1,800円以上の注文で送料無料

ルポ「命の選別」 の商品レビュー

4.1

23件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/12/04

「旧優生保護法」問題を追ってきた記者が書くものだけに真摯に読ませる部分が多い。優勢思想に基づくものは「旧優生保護法」問題だけに済まず、現代では出生前診断の問題が横たわっている。また障害者施設建設への相模原事件反対運動など根は深い。相模原事件の問題も、後で次々と出てくる施設自体の問...

「旧優生保護法」問題を追ってきた記者が書くものだけに真摯に読ませる部分が多い。優勢思想に基づくものは「旧優生保護法」問題だけに済まず、現代では出生前診断の問題が横たわっている。また障害者施設建設への相模原事件反対運動など根は深い。相模原事件の問題も、後で次々と出てくる施設自体の問題。障害者を「排除」し、しかも安上がりな福祉で済ましてきた我が国の社会保障の根深い問題もある。今もあり、この先も続く優成思想に基づく様々な事象について、またそれが技術の進歩で見えにくくなっている現代だからこそ、常に注意してアンテナを張って、その根を見続けないといけないだろう。

Posted byブクログ

2021/11/09

オランダには、ダウン症の子供がいない。 NIPT新型出生前診断が公費で受けられる。 日本では、自費だし、受ける要件は、日本産婦人学会により決められていたが、今は厚労省が、音頭を取りガイドラインを策定中。 NIPTを受け、陽性となった場合、障害者を産む可能性がある為、中絶する。 先...

オランダには、ダウン症の子供がいない。 NIPT新型出生前診断が公費で受けられる。 日本では、自費だし、受ける要件は、日本産婦人学会により決められていたが、今は厚労省が、音頭を取りガイドラインを策定中。 NIPTを受け、陽性となった場合、障害者を産む可能性がある為、中絶する。 先天的な障害者を無くす、旧優生保護法の思想に近いものがある。 医療費、社会保障費の軽減にもなりうる。 障害者差別解消法では、その障害児を産みたくないから中絶する、と言う概念でもう差別しているのだが。 権利意識として、知る権利、障害者を持たない権利を口にされると弱いのだが、レイシストだね。 しかしね、障害は、先天的じゃなく後天的な物もあるのだよ。 また、産婦人科医が経験するのは、もし治療したら生きられるが、医療的ケアは要らないが障害児で生まれて来た赤児の治療を拒否、挿管して呼吸器をつけ、大学病院の医師はなんとかして治療を受けさせたいが、延命を拒否。 高齢者の場合、今まで自分の意思を表明することができるが、生まれたばかりの赤児は意思を表明することができない、親が判断することになる。 拒否するのは、ほとんどが父親のようだが、なんということだ。 産婦人科医や小児科医は、児童相談所や病院内の倫理委員会に申し立てをするが、時間が欲しい。 高齢者のACPと赤児のACP。 まったく違う。 障害がある我が子を受け入れられないから、延命しないでくれ、=見殺しにしてくれ。 彼らを理解する医療者がいるが、 私は何無責任な事言っているのだろう?と思う。 なら、もう二度と子供を産まない、 子供ができるような行為はすべきではない。 他人に殺人を強要し、職業人としての倫理を侵させる行為を平然と言ってのける、 それが、その親の障害では? 他人を慮れない。 レイシスト 障害がある子を育てられる社会保障制度がなっていないと、言うが、前提にあるのは、レイシストである親の無責任さ、無自覚さ、 存在の耐えられない軽さ、 障害があっても、我が子、自分が育てないと、 育てられないなら、最初から妊娠する行為をしなければ良いし、まさか、障害児を産むとは思わなかったのか? しかし、もしかして後天的に障害児になったら、 社会のせい、そうは思わない、あくまで育てにくさは 本来は、自分たちの中にある。

Posted byブクログ

2021/09/09

第1章 難しく、集中して読まないと内容が理解できなかったです。 第2章 無知であることが、差別偏見を生む。障害者施設反対の実例を踏まえて理解できました。 第3章 我が子に障害があるのを受け入れられない親。その反対に、障害があってもなくてもうちの子だと言う親も出てきます。 第4章 ...

第1章 難しく、集中して読まないと内容が理解できなかったです。 第2章 無知であることが、差別偏見を生む。障害者施設反対の実例を踏まえて理解できました。 第3章 我が子に障害があるのを受け入れられない親。その反対に、障害があってもなくてもうちの子だと言う親も出てきます。 第4章 親になって初めて自分が障害の原因を持っていたと気付き、2人目は健常者で産まれてほしいと診断を望む親。 第5章 そこまで選んでいいのでしょうか。 第6章 津久井やまゆり園、植松死刑囚。最初は障害者をかわいいと言っていたと知りました。 第7章 国が求めているのは、生産性のある人間だけなのでしょうか。  私が親になるとしたなら、五体満足の子をごく自然に望んでいたと思います。五体満足を望むのは、障害者=幸せの構図が出来ていないからです。旧優生保護法の下、生産性のある人間が必要で、そうでない人間は産まれることすら許されない時代がありました。もう法律は過去のものになりましたが、障害者施設反対運動や杉田議員の『生産性がない』発言、植松死刑囚のことを鑑みても、歴史の鏡から私たちはなにひとつ学習していない気がします。これから先の未来、過去よりももっと酷いことになるかもしれないと危機感が迫ります。社会の一員として、私も差別偏見というフィルターを通して障害者を見ていないか自分を見つめ直したいと思いました。 第2の植松死刑囚を育てない土壌をこれから作る必要があると思います。

Posted byブクログ

2021/09/03

毎日新聞上で2019年4月から続けてキャンペーン報道「優生社会を問う」をもとに新たに書き下ろされたもの。 全体に冗長だが、相模原の障害者殺傷事件以来の国内の状況はよく追えている。元が新聞の報道記事だから仕方ないか。 社会から見えなくしていることにより、知らないが故の不安と、見えな...

毎日新聞上で2019年4月から続けてキャンペーン報道「優生社会を問う」をもとに新たに書き下ろされたもの。 全体に冗長だが、相模原の障害者殺傷事件以来の国内の状況はよく追えている。元が新聞の報道記事だから仕方ないか。 社会から見えなくしていることにより、知らないが故の不安と、見えない場所の管理不全。 コロナのような影響がないと社会は変わらないし、倫理基準は批判を受けつつ改善していくしかないが、可視化された問題は解決する努力はして欲しい。 https://mainichi.jp/ch190843744i/%E5%84%AA%E7%94%9F%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%92%E5%95%8F%E3%81%86

Posted byブクログ

2021/06/12

障害児と関わる仕事をしています。周りに健常児より、障害児の方が多い環境にいると、この世界での「多数派」としての価値観が、世間一般では「ごく少数派」としての価値観だということを忘れがちで、そこが乖離を生む要因の一つになっていると感じます。 「ごく少数派」の私たちも、「多数派」がどう...

障害児と関わる仕事をしています。周りに健常児より、障害児の方が多い環境にいると、この世界での「多数派」としての価値観が、世間一般では「ごく少数派」としての価値観だということを忘れがちで、そこが乖離を生む要因の一つになっていると感じます。 「ごく少数派」の私たちも、「多数派」がどうかんがえているのか、目を背けず、向き合っていくことができれば少しはさまざま前進するのでしょうか。

Posted byブクログ

2021/05/30

2021年5月 障害者本人、障害者の親、障害者施設建設に反対の住民、障害者の支援者、障害のある子どもを産むことへの不安に漬け込んで商売をしようとする医者、優生思想に影響を与えた過去のある学会の現代の学者…様々な人に丁寧に取材して書かれている。 まえがきの「いくつもの矛盾が現実が重...

2021年5月 障害者本人、障害者の親、障害者施設建設に反対の住民、障害者の支援者、障害のある子どもを産むことへの不安に漬け込んで商売をしようとする医者、優生思想に影響を与えた過去のある学会の現代の学者…様々な人に丁寧に取材して書かれている。 まえがきの「いくつもの矛盾が現実が重なり合い、問題は複雑さを増している」という通りで、すぱんと線を引くことは難しい。 そもそもどこからが病気あるいは障害でどこからが個性なのかというのはグラデーションだし、健康な人も事故や後天的な病気で障害をおう可能性もある。 問題解決はすぐにはできないかもしれないが、本文の「『優生社会』化の先にあるのは、誰もが新たな差別の対象となるディストピア」というのはその通りで、無関心ではいられない。

Posted byブクログ

2022/01/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本の前に読んだ出生前診断より個人的な思想や意見は示されていなかったので、より考えさせらた。優生思想=悪、そう思っていたけど、その裏側には多くのしがらみが存在していた。でもやはり、論理として成り立っていると決めてしまったら人間社会というものが崩壊すると思う。マジョリティがいつも正しいとは限らない、優先されるべきでもない。でも私はマジョリティの中にいて、マイノリティの世界に気付けない。いつもマイノリティの中に放り込まれた時にようやく社会の生きづらさに気付く。人は当事者にならないと何もわからない。経験がモノを言う。

Posted byブクログ

2021/04/04

すごく考えさせられる内容だった。 色んな立場で色んな意見があって、 どれがいいのかわからない。 でもこんなに考えさせられる内容の本は 久々に読んだ気がした。

Posted byブクログ

2021/02/23

ーー安寧を願っているのに、最終的に個人が「排除」へと選択を迫られかねない社会を放置しておくこと、弱者と共に生きる方法を考え続けることを放棄してしまう「怠惰な思考」こそが、優生思想なのではないだろうか。(p.318 あとがきより) 重度の知的障害を持つ弟がいる、大学の同期。自閉症...

ーー安寧を願っているのに、最終的に個人が「排除」へと選択を迫られかねない社会を放置しておくこと、弱者と共に生きる方法を考え続けることを放棄してしまう「怠惰な思考」こそが、優生思想なのではないだろうか。(p.318 あとがきより) 重度の知的障害を持つ弟がいる、大学の同期。自閉症の長男を持つ、知り合い。次男が肢体不自由の同僚。彼ら彼女らの生き方には、そのことが重く関わっている。けれど、それを一括りに「不幸」と呼んでしまうことには抵抗がある。ままならなさから生まれる言葉や思いの深みの様なものを、常々、感じさせられているから。そして、逆に、そういう事情を知らない人たちからの彼ら彼女らに対する人物評は、いたって平凡だから。 だから、どうだ、ということはできない。出生前診断を弾劾したり、何が何でもノーマライゼーションを進める様に正論を振り翳すのも、違う。私も出生前診断を一度は検討し、検診前カウンセリングを受けた人間だから。私の母もまた、障害を持って生まれる可能性が高いと診断された子ども(生まれていれば私の2番目の弟か妹になるはずだった)を、私と私の妹のために、と思って中絶したという。その母はその後、小学校教師として様々な障害を持つ子どもたちを教えた。 矛盾だらけだ。すっきり片付く話なんか、どこにも無い。自分の中にある差別意識を炙り出しながら、日々、それを恥じつつ生きるしかないんじゃないか。そんな気がする。 下の娘の通った小規模保育園に、ダウン症の女の子がいた。娘を迎えに行くと嬉しそうに寄ってきて、一生懸命、話しかけてくれる。目を見て手を握って、その日遊んだおもちゃを出してきてくれる。握る力の調整がまだ難しいようで、娘は手を握られるのを嫌がっていたけれど。 上の娘の幼稚園のクラスには、軽度の自閉症をもつ子がいる。最初は誰とも遊ぶことができず、ピアノの椅子の下に潜り込んで1日過ごしていたらしい。けれど、その子にも親友ができた。何をするにも一緒の無二の親友。 「普通」に固執する人たちは、たぶん、自分の、あるいは日常の凸凹をわざと見ないようにしているか、気づいていない。けれど、凸凹のないクリーンな世界を望むことは、社会を窮屈にし、自分自身の首を絞めてしまうことにもなる。少し、想像すれば分かることなのだけれど、想像には知的負荷が伴うから、面倒なんだろう。結局、ディストピアを招くのは、私たちの怠惰なんだ、と自らを戒める他ない。 「考えることをやめるとき、凡庸な『悪』に囚われる。」(ハンナ・アーレント) これからも自分の怠惰と地味に戦う。

Posted byブクログ

2021/02/15

「なかったことにしたい」「遠くで暮らして欲しい」「生まれないで欲しい」それが本音だとしたらなんと悲しいこと。傍観者として眺めているだけならなんとでも言える。「現実は過酷だ」当事者にそういわれたら、返す言葉はない。「ほっと一息つく暇もない」それでも幸せは思わぬ瞬間に感じるもの。自分...

「なかったことにしたい」「遠くで暮らして欲しい」「生まれないで欲しい」それが本音だとしたらなんと悲しいこと。傍観者として眺めているだけならなんとでも言える。「現実は過酷だ」当事者にそういわれたら、返す言葉はない。「ほっと一息つく暇もない」それでも幸せは思わぬ瞬間に感じるもの。自分も家族も健常で、一見平穏な暮らしにみえても、生きていくのは楽ではない。ハンデがある人もそうでない人も、身近にいて、助け合いながら暮らして行く。そんな古くて新しい世の中であったらいい。いろんな問題を読み進めながらそう思った。

Posted byブクログ