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アウシュヴィッツ潜入記 の商品レビュー

4.5

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

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2024/06/25

アウシュヴィッツみたいな過酷な環境で自分を俯瞰して分析・記憶できる精神力が凄すぎる。 ポーランド人視点からジェノサイドを語った貴重な一冊ですね。

Posted byブクログ

2023/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アウシュヴィッツ氏に潜入したポーランド軍将校ピレツキが上司にあてた最終報告書。 残忍な虐殺が日常的に行われていて、何人殺したかを誇らしげに競うSSたち。 人の命が物のように扱われて、、、 なんかもう狂ってるなと思った。。 読み物としてはとても貴重な資料だと思う。

Posted byブクログ

2023/07/24

ノンフィクション物は読む度に驚かされますが、中でもこのピレツキ氏の生々しく力強い報告書には度肝を抜かれました。 決して消えない情熱と熾烈な状況下にも関わらず、仲間への命をかけた思いやりに途中涙でページを捲る手が止まりました。 ホロコーストに関心のある方は必読ではないでしょうか...

ノンフィクション物は読む度に驚かされますが、中でもこのピレツキ氏の生々しく力強い報告書には度肝を抜かれました。 決して消えない情熱と熾烈な状況下にも関わらず、仲間への命をかけた思いやりに途中涙でページを捲る手が止まりました。 ホロコーストに関心のある方は必読ではないでしょうか。

Posted byブクログ

2023/06/06

アウシュビッツにわざと潜入したポーランド将校の報告書。 40年から43年まで収容所で生きて、そして脱走して生還という物語は、ちょっとした冒険ストーリー。とてつもない悲惨なことが記載されているものの、その視点の冷静さと厳しい監視をぬけていろいろな活動を組織していくところは、他の体...

アウシュビッツにわざと潜入したポーランド将校の報告書。 40年から43年まで収容所で生きて、そして脱走して生還という物語は、ちょっとした冒険ストーリー。とてつもない悲惨なことが記載されているものの、その視点の冷静さと厳しい監視をぬけていろいろな活動を組織していくところは、他の体験記にはないところ。 おそらくは、著者がユダヤ人ではなく、ワルシャワの街頭で逮捕されて、アウシュビッツにいれられたということで、他の体験録で記載されているものとは、かなり違う状況にあったのだと思う。 彼の視点からみると、アウシュビッツの運営は、かなりの混乱、無秩序となっており、戦況が悪化するにしたがって、より混乱が高まっていくところがわかる。 また、ユダヤ人の大量に送られてくるなかで、彼らの所有物から高価なもの、食料などが抜き取られ、それがピレツキなどの収容者には回ってきていて、食料事情は、むしろ改善しているなどの記述には驚いた。 そして、最後の脱出のところは、ちょっと「大脱走」みたいな感じで楽しめた。 その後、ポーランドは、ナチスの支配から解放されたのだが、ソ連の支配が強まり、それへの抵抗運動を行うが、逮捕されて処刑されることに。 これだけポーランドのためにがんばっていて、アウシュビッツを生き延びたのに、結局、ポーランド政府に殺害される、なんとも言えない読後感が残る。

Posted byブクログ

2023/05/19

任務のために自らアウシュヴィッツに潜り込んだピレツキの報告書だが、とても読みづらい。任務のためとは言え、何度か死にかけるも仲間たちの力で助かったり、運も味方したり。絶望感いっぱいの収容者と比べると必ず生きるという強い意志がある者は生き残れるということか。

Posted byブクログ

2023/04/27

こんなカッコいい男はいない。 ポーランドが羨ましい、これほどの男を生み出すポーランドの知性、教育。 ユダヤ系ポーランド人が大量にナチが作ったアウシュヴィッツ強制収容所に送られ戻って来ないと聞いたピレツキ。 同じポーランド人がひどい目に遭っていると聞いて自ら潜入することを決めた。 ...

こんなカッコいい男はいない。 ポーランドが羨ましい、これほどの男を生み出すポーランドの知性、教育。 ユダヤ系ポーランド人が大量にナチが作ったアウシュヴィッツ強制収容所に送られ戻って来ないと聞いたピレツキ。 同じポーランド人がひどい目に遭っていると聞いて自ら潜入することを決めた。 こんなカッコいい男は他にはいない。

Posted byブクログ

2021/08/12

 寝坊したら射殺、列からはみ出たら射殺、何もなくても看守の機嫌が悪ければ射殺。幼い子どもたちが銃殺されて遺体が山積みにされたり、殴る蹴るの暴行で徐々になぶり殺されたり、女性たちが性的な人体実験を受けて痛みに苦しみ悶えながら死んでいったり、心を無にしないと辛すぎて読み進められなかっ...

 寝坊したら射殺、列からはみ出たら射殺、何もなくても看守の機嫌が悪ければ射殺。幼い子どもたちが銃殺されて遺体が山積みにされたり、殴る蹴るの暴行で徐々になぶり殺されたり、女性たちが性的な人体実験を受けて痛みに苦しみ悶えながら死んでいったり、心を無にしないと辛すぎて読み進められなかった。書いてあることの全てが壮絶すぎて、同じ元収容者の記録でもこないだ読んだ『夜と霧』とは全くの別物。もはや何を感じて何を考えればいいのかわからなくなるほどただただ恐怖だった。 --- p.381(訳者解説より)  邦訳者の頭のなかでは、アウシュヴィッツという地名はホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と分かちがたく結びついているが、本書はポーランド人士官の潜入報告なので、必ずしもホロコーストを中心に描いているわけではない。むしろ収容所の日常のなかで、ある日ユダヤ人収容者の「大量処分」が始まるというかたちで、どちらかといえば淡々と感情を抑えて書かれており、それがかえって恐ろしさを増す。ピレツキの報告書では、ホロコーストの前にソ連兵の大量処分が描かれており、そこから虐殺の連続線が続いていたことがわかる。 ---  まさに上記の通りで、わたしもアウシュヴィッツ=ホロコーストと思っていた。しかし実際には、アウシュヴィッツが設立されたのが1940年(この年の5月20日、ドイツ国防軍が接収したポーランド軍兵営の建物をSSが譲り受け開所。約30の施設から成る)、ユダヤ人の大虐殺が行われるようになったのは1942年に入ってからだという。 【アウシュヴィッツの役割の変容】 ①ポーランド人政治犯向けの強制収容所 ②戦争捕虜となったソ連軍兵士を大量処刑する施設 ③1942年から本格的に始まったナチス・ドイツによるユダヤ人問題の「最終解決」を暗示する場所 ④③を実行する部隊  平均して13,000〜16,000人、多いときで20,000人が収容され、③以降の時期は約90%がユダヤ人だった。1日に約8000人がガス室に送られ、収容者閉鎖までの死者の総数は200万人に上った(ピレツキの脱走後も収容所に留まってホロコーストを目の当たりにした仲間の中には、その総数を500万人と証言した者もいた)。  ピレツキがアウシュヴィッツで3年あまりの日々を生き延びられたことも、脱走を成功させられたことも、強運としか言いようがない。SSや監視者の機嫌、他の被収容者の不手際による連帯責任、些細なケアレスミス、体調不良などの全てが一瞬にして命取りになる。本文中にも、本人が「なぜ成功したのかわからない」「なぜまだ生きているのかわからない」と述べている箇所がいくつもあった。文字通り死と隣り合わせの毎日。収容者内でピレツキと共に組織を構成した同志の多くが無慈悲に命を落とした。いくつもの偶然が重ならなければ、ピレツキ自身も死を免れられなかっただろうと思う。  驚いたのは、被収容者たちがオーケストラの演奏をしたり、外部の家族から送られてきた金銭を貯蓄しておく個人の口座があって、その金で収容者内の売店で買い物ができたり、毎年クリスマスツリーの飾り付けをしたりと、蔓延する残虐性の合間に突如として平和ともいえる光景が出現することだった。そういう瞬間もあるのに、それが終わればまた容赦のない虐待が始まる。監視者側の極端すぎる二面性をどうしても理解することができない。  潜入の当初の目的は、収容者の実態を外部(ロンドンのポーランド亡命政府)に流し、同国人の収容者仲間を密かに組織して武装隆起に備えることだった。使命のために来る日も来る日も飢餓と病魔と拷問に耐え続け、命懸けで情報を流し、細心の注意を払って秘密裏に組織を拡大し、決行の時をじっと待っていたのに、結局上層部の許可が降りず、武装隆起を断念して脱走するしかなかったピレツキ。その心情を思うと胸が締め付けられる。脱走後の彼は、ソ連の影響下になった祖国で反ソ地下抵抗運動に参加し、最終的に、一党独裁体制を強めた自国の共産主義政権に処刑されたという。生まれる時代が違っていれば、彼ほど強い精神力を持った人でなら世界のためにもっと明るい方面で活躍することができただろうに、残念でならない。いろいろな意味で悲しくて辛い気持ちになる本だったけれど、過去は変えられないし、人間はともすればここまで残虐になれる生き物なのだという史実は心に留めておかないといけないと思うから、読んで良かった。

Posted byブクログ

2021/07/29

すでに本人の手記が出版されているので、それと比較して読むのもいいであろう。  ポーランドの軍人がアウシュビッツに潜入して脱走するまでの記録である。ユダヤ人だけが収容されたと思っている人には、ポーランド人がどのように収容されたか、ということで、収容所の実情を記録として書かれたものを...

すでに本人の手記が出版されているので、それと比較して読むのもいいであろう。  ポーランドの軍人がアウシュビッツに潜入して脱走するまでの記録である。ユダヤ人だけが収容されたと思っている人には、ポーランド人がどのように収容されたか、ということで、収容所の実情を記録として書かれたものを読む意義はある。

Posted byブクログ

2021/10/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第二次大戦のさなか、ポーランド人将校として、自らアウシュビッツに潜入調査した人がいたという。その名をピレツキという。ピレツキはわざとドイツ軍につかまり、アウシュビッツへの潜入に成功する。アウシュビッツの創建まもないころから内部からアウシュビッツを観察した稀有な本となっている。  アウシュビッツは最初は普通の刑務所で刑事犯が多数収納されていた。それが戦争が長引くにつれて政治犯(反ナチスドイツ勢力)がいれられるようになる。不健康なもの、インテリ、反抗的な囚人はさっさと殺される。著者が生き延びるには、重要な人物でなく、健康で、時にはドイツ人のために働くようなふりさえする。 ただ生き延びるだけではなくアウシュビッツ内でレジスタンス勢力も築いていく。発覚しても芋づる式に連座しなくていいように五人組み単位で組織する。  十分な注意を払ってはいるものの、病気になり、なんとか回復し、健康を害することがすくない部署にはいり、空からイギリス軍が武器を投下してくれればナチスを制圧できるのではないかと夢想する日々をおくる。 そしてついに脱獄に成功し、戦後まで生き延びる。 脱獄してからはポーランド軍も¥はアウシュビッツの囚人を助ける気が全くなかったことを知り愕然とする。そとからはまさかレジスタンス組織が組まれているとは想像もできなかったのであろう。  ピレツキは戦後共産党政権に反対し、死刑になる。 徹頭徹尾ポーランドのために戦った男の貴重な記録。  日々の少しの注意、努力、未来を見据え毎日を生きることの大切さをこの本は教えてくれる。  絶望しかないような状況で、本当によく頑張ったと思う。大した人物である。

Posted byブクログ

2021/04/19

人間の尊厳をも抹消するナチス・ドイツ強制収容所の実態を探る為、意図的にドイツ軍に投降、3年後に脱走し帰還したポーランド軍将校ヴィトルド・ピレツキ(1901-1948)が、アウシュビッツ強制収容所を暴いた驚愕の報告書(45年)です。占領下ワルシャワのポーランド国軍は、ピレツキの話に...

人間の尊厳をも抹消するナチス・ドイツ強制収容所の実態を探る為、意図的にドイツ軍に投降、3年後に脱走し帰還したポーランド軍将校ヴィトルド・ピレツキ(1901-1948)が、アウシュビッツ強制収容所を暴いた驚愕の報告書(45年)です。占領下ワルシャワのポーランド国軍は、ピレツキの話に疑いをもち収容者救出の訴えを退けてしまいます。ワルシャワ蜂起で奮戦したピレシキは、再び捕虜収容所生活を強いられます。戦後、反共産主義者として秘密警察に拘束、拷問のすえ処刑されてしまいます。ポーランドの慟哭の歴史でもあります。

Posted byブクログ