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誓願 の商品レビュー

4.5

35件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2021/03/27

カナダのマーガレット・アドウッド作。2019年のブッカー賞。ギレアデ国。 侍女の物語はよんだことないけど、その続きの話らしい。 3人の女性の視点から語られるお話。 顔のない女性が表紙なのはキムジヨンにつうじるな。 証人の供述369Aの書き起こし 369Bの書き起こしなど27章あ...

カナダのマーガレット・アドウッド作。2019年のブッカー賞。ギレアデ国。 侍女の物語はよんだことないけど、その続きの話らしい。 3人の女性の視点から語られるお話。 顔のない女性が表紙なのはキムジヨンにつうじるな。 証人の供述369Aの書き起こし 369Bの書き起こしなど27章あるうちの小見出しででてくるけどその人たちも記号でよばれている。 565pとシンポジウムで構成されている。 女性のつらさや抑圧、下に見られるとか脳が小さいからかんがえられないだろうとか、ディストピア小説でありながらもいまもどこかで起こっていることかもしれないし私のことかもしれない。

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2021/02/21

3人の語り手からなるディストピア小説。ギレアデ共和国では、女性は識字力を持てず、大まかに分けると繁殖用か、繁殖用の女性をサポートするか、”小母”のように官僚になる人生しか選べない。当然読んでいて苦しくなる描写が多い。物語の主役は全員女性たちで、男性たちは気持ち悪い描写のモブしか出...

3人の語り手からなるディストピア小説。ギレアデ共和国では、女性は識字力を持てず、大まかに分けると繁殖用か、繁殖用の女性をサポートするか、”小母”のように官僚になる人生しか選べない。当然読んでいて苦しくなる描写が多い。物語の主役は全員女性たちで、男性たちは気持ち悪い描写のモブしか出てこないので、上記のような苦界の中でもシスターフッド描写が熱い。この本の中では脇役だけれども、マーサの人生だけ切り取ってももう1冊本が出せそうだ。 小母リディアの一生をかけた乾坤一擲の勝負は、『三体2 暗黒森林』の博打にも通じる壮大さだ。

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2021/02/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『侍女の物語』の続編。前作で強面であったリディア小母の秘密が明かされる。 男中心の神権政権(キリスト教の一派で「聖書」の箴言が本書に散りばめられる)であるギレアデ共和国(アメリカ合衆国をクーデタによって崩壊させて成立した)の発足当初から、男中心社会の恐怖政治の中で女性のあり方のシステムづくり(焚書によって文字を追放し、女性を生殖に関わる2つの階級「妻」と「侍女」、関わらない2つの階級「小母」と「マーサ(召使)」、唯一書物など文字に関わることのできる女性で、階級の振り分けに関わり権力に寄り添い男性中心社会に従順な次世代の女性を養成する「小母」。この「小母」がが残る3つの女性階級を支配し、「司令官」たちを頂点とする男性中心システムに忠誠を尽くす)に携わってきた元判事であった彼女の手記が本書の中心となって本書は描かれる。 また、「誓願者」(生殖を拒否した「小母」候補)若いアグネス(ヴィクトリア小母)とジェイド(デイジー、「幼子ニコール」としてギレアデ生まれだが、カナダに育ち、密使としてギレアデに送り込まれた)の手記が、立場の違う女性の考えを象徴して組み合わされる。すでに、ネタバレではあるが、これ以上はふれずに置く。 さて、前作の『侍女の物語』が映画化されたとき(1991年)よりも、インパクトをもってうけ止められたのがリバイバルされてテレビドラマ化されたとき(2017年)が問題である。アメリカ合衆国でトランプ大統領が誕生し、様々なハラスメントの前歴に飾られる最高権力者が誕生し、マスコミや女性団体からの批判を全く無視するかれは、まさに『侍女の物語』の「司令官」のように写った。また、そのような彼を批判する女性もあれば、支持する女性もあった。本作では、ギレアデ共和国成立のクーデタについても描かれるのだが、2021年1月6日のアメリカ合衆国国会議事堂襲撃事件はまさに、本書がフィクションであるにも関わらずリアリティを持つ予言的な物語であったことを示してしまった。 両書を読むべしだな!

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2021/02/10

『侍女の物語』から十数年。ギレアデの体制には綻びが見えはじめていた。政治を操る立場にまでのぼり詰めたリディア小母、司令官の家で育ったアグネス、カナダの娘デイジーの3人は、国の激動を前に何を語るのか。カナダの巨匠による名作の、35年越しの続篇。

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2021/01/25

「侍女の物語」35年ぶりの続編という事で気合い入りまくり! システムに抗う女性たちの静かなる闘い。隣国カナダを巻き込んでのプロパガンダ作戦は北朝鮮の拉致問題を彷彿とさせます。終盤の手に汗握る展開は圧巻でした。 「侍女の物語」でもほのめかされているとおり、ギレアデ共和国はすでになく...

「侍女の物語」35年ぶりの続編という事で気合い入りまくり! システムに抗う女性たちの静かなる闘い。隣国カナダを巻き込んでのプロパガンダ作戦は北朝鮮の拉致問題を彷彿とさせます。終盤の手に汗握る展開は圧巻でした。 「侍女の物語」でもほのめかされているとおり、ギレアデ共和国はすでになくなっているのですが、今作ではギレアデ崩壊前夜で終わっています。どう崩壊したのか気になるのでさらなる続編に期待!

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2021/03/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

厚労相の『産む機械』発言はまだ記憶に新し…くもないか、最早。ともあれ、カナダ人で、高齢で、女性である、というご自身の属性を最大限に活用したこの、男尊女卑のディストピア第2弾。『侍女の物語』を読み直してから読めば良かったと途中何度も思ったが、途中で止められなくて読んでしまった。 そうよね、大勢の閉経前の女を長期間軟禁すると、血塗れになるのよねー、現実現実…(-_-;)。 翻訳は鴻巣友季子。解説は小川公代。

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2021/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1985年に刊行された、侍女物語の35年越しの続編。とても良かった。 侍女の物語は、かなりざっくり言えば、一人の侍女"オブフレッド"の視点で語られる、階級&監視社会を描いたもの。 ただ、本編の後にある、歴史的背景に関する注釈を読めば、遠からずギレアデが崩壊することが示唆されている。 誓願は、ギレアデの崩壊がより間近になった物語だった。 だけど、ただそれだけではなかった。578ページの中に、3人の女性たちの生い立ちや置かれた立場、そして思考と、変わっていく状況…。 最初は別々の道だったが、それが最後に1つになっていく。その過程を辿るうち、私もアドレナリンがドバドバ出た。 それぞれの視点で物語は進んでいくのだか、どれが誰の視点なのか、はっきりとは書かれていない。だけど、語り口からそれが分かる…私はそれが、訳者の素晴らしさの一つだと思った。 侍女の物語では、完全な悪者として描かれていたリディア小母。彼女視点の話も出てくる。これがすっごく面白い。ギレアデの体制に身も心も捧げ…みたいなイメージがあったのだが、彼女の過去も語られるし、決して他には見せられない想いも語られる。時には皮肉混じりで。そこが見所の一つだと思う。 あと、妻になるための学校がどうとか、そういう側面が知れてよかった。 ちょっとした冒険譚の様なシーンもあるし、結構な章に分かれているから、ページ数の多さを感じさせずに読める。 ディストピア小説が、何故今また読まれているかとか、ギレアデで起こったことが実際に行われる、或いはそれに近いことが起こりうるかとか、そう言う難しいことは、お恥ずかしながら私にはよく分からない。 そう言った難しいことは置いといて、まずはこの物語を楽しんで欲しいと思う。 その後、リディア小母はどうなったんだろう…… 大多数の日本人の様に無宗教の私だが、ベッカのために手を合わせたいと思った。

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2020/12/02

ギレアデが崩壊したことは『侍女の物語』を読んでいたから分かっていた。リディア小母が判事の立場で物事を見ていたり、ギレアデに報復するために画策しつづけていたことには快哉!!って思う。リディア小母、只者じゃなかった。底辺と言われるような場所から脱出して判事になっただけあってものすごく...

ギレアデが崩壊したことは『侍女の物語』を読んでいたから分かっていた。リディア小母が判事の立場で物事を見ていたり、ギレアデに報復するために画策しつづけていたことには快哉!!って思う。リディア小母、只者じゃなかった。底辺と言われるような場所から脱出して判事になっただけあってものすごく強い人だった。ギレアデ、死ね!とか思うけど、こういう世界は今もあると思うし、幼妻とったりするような国は死ね!って思える。何十年もたって養鶏場近くで見つかったリディア小母の彫像とかは正直笑えた。 しかし、ベッカのためには涙します。

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2020/11/22

社会には支配する側と支配される側が存在していて、支配する側は支配する側であるという自覚があって当然だけれど、支配される側は支配される側であるという自覚がない方が幸せに生きていけるのかもしれない。一方で、一度外の世界を知ったり、今ある世界に疑いを抱いたりし始めたらー例えそれが誰かに...

社会には支配する側と支配される側が存在していて、支配する側は支配する側であるという自覚があって当然だけれど、支配される側は支配される側であるという自覚がない方が幸せに生きていけるのかもしれない。一方で、一度外の世界を知ったり、今ある世界に疑いを抱いたりし始めたらー例えそれが誰かに仕向けられてそうなったとしてもーもはや今までと同じように何も知らなかったふりをして生きていけるだろうか。知らなかったふりをするのが賢明か、命ある限り自由を手にするために闘うべきなのか、どちらかの選択肢を選ぶ必要がある。

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2020/11/21

『侍女の物語』を読んでなくても、十分楽しめるようにできていた。『侍女の物語』の続編ということしか知らずに読んだので、三人いる語り手のそれぞれの話を整理しながら読むのに初めは時間がかかった。どこがあるいはどの人が先々繋がってくるか予想できない。こういう本(能力の高い作家の長編)はい...

『侍女の物語』を読んでなくても、十分楽しめるようにできていた。『侍女の物語』の続編ということしか知らずに読んだので、三人いる語り手のそれぞれの話を整理しながら読むのに初めは時間がかかった。どこがあるいはどの人が先々繋がってくるか予想できない。こういう本(能力の高い作家の長編)はいい加減に読むと、精緻な構造やキャラクター設定を読み飛ばす可能性がある。それはもったいないので、登場人物や単語のひとつひとつを確認しながら進んだ。が、そこまで慎重にしなくても大丈夫だった。慣れてしまえば、わかりやすい。(読みやすいよう訳にも、作りにも工夫がある。) むしろちょっとエンタメ要素高めすぎでは?と思ってしまった。前作は読んでいくうちに霧の中でだんだん目が慣れてくるみたいに物語が見えてくるのが面白かったが、こちらはそういうことはなく、三つの物語が時系列に進んでいく。 個人的には、この、希望のある終わり方でいいのか、と思った。 他所から見ればディストピア状態にあっても、幸せを感じていた人もいただろう。裏はともかく、表向きは貧困も暴力(処刑はあるが)もなく、敬虔なキリスト教徒が慎ましく暮らしていたわけで、たとえトップが不正と私利私欲に塗れていても、全員がそうじゃない、ギレアデの建国精神は生きている!と考える人は残ると思う。また、こういう男尊女卑の社会を望む人もいるだろう(なんたって社会的地位が高ければ、老人でも10代の娘と結婚できるし、侍女という名の側妻も何人も持てる。能力がなくてもとりあえず女よりは上だ、と満足できる。)。その人たちを利用してギレアデを再建しようと新たな支配者が現れて内戦状態になったりとか、そういう方向性の方がリアルじゃないか?このように、スッキリ解決できるだろうか?と思った。 前作はディストピアでありながら、過去に起こったし、現在にも未来にも起こりうる内容だったので心底ゾッとしたし、アトウッドの才能にも(そんな社会に警鐘を鳴らす力にも)ノックアウトされた感じがしたが。 が、カナダでは、あるいは北米では、女性が能力を発揮して、社会を変えていくのが、リアルなのではないか。日本はいまだに女性の経営者も政治家も途上国以下だし、ギレアデみたいに、性被害にあっても「女に落ち度があった」と言われる。結婚したら姓の選択さえ許されず、ほとんどの女性は夫の姓になる。世帯主は男。若くて可愛い女性には価値があり、年取ったり、性的に放埓であると見なされた女性は価値がないとされる。ギレアデをリアルに感じるのは、日本がギレアデ的な価値観を持っているからだろう。(リディア小母が裏の権力を握ることができたのも「女であるというだけで、高位簒奪の危険人物リストからは除外されていた」P90からである。)だとすれば本作の結末の明るさをリアルに感じられないのは、こちらの問題かもしれない。

Posted byブクログ