正欲 の商品レビュー
児童ポルノで逮捕された3人に関わりがある3家族の物語。 不登校児の父親、同級生、大学生。人それぞれに考え方や欲求が異なる正しい欲とは何なのか? 社会は突き詰めれば、明日死なないことを前提に成り立っている。 人間の欲とは何か?正しい欲とは何か?を考えさせられる一冊
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自分をマイノリティ側の人間だと思ったことがなかったので、初めのうちは理解しづらく読み進めるのに苦労した。 でも、『多様性という言葉は、マイノリティの中のマジョリティにしか当てはまらない』ということが読み進めるうちに分かってきた。この本の中の佐々木佳道と桐生夏月の性癖は、私の感覚で...
自分をマイノリティ側の人間だと思ったことがなかったので、初めのうちは理解しづらく読み進めるのに苦労した。 でも、『多様性という言葉は、マイノリティの中のマジョリティにしか当てはまらない』ということが読み進めるうちに分かってきた。この本の中の佐々木佳道と桐生夏月の性癖は、私の感覚では理解できない。マイノリティ側のマイノリティだからだ。「何でこんなことする?」というような理解できない事件で逮捕される報道を目にする時、今まで気づかなかったけど、その人たちはずっと生きづらさを感じて生きているんだなあと思った。 それと、自分はマイノリティではないと思うことも、正しくはないのだと思う。自分だって、人には言えない、人とは違う部分があるし、自分がマイノリティではないと思うことで、壁を作っているとも言えると思う。
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ただ事ではないタイトル。 初期の朝井リョウさん作品が大好きで、そこからよく読んでいる作家さんの作品です。 こんな内面に突き刺さるような物語をかかれるんだなぁと意外に思いました。 そして、私は『フェチ』と『性的対象』は全く別物だと思っていました。 自分の視界の狭さに気づいた作品。 わからずやな検事さんにイライラしながらも、これが私のみてる世界なんだと突きつけられる痛さ。 そこを感じました。 同性愛を受け入れる器はできてきたと思っていたけれど、もっともっと世界は遥かに広かったです。
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すごい刺さった。 冒頭に思い描いていた話がどんどん変わっていった。 私も結果マジョリティの側で、それ以外を異質なものと感じてるだけの人間なのかと。 自分の知見、世界を広げてくれる本でした。
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せっかく生きる道を切り拓こうとしたのに、こんな結末になるなんて いや、結末は最初にわかってるんだけど 最初に読んだ時に感じた嫌悪感が、ラストにはあまりなくて でも、読後に冷静になって考えると、そんな性癖ほんとにあるのか?当たり前と思っていた性欲だったけど そしたら 例えば 人妻に...
せっかく生きる道を切り拓こうとしたのに、こんな結末になるなんて いや、結末は最初にわかってるんだけど 最初に読んだ時に感じた嫌悪感が、ラストにはあまりなくて でも、読後に冷静になって考えると、そんな性癖ほんとにあるのか?当たり前と思っていた性欲だったけど そしたら 例えば 人妻に興奮するとかも、仕方ないのか 犯罪はダメだけど、人を傷つけてしまうとこと自分の欲望を満足させることの狭間で、不倫する人も苦しんでいる? 例えば アンジャッシュ渡部の性癖も、同じ性癖の人同士なら、当人同士は理解し合える?でも、それを知らない妻の気持ちは? 私は潔癖で、配偶者や子供を傷つけての欲望は、全く理解出来なかった この小説の父親や上司は、読んでいるときは嫌な人だったけど、自分もその立場だったら、同じような言動をしたのではないか 今まで拒絶していたものを、少しわかりたい、かわいそうという気持ちをもてた、本当に考えさせられる本でした
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映画は先に観ていた。 原作ではより一人一人の視点での話が濃く描かれている。 誰しも人とは違う、簡単に人には言えないようなことを抱えていて、孤独を感じ、繋がりを求める。 藤原悟はたぶん最後まで孤独で、結果取り返しのつかない事件を起こしてしまうけど 佐々木と夏月はギリギリで繋がることが出来たからこそ、これからも「いなくならないで」互いを支えに生きていける気がする。
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すごかったーー〜ー凄すぎて読み進めるのが怖いのに読む手が止まらなくて一気読みだった 夏月の「異性の性器に性的な関心があるのは、どうして有り得ることなんですか」←確かにすぎる、何に性欲を感じるかって人それぞれなのはそうだけどマジョリティ的にその対象が“ヒト”ならそれは本能的だからってなるのに←なんでだよ 対象が物体や事象や行為になった途端に、あり得ない気持ち悪いおかしい になるんだ?確かに、、 生殖行為に結びつくならそれは本能的な正しい性欲で、“有り得る”ことなんだろうか。 なんかむっちゃ凄すぎてわかんないんだけど、いま目の前に水に対して性欲があります。って言われたらどうするんだろ… 読み終わってから冒頭の記事を読んだら、本当は違うんだよっていえるのに、普通に自分の生活の中で同じようなニュースに直面したら、本当にこの人たちが小児性愛者じゃないって思える自信がない。 窒息とか拘束とか小児性愛者とか、実害が伴ったらそれはまあNOなんだけど、このパーティが繋がりを求めていたことを知らないままで、この人たちの苦しみを“有り得ない”と否定して、きっとわたしも気持ち悪がってしまうんじゃないか。 有り得ないなんてことはどこにもなくて、ぜんぶ有り得るのに圧倒的なマジョリティの価値観が広がるなかで 全てを有り得ることにするのは難しい。難しいんだよ〜。わかんないんだよ、そんなものを“多様性”だなんて言って、わかってあげている上から目線な雰囲気を おめでたい思考を 仕方ないことだとも思ってしまう。だって世の中の大半が思っていること感じること考えることが結局正しいんじゃん。なにこれ助けて。←やばい考えても考えても答え見つからない。これ読んだ人たちで討論会しよ とりあえず今回は知らないことを知ったというだけでも大きな一歩ということにさせてください。わからなくなったらまた読みます。 個人的には圧倒的に八重子タイプなので八重子の悩みにいちいち共感した。くるし〜〜。男も女も他人がずっと怖いので(←終わってる)「世の中を構成する最小単位は恋愛感情で繋がっている異性同士の二人組」という表現がグサグサ刺さったし、「そのことにこんなにも悩むのは、自分が異性愛者だからだと思った。」でゲボでた。そうなんだよ、いま抱えてる気持ち悪さって結局自分が異性愛者だからなんだと思ってふつうに死にたくなった………だれかころしてくれ。 だからこそ八重子と諸橋の対話は凄かった、ここだけは光がみえた。特殊性癖があろうが、異性愛者であろうが欲望を満たせない自分との折り合い…、全てを対等にしたいならマイノリティを特別視することも違うし、人と異なることを相手に振り翳すことも違う… もう一生解決しなくね?なんだけど、でもさ八重子がある意味開き直ってぶつけた言葉がなんか、なんでもいいから諸橋に繋がってだらいいな
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映画も観た。自分が想像できる範囲のことが全てではないという気づきをくれた。でもそれは、知らないと想像できないことでもある。また、外見など生まれ持った自分のコンプレックスについてマイナスに考えてしまうとき、この本で読んだことを思い出す。
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読んでよかった。決めつけで物を言うのをやめよう。自分が見えてない背景があることを尊重しよう、と反省できた。想像力のある人になりたい
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第34回柴田錬三郎賞受賞。第3回読者による文学賞受賞。2022年本屋大賞ノミネート。 2023年10月段階で発行部数は50万部突破。 そして、2023年11月映画化作品。 セクシャルマイノリティの多様性をメインテーマにした物語。 マイノリティの中には、更なるマイノリティとマ...
第34回柴田錬三郎賞受賞。第3回読者による文学賞受賞。2022年本屋大賞ノミネート。 2023年10月段階で発行部数は50万部突破。 そして、2023年11月映画化作品。 セクシャルマイノリティの多様性をメインテーマにした物語。 マイノリティの中には、更なるマイノリティとマジョリティが存在してる。 マイノリティの深度という表現が合ってるかはわかんないけど、 『多様性』っていう使い勝手のいい言葉で掬いきれない、マイノリティの人たちの生きづらさが克明に描かれた小説。 『多様性』は認めるものではない。在り方なのだと。本作を通じてひしひしと感じた。 ・ ・ ・ ・ ・ あってはならない感情なんて、この世にない。 それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。 息子が不登校になった検事・啓喜。 初めての恋に気づいた女子大生・八重子。 ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。 ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。 しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、 ひどく不都合なものだった――。 「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」 これは共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か? 作家生活10周年記念作品・黒版。 あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。
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