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傷痕のメッセージ の商品レビュー

4

124件のお客様レビュー

  1. 5つ

    38

  2. 4つ

    56

  3. 3つ

    23

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

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2021/03/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 暗号物はミステリの定番の一つだが、こんな形の暗号は前例がないだろう。何ともはや、タイトル通り、胃の内壁に暗号を残していたのである。  医師の千早が、父の遺言に従い遺体を解剖すると、胃の内壁に暗号が見つかった。警視庁の刑事・桜井が訪ねてきたことにより、千早は、父はかつて刑事だったことを知る。28年前のある事件をきっかけに、父は警察官を辞めていた。  桜井刑事って、天久鷹央シリーズに登場する桜井刑事だろうか。それはともかく、桜井は28年前の事件で千早の父とコンビを組んでいた。千早と病理医の友人・紫織は、暗号の件を桜井には伏せて、独自調査に乗り出すが…。  あのせいで遠回りになった気がしないでもないが、暗号そのものは比較的早く解かれてしまう。焦点は、胃の内壁を傷つけてまで伝えたかったこと、いや、千早に隠しておきたかったこととは何か。28年前の事件との繋がりは何か。  エンタメ寄りな作品ではあるが、そもそもの発端はある疾患だった。紫織は、自らの過去から、病理医として確固たる信念を持っていた。その信念が明らかにした事実をどう伝えるべきか。千早の父が隠したかった理由はわかる。  素人捜査で危険な目に遭うのはお約束。千早の迂闊さも気になったが、何より、機会を改めなくてよかったのかは気になった。ある意味、犯人がドMで助かった。うまく後始末しなくてはならない桜井も大変である。上層部にどう伝えたのやら。  千早、紫織、桜井の3人とも、真相は墓場まで持っていくのだろう。愛を貫いたとはいえ、千早の父の警察官としての行動に、もやもやが残るのが正直なところである。裁判で犯人が何を言い出すのかも気がかりだよなあ…。

Posted byブクログ

2021/03/14

読む前は"胃の暗号"と、表紙のデザインがどう繋がるのかわからなかったが、読み終わって合点がいった 知念さんの作品はいつも物語の後半に向かって期待値を上げ、ラストで一気に点と点が繋げてくる ので中毒性が高くて困る。 番外編 ・本編302ページの最後のセリフ、...

読む前は"胃の暗号"と、表紙のデザインがどう繋がるのかわからなかったが、読み終わって合点がいった 知念さんの作品はいつも物語の後半に向かって期待値を上げ、ラストで一気に点と点が繋げてくる ので中毒性が高くて困る。 番外編 ・本編302ページの最後のセリフ、熱い!素敵な友情! ・登場する疾患、そう来たか!って思う。最近開発が進む薬剤や、上市済み新薬も着想のヒントになってるのかなって思った。 ・過去作の登場人物が付録冊子に出てきていて胸熱展開。読み直せってことか!?

Posted byブクログ

2021/03/14

外科医として働いていた水城千早は研修として1年間病理医として勤務することに。そんな時、入院していた父の病状が悪化し、死亡する。すぐに弁護士が駆けつけ、千早にある伝言を言い渡される。それは、死んだら解剖してほしいということ。父の遺言に取り乱したが、結局解剖することに。 そこで、ある...

外科医として働いていた水城千早は研修として1年間病理医として勤務することに。そんな時、入院していた父の病状が悪化し、死亡する。すぐに弁護士が駆けつけ、千早にある伝言を言い渡される。それは、死んだら解剖してほしいということ。父の遺言に取り乱したが、結局解剖することに。 そこで、ある連続殺人事件を解くかぎが隠されていた。 序盤から、何かしらの行為をしている描写があり、その時点では詳細はわからなかったのですが、胃に文字を刻むという猟奇的な方法を衝撃を受けました。さらにそれっぽい文字をあえて小説に載せているので、より不気味さを演出していました。 文字から過去の未解決事件と繋がることになるのですが、展開がトントン拍子であり、さらに各パートの終わりには衝撃的な事実が明らかになるので、ついついページを捲りたくなりました。しまいには、一気読みでした。 内容の構成としては、病理医の千早と刑事の桜井の二人の視点で物語は進行します。医者ならではの用語や警察ならではの用語が飛び交いながらも、上手く絡まって、一連の殺人事件を解決していく過程は、読み応えがありました。 途中からは、なんとなく衝撃的な事実を匂わせるような描写があり、もしかしたら・・・と思うところはありました。最後の方になって、改めて提示されると、それはそれで衝撃的であったのですが、感動もあったので、色々楽しめました。 千早だけでなく、同期であり、病理医としては先輩の紫織の存在感も良かったです。持ち前の能力で、解決していく様は「法医学教室」のあのドラマを彷彿させてくれるので、良い味出しているなと思いました。千早の良きパートナーであり、続編をやってもいいのでは?と思うくらい、面白かったです。 28年前の事件と現代の殺人事件。犯人は明らかになるのですが、最後の方で明らかになるので、それまでが犯人は誰だろう?と興奮を掻き立ててくれます。衝撃的すぎるというわけではありませんが、意外な人物に驚きでした。 父の相棒としていた桜井が、逮捕する場面は肩の荷が降りたようなホッとした気持ちになり、良かったです。 ちなみに初回特典には、「祈りのカルテ」の登場人物と「傷痕のメッセージ」の登場人物のコラボといいましょうか、短編のスピンオフがあります。時系列としては、病理医に研修としていくことが決定したあたりのところなので、前日譚と描かれています。 「祈りのカルテ」の方は、未読ですが、仲の良い同年代の医者たちの会話が描かれていて、束の間の休息といった感じで、ほっこりした気持ちになりました。

Posted byブクログ

2021/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

医学的な知識がないと描けないミステリ、まさに知念小説の魅力満載。 とある臓器の中にメッセージを残す、って、なかなか思いつかないしやろうとも思わないよ。 やるとしたら拷問だよな、でも、それを自らの身体の中に刻むってよっぽどのこと。 連続幼女殺人事件。未解決事件の犯人は「千羽鶴」。事件を追っていた元刑事が癌で死亡したところから始まる謎解き。そして再開された「連続殺人事件」。 元刑事との関係は、その娘である医者との関係は…とぞくぞくするような展開。真犯人は?残されたメッセージの意味は?娘が知る真実とは?

Posted byブクログ