病と障害と、傍らにあった本。 の商品レビュー
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お名前を知っている方、気にはなってたけれども著作を手に取ったことのない方、がほとんどでした。 病気や障害のありようもとても個人的なもの(同じ病気の人であっても同じような症状や経過にはならないだろうと思われる)でしたが、どの方もそれは辛い経験をされたのだなとまずはその困難の壮絶さに驚き。 名文がたくさんあった。 p30ひとりを想ってつくられた「本」は、まちがいなく時間を越える p48読書は命綱 p72心の奥底、本当のところから出てきた言葉は人の心を動かしてくれることがある 他にもたくさんあって、どれも苦しみの中から生まれた言葉なのだなぁとしみじみ。特に頭木さんの経験は、私の身内にも同じ病を得ている人がいるのでその病態が尊厳に関わることもある辛さを改めて知ったように思う。 そして「カラマーゾフの兄弟」同病室の六人がこぞって(?)ドストエフスキーを読む絵面が頭に浮かび、そりゃぁ看護師さんもおったまげになるなと思わず吹き出してしまった。 「カラマーゾフの兄弟」、生きることの悩みと向き合ってないと読破できないんだろうか。頭木さんの文を読んですごく読んでみたいと思ったけれども、もし読破できなかったら自分の悩みなど大したことではないと思えてしまって二重のザセツ感を味わうことになってしまうだろうか?などと考えてしまいました。 いつかチャレンジしてみたいなぁ。 鈴木大介さんの著作は何作か読んだことがあるけれど、考えていることと発語が一致しないとか、言葉が出てこないとかの状況がよくわかった。中々そういう状態を本人に解説してもらえることってない気がするので貴重な経験談のように思えた。 考えは普通に出来ても発語が思うように出来ないというのは相当なストレスだろうなと。(脳障害だけでなく緘黙やALSなどの方もきっとそうなのかな…) 本書は本というものがどれほど闘病や日常を支えてくれるのかを改めて教えてくれます。
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図書館で別の本を探していたとき偶然見つけた本。私と同じSLE患者の方も書かれていたので借りてみました。指定難病の宣告をされてからは読める本と読めない本がありますが、例えば同じ闘病日記でも難病患者の方が書かれた本だと気負いせず読むことができます。それは完治しない点で同じ地獄を味わい続けていて、私の一番辛いところを言語化してくれることを期待するからだと思います。 特に頭木さんの「難病になった自分を受け入れられないのは、物語が急に変わってしまったからだということ」という一文には心が救われました。違う病気ですが難病を抱えた身として、当事者にしかわからない、こうならなければ考えもしない、言葉にならない気持ちがあって、それを代弁してくれることで私だけではないんだなと思えます。 出会えてよかった本!最近はレビューを見て予め読みたい本を決めてから図書館に行くことが多いのですが、本棚から気になった本を手に取る、という今までの当たり前のやり方で、もっとたくさんの本を読みたいと感じました。
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頭木さんの文章題が良かった。本を読まない人が苦しみから意識を放すために本の世界に入っていく過程、病室でカラマーゾフの兄弟が広まっていく流れ、とても楽しかった。
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自分と同じ双極性障害になりながらも、読書に助けられた経験を持つ方々の文章を読めて希望が持てた。うつ状態になるとたしかに読み書きがしづらくなるけれど、焦らず好きなものを読んでいると少しずつ戻ってくる。また、つらい経験をしたからこそ読めるようになる本というのもあるのかと思った。
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実際に病と闘っている人と本との関わりをかいたもの。何人もの、まさにいろいろな病気との関わり方が、書かれている。
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数年前職場の書架でみつけて読んだ本。素敵なタイトルに素敵なメンバー。ふとした時、ああ、あの本は本当に良かった、とよく思い出す。 頭木さんのドストエフスキーのエピソードで、ポロポロ、ポロポロ本当になんだか、素晴らしくて美しくて、涙が止まらなかった。
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12人の筆者による12通りの人生。 彼ら彼女らの病気や障害のこと。 そして本との関わりを彼ら自身で綴る。 本に助けられた、という経験は、本好きの方なら多くの方が持っているだろうと思う。 本は生涯の友人になりえる存在だ。 私達がどんなに孤独でも、黙って、あるいは喧しく、すぐそばに...
12人の筆者による12通りの人生。 彼ら彼女らの病気や障害のこと。 そして本との関わりを彼ら自身で綴る。 本に助けられた、という経験は、本好きの方なら多くの方が持っているだろうと思う。 本は生涯の友人になりえる存在だ。 私達がどんなに孤独でも、黙って、あるいは喧しく、すぐそばにいてくれる。 人間が煩わしいときでも、人間が恋しいときにでも。 この本に寄稿している方たちはさまざまな病や障害を抱えていたり、障害を抱えた家族を持ってる方々だ。 さまざまな「当事者」の方々がいる。 その一端を知ることができて良かった。 病気や障害なんて数限りなくあって、身近でないものは全く知らないことが多い。 世界は健康な人たちだけで出来ているのではない。 遠いと思っていた他者が近くに感じるのも本のマジックだと思う。 読みたい本もできてお得だった。
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名前を知ったり治療法を知ったりすることはできるけど、患ってる人や周りの人がどのような思いをしているのか、自分からその機会に出逢いに行かないと出会えない。その機会になったと思う。 また、テーマが“本”と決まっているのもあってその状況がどんなに辛いものか、を想像がしやすかった。 人それぞれ心に響く本は違っていた。日記もあったり、本もあったり自己啓発でもあったり…。私自身も“日記”が出てきた時は衝撃で、こうゆう考えもあるのかーと思えた。 現実世界では、なかなか救われない気持ちを本で救われる、救ってもらう人が、読書家には多いと思っていて、それってコミュニケーションの一つなのでは?と最近思う。出会えてよかった本
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病気や障害など、自分が弱った時にそばにいてくれた本を紹介してくれている。 「本」は、与えられるものではなく、自分から読みたくなった時に、読みたいところを読むことができる。 その距離感が、時に自分が一番つらい時から脱するきっかけを与えてくれるものになる。 本に助けられることがあ...
病気や障害など、自分が弱った時にそばにいてくれた本を紹介してくれている。 「本」は、与えられるものではなく、自分から読みたくなった時に、読みたいところを読むことができる。 その距離感が、時に自分が一番つらい時から脱するきっかけを与えてくれるものになる。 本に助けられることがある。 身体の回復ではなく、心の回復。
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この本は図書館で借りて読んだ。12人の作者がそれぞれの病と、患っている間に読んでいた本について語っている。12人のうち知っていた作家は2人、特に三角みづ紀のエピソードが読みたかった。東京造形大学在学中に膠原病の全身性エリテマートデスを発症した三角は、もともと美大に所属していたこ...
この本は図書館で借りて読んだ。12人の作者がそれぞれの病と、患っている間に読んでいた本について語っている。12人のうち知っていた作家は2人、特に三角みづ紀のエピソードが読みたかった。東京造形大学在学中に膠原病の全身性エリテマートデスを発症した三角は、もともと美大に所属していたこともあり、入院中にできる創作活動を考え、詩を書くようになった。その詩を現代詩手帖に投稿しているうちに、現代詩手帖賞、第一詩集で、詩人の直木・芥川賞と言われる中原中也賞を受賞した。受賞作『オウバアキル』は闘病中の不安定な精神状態がダイレクトに伝わってくるところがインパクトがあって強烈だった。同作家の本をまた手に取りたい。
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