛を利用した麻子は、人の道に外れたことをした。それでも、幸せなのか。汚いことをして手に入れたしあわせは、ほんとうの幸せと呼べるのだろうか。 『魔王の帰還』 個人的にはいちばんすきだった。 『ピクニック』 仮面家族を思わせる内容。ひとは穏やかな仮面のしたに、残酷な一面を携えているのだと思った。 『花うた』 自分の深いところを共有できたひととは親密な関係になってゆく。悲しい過去ほど、強固な絆となる。そして時を重ねてゆく。 『愛を適量』 LGBDの娘をもつ父と、娘の物語。心が温かくなった。適量って、相手にとっての適量。むずかしいなあ。 『式日』 なんとなく、『光のとこにいてね』に通じる内容だった。イヤホンをつけることが外界から自分を守る手段になってたとはなかなか新鮮な視点。イヤホンをはずしたときに、外の世界とつながる。 ネオンテトラを気に掛けた後輩は、美緒の本当の父親である少年。ここでつながるのか。 日常は、ちいさな世界の集まり。悲しいことだけじゃない。ちゃんと意味がある。そう思わせてくれた小説。

Posted byブクログ

2024/06/06

6つの短編が少しずつ繋がっていて、世界って狭い、そしてその狭く小さな世界の中でいろいろな事が起きていると感じさせられる。 親子、兄弟姉妹、親戚、友人etc… 人と人との繋がりは様々。 その繋がりの中で日々いろいろな事が起きて… 不妊、虐待、闘病、殺人、LGBT… 描かれる内容も様...

6つの短編が少しずつ繋がっていて、世界って狭い、そしてその狭く小さな世界の中でいろいろな事が起きていると感じさせられる。 親子、兄弟姉妹、親戚、友人etc… 人と人との繋がりは様々。 その繋がりの中で日々いろいろな事が起きて… 不妊、虐待、闘病、殺人、LGBT… 描かれる内容も様々。 「ネオンテトラ」の夫婦の微妙な関係、姪と姪のクラスメイトとの交流 「王の帰還」の夫婦の愛情 「ピクニック」の母娘 「花うた」の被害者と加害者の交流 「愛を適量」の数年ぶりに再会した親子の交流 「式日」の先輩後輩のやりとり 「ネオンテトラ」と「王の帰還」が特に印象に残った。

Posted byブクログ

2024/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

はじめて読む作家さん。ほんのりとした連作短編で全部とても良かった。 魔王の帰還が一番好き。とても面白く胸にじんわりきた。気持ちで負けるとか勝つとかの解釈が初めてしっくりきた。若い割に重たい思い出を持っている、だけどちゃんと可愛らしい同級生の二人がうまくいけばいいなと思う。 花うたの二人の往復書簡の中の心情の変化とその後の選択。赦す事と寄り添う事。色々考えてしまう話だった。 ピクニックはもうホラー。怖かった。 最後の式日は切ない。読み始めからネタバレくらってるのでとにかくやるせない気持ちで読んでしまった。

Posted byブクログ

2024/08/30

『光のとこにいてね』が良かったので、この短編集を手に取った。一穂ミチさんは光を巧みに扱いながら心の明暗を描き出すのが上手い。 一話目の「ネオンテトラ」の中にも様々な光を見ることができた。 水槽の中を泳ぐネオンテトラの群れ。 ジャンクションを見つめる笙一の眼に 白やオレンジ色の灯...

『光のとこにいてね』が良かったので、この短編集を手に取った。一穂ミチさんは光を巧みに扱いながら心の明暗を描き出すのが上手い。 一話目の「ネオンテトラ」の中にも様々な光を見ることができた。 水槽の中を泳ぐネオンテトラの群れ。 ジャンクションを見つめる笙一の眼に 白やオレンジ色の灯りが映る。 夜のコンビニを回遊する生き物たちの間 に笙一の姿を探す。あの子に会いたい。 車内にあふれる液晶の光は飛び交う蛍のようにも水槽の中の熱帯魚のようにも見える。 モデルの美和は34歳、不育症で悩んでいる。 夫には自分より若い女がいる。 姪の有紗の同級生、笙一に出会ったことで欲しい物は手に入れたいと渇望する。 水槽のネオンテトラを産卵繁殖させるように、 二人に特別な部屋を提供し続ける美和の行為に 狂気を感じてしまった。 げに恐ろしきは女なり。  二話「魔王の帰還」 同じ作者が書いたものと思えないほど雰囲気がガラリと変わる。岡山弁丸出しの豪快な姉が出戻ってきた。弟の鉄二も野球を辞め「金魚の里」に転校。駄菓子屋の店番をしている同級生、菜々子と三人で「金魚すくいの大会」に出ることになる 。インパクトのある言葉の裏に優しさを持つ姉の秘密が徐々に明らかにされる。 生きていく元気を貰える作品だ。 三話「ピクニック」 瑛里子の妹で、亡くなった真希が事件の全貌を明かすラストが衝撃的! そうして、悪夢は繰り返される。 四話「花うた」 長編のような厚みのある作品で良かった。 傷害致死の罪で刑務所に入る向井秋生と兄を奪われた新堂深雪の往復書簡。弁護士への手紙の差出人名が新堂ではなく向井だと気づいた。秋生が書いた物語『どろぼうの男の子』の最後の一行に胸を締めつけられた。 六話のラスト 「ネオンテトラは照明を反射しつつ光ってるだけで、暗いときれいじゃないって知ってた?」と言う男はきっとあの子に違いないと気づかされ、再び一話目に戻った。う〜ん、一穂ミチさんにまたしてもやられてしまった。

Posted byブクログ

2024/05/14

激動すぎやろ!最後の一文まで気が抜けないの、怖すぎたけど快感でもあった 私は『ピクニック』が好き 小道具の使い方が印象的で、本で出てきた小道具を生活で見ると本を思い出すという恐怖体験もしました 冬の寒さとかふんわりと肌で感じてたこともこの本で言語化されて、細かい所まで瑞々しい

Posted byブクログ

2024/05/08

一穂ミチさんは初読みの作家さん。 BL小説が至高らしいのだが、先ずはブクログでよく見かける本作から読んだ。 『スモールワールズ』 全6つの色々な“家族”の内面を描いた物語 以下、ネタバレは避けるとして簡単な感想のみ 「ネオンテトラ」 主人公 美和の心理描写が生々しかった。 丞...

一穂ミチさんは初読みの作家さん。 BL小説が至高らしいのだが、先ずはブクログでよく見かける本作から読んだ。 『スモールワールズ』 全6つの色々な“家族”の内面を描いた物語 以下、ネタバレは避けるとして簡単な感想のみ 「ネオンテトラ」 主人公 美和の心理描写が生々しかった。 丞一くんを心の拠り所としていく辺り、深い心の闇を感じる。 全体的に湿っぽく重い印象だったが、内容を理解した上でのネオンテトラというタイトルは、センスが光っていた。 「魔王の帰還」 泣きながらも、たくさん笑えた。 ラストもしっかりと救いがあって、とっても良かった。これは万人受けすると思う。 本名は真央で渾名は魔王とか…笑 出戻りの真央を深く追求しない両親には、娘への深い信頼が感じられた。 「ピクニック」 何だかずっとゾクゾクするお話。 未読の方はそもそも誰目線なの?このお話…と 意識しながら読んで欲しい。 ラストにしっかりネタバラシをしてくれるのだが、切なくて哀しくて、ミステリーかつホラー小説に近い印象だった。 「花うた」 加害者と被害者遺族の立場を描いた作品は多いが、手紙メインという斬新な構成で心の機微を巧みに表していて、更に思いもよらない展開に翻弄された。綺麗事だけじゃない所がリアルだ。 ラストの秋生が書いたストーリーに感涙。 「愛を適量」 確かに適量って難しい。 でも生きていると、適量じゃないことが、結果正解だったことも案外多いと思う。 唯一、ジェンダーを扱った作品だったが、父子の再交流に意表を突いた展開が重なり、そこもリアリティがあって良かった。 「式日」 後輩からの誘いを受けて先輩が生まれて初めて参列した葬儀は、後輩の父の葬儀だった。 日常のすぐ隣にある葬儀という非日常の場面。 2人の空間が静かに淡々と進む物語で、無彩色のような世界観に音だけが感じられる作風。締めくくりに相応しいと思った。 どの話も趣が全く異なり、毎回新鮮な気持ちで向き合える作品だった。 特に、「花うた」の手紙をメインとして時空の流れを表現し、徐々に二人の関係性が変化する様子を描いた構成は美しかった。 また、「式日」の人名を伏せて先輩と後輩で綴られる作風は斬新で、そこに読者へ向けた強い意図が感じられた。 個人的には「魔王の帰還」と「花うた」が好みだった。 一穂ミチさんは、心の機微を唯一無二の表現で表すのが、とても上手い作家さんだと感じた。最初は慣れない描写に少し戸惑ったが、読み進めるうちに中毒性を感じてきた。 また独創的な構成が光っている作品もあり、6つの短編にセンスの良さと作者のチャレンジ精神がギュッと濃縮されていた。 これからも一穂ミチさんの色々な作品読んでみたいと思える一冊だった。

Posted byブクログ

2024/05/08

各話が微かに繋がっていて周りの誰もが持っている日常の話なのだと感じられる。 好きな話 『魔王の帰還』諦めるのは気持ちで負けたからと思うと気が楽になることを鉄二から教わった。そして何でもいい、勝つことで気持ちが勝ることもできるのだ。 『花うた』人の心の移ろいを手紙で読み感じながら、...

各話が微かに繋がっていて周りの誰もが持っている日常の話なのだと感じられる。 好きな話 『魔王の帰還』諦めるのは気持ちで負けたからと思うと気が楽になることを鉄二から教わった。そして何でもいい、勝つことで気持ちが勝ることもできるのだ。 『花うた』人の心の移ろいを手紙で読み感じながら、ずっと心に残る作品となった。

Posted byブクログ