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13億人のトイレ の商品レビュー

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2020/08/13

『日本では、ほとんど誰もが清潔なトイレにアクセスすることができ、トイレのある暮らしが日常に組み込まれている。しかし、インドではそうではない。「トイレ」というキーワードで、貧富の差やカースト、都市と農村の格差といった、インドのさまざまな姿が見えてくるのではないか。そう思って、取材の...

『日本では、ほとんど誰もが清潔なトイレにアクセスすることができ、トイレのある暮らしが日常に組み込まれている。しかし、インドではそうではない。「トイレ」というキーワードで、貧富の差やカースト、都市と農村の格差といった、インドのさまざまな姿が見えてくるのではないか。そう思って、取材のためにインド各地を歩いた。そこから見えてきたのは、経済成長という言葉の陰でさまざまな問題を抱え、多くの人たちが苦闘しているインドの姿だった。』 日本から遥か遠くにある国。インド。 パソコン上に飾られた、成長率という数字だけ見れば、「めざましい経済成長をしている国」と思うのは当たり前かもしれない。でも、どことなく違和感が残るのはなぜだろう、と頭の片隅に思っていた。 その違和感の正体は、この本を通して、トイレというフィルターから、少しずつ明らかになっていった。 トイレを増やすことで、衛生面の改善を図ろうとする政策から始まる物語は、トイレを増やすことが目的になってしまった現実を浮き彫りにしている。 たくさん作ったところで、トイレにまつわる問題…下水管の掃除をするのは身分が低い人だったり、「聖なる川」がどんどん汚れていったり、と、種々の問題は何も改善されていないのだ。 そして、世襲制であるカースト制度は、改善されつつあるものの、21世紀を迎えた今でも当たり前のように横たわっている。 トイレを囲む、水回り。そして、衛生環境。 日本とインドの共通点といえば、カレーくらいしかないと思っていた自分にとって、この本が示す、インドがどんな国かという説明は、ものすごくわかりやすかったし、その着眼点には、脱帽した。 インドだけでなく、どんな国においても、わかりやすい指標ではなく、数値化しにくいものも見ることで、はじめて全体像がぼんやりと浮かび上がってくるのかもしれない。 インドのことを全く知らない自分にとっては、単行本レベルの内容の深さでした。

Posted byブクログ