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フェミニストってわけじゃないけど、どこか感じる違和感について の商品レビュー

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2021/04/29

韓国の女性による随筆。日本語版表装を担当したイラストレーターのファンなので、そこかをきっかけに興味を持った。 「フェミニスト」「フェミニズム」という言葉は語る側にも、語られる側にも何らかの緊張をもたらすことに気づいて、この言葉の扱いに慎重になる女性は増えていると感じる。バズワー...

韓国の女性による随筆。日本語版表装を担当したイラストレーターのファンなので、そこかをきっかけに興味を持った。 「フェミニスト」「フェミニズム」という言葉は語る側にも、語られる側にも何らかの緊張をもたらすことに気づいて、この言葉の扱いに慎重になる女性は増えていると感じる。バズワード化した言葉をちゃんと振り返り、丁寧に定義する取組は必要だ。 ただ、その定義にちゃんと立ち戻って、冷静に語る時間も惜しいくらい、「信じられない」ということが世の中にたくさん野放しされているのも紛れもない事実ではある。 冒頭、筆者はフェミニズムを「性別によって定められた苦しい部分に共感し、話し合い、目線を変えてみようという考え方」と定義するが、読み進めていくと、私にとってはこのように解釈できた。「男」と「女」に代表されるような、異なる価値観、社会通念を持つ人々が、お互いの世界を少しずつ覗き見るための、その旅路のチケットなのかなと。 社会全体のあれこれにテンポ良く切り込む前半から、中盤の「1番身近なパートナー(例えば夫)との向き合い方」「結婚」に進むと話は一気に生々しくなるが、現に起きていることなんだろう(自分は恵まれてるなと思う事例ばかり)。ふと、女性が「フェミニズム」をまっと言うに語りたい上で障壁となっているのはこういった身近なパートナーとの脆く綱渡りな関係性が要因になっていないか?とさえ思う。社会に対して冷静に対処する女性のエネルギーは、身近な人との間の健全な相互の関係性があってこそなのだ。 あと、訳者の方文章、とても素敵だった。もとから日本語なのではないかと思うような、自然な一冊だった。韓国はこんな社会状況なのか、といろいろと考えを巡らせつつ、自分たちの問題にも置き換えて読み進められたのも、こういった自然でストンと心にハマる訳のおかげだとも思ったのでした。

Posted byブクログ