リリアン の商品レビュー
地元の大阪の土地柄というか、大阪の街が 表現されていることろが、心に残る感じです。 万博・北新地・西天満・南森町・大阪北港・我孫子・ 天王寺・蒲生・・・・・・ 粘着性のある土地の感覚。 お話しの内容は、淡々と大阪の街を歩きながらながれていく感じ。
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劇的な何かが起きるわけではないけど、それもそれで悪くないなと思った。 こういう何気ないことをお互いに心地のよいテンポで話せる関係、いいな。 一見何でもないような日常のお話、個人的には好きです。
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大阪を知りたくて、手に取りました。 ここでいきたい場所、見たいものが増えました。 大阪のこと、わたしなんも知らんねん。 そんで私のことも、わたしなんも知らんねんな。 いろんなもんを抱えて、疲れてしまって、 それが何気ない会話の中で解れていく。 なぁもっかいリリアンの話して。...
大阪を知りたくて、手に取りました。 ここでいきたい場所、見たいものが増えました。 大阪のこと、わたしなんも知らんねん。 そんで私のことも、わたしなんも知らんねんな。 いろんなもんを抱えて、疲れてしまって、 それが何気ない会話の中で解れていく。 なぁもっかいリリアンの話して。 明るい毎日じゃないけど、悪くないかな。
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週末,図書館の新刊コーナーで見つけて,だいたいそういうときは週明けの通勤電車の中でよむんやけれど,めずらしく週末の間に読んでしまった.ひだまりのなか,公園のベンチでこどものプールが終わるのを待ちながら.
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私より、まだまだ若いのに人生に疲れてしまった男女の話し。物語は、淡々と進み、淡々と終わった。 会話の中の大阪弁が柔らかいなあっと思った。
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“「友達でも家族でも、お前のせいやないって、みんな言うけど、でもそれは優しいからやんか。でも何ていうかな。ほんまに俺のせいやなかったんやな、って納得するのって、そういうひとらの言葉じゃないよな」”(p.111)
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記憶の箱にいつの間にか入れっぱなしにして忘れていた”あの頃の思い出”たち。 「なんか話して」と言葉をかけられ、次から次へと出るわ出るわ。記憶の蓋がどんどん開いていく。 真夜中に二人、時間も気にせず思い出話をとりとめもなく語り合う。 いいな、こういうの。気のおけない二人だからできるんだね、きっと。 この二人の間に漂う雰囲気。全然無理してない、いい具合の脱力感がいい。 リリアンか…、私も小学生の頃やった。 あの時作ったリリアンどうしたっけな。 いつの間にか読み手も二人の会話に引き込まれる。 岸さんはこれが2作品目。 岸さんの関西弁は柔らかくて優しくて、でもちょっぴり刺激もあって。心の奥をくすぐって。 なんかちょっと泣きたくなった。 なんや、知らんけど。 古くて細い記憶の糸を夜の底から手繰り寄せて物思いにふけってしまう、そんな不思議な魔力のある作品だった。
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リリアン 著者:岸政彦 発行:2020年4月7日 新潮1384号(2020年5月号) 注目作家の最新作。230枚なので、これまでの小説の中で一番長いかも。主人公は大阪市の南端でもある我孫子に住んでいるが、今回も岸作品ではおなじみの、野田と福島の間にある長屋、野田阪神、そして僕の住む西九条が出てくる。クライマックスは西九条にあるライブハウスだ。 著者のブログを見ると、西九条の写真がいくつも出てきて(僕の住まいのすぐ近く)、「住んだことはないが憧れているまち」というようなことが書かれている。西九条は人から憧れを持たれるようなまちでは決してないが、いろんな地方から集まった単身者の多い感じがいいとも彼は言っている。 今回も独特な文体が炸裂し、重々しくも軽い、どんよりとした岸ワールドが全編で展開する。謎や矛盾に満ちた彼特有の世界にあっという間に引き込まれ、最後は彼らがどうなったのか、今どうしているのかというロス感のおまけがついてくる。 主人公は、30代男性で、ジャズミュージシャンとして月収20万円程度でなんとか暮らしている。おなじ我孫子に住む40代のスリムな女性と付き合い始めるが、彼女は自分の子供を亡くした経験を持っていた。しかも、自分のせいだという自責の念も。バイトを二つして暮らしている。 西九条のライブハウスといえば、実は1軒実在する。シンガーソングライター山根康広の父親が経営するブランニューという店。僕が西九条に住み始めたころは、「ヤンタ鹿鳴館」という店名だったが、ヤンタは山根康広が子供の頃のニックネームだと関係者から聞いたことがある。シャ乱Qやソフィアなども出たロック、ビジュアル系、ポップスのライブだが、小説のライブハウスはジャズ。主人公はベーシストで、ほとんど無給に近いギャラでこうしたライブもするが、食べるために好きでもないが北新地などのラウンジでも演奏をする。その西九条のライブハウスが閉店することになり、大勢が集まってジャムセッションをすることに。 だんだん店が消える大阪、すべてにしぼんでいく大阪。彼の語りは、朽ちていく野田と福島の間にある長屋のようでもある。 このほかに、やはり岸作品ではおなじみの、大国町にある1階に激安焼肉店のあるマンションというのが出てくる。40代の女性が以前に住んでいたワンルームだ。彼女は和歌山出身で大阪の美容専門学校を出て、ミナミにあるブラックな美容院で働いていた。休日の多くは研修を名目に無給で働かされる・・・この設定は、デビュー作にして芥川賞候補ともなった「ビニール傘」にも出てくる。 そして、今回の小説にもビニール傘云々という話が出てくる。 小説「ビニール傘」には、いく人かの女性が登場する。みんな何かを抱えた子たちだった。今回は、そのうちの一人が40代になった話かもしれない。もしかして、著者は処女作で登場させた女性たちとの決着を、一人ずつつけていくつもりなのかも知れない。
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