ミシンの見る夢 の商品レビュー
洋裁が得意で私の洋服や発表会のドレスを手縫いしてくれた母にプレゼントした一冊。 舞台は19世紀イタリア。階級社会、男女格差がしっかりある中で、両親をペストで亡くした少女が裁縫の技術を身につけ、上流階級のお屋敷に勤め、自立していく物語。 特別に大きな展開があるわけでは無いが当時...
洋裁が得意で私の洋服や発表会のドレスを手縫いしてくれた母にプレゼントした一冊。 舞台は19世紀イタリア。階級社会、男女格差がしっかりある中で、両親をペストで亡くした少女が裁縫の技術を身につけ、上流階級のお屋敷に勤め、自立していく物語。 特別に大きな展開があるわけでは無いが当時のイタリアの社会の中で奮闘する少女にエールを送りたくなる気持ちと、出てくる裁縫、縫製の技術が目に浮かぶようで楽しい。 今のように安価で次々に洋服が買えるわけではない当時、仕立て直しをしながら、レース部分を活かしたり工夫を凝らして素敵な品に仕上げる技術描写が素敵でした。
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児童文学作家でもある作者は世の中の不条理もよく知っていたようだ。貧困やさまざまな格差に憤りつつ、衣服の美しい描写やお針子さんの恋心を想像しながらイタリアの街に行ったようなひとときだった。
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舞台は、列車に乗るのはまだお金持ちだけという時代の、イタリアの小都市。 主人公は、疫病で家族を失い、祖母と二人だけで生き延びた7歳の少女です。誠実に生きる祖母は腕利きのお針子で、その生き方や技術を主人公に伝えますが、主人公が16歳の時に亡くなってしまいます。本作は、その後の数年間...
舞台は、列車に乗るのはまだお金持ちだけという時代の、イタリアの小都市。 主人公は、疫病で家族を失い、祖母と二人だけで生き延びた7歳の少女です。誠実に生きる祖母は腕利きのお針子で、その生き方や技術を主人公に伝えますが、主人公が16歳の時に亡くなってしまいます。本作は、その後の数年間を描いた物語です。 貴族やブルジョワジーと呼ばれる人々が、勢力を弱めつつもまだ影響力を保っていた時代です。お針子たちは彼らのお屋敷に通い、あるいは住み込みで、注文主の採寸や試着をしながら下着や服を仕立てていました。主人公もそうして仕事をする中で、さまざまな家の内情を知ることになります。 新しい価値観を持って生き始め、お針子に過ぎない主人公を支援してくれる女性たち。吝嗇のあまり最後には醜態をさらす金持ち一族。古い価値観に縛られたまま没落してゆく老貴族夫人。それとは対照的に、半地下の劣悪な環境で暮らす貧民たちや、垣間見える売春宿の世界。そうした情景を通して、この時代の空気が匂い立つように描かれます。さらに、主人公と若い貴族との恋物語がそこに織り込まれていきます。 読み終えたとき、「久しぶりに西洋の物語を読んだ」と感じました。少しノスタルジック。それは子どもの頃に読んだバーネットの『小公子』や『小公女』を思い出したからかもしれません。もちろん本作は大人向けですが、著者がもともと児童文学出身であるためか、少しそうした空気感が漂っています。 私には良く分からりませんが当時のファッションについての(興味深そうな)記述もあって、特に女性には勧め作品と言う気がします。 ところで、“流しのお縫い子”を描いた『お縫い子テルミー』という栗田有起さんの作品があります。栗田さんがこの物語の影響を受けたのかと思いましたが、本作は2018年刊行で、『テルミー』は2003年の作品。年代的には逆でした。
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イタリアのお針子さんのお話。なんとか日々の暮らしを送っている。初めての旅行の新鮮な心持ちの描写がなんとも素敵。女性が男性に依存して暮らさざるを得ない時代。手に職を持ち自立できることの大切さ。
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19世紀末、イタリアの階級社会の下層で、理不尽や難題と闘いながら、一方で雇い主の家庭の秘密を知ったり上流階級の令嬢と友情を育んだりしながら、しなやかに生き成長する日雇いお針子。ハラハラと応援しながら読んだ。 日本なら幕末〜明治初期。 先日読んだ木内昇著「櫛挽道守」と同じ頃か。 ...
19世紀末、イタリアの階級社会の下層で、理不尽や難題と闘いながら、一方で雇い主の家庭の秘密を知ったり上流階級の令嬢と友情を育んだりしながら、しなやかに生き成長する日雇いお針子。ハラハラと応援しながら読んだ。 日本なら幕末〜明治初期。 先日読んだ木内昇著「櫛挽道守」と同じ頃か。
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主人公の人生を通して、当時のイタリアの様子が知ることができて面白かった。 階級社会、男性優位の社会の理不尽さは腹立たしく、噂の伝わる速さにびっくりした。
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歴史ライトノベル的だけど、超えられない階級はともかく、階級や慣習に付随した不合理な決まりや偏見て、いつでもあるんだな…と思った。一冊にまとめるには苦しい感じだったけど、一服の清涼剤になりました。
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階級や男女差別の厳しい時代の話 自分をしっかり持って生き抜いていれば どんな人生も穏やかに振り返って その美しさを味わえるのだなと思わせてくれる
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表紙の女性が服飾の仕事をしている友人に見えて、思わず購入。 手に職を持って、誇り高く強くたくましく生きていく女性達に元気をもらった。
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イル・コルサーロネーロ賞受賞(イタリア) 垣谷美雨さん、お勧めの本だったので図書館で予約してやっと手元に届きました。読み終わって思うのは、洋裁や手芸や服飾が好きな方のみならず、手に職をつけて生きていこうとする女性なら共感を持って 読み進めることができる内容だと言うことです。 こ...
イル・コルサーロネーロ賞受賞(イタリア) 垣谷美雨さん、お勧めの本だったので図書館で予約してやっと手元に届きました。読み終わって思うのは、洋裁や手芸や服飾が好きな方のみならず、手に職をつけて生きていこうとする女性なら共感を持って 読み進めることができる内容だと言うことです。 このお話は、19世紀末から20世紀初頭のイタリアで、疫病のために家族を失い、祖母に育てられた貧しい少女が、祖母にお裁縫を教わりお針子として自立していく姿を描いています。 でもそれだけで終わる小説ではなく、男性優位 、お金持ち優位の頑然とした当時の階級社会の中で、逆らうことなど出来ない貧しい女性たちや、自立しようとした女性たちが、思わぬ悲劇に堕ちていく生涯や、裏切られてゆく過程を教えてくれるエピソード集でもあります。 そんな女性たちの悲しみを知りつつも、読者を温かく包み込んでゆくのは、何と言ってもこの中に書かれている素晴らしい縫製技術の数々です。こんなくだりがあります。 『母親の嫁入り衣装をほどいて縫い直し、娘たちの服に。流行遅れになったドレスは寸法を小さくして娘用に直し、飾り紐やボタン、リボンは別の服に移し、流行遅れになった帽子は解体し、アイロンを当てて形を作り直し、新しいリボン、絹地の花、ロウ細工の果実や剥製の羽で飾り、パラソルも新しいレースやリボン、衣服から取ってきた造花などを口に飾り付けた』 あぁなんというSDGs! 1着の服をきれいに作り直して次の世代へ‥。 日本の着物もかつては そうでしたね。服の大量生産が始まるまでは世界中、皆そうしていたのです。それを教えてくれる本書でもあります。 そして、格言のように祖母が伝える「貧乏人同士は助け合うものだよ」という言葉。近所の人が困っていたら、たとえそれが最後のパンであっても分け合い、翌日までに仕上げなければならない仕事を必死でしている親の代わりに、自分を犠牲にしても、病気の子どもを見守ってやったりする祖母。そのおかげで祖母は多くの友人、お得意様がいて、それが主人公のお針子の生きるうえでの助けになるのです。その部分は本当に学ぶべきことが多い箇所です。 おばあちゃんの優しさ、たくましさ、それが孫にまで伝わっていくことの手応え。 私も小さい頃に、お婆ちゃん代わりの叔母に「女も手に職をつけなさい 。資格を何か持ちなさい 。それが苦しい時の支えになるから」と教えられたのを思い出しました。親戚には洋裁の上手なオバチャンがいて、好きな生地を持っていくと立ちどころに流行の服を縫ってくれました。 本書は、針とミシンひとつで服を自在に縫えるということが、生きる道しるべとなった時代のお話ですが、その時代があったからこそ今の私たちがいて、それを女性たちは忘れてはいけないと思わせるポジティブな女性史です。
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