正欲 の商品レビュー
「多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ」 私は〝多様性〟をはき違えていた。
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読む手が止まらず1日で読み切ってしまった。 本当に素晴らしい作品だと思う。私は今まで、作中のことば通り、「自分が想像できる多様性だけ礼賛」していた。マイノリティのマイノリティの人々に対して考えを及ぼすことすらなかった。自分の思考の根の部分を見直すきっかけとなった。
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「欲とは何が」を問うた作品ではあるのだが、それぞれの人生のつながりが、やや弱いような気もする。最後まで、「結局、どうだったの?」というモヤモヤは残る。
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近頃の朝井リョウの作品は傑作のオンパレード。作家生活10周年を記念したスターと当作の正欲どちらも素晴らしく。ページを捲る度に胸が締め付けられ、高鳴っていく感覚があった。 どちらの作品にも共通している点として、これほどまでに時代を正確に捉えている人がいたのかと驚かされたこと。スタ...
近頃の朝井リョウの作品は傑作のオンパレード。作家生活10周年を記念したスターと当作の正欲どちらも素晴らしく。ページを捲る度に胸が締め付けられ、高鳴っていく感覚があった。 どちらの作品にも共通している点として、これほどまでに時代を正確に捉えている人がいたのかと驚かされたこと。スターは「YouTubeと既存メディア」、正欲は「多様性社会」が題材でしたが、一歩奥に足を踏み入れた問題提起は独自の視点もあいまって唸らされた。 当作は取り扱う題材の難しさに比して、驚くほどそれぞれの登場人物に感情移入することが可能です。それは筆者の文章力のみならず、「正しい欲をもった人」なんて本当は世の中には一人もいないからこそ生まれる共感が心の中でひっそりと顔を出すから。 それぞれがそれぞれに抱えた十人十色の欲望に向き合う中で、正しいも間違いもないんだと気付けたこと。それがこの本を読んで得ることが出来た大きな財産です。
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2020年に出版した「スター」が「明」ならこちらは「暗」というくらい人間の絶望とか理不尽さが描かれた朝井リョウさんによる一冊(「スター」と「正欲」セットで読むのがオススメ)。多様性が叫ばれる現代、マイノリティ側にいる人間の心情が描かれる、朝井さんの作品らしく登場人物のセリフはグサ...
2020年に出版した「スター」が「明」ならこちらは「暗」というくらい人間の絶望とか理不尽さが描かれた朝井リョウさんによる一冊(「スター」と「正欲」セットで読むのがオススメ)。多様性が叫ばれる現代、マイノリティ側にいる人間の心情が描かれる、朝井さんの作品らしく登場人物のセリフはグサグサ刺さってくる。「スター」と同じく誰でも発信できるメディアとしてYouTubeがメインで出てくる、YouTuberのゆたぼんっぽいキャラクターも登場することもあり、重いテーマのわりに読みやすかった。
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書き方が魅力的ですごい。 朝井リョウは天才だと思う。 章のタイトルが名前になっていて、誰の話なのかわかりやすく、言葉繋ぎもお見事。 前半は、寺井啓喜てらいひろき、桐生夏月きりゅうなつき、神戸八重子かんべやえこ、の3人の目線で話が進む。 「耳をすませば」の天沢聖司!図書館の本の貸出...
書き方が魅力的ですごい。 朝井リョウは天才だと思う。 章のタイトルが名前になっていて、誰の話なのかわかりやすく、言葉繋ぎもお見事。 前半は、寺井啓喜てらいひろき、桐生夏月きりゅうなつき、神戸八重子かんべやえこ、の3人の目線で話が進む。 「耳をすませば」の天沢聖司!図書館の本の貸出カードでいつも先を越されていたあの天沢聖司!わかる人にはわかる。 コメント欄のsatoru fujiwaraは誰なのか? 佐々木佳道ささきよしみち、諸橋大也もろはしだいや、の目線の話がすごい。 大也の章のところで、謎が色々わかる。 YouTubeのこの記述は、実際のこと?なるほど色々なルールがあるのだと学ぶ。 「いなくならないから」って伝えてください。同じことを伝えたい佳道と夏月、すごい確率で巡り合った2人だと思う。 常識で人を判断する世の中に諦めを感じている人達の気持ちを、うまく書いてるなぁと思った。 「繋がり」は孤独な人を強くすると感じた。
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わかりあえる、なんて簡単にはいえない 自分の想像の外にあるものに対する拒否反応は、防衛反応でもある。 私の使っている多様性という言葉は本当に多様か? わかりあえるなんて、簡単にはいえない
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帯に、読む前の自分には戻れない。って書いてあるけど本当にそうだった。本当に価値観覆されたというか。。。幅が拡がるばかりだった。衝撃的。でも、すごく大切な題材だと思うし、小説だけどとても勉強になった。たくさんの人に読まれたらいいなと思う。それが何に繋がるわけでもないかもしれないけど...
帯に、読む前の自分には戻れない。って書いてあるけど本当にそうだった。本当に価値観覆されたというか。。。幅が拡がるばかりだった。衝撃的。でも、すごく大切な題材だと思うし、小説だけどとても勉強になった。たくさんの人に読まれたらいいなと思う。それが何に繋がるわけでもないかもしれないけど、でも、少しでも善の方向へ繋がればいいなと思う。
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泣きたくなる程の希望も死にたくなるほどの絶望も詰まっていて、ずっと息が苦しかった。 また読み返す勇気があるか分からないけれど、一生本棚に置いておきたい一冊。
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まず、読みやめることが出来ないほど夢中に読み進めました。 若者、お年寄り、見た目、そんな些細な描写ですらどんな人間なのかイメージを作り出してしまう脳に嫌気がさす。 誰しもが抱えるであろう闇の一部を、誰かと共有できることがどれだけ糧になることか。 わかっているつもりだった。 ...
まず、読みやめることが出来ないほど夢中に読み進めました。 若者、お年寄り、見た目、そんな些細な描写ですらどんな人間なのかイメージを作り出してしまう脳に嫌気がさす。 誰しもが抱えるであろう闇の一部を、誰かと共有できることがどれだけ糧になることか。 わかっているつもりだった。 読み終わった後、 最近の若者は自由で生きやすい世の中になったでしょう? よく聞く言葉が降ってきた。 あほらしいな。
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