沖晴くんの涙を殺して の商品レビュー
怒りや悲しみ、嫌悪、恐れといったネガティブな感情があるからこそ、人は日常の中で幸せを感じられるんじゃないかなと思った。 人間がちっぽけな存在に感じられるくらい大きくて怖くて暗かったであろう津波に、家族や家、地元、日常を一瞬で奪われたその悲しみを高校生の背中では背負いきれなかった...
怒りや悲しみ、嫌悪、恐れといったネガティブな感情があるからこそ、人は日常の中で幸せを感じられるんじゃないかなと思った。 人間がちっぽけな存在に感じられるくらい大きくて怖くて暗かったであろう津波に、家族や家、地元、日常を一瞬で奪われたその悲しみを高校生の背中では背負いきれなかったんだろう。怒りや悲しみ、嫌悪、恐れといったネガティブな感情を感じられなくなった沖晴くんが人の優しさに触れて感情を取り戻していく姿に感動した。
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没頭して数時間で読んでしまった。大切にしたい言葉を、思いを、教えてもらった気がする。 "喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、恐れ"、人間は五つの感情を持っているが、"喜び"以外の感情を失った沖晴が主人公。余命1年の京香との出会いが沖晴を変えていく…...
没頭して数時間で読んでしまった。大切にしたい言葉を、思いを、教えてもらった気がする。 "喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、恐れ"、人間は五つの感情を持っているが、"喜び"以外の感情を失った沖晴が主人公。余命1年の京香との出会いが沖晴を変えていく…という物語。 読んでいてすごく綺麗だなぁと思った。 文章?世界観?表現?何かはわからないんだけど、とにかく綺麗って思った。 死を扱うので、明るくて楽しい!って物語ではないけど、全てを抱きかかえて、前を向いて進んでいく沖晴に勇気をもらえる作品です。
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こんな感情なんていらないって思うことがあるけれど、その感情があるからこその自分だし、過去から未来へと思いを繋げられるのかもしれないと思いました。喜びも悲しみも怒りも憎しみも、全て大切。その感情は、自分以外の誰かがいないと起きないもの。
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8歳の頃、東日本大震災による津波で心に大きな傷を負った志津川沖晴の再生と自立を描いた作品。 * * * * * こういう切り口があったのかと思いました。 沖晴を小学校まで迎えに来たために津波に飲み込まれ命を失った両親。沖に流されながらも死ななかった沖晴。 ...
8歳の頃、東日本大震災による津波で心に大きな傷を負った志津川沖晴の再生と自立を描いた作品。 * * * * * こういう切り口があったのかと思いました。 沖晴を小学校まで迎えに来たために津波に飲み込まれ命を失った両親。沖に流されながらも死ななかった沖晴。 そんなショックからの被災者の立ち直りを描いたものは多い。 けれど、これぞ額賀さんの本領だと感心したのは17歳の沖晴に用意した次の2点です。 まず、死神(登場させないのは気に入った)との取引で喪失した人間らしい感情を、ひとつずつ取り戻していく(パーツを取り戻すという点では『どろろ』の百鬼丸に似ているが)という物語の骨格。この意表をついた展開はいかにも額賀さんらしい。 次に、沖晴の再生を助ける役回りに、余命1年を宣告された京香を持ってきたという設定。 京香だからこそ伝わる生きることの重み。沖晴が京香から受け取った1年間の命の灯火。発芽した人間らしい心を、以後の人生で9年のブランクを埋めるかのように成長させる沖晴。その展開には説得力がありました。 変化球と直球でうまく緩急つけた描き方は額賀さんならでは。なかなか他の作家ではできないと思います。秀逸でした。
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感情がなくなった沖春くんが感情を取り戻していく様子がなんとも言えない虚しさありつつ人の優しさに触れていくストーリーがいい
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生き残って苦しい、そう言われてしまったら。 徐々に感情を取り戻していくのだけれど、苦しくても悲しくてもやはりそれは必要な想いなのかもしれない。
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なんだろう、読み終わってどこが良かったかを考えるとその場面は思いつかないんだけど、ただ2人の関係性が愛おしかった。
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余命1年と宣告され実家に帰ってきた元教師 京香と、9年前の津波で感情を喪った高校生 沖晴 、ふたりは出会い、奇跡の「生」を駆け抜ける青春ローファンタジー 沖晴がひとつ、またひとつと感情を取り戻してゆくのが、読む立場によっては、辛く感じるかもしれない なのでそこは少し気をつけたら...
余命1年と宣告され実家に帰ってきた元教師 京香と、9年前の津波で感情を喪った高校生 沖晴 、ふたりは出会い、奇跡の「生」を駆け抜ける青春ローファンタジー 沖晴がひとつ、またひとつと感情を取り戻してゆくのが、読む立場によっては、辛く感じるかもしれない なのでそこは少し気をつけたらいいかなと思いました 生命の鼓動がきこえる作品です
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
上っ面の喜び以外の感情を喪って、代わりに人の羨む能力を身につけた主人公が、自分をさらけ出せる大切な人と出会うことで、ネガティブな感情を取り戻して生きていく物語。 主人公に痛いほど共感した。 私も知っているから。 喪失感を伴う大きな絶望は、笑顔を連れてくることを。その真っ暗なものとひとりで向き合えば、引きずり込まれて戻ってこられないから。泣いたり悲しんだりできるのは、引きずり込まれたときに引き戻してくれる誰かが、そばに現れてからだと思う。
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よくこんな不思議な設定を思いつくなと感心して読みました。 青春なんだけれどままならない物語を書くのが相変わらずうまいので、主人公の京香の葬式のシーンから始まる導入部から一気に引き込まれました。 笑顔以外の表情の無い沖晴が、どうやって感情を取り戻していくのか、興味を持ちながら読んで...
よくこんな不思議な設定を思いつくなと感心して読みました。 青春なんだけれどままならない物語を書くのが相変わらずうまいので、主人公の京香の葬式のシーンから始まる導入部から一気に引き込まれました。 笑顔以外の表情の無い沖晴が、どうやって感情を取り戻していくのか、興味を持ちながら読んでいましたが、次第に彼の悲しい境遇に入れ込んでしまいますね。 京香を失った沖晴がどうやって大人になって、どうやって生と死に折り合いをつける事になるのか。最後まで読むとこみ上げてくるものが有ります。
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