悪い夏 の商品レビュー

染井為人(著者)

2022/04/07

清々しいほど登場人物がクズばかり。

数少ないまともな方だった守と古川佳澄は残念な末路をたどるし、更生しかけた愛美も結局は金本たちのいいなりになるし、とどめは宮田有子のカミングアウト。

話の展開も、守と愛美がいい感じになってポジティブな雰囲気が出てくるものの、やっぱりみんな不幸になる結末。

救いがなさすぎて読んでいて鬱になるかと思いきや、意外なほどそうはならず。世界が違いすぎて、現実味を感じられていないだけかもしれませんが、何かの拍子で同じ状況に陥ったらと思うと、ちょっと薄寒いものを感じます。

それにしても、主要人物たちが集まっての大団円は彼ら的には全員ヤバい状況にもかかわらず、読んでいるこちらは不思議と笑いが込み上げてきたのが不思議。

なぜ笑えてきたのかわかりませんが、いろんな要素ががっちり歯車が噛み合っての神展開だったところがその要因なのかな。高野のおまわりさんコスプレがあのような形で活きてきたところは、ほんとに神ってると思いました。

2022/04/04

#読了 読書中も読了後も、最悪な気分の小説だった。それでも読むのをやめられず、「クズしかいねぇ！」と思いながら読了してしまったんだから、まさに人様の悲劇は遠くから見れば喜劇なのだろう。

2022/04/03

ワルの連鎖。それは社会が招いた人間の弱みにつけ込んでいるからでもあって、今という時代を風刺しているようでもある。
気付かされるのは、ちゃんと生きなきゃいけないというシンプルな事。ちゃんとって何だろうとは思うけど、しっかり稼いで、気持ちを整える。けれど、気持ちを整えないと、しっかり稼げない。ちゃんとは、その均衡を大事にする事だと思う。
ワルばかりだけど、真っ直ぐ気持ちを向けることの大事さもほんの少し触れられていて、それが生きる上での救いでもある事が見え隠れする。そんな意味で、絶妙に正と悪バランスをとっている壮絶な本。

2022/03/31

少なくとも今までの自分にはまったく関係のない世界だしこの先も関わりたくない世界。
全く読むことをオススメできない見事なまでにダメな人間しか登場しない、読み終わって何が得られたのだろうと考えてもひとつも思いつかないし気分は最悪、それでも途中挫折することなく一気に読み切ってしまったそういう意味ではすごい。
次は穏やかな気持ちになれる本にしよう。

2022/03/29

感動等はまったくないけど、最後まで読んでよかった本
そういう展開なんだなぁと
しかし、実際にこういう人たちいますよね…
社会的弱者という意味ではなく、道理の通っていないことをあたかも正論かのように押し付け、都合が悪くなると被害者側の意見にすり替える
本人たちはそれを改善しようともせず、ただ文句を言う
関わらないでおきたい…

2022/03/27

んー複雑w

出てくる奴全員が本当にクズでシンプルに嫌な気持ちになったのが、序盤から中盤あたりの内容だったと思う。
後半にかけての物語の展開はスピード感がありつつも、一人一人の心情が細かく表現されていたから、情景が浮かびやすく、面白かったです！
総じての内容は面白かったんだけど、中盤までは物語の終着点の予想が全然つかなくて、僕には読む気力が足らず何度か本を置いてしまったことを考えて星３つで...

2022/03/24

よくある生活保護の不正受給を題材にした社会派のストーリーかと思っていたら、ただただ人生を転落していく内容の話だった。
あとがきにある作者の意図には、なるほどと共感。確かに最後は、悲劇がどことなく喜劇に感じられたりして。
出てくる人物は確かにクズばかりで、読んでいて気分は悪くなる一方、その先が気になってページ捲りが捗る捗る。他人事だから覗いてみたくなる心理が見事に出てしまい、一気読みしてしまいました。
精神衛生的にはよろしくないけど、こうゆう話は嫌いではない。普通におもしろかった。

2022/03/15

やはり悪は注意深く拒んでいかないと大変な事になるんだな。純真な佐々木青年が破滅に向かっていく姿は痛ましいとしか言えないが、作者後書きにあるように傍目から見れば喜劇に映るわけで。

寂れた田舎町特有の空気感とか、かつて観た様々の映画にも同様のモチーフがあるので目新しさは無かったけれど、俯瞰して見るには好きな舞台よね。なんとなく町全体に漂うカビ臭さといくか。

タイトル通り悪い人ばっか出てくるけど、それは今で過去からどうして今になってしまったのか背景が丁寧に描かれていて読みやすかった。

こんな世界には巻き込まれたくないな。

2023/04/27

生活保護をテーマに扱った作品！

本当に悪い奴らが登場人物として登場！

山田：生活保護受給者、腰を痛めたタクシードライバー、小狡い
イラッとするレベル★★★

矢野：生活保護受給者、老人女性、元水商売、実は息子(会社社長)からの援助を受けている
イラっとするレベル★★

愛美：生活保護受給者、１０代で出産、ネグレクト、子供に八つ当たり、ヘビースモーカー
イラっとするレベル★★

莉華：生活保護受給者、元ヤンキー、ヤクザの恋人、ネグレクト、しつこい、自己中
イラっとするレベル★★★★★

高野：最低公務員、ケースワーカー
イラっとするレベル★★★★

宮田有子：正義の刃を振り翳す公務員、ケースワーカー、行き過ぎな正義
イラっとするレベル★★

金本：経済ヤクザ、キレ者、キレやすい
イラっとするレベル★★★

主人公の佐々木守は、同僚のケースワーカーが生活保護の打ち切りをチラつかせ若い女性に肉体関係を迫っている事を知る！
守はその女性を訪ね、そこから足を踏み外していくのだが・・・

生活保護の問題点について考えさせられた。

2024/02/20

Kindleにて読了。

生活保護の不正受給者vs福祉事務所…
のはずが・・・とにかくドタバタ劇です。
為井さん自身、『悲劇』か『喜劇』か…とおっしゃってますが正しくですね。
最後のドタバタ、他人事ながら（当たり前ですが）楽しく読めました。