「本をつくる」という仕事 の商品レビュー
本書は「もの」としての本を作るための技術と、本の内容に関するソフト面の作業が半々くらいの割合で書かれている。 本を読むとき「書体」によって読みやすさの違いを感じることがある。 「紙」自体は、色・厚さ・手触り・光の反射など本の善し悪しを決める重要な要素だ。 活版印刷が前提の時代...
本書は「もの」としての本を作るための技術と、本の内容に関するソフト面の作業が半々くらいの割合で書かれている。 本を読むとき「書体」によって読みやすさの違いを感じることがある。 「紙」自体は、色・厚さ・手触り・光の反射など本の善し悪しを決める重要な要素だ。 活版印刷が前提の時代は、紙による印刷時のインクの滲みを考慮してフォントの太さを決めていたりしたそうだ。 紙作りも増版時に初版と同じ紙質と色を再現するのが当たり前のように行われている。 背の丸み具合にこだわったり、本は職人の匠の技で作られていたんだなぁ、ということがわかる。 三菱製紙中川工場のことが書かれていて、場所を調べてみたら跡地が東京理科大学葛飾キャンパスになっていた。 ソフト面では、校正・校閲の仕事の重要さが良く伝わって来た。 あと印象に残ったのは、日本でも売れそうな翻訳本の選び方、子供が夢中になる絵本の作り方。 絵本では子供が描くような絵の描き方を練習していたり、子供の本を大人が作ることの難しさが少し分かった。 1冊の本が自分の手元あるということは、実に多くの人達が仕事をしてくれたおかげだ。 「本」に限ったことじゃないけど、それぞれの仕事に携わった人々に感謝だな。
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本に込められたたくさんの想い。 読者に作家の作品を届けるために、多くの方々の努力があることがわかり、ますます本への愛情が深まります。 活字を作る人 製本職人 活版印刷屋さん 校正・校閲者 製紙業者 装幀家 海外作品のエージェント 絵本作家 8つの分野の本を作るプロの方を取材し...
本に込められたたくさんの想い。 読者に作家の作品を届けるために、多くの方々の努力があることがわかり、ますます本への愛情が深まります。 活字を作る人 製本職人 活版印刷屋さん 校正・校閲者 製紙業者 装幀家 海外作品のエージェント 絵本作家 8つの分野の本を作るプロの方を取材した記録です。 それぞれの方が語る自分の仕事に対する思いやこだわりがとても響きます。 みんなの力が合わさって、こうして私たちの手元に届く一冊の本。 それを思うと表紙のデザイン、文字、紙の色、手触り‥全てが愛おしく感じます。 この本も表紙の字体がかわいいし、帯がポコポコした手触りなのも素敵です。 今仮住まいに引越し中で、物を増やしたくないこともあり、ある本をKindle版で購入したのですが、あまり読む気にならないし、不思議と何も伝わってこなくて‥。 次男は基本KindleかAudible利用でとっても便利とお薦めしてくれるけど、私にとって読書は、手触りや表紙のデザイン、文字の形、そういったものを全て含めて作品を楽しんでいるのだなと思いました。
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本を読むとき、ブックカバーをつけず読むのが、本を作ってくれた方々の努力を称えるのだろうと思う。そして、自分の仕事も色んな人が色んなことをしてる。これを上手くまとめてほしいな。
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「本を作る」と聞いて、著者や編集者、出版社ぐらいはすぐに思い浮かびますが、実際に”紙の本”が一つの商品として完成するには、多くのプロセスと、その作業に長じた専門家の存在があります。本書はそういう本づくりの裏方さんにスポットを当てたノンフィクションです。 本書は各章1工程ずつ、活字...
「本を作る」と聞いて、著者や編集者、出版社ぐらいはすぐに思い浮かびますが、実際に”紙の本”が一つの商品として完成するには、多くのプロセスと、その作業に長じた専門家の存在があります。本書はそういう本づくりの裏方さんにスポットを当てたノンフィクションです。 本書は各章1工程ずつ、活字、製本、活版印刷、校閲、製紙、装幀、翻訳、最後に絵本、という内容に分かれています。いくつか、印象的だった部分を抜粋します。 活版印刷 鉛の活字を組んで活版を作って印刷していた時代、活字を拾う作業ではベテラン職人は原稿を「読まずに拾う」→詳しくは本書を読んでみてください。 校閲 校正と校閲の違い(本書によると、校正=ゲラ刷りが原稿通りかどうかのチェック、校閲=内容の事実確認や正誤・全体の矛盾などの洗い出し)、そしてこの作業こそが本が伝える情報の正確さを支えている、という事を再認識。ネット記事と本との情報の”重さ”、”正確さ”の差はここに宿っているんだ!と思いました。 製紙 ごく最近まで、印刷に適した書籍用の紙は酸性紙だったため、数十年で紙がボロボロになり、本の寿命を短くしていました。紙の寿命を延ばす中性紙の開発に携わった技術者の証言が描かれています。 こういう拘りの積み重ねの結果として、”紙の本”が出来るのだと分かると、読み終わった本も改めて眺めてみたくなります。 ちなみに活字については 「奇跡のフォント 教科書が読めない子どもを知って―UDデジタル教科書体 開発物語」 製紙に関しては 「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場」 という本が、それぞれの分野について、より詳しく扱っています。興味がある方は、これらの本も是非読んでみてください。
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どこかの書評から。武田さんが解説書いてるし。本が好きだし。ってことで読み始めたは良いけど、作成過程にはあまり興味がわかず。本好きの風上にも置けないかもしらんけど、ダメなものは仕方なし。外観が素晴らしい本は、確かに存在しますが。
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どのインタビューもよかったのですが、新潮社の校閲の話がとてもおもしろかったです。「校閲は出版社の価値であり良心であるーー」という言葉にぐっときました。
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製紙、印刷、装丁、活字…一冊の本を作るのに、こんなにも多くの人がかかわり、そしてそのひとりひとりの情熱やこだわりが交差しているのだと実感させられ、目の前にある本が今まで以上に尊いものだと感じられた。すべての章が興味深く、今すぐにでも本屋に行って一冊一冊本を手に取って眺めてみたいと...
製紙、印刷、装丁、活字…一冊の本を作るのに、こんなにも多くの人がかかわり、そしてそのひとりひとりの情熱やこだわりが交差しているのだと実感させられ、目の前にある本が今まで以上に尊いものだと感じられた。すべての章が興味深く、今すぐにでも本屋に行って一冊一冊本を手に取って眺めてみたいと思った。紙の本が永遠にこの世界にあり続けることを願う。
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現代の本作りについて、8人の職人・プロへのインタビューを軸にまとめられたノンフィクション。 技術の変遷や取り巻く情勢の変化、各分野の過渡期を振り返り現在の仕事にスポットを当てる。 手に取る本への思い入れが強くなる一冊。 活字、製本、印刷、校閲、製紙、装幀、翻訳作品のエージェント、...
現代の本作りについて、8人の職人・プロへのインタビューを軸にまとめられたノンフィクション。 技術の変遷や取り巻く情勢の変化、各分野の過渡期を振り返り現在の仕事にスポットを当てる。 手に取る本への思い入れが強くなる一冊。 活字、製本、印刷、校閲、製紙、装幀、翻訳作品のエージェント、絵本作家、という構成順が良かった。「本」と聞いてイメージするものとは逆の順番な気がする。 時折、文中で「その本は~」などと語られると、急に意識が自分の手の中の「物体としての本」へ飛ぶ。この感覚は楽しい。
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「わたしの名前は「本」」と同じくらい、大事な本になりそう。 「古くてあたらしい仕事」もそうだけど、自分の中の根底にある「モノ」や「カタチ」としての本を大切にしていきたい、という思いは一層強くなるばかり。 「美しくなければ本ではない」その言葉にどれだけ救われるか。
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生涯80年だとして、年間100冊読んでも8,000冊しか読めない。厳選された8,000冊、全てに書体・装丁・製本などの工程がある。 この本を読むと1冊1冊の重みを感じる。読み心地、ページを捲る感覚、ジャケット。どれも拘り抜いたプロフェッショナルの塊。それを無意識的に感じ取り、本...
生涯80年だとして、年間100冊読んでも8,000冊しか読めない。厳選された8,000冊、全てに書体・装丁・製本などの工程がある。 この本を読むと1冊1冊の重みを感じる。読み心地、ページを捲る感覚、ジャケット。どれも拘り抜いたプロフェッショナルの塊。それを無意識的に感じ取り、本屋で手に取っているんだなと改めて思った。そう思うと、過去に読んだ本も全部見返したくなる。どんな気持ちで、どんな思いを込めて、この本が仕上がったんだろう。 活字が好きだから電子書籍も読むけれど、やっぱり本が好き。そんな人にぜひ読んでほしい。
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