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リリアン の商品レビュー

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38件のお客様レビュー

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2021/08/25

大阪の街の華やかさの裏側にあるような懐かしさと、消えゆく古き良き時代をひっそり見送るような小説。リアルな大阪弁のやりとり、ほんのり漂う悲しみとそこに混じる綺麗ななにか。

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2021/08/22

“人間いらんやん” “優しいやつは、役に立たんのや” 生々しいリアルな会話、人肌の温もり、不器用なやり取り。 優しい。 なんだろうか。こういう優しさを何と言うのだろうか。

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2021/08/16

FMCOCOROで「すごくいい小説」と大絶賛されていたので読んでみた。 うむむ… この小説…私、あんまり合わなかったな~ 好きな人は好きなのかもだけど… 大阪でジャズベーシスト(ウッドベースの音楽教室の講師もしている)の男とふとしたことで出会った美沙。 ドラマチックな出来事が...

FMCOCOROで「すごくいい小説」と大絶賛されていたので読んでみた。 うむむ… この小説…私、あんまり合わなかったな~ 好きな人は好きなのかもだけど… 大阪でジャズベーシスト(ウッドベースの音楽教室の講師もしている)の男とふとしたことで出会った美沙。 ドラマチックな出来事が起こるのではなく、日常の会話やできごとで綴る小説。ゆるゆるとした二人の会話が大阪弁で綴られていくのもなんとなく泥臭くて「どこかで本当にありそうな」大人の物語。 小説中にソニー・ロリンズの「Isn't She Lovely」の曲が出てくるんだけど、二人の会話を聞いてたらこの曲が聞きたくなり聞いてみた 浮遊してる感?おかえり?ただいま? 曲を聞くと「そういう感じなのか…」と思うかも、思わないかも…

Posted byブクログ

2021/08/12

気持ちいいコード進行のような、 流れるような会話が心地よすぎる 大阪弁の会話ってこんなに優しく聞こえるの? 切ないのに二人は悲しそうじゃない 読んでいる私も悲しくはない 絶対また読む! コルトレーン聴きながら♪

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2021/07/07

流れる時間を、その時の空気ごと紙上に乗せる。 音が響くように、影がのびるように、息づかいが文字になる。 リリアンの糸のように言葉を紡いで、 組紐のように絆ができて、 でもそれは空洞、みたいな… 2人の会話が切なく愛しく心地よい。 真っ黒な海を知る者に光が浮かぶ物語。 「大阪の...

流れる時間を、その時の空気ごと紙上に乗せる。 音が響くように、影がのびるように、息づかいが文字になる。 リリアンの糸のように言葉を紡いで、 組紐のように絆ができて、 でもそれは空洞、みたいな… 2人の会話が切なく愛しく心地よい。 真っ黒な海を知る者に光が浮かぶ物語。 「大阪の西は全部海」では、問えないでいた問いを問うていたのを目にしてそこから溢れてしまった。 ずっとおなかの底に沈んだまま凭れているもの。 自分は生まれて生きているということ。 一生考えてるから、生まれてないし生きてないけど、それってもう生きてるんじゃないかなって。 ーー私の中では。 もっかい読み返したくなる、不思議な作品。 好きです、リリアン。

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2021/06/06

市井の人々への徹底した聞き取り調査を元に社会構造などを明らかにする社会学者である著者の小説は数冊目であるが、本作はジャズベーシストでもあった著者の過去の経験が盛り込まれており、音楽に関するシーンも含めて楽しめた一冊であった。 名作『断片的なものの社会学』で示されたように、日常生...

市井の人々への徹底した聞き取り調査を元に社会構造などを明らかにする社会学者である著者の小説は数冊目であるが、本作はジャズベーシストでもあった著者の過去の経験が盛り込まれており、音楽に関するシーンも含めて楽しめた一冊であった。 名作『断片的なものの社会学』で示されたように、日常生活のある何気ないモチーフから極めていまイマジナティブな世界を描く出すのが巧い。本作ではタイトルにもある”リリアン”はまさにそうしたモチーフの1つであり、”リリアン”と共に綴られる主人公のジャズベーシストが語る幼少期の痛みに満ちた回想は、こちらの胸をも抉るような痛みを味わわせてくれる。 また、ジャズセッションのシーンは、音楽を演奏しているときにプレーヤーが何を考えている/何を考えていないか、ということを教えてくれる点で、楽器演奏者には面白いとも思う。ぜひ岸さんには、研究の合間で良いので、今後もコンスタントにこうした小説を書き続けてほしい。

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2021/06/04

部屋でのふたり、散歩するふたり、展望台のふたり…ふたりの間で交わされることばのリズムは心地よくて、楽しくて、そして優しいからこそ、とても哀しい。哀しいけど、それがいい感じに着地する不思議な読後感。 ジャズ批評家、村井康司さんの解説↓ご一緒に https://note.com...

部屋でのふたり、散歩するふたり、展望台のふたり…ふたりの間で交わされることばのリズムは心地よくて、楽しくて、そして優しいからこそ、とても哀しい。哀しいけど、それがいい感じに着地する不思議な読後感。 ジャズ批評家、村井康司さんの解説↓ご一緒に https://note.com/coseyroom/n/nd17f16f51107

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2021/05/26

この曲、知ってるわ。 うん、これ、有名な曲やで。 なんていうやつ? Isn’t She Lovely。スティービー・ワンダーやな、 元歌は。 そうなんや。名前だけ知ってるわ、そのひと。 めちゃ有名なひと。 そうなんや。 うん。 ええなあ。 なんか、切ないな。 そやな。 切ないって...

この曲、知ってるわ。 うん、これ、有名な曲やで。 なんていうやつ? Isn’t She Lovely。スティービー・ワンダーやな、 元歌は。 そうなんや。名前だけ知ってるわ、そのひと。 めちゃ有名なひと。 そうなんや。 うん。 ええなあ。 なんか、切ないな。 そやな。 切ないっていうか、懐かしいっていうか。 なんか、帰ってきたで、って感じ。 ただいま、おかえりって、言い合ってるみたいやな。 うん。 うまいこというな。 なんか、大好き。ただいま、おかえりって感じ。 この小説にはこのような男女の会話がたくさん登場する。次々と交わされる言葉のやり取りを、あえて「」(カギカッコ)なしで綴る。途中からその意図が理解できた。羅列されているといってもいいぐらいに頻出する会話。確かに「」が付いてると、うっとうしく感じる。 会話内容はごくごく他愛のないものだけど、むしろその普通さがリアルさを醸す。読み手はあたかも側で聴いているような感覚に包まれ、耳をそばだて、気がつけばすっかりふたりの世界に引き込まれている。 おおよそ我々が普段交わしてる会話は、漢字にする必要のない、ひらがなで喋っている。そこにオノマトペが加わる。関西人はその傾向は大で〈シュッとした人が、この道をピューと行って、あそこの角をキュッと曲がりはりました〉みたいになる。 余談を続けると、村上春樹の小説の会話なんて、現実にはあり得ない。聴いただけでは判別しづらい漢字二文字の熟語や気の利いた比喩なんてものはあらかじめ用意でもしてない限り即妙には出てこない。それを実際にやられたら、関西なら「きっしょ~」「サブイボ出るわ!」って、言われるのがオチである。 さてというかようやくこの小説。 舞台は大阪市の南端。著者の言葉を借りれば、大阪市のいちばん南の外れの、どんづまりのどんづまりのどんつきの街で暮す、語り手であるジャズベーシストの俺と近所のバーでバイトで働いている俺より10歳上の美沙さんの恋物語を縦軸に、主人公の俺はそれなりに音楽で飯は食えているが、じゃあ夢が叶っているかと問えばそうではないような中年に差しかかった男の行き場のない思いが語られる。 本書は小説のスタイルは取りつつも、ストーリー自体に起伏は少なく、話の継ぎ目もいたってシームレス。先の会話をはじめ、とにかく自由度が高い。小説のあるべき形式には素直には従わない、ジャズのアドリブ演奏のような闊達さに溢れる。 それが際立っているのが会話に登場する互いの記憶に揺蕩う心象風景の挿入。男にとっては<小学生時代のクラスの女の子が無心でリリアン編みをしている姿>であり、彼女にとっては<川=淀川への恐怖感>など、ふたりは大阪の街-場末感漂う我孫子にはじまり北港・大国町・西九条・蒲生・野田・南森町・西天満・万博…を歩きながら、時にささやかな冒険をするようなデートをしながら身上を語り合う。 互いに惹かれ合い、間柄が親密になっていくほどに、想起する過去の様々な出来事、色褪せない痛切な心象を刺激しあうことへの怯え。ゆえに、からだを重ねる関係になっても、近寄りすぎたり、束縛したりしないよう適度な距離を保とうとする。 道ならぬ恋ではない、ええ大人の恋愛。波長が合い、たちまちにして惹かれ合ったゆえに生じる<切なさ><寂しさ><優しさ><怖さ>が臆病へと駆り立てる。 悲恋で終わる恋じゃないんだけど、切なさがじわりじわりと迫る、淡くて、緩やかで、ポエティックなリズムを刻む恋愛小説。 ー恋は遠い日の花火ではないー 随分と昔に流れたウイスキーCMコピーを思い出し読み終えた一冊。

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2021/06/23

岸政彦「リリアン」https://shinchosha.co.jp/book/350723/ もうねわたしは本当に泣いた。とくに何の起伏もなく、ただ断片的な情景と断片的な会話で、話が進行するでもなく漂っているんだけど、なにこの胸が苦しくなる感じ。あと、シュノーケルの話とか、体験...

岸政彦「リリアン」https://shinchosha.co.jp/book/350723/ もうねわたしは本当に泣いた。とくに何の起伏もなく、ただ断片的な情景と断片的な会話で、話が進行するでもなく漂っているんだけど、なにこの胸が苦しくなる感じ。あと、シュノーケルの話とか、体験したことないのに比喩がしっくりくるのも不思議だ(おわり

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2021/05/08

詩のような小説。 祖母の家のある「あびこ」が舞台だったり、慣れ親しんだ大阪弁の語り口だったりと、自分によく馴染むのが心地よい。初めて読むのになんだか実家のような安心感。 やさしくてある意味不器用な人々(世の中そんな人たちばかりですよね)の会話が歌のようで、じんわりと身にしみた。

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