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刑事何森 孤高の相貌 の商品レビュー

3.8

35件のお客様レビュー

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2021/05/25

〈デフ・ヴォイス〉シリーズに登場する何森(いずもり)刑事を主人公にしたスピンオフ作品。 ということだが、第三作「慟哭は聴こえない」しか読んでいない私には誰だか分からない。…と思ったら、あとがきにて「慟哭は聴こえない」の第三話が何森視点だったと書いてある。自分の記憶力に失笑。 二...

〈デフ・ヴォイス〉シリーズに登場する何森(いずもり)刑事を主人公にしたスピンオフ作品。 ということだが、第三作「慟哭は聴こえない」しか読んでいない私には誰だか分からない。…と思ったら、あとがきにて「慟哭は聴こえない」の第三話が何森視点だったと書いてある。自分の記憶力に失笑。 二編の短編と一編の中編が収録されているが、いずれも何かしらの障害や病気を負っている人が関わった話になっている。 これまたあとがきで知ったが、作家さん自身重い障害を抱えるご家族がいるとのこと。そうした環境が〈デフ・ヴォイス〉シリーズや本作などのアイデアになっているのかも知れない。 主人公の何森は裏金作りの領収書作成を拒否したことから出世も望めず組織からも距離を置かれているらしい。大沢在昌さんの新宿鮫シリーズの鮫島よりは軽い感じだが、なかなか辛い状況でちょっと引く。 しかし元々何森は我が道を往くタイプの刑事のようで、そんな状況にめげてない。 第一話「二階の死体」では担当外の捜査にガンガン突き進むし、ちょっとスタンドプレー気味にも見える。しかし相棒の間宮も何だかんだで付き合うのだからもしかして出世狙い?と思ったらとんだくわせ者。 事件の方は途中で想像がつくが、何とも陰鬱な気持ちにさせられた。もしかして交通事故も関係者の頑なな精神状態が関係して?と思ったら違っていた。 それにしてもこの場合、刑務所に入るのか?それとも医療刑務所? この後、裏金事件は現実同様明るみに出る。〈デフ・ヴォイス〉シリーズの荒井がなぜ女性刑事と出会ったのか、その疑問が解けた。一方何森は更に窮屈になる。 第二話「灰色でなく」は、現実にも似たような事件があったのを作中にも挙げている。取り調べに問題があるのは論外だが、こうした人が家族や身近にいたらハラハラする。一方で横山秀夫さんみたいな裏をかいた話も期待してしまった。 ここでも何森はスタンドプレーをやってしまう。刑事であると同時に組織の一員でもあるのだから、もう少し上手くやれないかと思う。荒井の妻みゆきとのコンビは良い感じだが、何森がまた左遷される一方でみゆきが出世するのはモヤモヤする。 第三話「ロスト」は銀行強盗の実行犯の一人が記憶喪失のまま刑期を終え出所してからの話。 こちらは横山秀夫さんチック。ただ横山さんならもっと容赦のない結末にするだろう。 個人的にはこの結末は納得行かなかった。まるで美談のような描かれ方だが、この人は沢山の人たちの良心や恋心までを利用し踏みにじり間接的ではあるが人の命まで奪った。強盗した二億円だって返ってこない。お金は保険金で保障されても、奪われた側は何らかの責任を取らされたはず。 この犯罪で救われた人がいても、そのために大罪を犯したった七年の刑期で済ませた。この後も大した罪に問われないのだろう。計算し尽くした卑劣な犯罪だ。 警察としても犯人の本当の卑劣さに目を瞑った。何森でさえも。そして何森は窮屈な世界から解放される。それで良いのか、何森。やはり納得いかない。 どうもこの作家さんとは合わないようだ。色々考えさせられるところはあるが、物語としては共感出来ないところが多い。 ※「慟哭は聴こえない」レビュー https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4488027970#comment

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2021/01/26

デフ・ヴォイスシリーズで渋い存在感を放つ何森刑事を主人公にしたスピンオフ作品。どんな部署に回されようと、書類仕事をさせられようと、決してブレない何森さん。そして、煙たがられている何森をサポートするみゆき、2人の正義に対する姿勢が大好きです。障害や病気をテーマにする事で苦言を呈する...

デフ・ヴォイスシリーズで渋い存在感を放つ何森刑事を主人公にしたスピンオフ作品。どんな部署に回されようと、書類仕事をさせられようと、決してブレない何森さん。そして、煙たがられている何森をサポートするみゆき、2人の正義に対する姿勢が大好きです。障害や病気をテーマにする事で苦言を呈する人もいるようですが、『もっと読みたい中毒』をおこす丸山さんの小説の良さは事件の背景となるストーリーがめちゃくちゃイイ所なんじゃないかと思うんですよね。丸山さんには頑張って何森さんのシリーズも重ねていって頂きたいです。

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2020/12/13

三作品あるが、ダントツに長い最後の作品が1番良かった。もともと、手話関連で手にした作品をきっかけにこの作者を知り、機会あってサインをいただく時に少しだけお話しすることもできた。 私の中ではデフボォイスが不動の一位だが、手話があまり出てこないこの作品も気に入り、またこの方の作品には...

三作品あるが、ダントツに長い最後の作品が1番良かった。もともと、手話関連で手にした作品をきっかけにこの作者を知り、機会あってサインをいただく時に少しだけお話しすることもできた。 私の中ではデフボォイスが不動の一位だが、手話があまり出てこないこの作品も気に入り、またこの方の作品には注目していきたい。 ラストのあたりで出てくる手話のやりとりも微笑ましかった。

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2020/12/08

12月-5。3.5点。 デフ・ヴォイスシリーズに出てくる、刑事何森が主人公。短編2編と中編1編。 荒井も出てくる。3編とも、社会的弱者がテーマ。 暗くなりすぎず、わかりやすい。

Posted byブクログ

2020/11/21

二作の短編と書き下ろし作品の三作品の構成。初読作家であったが惹かれる何かを感じた。主人公何森刑事に託された人物像に同化し、その心情がまた孤独の哀愁を漂わせる。『ロスト』では自己防衛のための忘却という手段が齎す副作用の効用が読みどころか。

Posted byブクログ