彼女は頭が悪いから の商品レビュー
濁った色の、どろどろとした得体の知れぬ嫌な感情が払拭されないまま終わって、とても考えさせられる内容の作品だった。 人は自分に都合の良い風に記憶を書き換えるように出来ている。 私自身も、何度事実を婉曲して記憶しているかしれないが、それが生存の為の知恵であるから致し方ない。 理解出来...
濁った色の、どろどろとした得体の知れぬ嫌な感情が払拭されないまま終わって、とても考えさせられる内容の作品だった。 人は自分に都合の良い風に記憶を書き換えるように出来ている。 私自身も、何度事実を婉曲して記憶しているかしれないが、それが生存の為の知恵であるから致し方ない。 理解出来ないという事実こそが、最も罪深く可哀想な事だと感じる。 確かに私たちは、日々偏見を持って物事を捉えがちで、それこそが長く生きてきた自らの価値観であり見解なのだから仕方がないと言ってしまえば其れ迄なのだけれど、それでも、新しい事を知ろう・学ぼうとする気概を決して失ってはならないし、自分は正しくはない、間違いを犯すただの人間である、という事に自覚的でないといけない。 忘れてはならないのは、いつでも自分も加害者になり得る、という事。 相手の気持ちに寄り添って考える「強さ」が必要だ。三浦教授が才媛に言った発言が全てだろう。
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後々に起こる強制わいせつ事件を加害者と被害者両方の視点から描く。 中学時代から事件の起こる大学生時代まで丁寧に事件までを追っていく。 被害者の美咲は、郊外で生まれいわゆる”普通の家庭”の子供として生まれる。一方加害者のつばさは広尾に実家があり、熱心な教育を受けて東京大学に進学をす...
後々に起こる強制わいせつ事件を加害者と被害者両方の視点から描く。 中学時代から事件の起こる大学生時代まで丁寧に事件までを追っていく。 被害者の美咲は、郊外で生まれいわゆる”普通の家庭”の子供として生まれる。一方加害者のつばさは広尾に実家があり、熱心な教育を受けて東京大学に進学をする。 東大生の自意識の高さ、男の自意識の高さが気分の悪い事件を引き起こす。 実際の事件から触発されて執筆された作品だそう。 地位のある人間や評価人気のある人が性加害を受けたときに起こる被害者女性へのバッシングの言いようのない気持ち悪さをしっかり物語にしている。 被害者に寄り添うだけのお話ではなく、また加害者も作中では”〜だからこそ東大に受かる”と表現されているが無意識の選民思想を与えられている純粋な人間。純粋悪と言ってしまっていいのかわからないが、でもそういう人間は確かにいる。 プロローグで「強姦したわけではない」と書かれているが、怖いことに本当に彼らからしたらそうなのだ。 と、作品を通して事件を見ると賢くて最低で親のお陰で(しかも自覚的)”上”にいる人間が事件を起こしたら女の子が悪いなんて思えないんだけど、たとえばニュースで大学生の強姦事件があったとして、女の子は飲み会を楽しんで男の家までついていたったと聞いたら女も悪いだろと思ってしまうんだよなあ… だからやっぱり一番気持ち悪いのって、事件やニュースにネットで自分の考えや意見を書き込む奴らなんだよな。当事者ではない人間が関わることじゃないし、関われないことだから。なので不倫とかそんなくだらない事件で怒ってる奴らに心底腹が立つのだろう。
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胸糞だった。 私は高学歴と言われる大学出身なのだけど、この作品の加害者と同じような思想を悪気なく持ってる人が結構多かったことを思い出した。 サークル内の女子の可愛いランキングを作って動画にして公開した男子学生には反吐が出た。 そういう学生は他のメンバーの能力にも(自分のことは棚上...
胸糞だった。 私は高学歴と言われる大学出身なのだけど、この作品の加害者と同じような思想を悪気なく持ってる人が結構多かったことを思い出した。 サークル内の女子の可愛いランキングを作って動画にして公開した男子学生には反吐が出た。 そういう学生は他のメンバーの能力にも(自分のことは棚上げで)平気で言及したりと、横で聞いているだけで気分が悪くなった思い出だ。 環境に恵まれてきたことにすら気付いてないくらい恵まれてて、当たり前に自分が他人を品評していい立場だと自然に思ってる。 そして自分も無意識に人を品評していることがあるかもしれない。環境への感謝を忘れずにいたい。
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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO88875070T20C25A5MY5000/
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他人に対して家柄、学歴、容姿で優越感を感じたり、見下したりしたことが人生で一度もないといいきれる人はいないのではないか。それが人間だし、そう思ってしまう自分を否定する必要はないと思う。 ただ、それを言動に表すことでどれだけ他人が傷つくのか、自分がされたときの悔しさや悲しさをちゃん...
他人に対して家柄、学歴、容姿で優越感を感じたり、見下したりしたことが人生で一度もないといいきれる人はいないのではないか。それが人間だし、そう思ってしまう自分を否定する必要はないと思う。 ただ、それを言動に表すことでどれだけ他人が傷つくのか、自分がされたときの悔しさや悲しさをちゃんと想像できること、それが欠けた人間が加害者になるのだと思った。あとは、自分のステータスに対して自信過剰になり、自分を省みることのない傲慢な人間。 性加害問題で「女も悪いのでは?」と思ってしまうこと、正直自分もないとはいえない。 でもニュースやSNSは事実を掻い摘んで伝えているだけ。その時何が起こっていたのか、当事者は何を考えていたか、真実はわからない。だから意見する権利なんてない、そう思える人間でいたい。
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Kindleにて読了。 東大誕生日研究会 強制わいせつ事件を基にしたフィクションです。 被害女性の目線・加害男性の目線で描かれてるので、両方の気持ちが分かると言いたいが、やっぱり加害男性らの気持ちは理解できない。 が、これ、ニュースでチラリと部分的に流れた時、被害女性の気持ちに寄...
Kindleにて読了。 東大誕生日研究会 強制わいせつ事件を基にしたフィクションです。 被害女性の目線・加害男性の目線で描かれてるので、両方の気持ちが分かると言いたいが、やっぱり加害男性らの気持ちは理解できない。 が、これ、ニュースでチラリと部分的に流れた時、被害女性の気持ちに寄り添える??? 今だって何が本当か分からない報道があり、被害者が叩かれることも多いよね。 考えさせられました。 それにしても…なかなかの胸糞の悪さ(^^;;
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人間の裡にひそむ不快な感情や陰湿な気分が、鋭く見事に言語化されていた。その表現の力強さに圧倒される一方で、読後には何とも言えない嫌な気持ちが残った。 登場人物の感情の動きには、自分自身にも少なからず思い当たる節があり、胸の奥を突かれるような感覚を覚えた。傲慢や慢心はなかったか。...
人間の裡にひそむ不快な感情や陰湿な気分が、鋭く見事に言語化されていた。その表現の力強さに圧倒される一方で、読後には何とも言えない嫌な気持ちが残った。 登場人物の感情の動きには、自分自身にも少なからず思い当たる節があり、胸の奥を突かれるような感覚を覚えた。傲慢や慢心はなかったか。相手の気持ちにきちんと寄り添ってきただろうか。読んでいるうちに、自分の中にある未熟さや無自覚な態度に思い至り、反省すべき点が浮かび上がってきた。 読後に、上野千鶴子の東大の祝辞を読み返した。 先にこの作品を読んでいたから、彼女の言葉がより深く、自分の中に染み込んできた。
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マンションで起きた東大生の強制わいせつ事件。けれど非難されたのは被害者の女子大生だった!?その事件が起きるまでのそれぞれの心境を丁寧に辿る。本当に悪いのは誰なのか。事件後、彼女が東大生たちに望んだ答えは…。すごく考えさせられる長編!
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とても不快で後味の悪い小説だった。現実の事件をベースにしている事から綺麗な物語にまとめる事はできず、寧ろこのような終わり方だからこそ、人々の心に残る作品になり、事件について考えるきっかけになるのではないかと思う
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読書でこんなにも不快な気持ちになったのは初めてです。 後半どうなるんだ?と一気に読みました。 考えさせられることはあれど、2度と読む気にはなれない…。
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