1,800円以上の注文で送料無料

フォン・ノイマンの哲学 の商品レビュー

3.8

66件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    32

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/09/10

社会性と天才性を併せ持った傑物は、なるほど悪魔と評することが妥当であると感じさせられる一冊。 幼少期の神童エピソードに端を発するフォン・ノイマンの評伝がまず面白い。そして同時代を生きた科学者たち(これがまた揃いも揃って歴史に名を残すような人ばかりなのだ)のパーソナルな話から、その...

社会性と天才性を併せ持った傑物は、なるほど悪魔と評することが妥当であると感じさせられる一冊。 幼少期の神童エピソードに端を発するフォン・ノイマンの評伝がまず面白い。そして同時代を生きた科学者たち(これがまた揃いも揃って歴史に名を残すような人ばかりなのだ)のパーソナルな話から、その悪魔の人間らしいところが立体的に浮き彫りにされる。

Posted byブクログ

2021/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノイマンがいかに天才かわかる本。アインシュタインやゲーデルらとの交流もあり、周りから慕われているのも良かった。 マンハッタン計画に参加していたが、東京への原爆投下は反対しており、日本人にとってはプラスでもマイナスでもあると思う。日本人であれば知っておくべき人であると思う。

Posted byブクログ

2021/08/28

ノイマンの伝記である。哲学は言い過ぎではないか。史実は詳細に書かれている。ノイマンの業績内容について詳しく知りたくなった。 日本の終戦にまつわることは初めて知ることが多くあった。

Posted byブクログ

2021/08/23

コンピュータや原子爆弾を生み出す一方で、経済分野でも著名な理論を発表するなど、様々な分野で功績を残した不世出の天才フォン・ノイマン。彼の一生と、その哲学を考察した評伝です。 エピソードとして最も印象的だったのは原子爆弾の開発をめぐるもの。 『我々が今作っているのは怪物で、それは...

コンピュータや原子爆弾を生み出す一方で、経済分野でも著名な理論を発表するなど、様々な分野で功績を残した不世出の天才フォン・ノイマン。彼の一生と、その哲学を考察した評伝です。 エピソードとして最も印象的だったのは原子爆弾の開発をめぐるもの。 『我々が今作っているのは怪物で、それは歴史を変える力を持っている』 と原爆の恐ろしいまでの破壊力を知っていながらも、一方で『軍事的な目的のため、そして科学者として可能なことはやり遂げなければならない』と、原爆の開発を進めていったノイマン。そしてノイマンは後輩の物理学者にも『我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない』と断言します。 著者曰くノイマンの思想の根底にあったのは、化学を徹底的に突き詰めるという『科学優先主義』、目的のためなら非人道的な兵器も許されるという『非人道主義』、この世界には普遍的な責任や道徳は存在しないという『虚無主義』だということ。 戦争終結後始まったソ連との核開発競争。その過程で生まれたのが原爆よりさらに大きな破壊力を持つ水爆。原爆開発に携わった多くの科学者が、水爆の開発に懸念を示す中、ノイマンは水爆開発にも参加し、そしてソ連に対して先制して攻撃するべきだとも進言します。 その思想の根底にあったのは何か。個人的には人間への絶望があったのではないか、と感じます。ナチス政権の誕生、そして多くの国が戦争を回避しようとするあまり、ヒトラーへの譲歩を続けた結果、ドイツは暴走を続けホロコーストをはじめとした残虐な行為にも手を染めます。 ノイマンは『人間の良識に対する徹底的な幻滅を経験した』と語ったそうですが、その幻滅はナチスだけでなく、ナチスに対し宥和的だった諸外国の政策のことも指しているそう。 そう考えると、原爆の恐ろしさを知りながらも、科学優先主義、非人道主義、虚無主義といった、人間や道徳への絶望し、手段を選ばずに冷徹な化学兵器に心血を注いだ、その心理もうなずける気がする。 ノイマンの頭脳の恩恵というものは、現代生活を送るうえで計り知れないほど大きいものです。でもその根底にあったのが、人間への絶望だったのだとしたら、あまりにも皮肉に感じます。 そして現在、AIやドローンによる無人兵器、クローンや遺伝子改変といった生命倫理に関わる科学技術が急速に進歩しています。その科学の進歩に、人間に対する視点は備わっているのか、考えないといけないようにも感じました。

Posted byブクログ

2021/08/12

天才、フォン・ノイマンの評伝。その意味でタイトルとの齟齬感はあるが、内容的にはノイマンという人間の伝記として面白く読めた。講談社のPR誌『本』に連載されたものをまとめたということだが、やや重複が多いか。「先にも述べたとおり」というフレーズが少なくとも5箇所はあった。 ノイマンも...

天才、フォン・ノイマンの評伝。その意味でタイトルとの齟齬感はあるが、内容的にはノイマンという人間の伝記として面白く読めた。講談社のPR誌『本』に連載されたものをまとめたということだが、やや重複が多いか。「先にも述べたとおり」というフレーズが少なくとも5箇所はあった。 ノイマンも兜を脱いだクルト・ゲーデルをはじめとして、ある時代や地域に集中して「天才」が現れるのはなぜなんだろう?と考えると19世紀の欧州、とくにユダヤ系、ドイツ系の思想家の影響は見逃せないと思うが。 経済学的にはノイマンはゲーム理論の創始者の一人。その辺の叙述も薄いかも。

Posted byブクログ

2021/08/02

あまり知られていない天才科学者の履歴を丁寧にまとめてあり、とても面白い。あまりに広範囲の活躍と現代の残る影響から、今更ながら知って良かったと思う。

Posted byブクログ

2021/08/02

ノイマンって名前だけ知っていたけれど、こんなに多くのことを成し遂げていたなんて知ってビックリした。 出てくる人が皆、天才過ぎて天才麻痺を起こしてしまうくらい。 その中でも飛び抜けて凄かったのがノイマンだった。 あらゆる分野に多大な貢献をしていながらもノイマンがノーベル賞を受賞して...

ノイマンって名前だけ知っていたけれど、こんなに多くのことを成し遂げていたなんて知ってビックリした。 出てくる人が皆、天才過ぎて天才麻痺を起こしてしまうくらい。 その中でも飛び抜けて凄かったのがノイマンだった。 あらゆる分野に多大な貢献をしていながらもノイマンがノーベル賞を受賞していないという事実が何ともドラマティックだった。

Posted byブクログ

2021/08/01

20世紀の天才といえば、アインシュタイン、アラン・チューリングなどが挙げられ、本書の主役であるフォン・ノイマン(正直名前すら知らなかった)もそのうちの1人だが、「人間のフリをした悪魔」と書かれている通り、また少し違った天才として描かれている。 ノイマンも偉大な科学者と同じく幼少...

20世紀の天才といえば、アインシュタイン、アラン・チューリングなどが挙げられ、本書の主役であるフォン・ノイマン(正直名前すら知らなかった)もそのうちの1人だが、「人間のフリをした悪魔」と書かれている通り、また少し違った天才として描かれている。 ノイマンも偉大な科学者と同じく幼少期から天才的な頭脳の持ち主として称されてきたが、科学者となると超合理主義者で、科学で可能なことは徹底的に突き詰める「科学優先主義者」のスタンス。目的のためなら手段を選ばない。原爆計画を推進した際に、非人道的な計画に罪悪感を感じる科学者も少なくなかったらしいが、ノイマンは彼らに対し「我々が今生きている世界に対して責任を負う必要はない」と声をかけ苦悩から解放?したという。冷酷すぎて辟易したし、サイコパスとしか言いようがない。 表面的には柔和で天才的科学者でありながら、内面では虚無主義をベースとした「人間のフリをした悪魔」であることがこの本で強調されている。

Posted byブクログ

2021/07/27

作者の意見や思想がところどころ垣間見えるが、全編通して徹底的に事実を書き連ねた伝記といった印象。 人間のフリをした悪魔なんていう下世話なキャッチコピーが題名についていますが、単にめちゃくちゃ頭がいいだけの普通の人だなと思いました。そんなに変じゃないよ。 数物の深いところには切...

作者の意見や思想がところどころ垣間見えるが、全編通して徹底的に事実を書き連ねた伝記といった印象。 人間のフリをした悪魔なんていう下世話なキャッチコピーが題名についていますが、単にめちゃくちゃ頭がいいだけの普通の人だなと思いました。そんなに変じゃないよ。 数物の深いところには切り込まず、うっすら表面をなぞる文章が続くので、理系の人には物足りない印象。 内容としてはマンハッタン計画を中心として二次大戦の歴史を辿る部分が多い。ノイマン周りの出来事を心に留めておくと、他の本を読んだときに少し裏舞台がわかって楽しいのかもしれない。

Posted byブクログ

2021/07/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノイマンは、コンピューターの仕組みを作った科学者、そしてアメリカで原爆を開発したチームの主要メンバー。彼の思想の根底には、「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」だという。 開発に関与して、その原爆の威力の凄まじさに、流石に狼狽えたというが、それを直ちに日本に投下すべきと強く主張したという。 科学を突き詰めること、新しい技術を確立することの素晴らしさは称賛できるが、どうしても現実社会に対する「哲学」には、決して賛同できない。太平洋戦争の早期終戦、その後の統治を見据えて、強い影響力を持つアメリカ軍の中で発言したという。人が傷つかないよう、原爆実験を日本に見せつけて降伏を迫るという案もあったらしいが。 現象や考え方を数式化する天才、それを突き詰めた先にコンピューターがあった。現代社会の技術に大きな影響を与えたが、太平洋戦争、戦後の統治、米ソ冷戦など、政治的にも大きな影響を残したらしい。

Posted byブクログ