アレックスと私 の商品レビュー
次に読む本を探していた所、なぜか不思議と惹かれるものがあり手に取りました。 結果的に私はこの本に出会えて良かったです。 彼女たちの別れのシーンには胸を打たれ、ページを捲る手が止まってしまいそうでした。 読了後、当時の資料や動画を探してみましたがあまり見つけられず遺憾。 生前のアレ...
次に読む本を探していた所、なぜか不思議と惹かれるものがあり手に取りました。 結果的に私はこの本に出会えて良かったです。 彼女たちの別れのシーンには胸を打たれ、ページを捲る手が止まってしまいそうでした。 読了後、当時の資料や動画を探してみましたがあまり見つけられず遺憾。 生前のアレックスを知る事ができなかったこと、大変後悔しました。 もし有識者の方がおられましたらぜひ、教えていただきたいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
書き出しの一章は主に著者の苦労が語られるが、おもしろかったのはやはり二章以降の研究パート。動物心理系の本を読んでいると、「算数のできる馬のハンス」だけでなく「手話のできるゴリラのココ」に関しても、研究者の恣意的な読み取りという問題があることが知れる。アレックスに関しても、実験の意に沿わない結果をアレックスの「おふざけ」として処理している傾向があり、首をかしげるところもあった(もちろんこの本はお堅い論文ではないので、実際は追試が可能な形で有意に検証されているのかもしれないが)。 その点を差し引いても、アレックスが他者との「約束ごと」である言語を扱えていたことは間違いがないし、独自の合成語「バネリー」(バナナ+チェリー=アップル)のエピソードなどは特におもしろかった。
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「動物の知能や認知力は低い」という考えに対する、一人+一羽のバディの挑戦 会話ができるヨウム(鳥)として有名になり、日本でもTV番組「どうぶつ奇想天外!」等で知られたアレックスと、動物の認知力の研究者である著者。当時の「動物の知能や認知力は低い」と考える科学界の権威に対する、一...
「動物の知能や認知力は低い」という考えに対する、一人+一羽のバディの挑戦 会話ができるヨウム(鳥)として有名になり、日本でもTV番組「どうぶつ奇想天外!」等で知られたアレックスと、動物の認知力の研究者である著者。当時の「動物の知能や認知力は低い」と考える科学界の権威に対する、一人と一羽のバディによる挑戦の歴史です。著者の私生活や懐事情なども隠さず書かれていて、大学の研究員を続けるのって大変なんだなと気の毒に思う場面もありました。 アレックスが著者との訓練を通じて、信じられないようなコミュニケーション力、認知力を発揮していくのがなんとも痛快でした。「動物と対話する」と言葉にするとなんとも単純ですが、そこには「概念を共通させる」という高度な仕事が不可欠になってきます。「ものに名前を付ける」「色の違いを判別する」「形の違いを判別する」「数を数える」などは人間がごく当たり前に行っている行為ですが、その概念を持たないヨウムに教えるのは大変根気がいることだったろうと著者の努力がしのばれます。なんとアレックスの機嫌が悪い時には、あえて答えを間違えたり違うことを答えたりしたそうで、アレックスは相当高度なコミュニケーションをしています。そしてそれに素直に悔しがる著者の姿が、まるで反抗期の子と親のようで、単なる研究者と被験者の関係ではないことがうかがえます。 驚くべきことにアレックスは、寝る前に新しく覚えた単語をひとりごとで練習していたり、クラシック音楽を聞きながらリズムに合わせて体を揺らしトランス状態になったり、「ゼロ・無い」という概念も会得したそうで、私の想像を超える情報処理能力でした。実際にりんごの果肉を与えながら、りんご(apple)を教えようとしても、絶対に「バネリー」と返すアレックス。アレックスは、「バナナに似た味のチェリーみたいな食べ物」としてbanana + cherry = baneryと、自ら造語を作ったかもしれないというエピソードも出てきて、言葉を足し合わせるという創造性と、「名付ける」という概念をもっている可能性がアレックスにあることには本当に驚きました。 そもそも数十年前まで、動物は「オートマトン」という機械仕掛けの単純な反応しかできない、意思や思考がないロボットのようなものとしか思われてなかったとのこと。人間こそが生物として一番高等であり、他の動物は人間より下等であるという前時代的な考えがあり、それが宗教のベースになっていたりもします。神によってこの世の支配権が与えられた人間と、他の動物とは根本的にデキが違うというような言説がまかり通っていたのです。ましてやそれが科学界でも!この研究を始めた最初期、著者はおかしい人あつかいされ満足のいく研究環境を与えてもらえなかったことからも、当時の科学界の様子が分かります。 途中、知能の高い動物として有名な「賢馬ハンス」の話が出てきます。1900年代のドイツで、計算問題に蹄を踏み鳴らした回数で答える賢い馬として有名になったのですが、実際に計算していたのではなく、飼い主や周りの人間の無意識のうちの変化を読み取って、期待に応えていただけという話ですが、ある意味では数の計算よりも難しい「空気を読む」ことをしていたことになります。それだって結構すごいことだし、けっしてオートマトンにはできないことだと思います。私の実家の犬(愛すべきバカ犬)も、母が急な病気で苦しんでいる様を見たとき、心配そうにそばについていてあげていたそうで、こっちの予想以上に動物って雰囲気を読み取っているように思えます。 地道に結果を示し、科学界だけでなく世界中に驚きを与えたアレックス。これからどんな能力を発揮するのかまだまだ期待されていた中、突然約30年の生涯の幕を閉じてしまいます。訃報が流れると世界中から死を悼むメールが大量に届きました。アレックスから著者への最期の言葉は、毎日のお別れの挨拶「アイ・ラブ・ユー」だったというあまりにもドラマチック過ぎる展開にも驚きます。人間ですら簡単に正解を出せない愛の概念についてアレックスが理解できていたかは分からないし、単なる挨拶としていってただけかもしれないものの。 ペットに愛情をそそぐあまりにいきすぎた幻想をおしつけたくはないですが、心が通じ合えるような感覚が味わえたら嬉しいだろうな。でも動物の本音を知るってショックなこともかもしれないなあ。著者もアレックスが敢えて意地悪してくることに対して本気で苛立ってるし。でもホントの家族ってそんな感じですよね(笑)
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オウムの一種のヨウムを使って、鳥の理解力を研究した著者の記録。日本でもよくきかれるが、研究職の女性の苦労は米国でもあるらしい。その上、ヨウムを使った研究が学問的になかなか認めてもらえないというハンディもあったようだ。鳥頭とバカにされるが、なかなか驚きの能力だということがわかってき...
オウムの一種のヨウムを使って、鳥の理解力を研究した著者の記録。日本でもよくきかれるが、研究職の女性の苦労は米国でもあるらしい。その上、ヨウムを使った研究が学問的になかなか認めてもらえないというハンディもあったようだ。鳥頭とバカにされるが、なかなか驚きの能力だということがわかってきた。読み物としても面白かった。
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女性科学者への風当たりが強い時代に、数々の困難も乗り越え 「5歳児の知能を持つ」と称されたヨウムのアレックスとの研究に没頭した日々の記録です。 「オウムはただ人間の言葉を真似ているオートマトンに過ぎない」 という通説を覆し、ヨウムは感情や思考に基づいて喋り、 色や数量といった概念...
女性科学者への風当たりが強い時代に、数々の困難も乗り越え 「5歳児の知能を持つ」と称されたヨウムのアレックスとの研究に没頭した日々の記録です。 「オウムはただ人間の言葉を真似ているオートマトンに過ぎない」 という通説を覆し、ヨウムは感情や思考に基づいて喋り、 色や数量といった概念を理解する知能が備わっていることを発見、発表しています。 アレックスの感情の表現は可愛くて・可笑しくて、そして切なくて 本文中にあるアレックスの死後に寄せられた暖かな多くのメッセージは、 人間が他の生き物たちを尊重する気持ちへと繋げていかなくてはと強く思いました。
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学界の偏見と定説に挑む、女性研究者の奮闘。頼りの相棒は、一羽のヨウム……面白くない訳がない。しかもノンフィクション。 与えられた課題を楽々こなす姿に、しだいにアレックスの想像を超える知性が明らかに。想定を次々に覆される著者の驚きと発見を追体験できます。そうして愛した仲間との、別れ...
学界の偏見と定説に挑む、女性研究者の奮闘。頼りの相棒は、一羽のヨウム……面白くない訳がない。しかもノンフィクション。 与えられた課題を楽々こなす姿に、しだいにアレックスの想像を超える知性が明らかに。想定を次々に覆される著者の驚きと発見を追体験できます。そうして愛した仲間との、別れの耐えがたい悲しみも。 結びとなるのは、アレックスがもたらした自然観、新しい人間観。単なる研究報告の枠を超えて、アレックスの生涯を意味づけようとする真摯な筆致が感動を誘います。
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アイリーン・ペパーバーグ(1949年~)は、ニューヨーク生まれ、MIT卒、ハーバード大学大学院化学物理学博士課程修了の学者で、現在(2010年時点)ブランダイス大学心理学部非常勤准教授、ハーバード大学非常勤研究員・講師、アレックス財団会長。 本書は、著者がヨウムのアレックス(19...
アイリーン・ペパーバーグ(1949年~)は、ニューヨーク生まれ、MIT卒、ハーバード大学大学院化学物理学博士課程修了の学者で、現在(2010年時点)ブランダイス大学心理学部非常勤准教授、ハーバード大学非常勤研究員・講師、アレックス財団会長。 本書は、著者がヨウムのアレックス(1976~2007年)とともに、ヨウムの認知能力・コミュニケーション能力を研究し、アレックスが「50の物体、7つの色、5つの形を認識し、数を6つまで数えることが可能で、2歳児の感情と5歳児の知性を持っていた」とする能力を獲得・発揮するに至ったノンフィクションである。原書は2008年に発表、日本語訳は2010年に出版され、2020年に文庫化された。 (尚、ヨウムとは、アフリカ西海岸の森林地帯に分布する大型インコで、体長33cm程度、体重300~500g程度、体の大半は淡灰色の縁取りのある灰色の羽毛に包まれている) 私は、この研究分野の専門知識は持たず、また、とりわけ鳥好きということでもなく、単に(純粋に)動物の認知・コミュニケーション能力に対する興味から本書を手に取ったが、読了して、とても興味深い内容だった。アレックスが死んでから10年以上が経ち、現在、類人猿やイルカやカラス(や他の動物)の認知能力がどのくらい明らかになっているのかわからないが、人間の言葉を使ったコミュニケーション能力を持つ動物はほかに聞いたことはないし、「クルミほどの脳しかない」(著者は何度もこの表現を使う)アレックスの示した能力は、やはり驚くべきものだ。 解説で、京都大学白眉センター特定助教の鈴木俊貴氏は次のように語っている。「アレックスにみつかった音声の模倣や意味の学習、概念形成といった能力は、どれも人間の言語の発達に必須であるが、その進化の道筋は未だ明らかでない。ひょっとすると、これらの認知能力は、生物進化のなかで複数回、独立の系統に現れたのかもしれないし、もっと原始的なところに共通の起源があるのかもしれない。この問いに答えるためには、今後、より多様な動物を対象として、思考や言語に関する比較研究を進めていく必要があるだろう。」 著者が研究を開始した40余年前には、ほとんどの専門家・学者から真剣に取り合ってさえもらえなかった研究(故に、著者は研究を続けるために大変苦労をした)が、動物たちの認知能力を解き明かし、更には我々人間の「心」の起源を探る上のヒントを与えてくれる端緒のひとつになるのかも知れないのだ。 また、本書は著者とアレックスの交流の物語にもなっている。著者は寧ろその側面を強く出そうとしたのか、研究に関するロジカルな説明は限られており、その点でやや物足りないのだが、見方を変えれば、それ故に感情移入をしやすく(特に、鳥好き、動物好きの人にとっては)、読み易いものになっていると言えるかもしれない。 (2021年3月了)
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鳥類のコミュニケーショ能力と認知を研究するアイリーンと、天才と呼ばれたヨウム、アレックスの実話。 アレックスの話というよりは、アイリーンの研究と研究人生がメインだったけれど、アイリーンの人生で、アレックスとの出会いがそれほど大きかったということでしょう。 アレックスは天才と言わ...
鳥類のコミュニケーショ能力と認知を研究するアイリーンと、天才と呼ばれたヨウム、アレックスの実話。 アレックスの話というよりは、アイリーンの研究と研究人生がメインだったけれど、アイリーンの人生で、アレックスとの出会いがそれほど大きかったということでしょう。 アレックスは天才と言われていたけれど、果たして彼は天才だったのか。ヨウム、鳥類はもともと認知能力を持っているのではないか。それを我々が知らないだけで。 とりあえず「鳥頭」という悪口は成立しなくなりそう。小さい脳みそで、思考して、発語することができたのだもの。 「イイコデネ。アイラブユー」「アシタ クル?」 最後の言葉がどこまでも泣かせる。
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2021-02-04 Kindle版 科学者による、わりと感情面に寄った追悼本。 ちょうど「知」について考えてたから読んだのがタイムリーだったかも。 そんなことよりも、どうか安らかに、アレックス。
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