悪い夏 の商品レビュー
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出てくる登場人物みんな自分本位で、人を利用し、騙すことに躊躇いがないクズばかり。だけど胸糞悪い小説というわけではなく、なぜか結末が気になってどんどん読んでしまう。結局、小説の中にある喜劇でもあり、悲劇を面白く読ませてもらったな、という感想。
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スピード感ある読みやすい文体で、先が気になり深夜2時まで一気読みしてしまった。 好青年だった守が次第に狂っていって、これは宮田のスカッとジャパンか?!と淡い期待をするもむなしく救いのない悲劇に終わった。 シャツが汗でべったりつくような夏の嫌な暑さを登場人物の気持ちにかけたり、ラストシーンの収拾のつかない感じを夏の豪雨で描写は秀逸だと思った。 守と愛美の絵に描いたような幸せなシーンからの転落っぷりがえげつなかった。 登場人物、みんな頭おかしくてラストシーンは暴力団の金本と山田が唯一のまともだと錯覚してしまうから恐ろしい。 不可抗力の怖さ。 今がどれだけまともであっても、些細なきっかけで堕ちるのは一瞬。一度堕ちると這い上がれない。 異性の甘い罠や薬物には手を出してはいけない。 生活保護を不正に受給する者もいれば、然るべき人が受けられなかったり、世の中は不条理なことで溢れている。 それを運で片付けて良いのか。 守が堕ちたのは、女性経験が無さすぎたから?悪いところに目を背け続けた結果? 勇太と心中した佳澄は生活保護の知識がなかったから?コミュニケーション能力がなかったから?守に引き当たったから? わからないが、私が1番恐怖を感じるのは、自分の伝えたいことが伝えられず理不尽な扱いを受けることだ。 カラフルという小説もそんな内容ではなかったか。 今ある幸せがいつ崩れるかわからない。 理不尽、不可抗力、災害、事故、不運にあった時、人はどのように立ち振る舞えばよいのだろうか。
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おもしろいし、どうなるのかすごく気になって一気読みしました。 ただ、読み終わって…何か満足感が得られませんでした。途中の高揚感は、なんだったのか不思議なぐらい、最後にそうなるのかーという気持ちにありました。読んでる私が勝手に期待していた方にいかないという点では、意外性もあり、都合よく読んでた自分の責任かもしれませんが…
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すごく気分悪くなってしまうくらい、全員クズ。全員許せない。理解できない。だけどついつい読んでしまう。 きっと世の中にはどこかでこんな狂ってることが発生してる。と考えると、後味が悪いストーリーです。
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これどうなるの?とめくる度、気になって一気に読み進めてしまった。本当にクズとワルしか出てきません。最後をきれいにオトしてくれたのが救い。最初から最後まで読み込める面白さだった。
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クズとワルしか出てこない!と帯に書いてあり、え?どう言うこと?と思ったら本当にほぼクズとワルしか出てきませんでした(笑) 面白かったです。 最後の方はもうカオスでこんなことあり得る⁉︎と思いつつも、自己中心的な彼らのやりとりはテンポが良く、思わず笑えて来ました。
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あとがきから一部抜粋します …いかに間違ってようとも、彼らなりの言い分、正義が存在するのです。… …わたしは作者として登場人物の善悪を問うようなことはしたくないのです。誰の人生も他人が裁く権利などないのですから。… この言葉に救われたような気がします
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地方都市の生活保護課職員、生活保護不正受給者、地方ヤクザ、貧困に苦しむシングルマザー、これらの人々が負の連鎖に陥り破滅していく、救いのない悲劇だけど、最後のオチも含めてこの小説は喜劇ですね。 次に来る展開が楽しみで一気に読んでしまいました。
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生活保護をめぐる小説かと思いきやの結末に驚きました。最後はドタバタ感が過ぎて、今までの話が吹っ飛んでしまいました。最後はもう少し登場人物一人一人を大切に描写してもいいのになと思いましが。いきなり高野さんが訪問するあたりなど意味が分かりませんでした。 佐々木さんに巡り合えて一筋の光が差したかのようだった愛美さんと美空ちゃんの一方でどんどんおかしくなっていく佐々木さん。薬物の怖さも描かれていました。
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面白くて一気読み! 生活福祉課でケースワーカーとして生活保護受給者を回る26歳の守。 生活保護不正受給の疑いがある、ひと癖もふた癖もある、上手の市民相手に需給辞退を説得していた。 ところが先輩職員が受給者相手にお金を巻き上げ、肉体関係を迫っていることを知り、そこからあっという間...
面白くて一気読み! 生活福祉課でケースワーカーとして生活保護受給者を回る26歳の守。 生活保護不正受給の疑いがある、ひと癖もふた癖もある、上手の市民相手に需給辞退を説得していた。 ところが先輩職員が受給者相手にお金を巻き上げ、肉体関係を迫っていることを知り、そこからあっという間に、本当におむすびコロリン並みにコロコロと転落していく。 人ってこうやって転落するんだなー。 奥手でまともな恋愛経験がない26歳公務員なんて、悪い人からすれば赤子の手を捻るように騙せるんだな。 しかし守よ、あなたは人が良過ぎ、安易に信用するんじゃない! さらに女を見る目がないよ! でも、こういう人の良さそうな人は他人を疑わずに信じてしまんうだろうなとも思う。疑問を感じたとしても、無意識か意識的か、目をつぶってしまうんだろうね。 登場人物がみんな悪い人で、イキがってて、弱者で、途中から怖いよりも笑ってしまった。 あとがきにもあったけど、本人達には「悲劇」だけど、私には「喜劇」だった! 最後のオチは最高!! 中でも高レベルの悪人である金本のセリフには唸った。 『今の日本の劣悪な就労環境で、自力で生計を立てようなんてのがまずおかしいと思わないか。底辺の人間が職に就いても得られる給与は生活保護より低いのが現実だろう。最低限の社会保障すらない。(中略)つまり世間は、『生活保護を貰ってる奴らは、楽して金を得てずるい』ではなく、『一生懸命働いてるのに生活保護世帯よりも安い賃金しか貰えない社会はおかしい』と考えるべきなんだ。どうだ、批判の矛先は国に向かなきゃ嘘だろう。』P320 タイトルの「悪い夏」。 誰にとっての悪い夏?悪いのは夏の暑さではなく、人や社会だよね。
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