ブロークン・ブリテンに聞け の商品レビュー
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2022.01.02.読了 ブレイディみかこさんの ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー を読んでから、ずっと気になっていた。 彼女を通して見るイギリスはどんな国なのか、 もっと知りたいと思った。 2018年から2020年までの イギリスの動きがよくわかる本 1番好きなのは ブライトンのゲイ街の美容師が 英国の首相と米国の大統領が世界で一番ひどいヘアスタイルのコンビになるなんて、絶対許せない と言っていた話。 さらに もう英国と米国が世界をリードする時代は完全に終わった。政策とかなんとかより、政治指導者の髪型を見ればわかる。センスのなさは、頭の悪さよりも救いようがない と。 私もボリスジョンソンの髪型を見るたびに、イギリス終わった!と思っていたので、まさに同志! オミクロン株 大感染中の今のイギリスの様子も是非伝えてほしい。
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2018-2020年ごろまでの英国をつづったエッセー。こうしてみると、本当にこの短い期間にヘンリー王子が結婚から離脱までしたかと思うとブレクジットでコロナで、と出来事の目まぐるしさにびっくりする。 他の本にも共通するテーマとして -左派右派の混線 (今やレフトの主張が体勢側から...
2018-2020年ごろまでの英国をつづったエッセー。こうしてみると、本当にこの短い期間にヘンリー王子が結婚から離脱までしたかと思うとブレクジットでコロナで、と出来事の目まぐるしさにびっくりする。 他の本にも共通するテーマとして -左派右派の混線 (今やレフトの主張が体勢側から教えられる内容にまでなっている) -社会の分断は文化ではなく経済 (階級とか思想で今の世相は一刀両断できない) -そんな緊縮財政が生み出した経済格差もブレクジットの一因 あたりが挙げられるだろうか。 加えて今回読んでいて面白いと思った論点は -財政SM(なぜか緊縮財政の被害を受ける労働階級こそが、なぜか為政者の立場になって財源を心配する「思いやり」が緊縮財政を進めてしまう。また働かざるもの食うべからず的な思想は強者の弱者いじめにつながる) -政治ジャーナリストの書きたがる人物対立に隠れて、おふざけキャラ(トランプ、ジョンソン)が躍進する あたりか。 著者自身は自分を無識者と謙遜しているけれど、市井の人として肌で感じた英国を描くに留まらない。そこに英国音楽や映画のネタがうまく組み込まれている上に、関連のニュース記事や書物、世論調査に基づいた情報も随所に散りばめられていて、それはそれはうまくまとまっていて本を読む手が止まらない。きっとこういうごった煮で英国政治を語ったりする姿勢を叩く人がいるのだろうが、英国/欧州政治をしっかりフォローできていない身にとって、社会全体のうねりのようなものをこんなに上手に伝えてくれる人はなかなかいない。次作も楽しみ。
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なるほど、現地の感覚ってこうなのね。なんて簡単に理解できるわけはないですね。その生活によって文化と言うものに触れて見識は養われるわけで。なもんで、日本語で書かれていても、そこはもうすでに現地感がにじみ出ているなと感じるものの、それを読んだからと言って自身のものにならないのです。で...
なるほど、現地の感覚ってこうなのね。なんて簡単に理解できるわけはないですね。その生活によって文化と言うものに触れて見識は養われるわけで。なもんで、日本語で書かれていても、そこはもうすでに現地感がにじみ出ているなと感じるものの、それを読んだからと言って自身のものにならないのです。でも、そこはかとなく漂う感じが得られるのも文字の不思議なところです。
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いやはや、またスゴい本を読んだ。本書はまだ新しく、発行されてまだ1年も経っていない。 イギリスに縁が無い人にさえすっかり有名になった、ブレイディみかこさんによる、最近の著書で、雑誌に連載していたエッセイをまとめたものである。ブレイディみかこさんは、イギリス南部ブライトンの労働者階...
いやはや、またスゴい本を読んだ。本書はまだ新しく、発行されてまだ1年も経っていない。 イギリスに縁が無い人にさえすっかり有名になった、ブレイディみかこさんによる、最近の著書で、雑誌に連載していたエッセイをまとめたものである。ブレイディみかこさんは、イギリス南部ブライトンの労働者階級地域で保育士をしていた人だ。 彼女はとても頭がいい。天才だ。 イギリスに長く住んでいてもぼんやりとしか理解できていない政治構造や、社会のことが良く理解できる。一方、イギリスに住んだことが無い人がこの本を読んでどこまで理解できるだろうか。 私も渡英してしばらくはイギリスの政治も自分にはあまり関係がないと思って暮らしていた。でも永住が決まってから、というより英国人と結婚してからは、日々ダイレクトに影響がある。 この人の本の特徴は、彼女自身が労働者階級に長く身を置いてきて、彼らの言い分を代弁しているところだ。 本書がカバーしているのは2018年から2020年までで、まさにブレグジット決定後からコロナ騒動まで英国でどんなことが起こってきたのか、流れが分かる。最初の方の、イギリスのコメディの質が変化してきた、という箇所は目からうろこで、新しい見方であった。 言葉遣いとかも面白く、とても勉強になるし、是非一読をお勧めしたい本である。
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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が息子の中学生活を中心に書かれているのに対し、こちらはみかこさんが日々の生活の中で感じたことが中心。連載期間のEU離脱問題から、さまざまなイギリス事情に対して感じるみかこさんの鋭い感覚。 このEU離脱問題はイギリスの社会状況の変化を...
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が息子の中学生活を中心に書かれているのに対し、こちらはみかこさんが日々の生活の中で感じたことが中心。連載期間のEU離脱問題から、さまざまなイギリス事情に対して感じるみかこさんの鋭い感覚。 このEU離脱問題はイギリスの社会状況の変化をみせつけることになったようだ。左派、右派という思想のくくりも違ってきている。また60年代70年代は「既成概念に反抗する若者」という図式があった。それは強固な父権だったり、資本だったりしたのだが、いまは学校でLGBT教育が進み、こうあるべき、と学校で教えられる世の中になっている。「怒りの若者」の矛先が無くなった、あるいは変化した、など鋭い考察に覚醒する。 「群像」連載2018.3月号~20209月号、 2020.10.26第1刷 図書館
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『リベラルユーモアで安定感抜群のブレイディ品質』 ■読了時間 2時間36分 ■この本をオススメする人 ・社会派エッセイが好きな方 ・英国社会に興味のある方 ■感想 EU離脱、首相交代、そしてコロナのパンデミック。2018~2020年の激動の英国社会を、リベラル且つユーモア...
『リベラルユーモアで安定感抜群のブレイディ品質』 ■読了時間 2時間36分 ■この本をオススメする人 ・社会派エッセイが好きな方 ・英国社会に興味のある方 ■感想 EU離脱、首相交代、そしてコロナのパンデミック。2018~2020年の激動の英国社会を、リベラル且つユーモアに語る時事エッセイ集です。 著者がイギリスではなく"英国"と呼ぶ理由。「UK=英国≠イギリス」という感覚など、日本にいては知れない現地感覚の英国思想や文化がわかり、勉強になりました。ロイヤルファミリーなど最低限の英国知識があるほうが、より楽しめる社会派な内容です。 政治や文化、貧困、ましてや宗教が絡むと、なかなか私見を発信するのは勇気がいりますが、皮肉たっぷりに、されど嫌味に聞こえない"あんばい"が絶妙です。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に続き、今回も安定のブレイディ品質でした。
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イギリスではマスクをする習慣がなかったので、「マスクは感染予防に効果が薄い」という情報を好んで信じる国民性は笑った。認知バイアス。 絵文字は日本の忖度カルチャー 多様性戦国時代 イギリスは医療費については社会保険ではなく、NHS(国営医療制度)で対応していて、ずいぶん良さそうだなぁと思っていたら、緊縮財政も相まって受診に1ヶ月かかるなんて話もあるとか。 メディアが対立をあおる構図、 皺寄せを受けているのが若者世代であること 選挙対策だけのアピールなど、日本と比べても符合する気がした。
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私には、難しかった!国や情勢にだいぶ疎いので、最初の方は特に苦しくありましたが、読み進める内にカタカナに慣れ、なんとか、がんばりました。「人間は、誰かのことを考え、知るようになると、同情するようになる。富と権力を持つ人々が下々の者のことを考えないのは、そうする必要がないからだ。つまり、人の顔色を窺って生きていく必要がない階級は、より無神経になる」これ、なるほどと思ったのですが、けっこう前から目につくようになったお偉方の行動理由は無神経ゆえなのかもしれません。こういった本を素直に楽しめる教養がほしいです。
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「群像」の連載をまとめたエッセイ集。 ブレグジットから教育から王室から政治からコロナから、労働者階級の地べたからみた英国(イギリスではない。本書参照)が切れ味鋭く、哀愁と哲学をもってつづられる。 文体からしてなで斬りなのだが、独断や上から目線の嫌味を感じないのは、土台としての...
「群像」の連載をまとめたエッセイ集。 ブレグジットから教育から王室から政治からコロナから、労働者階級の地べたからみた英国(イギリスではない。本書参照)が切れ味鋭く、哀愁と哲学をもってつづられる。 文体からしてなで斬りなのだが、独断や上から目線の嫌味を感じないのは、土台としての実体験や社会への愛情や、何より教養があるからだろうか。
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英語区在住の著者が2018~2020年にかけて日本の月刊誌に連載していた、英国の現代事情についてのエッセイをまとめた本。 ブレクジットや新型コロナウイルスで閉塞した社会状況、疲弊した人々の模様を自身の体験や、あるいはTVや映画等のメディアから、著者独自の鋭い視点で描き出している。...
英語区在住の著者が2018~2020年にかけて日本の月刊誌に連載していた、英国の現代事情についてのエッセイをまとめた本。 ブレクジットや新型コロナウイルスで閉塞した社会状況、疲弊した人々の模様を自身の体験や、あるいはTVや映画等のメディアから、著者独自の鋭い視点で描き出している。 ちょっと面白かったのは、2018年時点でイギリスでも日本の「エモジ(絵文字)」が人々の間に浸透していたというところ。著者自身は、英国人は絶対こんなものは使わないだろうと思っていたのに、「携帯でSMSメッセージが送られてくるときは、必ずエモジがついてくる。」とのこと。加えて、本文によると、英国のSMSユーザーの80%以上がエモジを使っているとのこと。 これについて、著者の「エモジというのは、剥き出しの感情をぶつけて他社を困惑させてないように、感情のエッジを除去するものとして使われているのだろうか。」という考察には妙に納得。日本発祥の文化が、まさか英国でもこんなに浸透しているとは、ちょっと不思議な気分がした。
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