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悪い夏 の商品レビュー

3.8

337件のお客様レビュー

  1. 5つ

    61

  2. 4つ

    141

  3. 3つ

    103

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  5. 1つ

    3

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2024/01/08

『テスカトリポカ』の感想で書いていたオーディブルで同時視聴していた作品がこちらです。 実はオーディブルで聞いている作品はもっと有るのですが面白くない作品はすぐ忘れるのでブクログには書いていません。この辺りがオーディブルの個人的な弱点なのですが、本作は面白いという表現が出来ないので...

『テスカトリポカ』の感想で書いていたオーディブルで同時視聴していた作品がこちらです。 実はオーディブルで聞いている作品はもっと有るのですが面白くない作品はすぐ忘れるのでブクログには書いていません。この辺りがオーディブルの個人的な弱点なのですが、本作は面白いという表現が出来ないのですが凄い作品でした。 何が凄いって登場人物に対してクズやん!って思っていたらそのクズを凌駕するクズが出てきて、クズがそのクズに辟易してるけど、こっちも忘れかけてたけど君もクズだからね?!となるんです。 何を言ってるか分からなくなって来ましたが本当にこんな状態です。 最後までこんなにも精神的にしんどかった作品は久々。これは読むその時の状態にもよるとは思うんですが、人が転げ落ちる時は早い上に際限なく落ちていくんだなと言う事がリアルに感じられてしまい、という事は染井さんの筆力が素晴らしいという事なのですが『正体』もオーディブルで聴いてしまっているんですよね。なので余計に身近に感じてしまい正直ゾッとしました。そして盛大に心が折れました。 生活保護受給者が何人も出て来るのですが、それぞれ理由はあると思うのですが誰1人同情出来ません。そこを見回るケースワーカーにすらクズがいるので目も当てられない状態に。 弱者を食い物にするヤクザの金本が放った言葉が強烈です。「一生懸命働いてるのに生活保護より低い賃金しか貰えない社会はおかしいと考えるべきなんだ」 こんな風に考える人がいるから仕方なく保護を受けてらっしゃる方まで白い目で見られますし、でも本作に出てくるような怠けだけで受給してる人もいるのも事実なんだろうなと思うと考えさせられ過ぎて頭がパンクしそうになって疲れたという訳です。 もうこのクズアベンジャーズがどこまで落ちようが良いんですが、1人だけ本当に幸せになって欲しい女性が居ました。 夫を事故で亡くしシングルマザーとなった佳澄です。幼い息子が健気で2人でどうにか幸せになって欲しいと願っていたのに、佳澄が相談したケースワーカーの佐々木の不運と重なったせいで私の心がポキッと折れた音がしました。 佐々木…床をゴロゴロ転がっている場合じゃないですよ…。(このシーンも凄いのでこれから読まれる方は楽しみにされて下さい。1周回って笑えてきます) 同じくシングルマザーの愛美はまあ同情の余地がありますが、彼女が1番リアルで怖かったです。 何より怖かったのは1歩間違えれば私も彼らのようにならない保証は無いという事です。 どこかで躓いて道を絶たれてそのまま踏み外して転げ落ちる可能性はゼロじゃありません。 これを映像化するのはかなり思い切った決断だとは思いますが、確かに今見ておくべき作品だとも思いました。 本を読まない方々の目に触れる機会も増えますし、これを見てどう感じるかはその方次第ですが、私は盛大に心が折れました(再三書く程に折れました) こうなったら佐々木の転がる姿を想像して自分も転げ回ってみようと思います。

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2024/01/06

2024/1/6 読了 読むのがしんどかった、、。救いがなくて、読み終えることができるか不安やったけど、面白いから読めた。2度目はしんどいなー。

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2024/01/04

後味の悪い話で、生活保護のあり方とケースワーカーの仕事について考えさせられる。最悪の結末になる展開が予想され、読み進めるのを躊躇うが、なんとか最後までたどりつけた。

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2023/12/30

最悪な人間たちしか登場しないが、これはどこかの現実であり、明日は我が身かもしれないと思うと、やっぱり最悪。

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2023/12/25

著者、染井為人さん(1983~)の作品、ブクログ登録は2冊目になります。 本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめよう...

著者、染井為人さん(1983~)の作品、ブクログ登録は2冊目になります。 本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外して―。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へ叩き落とす!第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作。 ---引用終了 著者の作品を読むのは2冊目ですが、どちらの作品も私の知らない世界に連れて行ってくれました。 本作では、生活保護受給を扱っていること。 そして、前に読んだ『正義の申し子』では、ユーチューバーを扱っていることです。

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2023/12/14

小さい頃からずっと、サバンナで生きる動物たちのドキュメンタリー番組が苦手だった。逃げるシマウマやキリンたちに、ライオンが襲い掛かるあのシーンが。生きるためなんだから、勿論ライオンに罪はない。でもそれは食べられるほうだって一緒だ、罪はない。 ただ弱いというだけで、何故あのような苦し...

小さい頃からずっと、サバンナで生きる動物たちのドキュメンタリー番組が苦手だった。逃げるシマウマやキリンたちに、ライオンが襲い掛かるあのシーンが。生きるためなんだから、勿論ライオンに罪はない。でもそれは食べられるほうだって一緒だ、罪はない。 ただ弱いというだけで、何故あのような苦しみと痛みを負う立場になってしまうのか。子ども心にそれが辛くて悲しかった。 役所でケースワーカーの仕事をしている佐々木守は26歳。彼の業務内容は、生活保護の申請対応、受給者の家庭訪問や自立支援など。小鹿のように華奢な守は、真面目で優しい青年なのだ。 ある日彼は同僚の宮田という女性から、同じ課の先輩社員が担当区域の生活保護受給者の女性と、不適切な関係を持っている疑いがあると打ち明けられた。確かにその先輩は、そういうことをしそうな雰囲気がある。ことの真偽を一緒に確かめようと宮田に言われ、あまり気が進まないながらも調べてみることになった。 守は先輩のことを調べ始めたことがきっかけで、最悪なことに巻き込まれていく。本当に恐ろしく、底なし沼のような状況に追い込まれてしまう。そこに行きつくまでには、ちょっといい感じのこともあるから、余計にその後の転落ぶりが酷い。 いい人が不幸になってしまう救いようのない話を読むのは、とてもイヤなんだよ。 うさぎは鷲に食べられないで欲しいし、子猫がカラスにさらわれてしまうのは耐えられない。 以前この著者の『正体』という小説を読んだとき、あとがきがよかったことを思い出して、今回も目を通してみた。 「人生は近くから見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」というチャップリンの名言から始まるあとがきは、著者の自身の作品に対する思いが綴られている。 創作した小説はあくまでも小説、エンターテインメントであって実際に起こったことではない。 守の末路を最後の最後でフッと笑ってしまったことに対して、わたしは自分を極悪人だと責めなくてもいいんだ。 今後も、この著者の描く「悲劇」と「喜劇」を楽しみにたくさん読むと思う。

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2023/11/19

第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作。  市役所の職員として生活保護受給者(ケース)と向き合う仕事をしている26歳の佐々木守。悪い噂のある同僚とは違い、自分は真面目に、時には不正受給者とも根気よく面談を続けて処理しているつもりだった。しかし、1人で娘の美空を育てるシングルマザ...

第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作。  市役所の職員として生活保護受給者(ケース)と向き合う仕事をしている26歳の佐々木守。悪い噂のある同僚とは違い、自分は真面目に、時には不正受給者とも根気よく面談を続けて処理しているつもりだった。しかし、1人で娘の美空を育てるシングルマザー・林野愛美(はやしのあいみ)に出会ってしまってから、人生は思わぬ方向に傾き始める。  ミイラとりがミイラの典型というか、はたから見るとなんでそんな女にひっかかるんだろうと思うけど、転落していくのはあまりにも簡単で、物悲しい。アウトローな世界も描いているわりには読みやすかったけど、最後のシーン、登場人物がほぼ全員集まってのやりとりはそこでのセリフの通り、「いったい、今日はなんなのだろう」状態。全てが同時におこるごった返し状態で、結末に困った?と思ってしまった。

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2023/11/10

なかなかの筆力!役所のリアル、生活保護者のリアル、麻薬売買のリアル、すべてにリアリティーがあり、しっかり取材されているのではないだろうか。表面的ではなく、こういう人物ならこの時こう考えるだろう、というのが非常に的確。今も自分の住む町の片隅でこんなことが行われているのでは…と引き込...

なかなかの筆力!役所のリアル、生活保護者のリアル、麻薬売買のリアル、すべてにリアリティーがあり、しっかり取材されているのではないだろうか。表面的ではなく、こういう人物ならこの時こう考えるだろう、というのが非常に的確。今も自分の住む町の片隅でこんなことが行われているのでは…と引き込まれる。途中から話はだんだん恐ろしい方向に舵を切り、ページをめくるととんでもないことが書かれていそうで、読み進めるのが怖くなってくる。読後感が悪い、いわゆるイヤミス作品。貫井徳郎が重めのイヤミスなら、染井為人は軽やかなイヤミスだろうか。軽やかゆえに、よけいゾクっとするのだけれど。他作品も読んでみたい。

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2023/10/25

202307/これが初染井為人。面白すぎてこれきっかけで染井他作品を一気読みに至る。 好き:悪い夏、震える天秤、正体 苦手:正義の申し子

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2023/10/22

途中から誰一人として救われないのでは、と思いながら読んでいて、案の定最初から最後まで救いようのない話だった(誉めてる)。 読後感は最悪(誉めてる)。

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