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13億人のトイレ の商品レビュー

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21件のお客様レビュー

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2021/02/14

インドは、どこか謎めいた遠くの国というイメージで、身近に感じることはあまりありません。本書は日本人が共感を持てる「トイレ」というテーマから、インドの政治、習慣、カーストに由来する社会問題を、取材という手法でまとめたものです。 データから判断するとインドは成長を続ける経済大国であ...

インドは、どこか謎めいた遠くの国というイメージで、身近に感じることはあまりありません。本書は日本人が共感を持てる「トイレ」というテーマから、インドの政治、習慣、カーストに由来する社会問題を、取材という手法でまとめたものです。 データから判断するとインドは成長を続ける経済大国であることは明らかで、この視点を「上から」と本書は例えています。これに対して 「下から」という言葉は、生活の視点からインドを眺めてみるという意味に加え、メインの取材対象である「ダリット」と呼ばれるカースト最下層の人たちの存在も示唆しているのだと思います。

Posted byブクログ

2021/01/17

トイレから覗く現代インド事情 本書は、現地の日本人記者がトイレ事情から現代のインドを語るというもの。 モーディ首相の看板政策、スワッチ・バーラト政策。野外での排泄が今でも普通なインドにおいて、1億2000万基のトイレを設置して、野外排泄をゼロにするというもの。 野外排泄の問...

トイレから覗く現代インド事情 本書は、現地の日本人記者がトイレ事情から現代のインドを語るというもの。 モーディ首相の看板政策、スワッチ・バーラト政策。野外での排泄が今でも普通なインドにおいて、1億2000万基のトイレを設置して、野外排泄をゼロにするというもの。 野外排泄の問題点は、住環境が不衛生になり、感染症等の温床になるだけでなく、夜、離れたトイレに向かう女性を狙ったレイプなども多発していたことにある。 しかしトイレを補助金をどっかり使って設置しようとしたところで、しっかりとした管理システムが整っていなかったり、賄賂や中抜きも横行していて整備もままならない。それにトイレを入れたところで、水洗式ではなく乾式(排泄物を一定期間貯めて、あとで取り除く)だったりなので、自分の家に汚物を貯めたくないので結局使わなかったり、汚物を取り除くのにもお金がかかる(それをやる人は素手でやったり)するので野外排泄もまだまだ普通に行われているとか。。。またトイレ問題から、インドにおける上下水道の問題や、今でも普通に行われている便所掃除人や下水処理人の劣悪な労働環境(マスクなしの素手作業、ときには首まで下水にどっぷり)の問題、コロナとトイレの問題、そして勢いのあるインドらしくテクノロジーやITを使ってトイレ問題をビジネスチャンスに変える取り組みまで、短いながらも読みがいがある一冊だった。

Posted byブクログ

2020/12/11

インドはカレー、ヨガぐらしいか知らなかった私。衛生面より、なによりも大事とされる宗教。宗教とともに生まれ生きる人々が衝撃だった。

Posted byブクログ

2020/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 人口13億人を超えるインドでモディ首相が進める「スワッチ・バーラト」(ヒンディー語で「クリーン・インディア」)、つまり「野外排せつゼロ」を目指したトイレ政策のドキュメントだ。  人口の4割以上が屋外で排せつするインドで2014年から5年計画で進められた。その進め方のザクッと感がなんとも言えない。  そして著者はトイレ政策を通じてダリット(不可触民)にも焦点を当て、彼らの悲惨な生活環境とカースト制度の根深さを浮き彫りにする。 

Posted byブクログ

2020/11/16

スピリッチュアルな世界に関心のあるひとにとっての 世界の路地裏を歩くバックパッカーたちにとっての インドではない それこそ 13億人の人間が暮らす インドを「トイレ」から見たレポート 都市であれ村であれ どんな場所でも バラモンであれダリットであれ カーストなど関係なく 「...

スピリッチュアルな世界に関心のあるひとにとっての 世界の路地裏を歩くバックパッカーたちにとっての インドではない それこそ 13億人の人間が暮らす インドを「トイレ」から見たレポート 都市であれ村であれ どんな場所でも バラモンであれダリットであれ カーストなど関係なく 「出すこと」は 平等で必要なこと きっちりとした取材に 裏打ちされた 「トイレから見た国家」が 小気味よくあぶり出されていく 著者の着眼点のすばらしさに脱帽 取材をされた人たちへの リスペクトも感じられる だからこそ 本音が聞きだせることができ だからこそ インドの今を語ることに つながっている 現在のインドを語る 好著の一冊です

Posted byブクログ

2020/11/11

めざましい発展を遂げるインド。一方で、カースト制度が、根強い現状も詳細に触れられているところが良い。国民性や文化・習慣は、どうすれば変えられるだろうか?!いつかは行ってみたいと思う気持ちと、躊躇する気持ち、一進一退の攻防は続く

Posted byブクログ

2020/10/22

読み始めると、インドの政策やデータなどが並んでいたので、教科書みたいだなと思ってしまった。途中から、具体的な話になり、どんどんのめり込みあっという間に読了。インド社会をトイレを通して垣間見えた。

Posted byブクログ

2020/10/10

インド政府が10年に1度行っている国勢調査によると、2011年の調査でトイレを持たない世帯の割合は53.1%。さすがに都市部では普及している(スラム以外) それを踏まえると地方や農村部では全然普及してないってことだ。じゃあ、もよおしたら、どこでしてんの?と聞くと、そこら辺の草むら...

インド政府が10年に1度行っている国勢調査によると、2011年の調査でトイレを持たない世帯の割合は53.1%。さすがに都市部では普及している(スラム以外) それを踏まえると地方や農村部では全然普及してないってことだ。じゃあ、もよおしたら、どこでしてんの?と聞くと、そこら辺の草むらで、との答え。    インドではトイレ行くのも命がけ。草むらから毒蛇が出て咬まれたり、猛獣に襲われたり。女性は朝の暗いうちに1回しか行かないらしい。羞恥心もあるが、レイプ被害にあう危険が高いからだ。  なんで家のそばに置かないかというと、日本でも昔はトイレをご不浄と言ったのと同じ理由、不浄だからだ。不浄なものを家の中に置くわけにはいかない、という衛生面というより、宗教観から来ている。そしてトイレがあっても掃除なんかしない。掃除するのはカースト最下層の不可触民である「ダリット」が行うと相場が決まっている。手袋もマスクもない状態で掃除をするから感染症になってバタバタ死んでしまう。下水道掃除も同じく劣悪な環境下で、著者が取材した掃除人も感染症で目が真っ赤に腫れていたそうだ。医者に行く金はないそうだから、たぶん失明するだろう。  そうとは聞いていたけど、ホントに人として扱われてないんだ。  モディ首相はインド全土にトイレを普及させるという「スワッチ・バーラト」政策、英語でクリーン・インディアを推進し、2019年ガンジー生誕150年式典で大成功を宣言をした。  実態はだいぶデタラメで、カースト上位の村の長どもが、トイレ設置したから補助金寄こせ、と申請し、金だけもらって実は設置してないという不正が横行。日本で言うなら貧困ビジネス的な詐欺行為を全土でしているような状態。ちゃんとしているところもあると思うけど、政府の発表を鵜呑みにはできない。  ガンジス川の汚染だって、半世紀も前から問題になっているのに、いまだに改善の兆しすらみえない。聖なるガンジスに流れれば全て清浄になる、という宗教観から、生活汚水も、工場排水も、死体もいまだに流している。  全世帯にトイレなんて、インドじゃ夢物語なんじゃないかな。少なくても半世紀はかかるだろう。

Posted byブクログ

2020/10/04

経済成長著しいインドのイメージが一気に変わる内容でした 野外で用をたすのが当たり前の文化で、モディ首相がトイレを新しくドンドン作る政策を進めるも、それで単純に衛生状態が良くなるかと言えば、そこにはさまざまな根深い問題が 知らないことだらけだったのでとても面白かったです。 身...

経済成長著しいインドのイメージが一気に変わる内容でした 野外で用をたすのが当たり前の文化で、モディ首相がトイレを新しくドンドン作る政策を進めるも、それで単純に衛生状態が良くなるかと言えば、そこにはさまざまな根深い問題が 知らないことだらけだったのでとても面白かったです。 身近なトイレを題材に、インドが抱える様々な問題がわかりました。 農村部では、まだまだ差別も激しく、野外で済ませるのは当たり前、トイレは邪魔者扱い、これには衝撃を受けました。

Posted byブクログ

2020/08/22

トイレを切り口にインド社会をあぶり出す、秀逸です。 データを元に議論する、インドの各地に足を運んで色々な人にインタビューする、読みやすい文体の中にも一流のジャーナリストの「足腰の強さ」を見ました。

Posted byブクログ