あきない世傳 金と銀(九) の商品レビュー
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前巻の感想で >かんにん、の書き置き。干支の小紋染めの型の紛失。 結、結。お願いだから、後戻り出来なくなるようなことはしないで! ・・・・早く、次巻を読みたい。 と書いた。こうなってしまうのではないかと思いながらも、そうでないことを祈っていたが、やはり、最悪な結果になってしまった。とても悲しい。 どなたかのレビューでも書かれていましたが、結には、これまでも、少し「あれ?」と思う言動があった。ただ、それは大きな出来事ではなくて、ちょっとした甘さというか弱さというか。そんなことだった。よく捉えれば無邪気で可愛らしい妹気質な性格(と私は感じていた)。 だけど、音羽屋のもとに行くだけじゃなく、型紙まで持ち出してしまうなんて。 結は五鈴屋で幸の、賢介たち奉公人の何を見てきたのか。よくも、そんなことを。 「姉さんには心がない」よくもそんなことが言える。 それでも、最後まで結の翻意を願い、「音羽屋は型紙を『土産』と言ったけれど、とんでもない誤算です。あれは用い方次第で、あなたを追い詰めもすれば、『嫁資』としてその立場を守りもする。今後は自分の力で、才覚で、しっかりと生き抜きなさい」と言った幸。この言葉の持つ重さと意味を、結が分かる時が早く来て欲しい。 それ以外にも、今作では、五鈴屋が呉服仲間を外され、呉服を商えなくなったり、辛いことが多すぎた。 だけれども、やはり、幸には、数々の困難を乗り越えてきた、才能と知恵と心の強さ、そして、人柄で築いてきた人脈・友・懇意にしてくれる客がいる。そんな客の一人、儒学者の弥右衛門が、与えてくれた言葉。 『哀颯的景象 就在盛満中 發生的機緘 即在零落内』 「『菜根譚』では、このあと、『だからこそ、君子たる者は、安らかな時には 油断せずに一心に堅く守って次に来る災難に備え、また、異変に際した時には あらゆる忍耐をして、物事が成るように図るべきである』という内容に続く のです」 『手酷い目に遭って、まさに零落の心持ちだった。どう足掻いても沈むばかりで 浮上できそうもない、と思っていた。だが、新たな芽生えは既に在る、と学者は 言う』 辛いことの多かった今作。だけれども、大阪に戻った時のこと、最後に出来た新しい型紙。『一条の光』が見えてきた。 やっぱり、早く次巻を読みたい。
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110結ちゃんの本音が分かるのは次巻なのかなあ。厳しい逆風ばかりの連作で、面白いけど実はチョットしんどくなってきているのは事実。
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いつもながら一難去ってまた一難という展開.でも人間の絆は困難な時を共にすることで深まるということがよくわかる,五鈴屋の奉公人の強い結束力や商いで繋がって行く人々の思いは宝だ.次巻は菊栄とお梅も江戸に出てくる.たくさんの嬉しいことのある10巻目を期待してます.
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結があまりにも哀れというか、同じ持たざる者として、作品では描かれない彼女の中の葛藤について思いをはせてしまう。 辛い状況の中、一筋の光を見つける幸はすごいというか……。うん、ほんとに偉すぎて共感ができなくて、だからこそ結に気持ちが向いてしまう。 この先どうなるんだろう。
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大切な小紋染めの型紙を持ち出した上で、両替商・音羽屋忠兵衛の後添えになると決めた結は、とうとう幸と五鈴屋の元に戻ることはなかった。 その上、五鈴屋で評判を取った工夫のすべてを同じように再現して、結は音羽屋の呉服店を繁盛させる。 さらに思いがけない成り行きから、五鈴屋は呉服仲間から外され、絹織物を商うことすら出来なくなってしまう… 利幅の薄い綿織物だけを武器に、幸は五鈴屋の再起を模索する。 これまで、幸が心から信頼してきた人々にはいい人しかいなかったので、結の出奔にも何か…実は泣かせる理由があるんじゃ… などと思っていたのが、スパッとやられました。 まさか、ここまで徹底して幸と五鈴屋を裏切るとは。 豪華な装いで幸と対峙する結の、勝利の笑みの描写が怖いこと。 忠兵衛の手の中に自ら飛び込むと決めて、ここまでやれる女になったなら、飽きられてポイと捨てられる、なんてことはなさそう。 両替商となって再び現れた惣次が、ギラリと光る。やはり彼もまた、稀有な才の持ち主なのだ。一回り大きくなって男ぶりも上がったような。 次作は、鮮やかな藍染めと、ワンマイルウェアの魅力を持つ浴衣のアイディア、幸と並ぶ武将の器の菊栄が江戸討ち入りと、起死回生の巻になりそう。 ここ2巻ほど、なんだかんだ重苦し〜い展開続きだったので、スカッと逆転ホームランをかっ飛ばしてほしい!
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相変わらずの波乱万丈っぷりで、ページが止まらない 元々結が好きじゃなかったので、今回袂を分かち、いっそ清々しい程の悪役っぷりに逆にスッキリ(最後は和解するにしても) 次巻の倍返しだ!的な展開が楽しみ
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シリーズ第9弾。 前巻の終わり方で、今回は巻頭からハラハラドキドキ。 まさかの結の裏切り。幸や五鈴屋の面々にあれだけ助けられながらも嫉妬は全てを凌駕してしまうのか。 結の裏切りから始まり、幸にはまたしても苦悩が続く。 窮地にサラっと現れる惣次の使い方も上手い。 今回は前巻と違...
シリーズ第9弾。 前巻の終わり方で、今回は巻頭からハラハラドキドキ。 まさかの結の裏切り。幸や五鈴屋の面々にあれだけ助けられながらも嫉妬は全てを凌駕してしまうのか。 結の裏切りから始まり、幸にはまたしても苦悩が続く。 窮地にサラっと現れる惣次の使い方も上手い。 今回は前巻と違い、明るい終わり方でホッと一安心。 次巻では、菊栄やお梅も江戸に出てきて賑やかになりそうだし、また音羽屋が裏で動きそうだし、続きが待ち遠しい。
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衝撃の結の失踪の結末は「愛憎は紙一重」ということだ。賢輔の心、幸の商才に打ちのめされての逃避行が、まさか……。しかし、五鈴屋への圧力は弱まるどころか、呉服(絹物)扱いを封じられてしまう。淵泉編という副題を見て、深い深い水底を思い浮かべたが、確かに深い淵に沈んだ幸が、淵の底で雌伏し...
衝撃の結の失踪の結末は「愛憎は紙一重」ということだ。賢輔の心、幸の商才に打ちのめされての逃避行が、まさか……。しかし、五鈴屋への圧力は弱まるどころか、呉服(絹物)扱いを封じられてしまう。淵泉編という副題を見て、深い深い水底を思い浮かべたが、確かに深い淵に沈んだ幸が、淵の底で雌伏して来たるべき時に備える巻だった。
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またまた、波瀾万丈。 平凡な生活させてあげて〜と思うほど(笑) 結ちゃん、こうなったかぁー。 今回も続きが気になり過ぎて一気読み。
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高田作品はいつも読み始めから読み終わりまでの時間が短い。あっという間に読み終わってしまうのは、早く先が知りたいからだと、自分で納得する。 今回も波瀾万丈、次作は今回のものがどう展開楽しみだ。
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