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羊は安らかに草を食み の商品レビュー

4.3

205件のお客様レビュー

  1. 5つ

    89

  2. 4つ

    75

  3. 3つ

    28

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2023/12/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆" があった―― 過去の断片が、まあさんを苦しめている。 それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。 彼女の心のつかえを取り除いてあげたい―― アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅" に連れ出すことにした。 それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。 大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。 彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。 (アマゾンより引用)

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2023/11/10

面白かった。86歳の益恵は認知症を患い、過去があふれ出してきている。句会の友人アイと富士子は益恵の「つかえ」を取り除けるように三人で過去を辿る旅に出る。満州で震災孤児となった益恵の壮絶な人生。戦争は命だけではなく心も何もかも奪ってしまう。たくさんの生と死の狭間で二人の少女は只々日...

面白かった。86歳の益恵は認知症を患い、過去があふれ出してきている。句会の友人アイと富士子は益恵の「つかえ」を取り除けるように三人で過去を辿る旅に出る。満州で震災孤児となった益恵の壮絶な人生。戦争は命だけではなく心も何もかも奪ってしまう。たくさんの生と死の狭間で二人の少女は只々日本に帰ることだけを願っていた。隠されていた真実は、戦争という悲劇がいつまでも終わりのないものだと思わされる。切なくて辛くて、場面場面に涙が滲みました。

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2023/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

少し前に宮本輝の『水のかたち』を読んだので、満州からの引き揚げの史実が一本につながった。 大陸での日常がとても丁寧に描かれていて、惹きこまれた。 お話の展開に俳句が鍵になってるのもとても良かった。 だけど、半分くらい読んだら娘のことが大体予想がついてしまったし、 國先島に入ったら急に2時間ドラマな展開になって、それまで丁寧に繰り広げられていた過去からの流れが安っぽくなってしまった気がする。 参考文献に載っていた満州の本を読んでみたいと思う。壮絶すぎて読み切れるか自信がないけれど。 『水のかたち』も読んでみて欲しい。

Posted byブクログ

2023/11/04

すごく良かったです。 認知症の話ということだけで、何も情報入れずに読みました。 面白いかな〜⁉︎なんて半信半疑でしたが、本当に読んで良かった。 自分にも老いは着実にやってくる。 なんなら、一昨日から肩から首がぴーんと痛くて。 まぁちゃんとかよちゃんの生きざま。 アイちゃん達の...

すごく良かったです。 認知症の話ということだけで、何も情報入れずに読みました。 面白いかな〜⁉︎なんて半信半疑でしたが、本当に読んで良かった。 自分にも老いは着実にやってくる。 なんなら、一昨日から肩から首がぴーんと痛くて。 まぁちゃんとかよちゃんの生きざま。 アイちゃん達の旅の様子に、なんか和みながら。 そして、まぁちゃんの言葉に泣きました。 健康で家族がいて、ご飯が食べれるなら、それでいいやって思える。

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2023/10/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆" があった―― 八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実! 日本推理作家協会賞 『愚者の毒』 を超える、魂の戦慄! 過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい―― アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅" に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。 ---- まあさんの生きてきた道が壮絶すぎて、おじいちゃんおばあちゃんを大切にしなきゃと思った。 戦争の時代に生きていなくてよかった。 最後は物騒な話になってきて、ここまで来ておばあちゃんたち殺人なんて犯さないで!と思いつつ、この流れで本当に殺しちゃう訳ないと思いつつ、読んでいくと本当に本気で実行しちゃって驚いた。 おばあちゃん2人がかりでも男性を殺せる訳ないと思ってたけど富士子さんがすごかった(私の中ではYAWARAの富士子さんそのままのイメージ笑) 結局はやっぱり殺せてなかったけど、記憶をすっかり失うなんてそんなうまい話ある?そのうち思い出しちゃったらどうするの? ちょっと都合の良すぎる終わり方で不安が残った。

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2023/09/19

ロシアのウクライナ侵攻があってから、日本の戦前戦中戦後くらいまでの歴史に興味がわいた。 それで読むことにした本なのだけど、私は満州について何の知識もなく、その場所も知らなかった。 もちろんそこで何が起こったのかも。 日本が満州の人々にしたこと、開拓団の意味、終戦後取り残された日本...

ロシアのウクライナ侵攻があってから、日本の戦前戦中戦後くらいまでの歴史に興味がわいた。 それで読むことにした本なのだけど、私は満州について何の知識もなく、その場所も知らなかった。 もちろんそこで何が起こったのかも。 日本が満州の人々にしたこと、開拓団の意味、終戦後取り残された日本人の運命。 そのどれもが衝撃的なことばかりだった。 学校で学ぶ戦争についての授業は、日本で暮らす人々の暮らしがメインだったように思う。もちろんそれも大変な食糧難や抑圧的な空気などを知る上では大事なことなのだけど。 満州のそれは、もうどう考えても擁護しようがないほどに凄惨さを極めていたんだなと。 国は都合のいい甘い言葉で開拓団として満州へ移民を促し、戦況が悪くなれば今度は戦場へ行かせる。敗戦したらしたで、開拓団の人々は置き去りにして真っ先に日本へ引き上げる日本軍。 あんまりだ。そしてこれが戦争なんだ。 今こそもっと知られるべき事実がたくさんある。

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2023/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

認知症患者の旅をして過去の謎を解き明かす展開は面白かった。何より満州からの逃避行は圧巻で、そちらを軸に物語りを進めていけばもっと壮大な読みものになったのでは?と思うと残念。ラストも何だかなぁ、という都合良すぎる展開(殺人はさせたくないけど死んだようになって欲しいのは分かるが。。。)で勿体ない感じがした。この作者、愚者の毒でもそうだったけどラストが今イチの印象。

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2023/07/22

今 おだやかに過ごしている人の過去を遡った地続きの現実に、慄然とした。 私が暮らしている生活を過去に遡った地続きの現実を思う時、平和であることに感謝しきれない。 教科書でほんの少し、授業でほんの数時間きいただけでは得られない体験になった。

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2023/07/07

老婆3人の旅で始まる物語は認知症となったまあさんの失われた記憶を探っていくストーリー。満州で終戦を迎えてから日本に戻ってくるまでの壮絶な苦難は今の平和な時代に生きている自分には全く想像ができないが、生き延びていくためにどんなことでもやるという力強さを強く感じさせる物語だった。 年...

老婆3人の旅で始まる物語は認知症となったまあさんの失われた記憶を探っていくストーリー。満州で終戦を迎えてから日本に戻ってくるまでの壮絶な苦難は今の平和な時代に生きている自分には全く想像ができないが、生き延びていくためにどんなことでもやるという力強さを強く感じさせる物語だった。 年をとってからの友人であるアイ、富士子、まあさんたちの旅の行方がスリリングながら微笑ましくもあり、少し羨ましかったりもした。それぞれに悔いなく生きるということはできるのか、登場人物の自問自答が、読者にも投げかけられるようで読み終えた後もゆっくり考えたいような小説だった。

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2023/05/31

認知症を患い日ごと記憶が失われていく「まあさん」が頻繁に口にする「カヨちゃん」 献身的に介護する夫は妻の詳しい過去を知らず、それで良いと共に生きてきた。 記憶の断片に怯えるまあさんの為に二十年来の友人二人にまあさんの過去を辿る旅へ連れて行って欲しいとお願いするが… 開拓団の家族...

認知症を患い日ごと記憶が失われていく「まあさん」が頻繁に口にする「カヨちゃん」 献身的に介護する夫は妻の詳しい過去を知らず、それで良いと共に生きてきた。 記憶の断片に怯えるまあさんの為に二十年来の友人二人にまあさんの過去を辿る旅へ連れて行って欲しいとお願いするが… 開拓団の家族として敗戦を満州で迎えたまあさんは当時11歳。ここからの日本にたどり着く話は凄まじすぎて、読むことが辛かった。゚(゚´Д`゚)゚。 とにかく生きて日本に帰るんだ‼︎ 生きていく為には何でもやる‼︎ たくましいです! 生きて帰れるのはわかっていても辛い(T_T) まあさんの生きてきた人生の壮絶な真実は辛く悲しいけど、人生の最後に大切な人々に囲まれた幸せがあったことに救われます。 まあさんと共に旅をした読書時間でした。 読み終えた時にはかなり疲れましたが_| ̄|○

Posted byブクログ