沖晴くんの涙を殺して の商品レビュー
よくこんな不思議な設定を思いつくなと感心して読みました。 青春なんだけれどままならない物語を書くのが相変わらずうまいので、主人公の京香の葬式のシーンから始まる導入部から一気に引き込まれました。 笑顔以外の表情の無い沖晴が、どうやって感情を取り戻していくのか、興味を持ちながら読んで...
よくこんな不思議な設定を思いつくなと感心して読みました。 青春なんだけれどままならない物語を書くのが相変わらずうまいので、主人公の京香の葬式のシーンから始まる導入部から一気に引き込まれました。 笑顔以外の表情の無い沖晴が、どうやって感情を取り戻していくのか、興味を持ちながら読んでいましたが、次第に彼の悲しい境遇に入れ込んでしまいますね。 京香を失った沖晴がどうやって大人になって、どうやって生と死に折り合いをつける事になるのか。最後まで読むとこみ上げてくるものが有ります。
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死神との取引、無くした感情を取り戻す、など設定は現実から少し離れているようにも見えるが、死とがっぷり四つに組んだ内容で心に響く。大切な人と共にあることの喜びとその人を失う寂寥、沖晴くんと京香の関係の変化でうまく表現していた。周りの人たちも素敵で特に祖母の魔女さん、あっぱれです。 ...
死神との取引、無くした感情を取り戻す、など設定は現実から少し離れているようにも見えるが、死とがっぷり四つに組んだ内容で心に響く。大切な人と共にあることの喜びとその人を失う寂寥、沖晴くんと京香の関係の変化でうまく表現していた。周りの人たちも素敵で特に祖母の魔女さん、あっぱれです。 最後の、貴方に話したいと思うことをたくさん積み上げながら、生きていくよ。という言葉、物語の余韻と共に忘れがたいです。 舞台は須磨から明石辺りでしょうか?表紙裏表紙も良かった。
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津波で家族を失った沖晴は、自分も津波にのまれそうな中で、死神に生かされた。 命の代わりに、喜び以外の全ての感情を取り上げられて。 高校生になり、突然に感情を取り戻し始め、人間らしくなっていく沖晴だが、悲しみを取り戻した時に、過去の感情はどう襲ってくるのか…読みながら苦しかった。
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“踊場京香の葬式は、階段町の山頂付近にある小さな斎場で行われた。” こんな書き出しで始まる、踊場京香と、志津川沖晴の物語。 大津波が家族全員をさらっていったあの日、死神と取引して《喜び》以外の感情を差し出したかわりに、ひとり生き残った沖晴。 乳がんで余命宣告を受け、故郷に帰ってきた京香。 そうとは知らず出会った京香との日々で、沖晴は少しずつ《嫌悪》《怒り》《悲しみ》《怖れ》の感情を取り戻していくのだが… “嫌悪が、怒りが、悲しみが、怖れがあるから、人間は過去と現在と未来を生きることができると言った彼女に、聞いた。 彼女は、こう答えた。 ー喜びは、今この瞬間を沖晴君が愛している証拠だよ。” 【最高の感涙小説】なんてあおり文句が気にいらなくて、読むのを先延ばしにしていた。 けど、額賀澪ファンとしてそういうわけにはいかないと気合を入れて読み始め、それはもう…どうにもならず一気読みさせられ、泣かされてしまった。 人が今、今日のこの日を生きていることは、なんてかけがえのないことだろう。 奪われた命をつなぎ止められなくて、生きているほうに、たまたまいる今の自分を責めて苦しむ人に。 ネガティブな感情を持つことを悪いことのようにされて、喜びも失ってしまった人に。 自死を選ぼうとしている人に。 ぜひ、読んで欲しい。
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津波に巻き込まれ、死神と「喜び以外の感情を奪われる」という取引を行うことで、命が助かった沖晴と末期がんと宣告された京香の話。 冒頭で京香の葬式が描かれていたので亡くなるのは分かっていたのだが、京香が魅力的で死なないで欲しいと思ってしまった。 震災が被災者に与えた傷は私には想像しかできないが、感情を失くすほどの傷を持つ人はまだいらっしゃるのだろうと思うと自分には何ができるのだろうと考えてしまった。
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広島に住んでいるからと購入した。 感動する気持ちは分かるが、涙するほどではない。 好きな場面は、沖春が自分に「怖い」という感情がないことを確認するシーンである。 命の代償として失われた感情が戻って来てはいないかと確認している事で、初めて沖春本人が一番辛いことが分かった。
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タイトルと ジャケットのデザインと 「最高の感涙小説」というコピーに 「えー?ホントにー?? よくあるやつじゃないのー??」少し 斜に構えて読み始めたけれど... まんまと やられた ファンタジーではあるし 青臭くもあるのかもしれない でも 辛い気持ちにきちんと向き合う 不...
タイトルと ジャケットのデザインと 「最高の感涙小説」というコピーに 「えー?ホントにー?? よくあるやつじゃないのー??」少し 斜に構えて読み始めたけれど... まんまと やられた ファンタジーではあるし 青臭くもあるのかもしれない でも 辛い気持ちにきちんと向き合う 不安な未来を ちゃんと見つめる 煩わしくても 周囲の好意に感謝する 大事なコトがたくさん描かれている 大切な人を失った経験のある人に読んで欲しい 素敵なお話でした
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喜び以外すべての感情を失った少年が、1人の女性と出会い失った感情を少しずつ取り戻していく……。背景には10年ほど前に日本を襲った未曾有の災害があり、彼と心を通じる女性にも秘密がある。少年は一種の“超人”として描かれているが、その理由はスーパーナチュラルなものだ。ある現象がなければ...
喜び以外すべての感情を失った少年が、1人の女性と出会い失った感情を少しずつ取り戻していく……。背景には10年ほど前に日本を襲った未曾有の災害があり、彼と心を通じる女性にも秘密がある。少年は一種の“超人”として描かれているが、その理由はスーパーナチュラルなものだ。ある現象がなければ少年の悲惨な体験が生み出した妄想と思えてしまう。作者が敢えてそこに踏み込んだことを評価したい。いわゆる“喪失と再生”ものだが、彼にはさらに過酷な運命が待ち受けている。わかりきった結末を変えられない現実、生と死の明暗に涙があふれた。
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沖晴は、勉強もスポーツもパーフェクトで常に微笑んでいる。周りから浮いていた沖晴には、辛い過去があり… 京香と出会った事によって、人間らしさを取り戻していく沖晴がとても愛しかったです。あんな悲惨な体験をしていて普通で居られる訳がない。それでも前へ進もうとしている周りから置いていかれてしまった沖晴と、死期が迫っている京香。真逆の二人だったからこそ生きる意味を見出せたのかもしれないですね。 京香の元彼の冬馬と、奥さんの陽菜との出会いも良い方向へ進めて良かったです。産まれてくる瞬間に出会えてようやく光が見えた気がしました。
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