鳴かずのカッコウ の商品レビュー
『#鳴かずのカッコウ』 ほぼ日書評 Day803 著者の手嶋龍一氏は、我々世代には湾岸戦争〜米同時多発テロあたりのNHKワシントン支局長と言った方が、すぐに顔が浮かぶかもしれない。 並行して読んでいる国家インテリジェンスに関する対談本に本書に関する記載があったので読み始めた...
『#鳴かずのカッコウ』 ほぼ日書評 Day803 著者の手嶋龍一氏は、我々世代には湾岸戦争〜米同時多発テロあたりのNHKワシントン支局長と言った方が、すぐに顔が浮かぶかもしれない。 並行して読んでいる国家インテリジェンスに関する対談本に本書に関する記載があったので読み始めたら、何とも面白い。 主人公は「ジミー君」というあだ名までつけられる実に目立たない青年。一度来た客の顔は絶対に忘れないという焼肉屋のママさんにも、顔を覚えてもらえないほどだ。 そんな彼が、フォトグラフィックメモリーの特技と生来の粘り強さ、そして前述の地味さを武器に、日米中露に北朝鮮やウクライナまでに渡る、国際闇取引の全貌を丁寧に紐解いてゆく。 前述の対談本によれば、内容はノンフィクションといっても良いほどのものらしい。現代国家の裏を垣間見るにも有用かも。 https://amzn.to/3B8BI1Y
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なるほどーーー! 最後まで展開が読めなかった…! インテリジェンスオフィサーという単語自体初めて知るものだったけど…VIVANの野崎と同じ…?あれは公安警察だからちょっと違う? 意外と身近にいたりするのかな、なんて考えちゃいますね。
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佐藤優が推薦していたインテリジェンス小説。実務をよく知る手嶋龍一氏が描く物語なので、小説としての出来も良いのだが「公安調査庁」の立場や仕事、インテリジェンスの世界がよく分かる。勘ぐり過ぎて、文章一つ一つに何かの含みがあるのではと考えてしまうほど。しかし自分自身の人生を送れなくなる...
佐藤優が推薦していたインテリジェンス小説。実務をよく知る手嶋龍一氏が描く物語なので、小説としての出来も良いのだが「公安調査庁」の立場や仕事、インテリジェンスの世界がよく分かる。勘ぐり過ぎて、文章一つ一つに何かの含みがあるのではと考えてしまうほど。しかし自分自身の人生を送れなくなるスパイ生活のようなものは、ドラマチックではあるが、実際に自分には務まらないだろう。インテリジェンスは、目的のために偽る事を辞さない。 ー そして二〇〇五年、いよいよ、船を大連造船所に移して継装に取りかかった。艦体の鍋がきれいに落とされ、中国海軍の標準塗装である「浅葱灰色」に塗り替えられた。航空母艦として蘇らせる大規模な工事が始まったのである。「ワリャーグの主動力装置は、ウクライナで取り外されたことになっていました。しかし、実際は、蒸気エンジンとボイラーはそのまま残されていたのです。空母『遼寧」が就役した後に、なんと徐増平が、「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の取材に応じて、そう認めました。四基のエンジンはそのまま残っており、パイプやケーブルも一応切断されていたものの、容易く再生できる状態にしてあったと」ウクライナと中国を結ぶ底知れぬ地下水脈を思って、壮太は嘆息した。 ー たとえ動力機関が温存されていたとしても、何年も放置していれば、使いものにならないのではありませんか」「たしかに、肝心の動力系が動かなければ、就航のめどは立ちません。そこで、中国側が目を付けたのは、黒海に面したウクライナの造船都市、ムィコラーイウにある国立アドミラル・マカロフ造船大学でした。ソ連時代、空母用ボイラーをもっぱら設計していた頭脳集団です。この大学を出て、黒海造船所でワリャーグの開発を担当したエンジニアたちを中国に連れてくればいい。そう考えたのです。空母に採用された新鋭ポイラーの設計図と修理手順書を密かに手に入れ、金にものを言わせて優秀な技師たちを招聘した。技術移転の舞台となったのは、大連造船所とハルビンのボイラー工場と聞いています」 ー 別れ際、提督は握手をしながら壮太に問いかけた。 「ところで、選事の艦番号がどうして16なのか、ご存じですか」「いいえ、中国では何か縁起のいい数字なんでしょうか」「16という番号には、中国海軍の執念がこもっているんです。ワリャーグを手に入れようとウクライナと交渉を始めてから修復が成って「遼寧」が就役するまで、じつに苦節十六年というわけです」温厚だったまなざしに鋭い光が差した。われわれはそんな手強い相手と対峙している。日本がアメリカの庇護のもとで安寧をむさぼってきた時代は終わりつつあるー。 まさかこの本でワリャーグと再会するとは思わなかった。小説なので、少し誤魔化す部分と事実をそのまま記載し自身の実力を誇示する部分と、虚実入り混じる。
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佐藤優が勧めていたため読んでみたのだが、非常に面白かった。痺れた。 インテリジェンスというものについて深く知っていたなかったため、フィクションではあるがその活動の雰囲気を捉えることが出来た。 日本を取り巻く現在の国際情勢が背景にあるため臨場感があってハラハラするし、一方で茶道周り...
佐藤優が勧めていたため読んでみたのだが、非常に面白かった。痺れた。 インテリジェンスというものについて深く知っていたなかったため、フィクションではあるがその活動の雰囲気を捉えることが出来た。 日本を取り巻く現在の国際情勢が背景にあるため臨場感があってハラハラするし、一方で茶道周りの描写、季節の描写も濃厚で、平生の私と関わりのない世界を知るきっかけにもなった。 昨今教養はブームのようでもあるが、いざ教養を身につけようと思えど、知識経験や学識、品格は一朝一夕で身に付くものでもない。 和歌・俳諧、茶道、掛け軸、焼き物に着物など、その奥深さから迂闊に手せずにいたのだが、嗜む程度でよいから接点を持っていきたいものだと感じた。 他のインテリジェンス小説も是非読んでみたい。
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もう50歳を過ぎた立派なおばちゃんだけど、 読了後、頑是ない幼子の様な気持ちになってる。 平和で安全だと信じてた世界の裏で、 悪意や企みが進行していて、 それを追いかける人々がいて。 親戚が集う正月が一瞬の地震で倒壊し、 焼失し波に呑まれて無くなってしまう様に、 平和な世界は一瞬...
もう50歳を過ぎた立派なおばちゃんだけど、 読了後、頑是ない幼子の様な気持ちになってる。 平和で安全だと信じてた世界の裏で、 悪意や企みが進行していて、 それを追いかける人々がいて。 親戚が集う正月が一瞬の地震で倒壊し、 焼失し波に呑まれて無くなってしまう様に、 平和な世界は一瞬の油断で消えてしまうのかも。 自分の立つこの世界は、 実は危うい蜘蛛の巣の上の幻影なのかも。 そんな気分にさせられました。 おばばの出雲弁は微妙に違ってて、 同じ名前の別の土地の話の様に感じるのに、 彩雲堂の若草なら分かるよ?という変なリアリティ。 フィクションですよ。なんちゃって。騙された? 裏の裏の裏の裏の…結局はいまはどっち? 一つ隣に住んでるあの人は、もしかして潜入捜査中? そんな不気味さも面白く読みました。 著者の他作品も読もうと思います。
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決してドラマや映画のザ・CIAといった華やかさはないが日本の情報組織、公安調査庁のリアルが読み取れる。 また教養に富まれており刺激も受けた。
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とても良かった。 身分を明かせない公務員がいるなんて思いもしなかった。 地味な主人公の人柄が魅力的なこと、個性的な上司や同僚、神戸の街の情景が有り有りと描かれている様子が素晴らしかった。特におばばの存在は遠くから遠隔操作されている様な面白さ! 茶道の席や、茶器や着物など道具の繊細...
とても良かった。 身分を明かせない公務員がいるなんて思いもしなかった。 地味な主人公の人柄が魅力的なこと、個性的な上司や同僚、神戸の街の情景が有り有りと描かれている様子が素晴らしかった。特におばばの存在は遠くから遠隔操作されている様な面白さ! 茶道の席や、茶器や着物など道具の繊細な表現も。。。まるで千利休の世界。 内容は難しいけれど、自分が知らない世界をまた一つ知ることが出来た。
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神戸が舞台というのもあって面白かった。情報機関のなかでの公安調査庁の位置づけも興味深い。「公安」で括れない構造なので。 ネタバレの面で何も書けないけど、とても興味深い結末。米中覇権抗争下で、読んでおくべき内容。小説としても面白いけど、それ以上に。
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