もしかしてひょっとして の商品レビュー
大崎梢って、出版社や書店の話ばっかり書く人だと思っていたが、こういう違う話も書くんだ。統一感は全くない寄せ集めの短編集だが、一応なんかちょっとした謎があって最後に解決するミステリーと言ってもいい話ばかりか。旧家の老婦人の話、生徒会役員が部活のトラブルを解決しようとする話、お手伝い...
大崎梢って、出版社や書店の話ばっかり書く人だと思っていたが、こういう違う話も書くんだ。統一感は全くない寄せ集めの短編集だが、一応なんかちょっとした謎があって最後に解決するミステリーと言ってもいい話ばかりか。旧家の老婦人の話、生徒会役員が部活のトラブルを解決しようとする話、お手伝いさんが急にやめてしまっておろおろする老男やもめの話、美しい灰色猫を巡る話、ちょっと斬新なりんごをめぐる絵本からいろいろ連想する話、伯父の家に行ったら伯父が殺されていてすったもんだする話、どれも結構面白い。
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面白かった。 よくよく考えたら不自然な事(2人に結構重要な同じ依頼をするとか近隣高校の練習試合程度でスパイとか)もあるけど、さっと読めて読後感も良い作品。
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【立ち止まり思考する主人公たち】 本書『もしかして ひょっとして』は 6つの日常短編ミステリーです。 著者が単行本に入っていない短編を 本にしませんか?と勧められて 選んだ6つの作品です。 『小暑』 『体育館フォーメーション』 『都忘れの理由』 『灰色のエルミー』 『かもし...
【立ち止まり思考する主人公たち】 本書『もしかして ひょっとして』は 6つの日常短編ミステリーです。 著者が単行本に入っていない短編を 本にしませんか?と勧められて 選んだ6つの作品です。 『小暑』 『体育館フォーメーション』 『都忘れの理由』 『灰色のエルミー』 『かもしれない』 『山分けの夜』 とつながりがないように思うタイトルですが、 物語の中では主人公たちが 訝しい出来事に遭遇して 『もしかして?』とふと立ち止まり 『ひょっとして?』と思いを巡らせて 真相に近づいていくことが、 物語りの軸となり展開していきます。 『かもしれない』では 主人公がある童話をヒントにひとつの事柄を 多方面から「もしかして〇〇かもしれない」と 何個も展開させていきます。 どの物語も主人公が 『もしかして?』と思うことから始まり 『ひょっとして?』と謎解きをする場面が 鮮やかに描かれています。 謎もどこにでもありそうな日常の中のもので、 大きなインパクトがあるわけではないですが どこにでもありそうな謎というだけに身近に感じ、 主人公と一緒に 『もしかして?』『ひょっとして?』と 立ち止まり考えられるものになっています。 【固定観念と悪意をぶつけられたその結果】 『小暑』を読んで理由もなく 「大人の物語だな」と思いました。 品の良い年配客が語る話に 大人になり親になればこそ、 感じられる事柄や考えがあるのではないか と思いました。 昔々は年配客が語るであろう出来事が ないとは言えない時代だったのだと思うと同時に、 人は割り切れず誰にも語らず、 墓場まで持っていく出来事のひとつやふたつ あるのではないかなとも思いました。 そしてラストで固定観念を覆されるのですが、 ラストまで何も疑問に感じず、 すらすらと読んでしまい サラリと書かれた文字に思わず 「やられた」と苦笑を浮かべてしまいました。 そのことを表す言葉が 書かれていたか?見逃したか?と ページを戻りつつ探してしまいました。 『体育館フォーメーション』では 部員たちのある行動が波紋をよび 主人公が解決に乗り出すのですが、 悪意をぶつけた本人が報いを受けるところは書かれておらず その後の経過が少し気になりましたが 『もしかして』そのことを 書かないでおくことで 読者が『ひょっとして』こうだったのではないか? と考える時間を著者は与えてくれたのか? とまんまと大崎マジックに かかったのかもしれません。 【言葉は大切、多方面から考える柔軟性】 『都忘れの理由』では年配の男性が主人公です。 主人公が右往左往しつつ 『もしかして?』と思い 『ひょっとして!』と真実にたどり着く過程は、 読んでいて「がんばれ!」と 声援を送ってしまいそうになりました。 ついつい男性俳優の方の姿を 想像しながら読んでしまい 余計応援に熱が入りました。 言葉というものはとても大切なものだと あらためて気づかされ、 言葉は言葉に出したら最後取り返しの つかなることになるかもしれず、 言葉の大切さが男性主人公とともに 身に沁みました。 『かもしれない』では 有名な童話の本が出てきます。 その童話の言葉『かもしれない』で 主人公は知人におきた出来事を 「もしかして〇〇かもしれない」 と考え始めます。 ここではひとつの物事を 多方面から検証してみることが 書かれています。 ひとつの事柄を多方面から見る、 考える楽しさを教えてくれるようでした。 『山分けの夜』はこの後どうなるの? という感じで物語は閉じられます。 そこをどう感じるかは読む人それぞれに ゆだねられているように思いました。 物語の一文に他の作家が書く 名探偵名前がふたりあげられて 思わず笑みがこぼれてしまいました。 『もしかして』著者はその作家さんと 仲が良いのかな? 『ひょっとして』短編集に出すことを 了解してもらったのかな?と 『もしかしてひょっとして』と考えてしまう この本を是非お手に取ることを おすすめします。
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あとがきによると、これまで書かれた短編をまとめたものとのこと。とは言え書き下ろしの一編を合わせ、タイトル通り『もしかして ひょっとして』と立ち止まって考える内容の話。 「小暑」は唯一ミステリーとは違うし非常に短いが、主人公の前を向こうとする姿が良い。 「体育館フォーメーション...
あとがきによると、これまで書かれた短編をまとめたものとのこと。とは言え書き下ろしの一編を合わせ、タイトル通り『もしかして ひょっとして』と立ち止まって考える内容の話。 「小暑」は唯一ミステリーとは違うし非常に短いが、主人公の前を向こうとする姿が良い。 「体育館フォーメーション」は何かのアンソロジーで読んだのか、既読感がある。 男子バスケ部が急に不穏な空気になったのは何故なのかという謎を、生徒会役員視点で描くのが面白い。高校部活でそこまでする?とも思うが、まあなかなか。 「都忘れの理由」突然通いの家政婦が辞めてしまったことに混乱する元学者の老人。 辞めた理由をあれこれ考える中で亡くなった妻や家政婦との日々を甦らせていく。 一番印象に残る話。 「灰色のエルミー」さして親しくもない知人から猫を預かったことから始まる謎。短編なので考える間もなくあれよあれよと展開していくのが勿体ないような気もするが、冒頭ブラック?な職場で居たたまれない感じの主人公が結末で強かになるのが良かった。 「かもしれない」仕事が出来る同期社員の、ウイルスメールを開いてしまうという信じられない初歩的ミスで情報漏洩を起こした末に地方へ異動となった事情をあれこれ考える主人公。そのきっかけがある絵本というのが大崎さんらしいかも。 結果的にはホッとする話だった。 「山分けの夜」書き下ろし作品。強権的な伯父と虐げられてきた伯母。その伯父が殺された上に隠された札束が消えている。 「都忘れの理由」のような、実は~、からの~があるのかと思っていたら、そのまんまだった。うーん、読後感としては苦いと取れば良いか、小気味良いと取れば良いか、難しい。個人的には誰にも共感出来なかった。
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タイトルの通り、全編通してのテーマが「もしかして ひょっとして」な短編集。 ミステリーから日常系まで、バラエティに富んだ短編集で楽しめました。 お気に入りは「都忘れの理由」。 お手伝いさんが急に辞めてしまった本当の理由は?亡くなった奥さんの優しさがとても好きです。
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ミステリ短編集。ささいな謎、というかそのまま素通りしてしまえば謎だとすら気づかないようなものもあるのですが。思い込みに囚われているときっと何も見えません。タイトルにもある通り「もしかして」「ひょっとして」と考えると意外な真相が見えてくる……ことがあるのかもしれない、そんな作品です...
ミステリ短編集。ささいな謎、というかそのまま素通りしてしまえば謎だとすら気づかないようなものもあるのですが。思い込みに囚われているときっと何も見えません。タイトルにもある通り「もしかして」「ひょっとして」と考えると意外な真相が見えてくる……ことがあるのかもしれない、そんな作品です。 お気に入りは「山分けの夜」。一番ミステリらしいミステリでした。でも真相はなかなか見えなかったし、すべてが見えたとも言えません。考え方次第でいろんな解釈ができそうだけれど。あまり大きな悪意はなかったのかなあ、と思えるような穏やかな読み心地でした。 「都忘れの理由」も好き。素敵な謎の解決とほっこりした読み心地に和まされる一作です。
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タイトル通り、視点や切り口を変えるとガラッと景色が変わる小品集。 「灰色のエルミー」が一番好き。 ついで「都忘れの理由」 [図書館·初読·11月22日読了]
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物事は外見だけではわからない、それこそ「りんごかもしれない」的な、という短編集。ダークありコメディーあり、大崎さんってたまにダークというかサスペンス方向に大きく振る作品ありますよね……
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トラブルやたくらみに巻き込まれて、お人好しが右往左往。助けを求められたなら、放っておくことはできやしない。誤解も悪意も呑み込んで、奇妙な謎を解き明かせ! にぎやかでアイディアに満ちた6つの短編ミステリ。
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