いつかあなたをわすれても の商品レビュー
「さとちゃんが みんなのことをわすれる日は わたしたちとのおわかれを こわがらずに かなしまずに すむ日」 この文章を読んだ時、亡くなった母もそうだったのだろうかと、切なくも安堵の気持ちにもなった。 認知症の母、しばらくは娘のことは覚えてくれていたけど、亡くなる半年前くらいから...
「さとちゃんが みんなのことをわすれる日は わたしたちとのおわかれを こわがらずに かなしまずに すむ日」 この文章を読んだ時、亡くなった母もそうだったのだろうかと、切なくも安堵の気持ちにもなった。 認知症の母、しばらくは娘のことは覚えてくれていたけど、亡くなる半年前くらいからは名前も自分の娘ということも忘れてしまっていた。娘としては、自分のこともわからなくなってしまったことに対して、寂しくなった。それでも、母は私のことを、よく会いに来てくれる親切な人という認識だったようで、会うと「来てくれてありがとう」と笑顔を見せてくれていたので、それでも良いかなと感じていた。 この本のこのフレーズを読み、私の事を忘れたのは、母にとってお別れをこわがらずにかなしまずにすむ日だったのだと思うと、必然だったのかと、喪失感を飲み込むことができた。
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児童絵本のコーナーにあったけれど桜木紫乃さんの文章なので、高学年からのほうがいいのかもと思った。 絵は優しさと哀しさを感じる。 さとちゃんはママのおかあさんで、ちかごろとてもわすれん坊。 さとちゃんは、わたしをママだと思いママのことは親切なかただと。 ママが「さとちゃんは ほんとうはおとこのこがほしかったんだって だからわたしのこと わすれちゃったのかな」 言われたことを覚えているのは悲しいと思ったから記憶しているのかもしれないけれど、それを娘に言うのはどうなんだろうかと…。 女の子と女の人との違いや、娘にやきもちをやくとか、いろんな考え方や思いもあるだろうけど気軽にそうねとは言えなかった。 「もしも いつかあなたを わすれる日がきても わすれてしまう あれもこれも みんな なかったことでは ないのだから あんしんしてね」 これが言いたいことなんだろう。
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胎教に借りる。 絵が好みすぎて。 でも、中身はもっと、良かった。 女として。女の子を産む身として。 「おんなのこと おんなのひとは ちがうの?」 「おんなのこはね だれかにまもってもらうひと おんなのひとはね じぶんをまもれるひと わかる?」 「わかんない」 良い表現だな...
胎教に借りる。 絵が好みすぎて。 でも、中身はもっと、良かった。 女として。女の子を産む身として。 「おんなのこと おんなのひとは ちがうの?」 「おんなのこはね だれかにまもってもらうひと おんなのひとはね じぶんをまもれるひと わかる?」 「わかんない」 良い表現だなぁ、と。 いくつであっても、「オンナ」のことを「女子」で表現する風潮って、この考えに起因するのかしら、とちょっと思ったり。 「誰かに守ってもらいたい」 という願望が、グロテスクなまでに溢れている。そういう志向のものも、溢れかえっている。だってそうじゃなきゃ、この社会は女にとって不公平でしょう?とでも言うように。それがマッチポンプのように、増強されていく。 もちろん社会的な課題は、ある。生きづらさもたくさん。 「自分で生きていけるだけの力を身につけなさい。」と、育てられてきた自分を「可愛くないオンナ」と思ったり、周りからそう捉えられたりすることもあった。 でも今は「私は自由で、どこへでもいけるのだ」という自信に変わって、私を守ってくれてる。そう育ててくれた…親、母に、感謝しかない。 そんな子を、私も育てたいと、思う。 強く、逞しく、おなりなさい、と。
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今、少し断捨離まで行かないけど、整理することに……なんと、古い母からの筆で達筆な手紙や祝い袋、孫に当てた、季節の便り等々! もう捨てるべきか、どうかと悩んだ末、母が見なかった私の孫に、大きくなったら見せてやろうと、又しまいんでしまった! しかし、私でさえ、この本のサトちゃんのよう...
今、少し断捨離まで行かないけど、整理することに……なんと、古い母からの筆で達筆な手紙や祝い袋、孫に当てた、季節の便り等々! もう捨てるべきか、どうかと悩んだ末、母が見なかった私の孫に、大きくなったら見せてやろうと、又しまいんでしまった! しかし、私でさえ、この本のサトちゃんのようになったら、何もかも、忘れてしまっているかも。 しかし、今まで、愛情込めて、子どもに接して来た思い出は、消えないだろう。 この本のように、孫から見た、祖母サトちゃん。 まだ幼き孫も、こんな気持ちで、私を見てくれるだろうか? 身体の節々に痛みを感じ昨今、もう少し、長生きして、遠くにいる孫に、思い出を沢山作っておこういう想いにさせてくれた。
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桜木紫乃さんによる初の絵本。 2020年6月に刊行された小説「家族じまい」に登場する人々のもう一つの物語。 桜木さんのシンプルな文章と、オザワミカさんの描く三世代の女性、認知症のおばあちゃん、名前を忘れられてしまったママ、それを傍らで見つめる孫のわたし。 それぞれの表情から心の...
桜木紫乃さんによる初の絵本。 2020年6月に刊行された小説「家族じまい」に登場する人々のもう一つの物語。 桜木さんのシンプルな文章と、オザワミカさんの描く三世代の女性、認知症のおばあちゃん、名前を忘れられてしまったママ、それを傍らで見つめる孫のわたし。 それぞれの表情から心の内を想像して物悲しくなってしまう。 もしも自分が忘れられてしまったら、その事を私はとても寂しく感じる。 けれど、例え忘れられてしまう日が来たとしても、それはみんななかったことにはならない。 文中から、やがて訪れる別れの気配を感じ胸が一杯になる。
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直木賞作家・桜木紫乃さんの母親が、〝記憶という荷物〟をおろし、娘の名前を忘れたその日。この時の想いを、孫の視点で語った大人への絵本です。〝ママと私は、さとちゃん(お婆ちゃん)の思い出を数える。 いつか忘れてしまう時間を、大切に過ごす〟〝さとちゃんが、皆のことを忘れる日は、私たちと...
直木賞作家・桜木紫乃さんの母親が、〝記憶という荷物〟をおろし、娘の名前を忘れたその日。この時の想いを、孫の視点で語った大人への絵本です。〝ママと私は、さとちゃん(お婆ちゃん)の思い出を数える。 いつか忘れてしまう時間を、大切に過ごす〟〝さとちゃんが、皆のことを忘れる日は、私たちとのお別れを怖がらずに、悲しまずにすむ日。長い長いさよならの準備をする・・・ 〟「お母さん、私を忘れていいよ。忘れたほうが、寂しくないから。 忘れたほうが、怖くないから」愛ほしいほど切ない、作者の想いが深く心に沁み入ってきます。
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わすれても どうなるのかが知りたくて手に取りました。 忘れていくという後退する期間は 何のためなんだろうと思っていた この本を読んで、最後のページにその答えがあったように思えた。 それは、さようならを準備するための期間なんだと。 私もわすれていくという期間を過ごすんだろうな...
わすれても どうなるのかが知りたくて手に取りました。 忘れていくという後退する期間は 何のためなんだろうと思っていた この本を読んで、最後のページにその答えがあったように思えた。 それは、さようならを準備するための期間なんだと。 私もわすれていくという期間を過ごすんだろうな 周りの人に心配させてしまうんだろうな 自分の時は自分の感覚として、忘れていくという期間はどんな感じなんだろうな
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「いつかわすれてしまうじかんをたいせつにすごす ながいながいさよならのじゅんびをする」 そんなふうに最後を迎えられると幸せ。 「男の子が欲しかったから私のこと忘れちゃったのかな」とか、「やきもちをやくのかな」とか、 そのあたりはもうひとつだな、あまり必要性を感じない。
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桜木紫乃さんの小説『家族じまい』の絵本版。 わたしのおばあちゃん さとちゃんは ちかごろとても わすれん坊です ・・孫娘の視点で描くと、こんなに優しい物語になるのですね。 ママは さとちゃんとのおもいでを にづくりする さとちゃんは ひとつずつ にもつをおろしながら く...
桜木紫乃さんの小説『家族じまい』の絵本版。 わたしのおばあちゃん さとちゃんは ちかごろとても わすれん坊です ・・孫娘の視点で描くと、こんなに優しい物語になるのですね。 ママは さとちゃんとのおもいでを にづくりする さとちゃんは ひとつずつ にもつをおろしながら くらす ・・時間がしずかに流れているように感じます。 たいせつな たいせつな わたしたちの じゅんばん さとちゃんが みんなのことをわすれる日は わたしたちとのおわかれを こわがらずに かなしまずに すむ日 ・・思い出をかぞえながら、大切な時間を大切な人と過ごそうと思える絵本に出会えました。 文章に寄り添う絵が素敵です。
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認知症の祖母、母、その二人を見つめる「わたし」の視点で語られるお話。 絵本にはなるんだろうけど、小学校高学年から中高生、大人向けな内容だと思う。 子を想うことや、「おんなのこ」と「おんなのひと」の違い、"じゅんばん"について。絵本という形態だからこそ、台詞ひとつひとつ不要な部分がなく、イラストの印象も含めて、冷静で染み入る。 三世代の想いを通して、家族のことや、夫であり父であり「わたし」でもある自分がやれることについてなど、考えた。 著者の小説『家族じまい』の別視点となる物語とのこと(小説はこの本における母の視点)。 文:桜木紫乃、絵:オザワミカ 『もしも/いつかあなたを わすれる日がきても/わすれてしまう あれもこれも/みんな なかったことでは ないのだから あんしんしてね』 『さとちゃんが/みんなのことをわすれる日は/わたしたちとのおわかれを/こわがらずに かなしまずに すむ日』
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