パチンコ(下) の商品レビュー
上巻を読み終えた時、逞しく生きる女性の物語なのかな、と思っていたけれど、それをはるかに超える内容でした。途中で悲しすぎてこれ以上読めない、と、本を閉じて部屋の中をうろうろしてまた読んで、を繰り返しました。 色々な形の家族があって、考え方があって、恋愛の形があって、国籍があって、『...
上巻を読み終えた時、逞しく生きる女性の物語なのかな、と思っていたけれど、それをはるかに超える内容でした。途中で悲しすぎてこれ以上読めない、と、本を閉じて部屋の中をうろうろしてまた読んで、を繰り返しました。 色々な形の家族があって、考え方があって、恋愛の形があって、国籍があって、『しょうがない』で済まさなければいけないこともたくさんあって…花ちゃんの言葉は特に心に刺さりました。 まさに21世紀の名著でした。著者の取材力と努力の結晶。書きたいことはいっぱいあるけれど、感想が上手く書けなくて…ただただ、読んでください、としか言えません。 翻訳もきっと良いんだと思います。原作でどう書かれているのか知りたくなりました。原作もいつか読みたいと思います。
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日本が韓国・朝鮮を占領していた頃のこと、在日コリアンの日本での暮らしについて、この本を読んでこれまで全然知らなかったことに気づいた。日本で生まれ育っているのに外国人と扱われることへの複雑な心情が印象に残った。
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戦後の生活環境の描写に驚いた。あの時代、生活が大変だったのは想像はつくが、それ以上。日本人も大変だったけど、異国に来て祖国を併合している日本での扱いはひどいものであっただろう。 日本人を責める文脈ではないが、日本人として罪悪感を感じる。 とにかく生きるために働き続け、誠実に生き...
戦後の生活環境の描写に驚いた。あの時代、生活が大変だったのは想像はつくが、それ以上。日本人も大変だったけど、異国に来て祖国を併合している日本での扱いはひどいものであっただろう。 日本人を責める文脈ではないが、日本人として罪悪感を感じる。 とにかく生きるために働き続け、誠実に生きようとし続け、学歴も手に入れ、お金も手に入れても差別からは自由になれない。
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ユダヤ系に金融業や弁護士、科学者が多いのは、古代のヨーロッパでユダヤ人の就業が禁じられてた職種が多かったからという説がある。アメリカのNYやボストンにアイルランド系移民の警察が多いのも移民したての時に受けた職業差別が少なからず影響しているらしい。今まで何も知らずに生きてきたけど、...
ユダヤ系に金融業や弁護士、科学者が多いのは、古代のヨーロッパでユダヤ人の就業が禁じられてた職種が多かったからという説がある。アメリカのNYやボストンにアイルランド系移民の警察が多いのも移民したての時に受けた職業差別が少なからず影響しているらしい。今まで何も知らずに生きてきたけど、日本での在日韓国・朝鮮人によるパチンコ経営も(そもそもパチンコ経営者に韓国人が多いことを知らなかった)この類に入るのだろう。 やけに軽いタイトルだなと思って手に取ったけど、終わった時にもう一度このタイトルを見ると何世代もの思いが詰まった凄まじい重みを感じる。 移民の国アメリカで大ヒットした理由はなんとなくわかる。逆に日本人にはあんまり想像できない領域の話。どうしても加害者側として構えて読んでしまうけど、要所要所に著者の気遣いというか、「日本人」と一括りにしないようにする配慮を感じられて心が温まった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日韓併合下の釜山から日本に移住し、”在日”として生きることになった家族の話。 いろいろな感情を使いながら読んだ。経験したことのない感情をたくさん想像した。 特に、主人公ソンジャの息子、ノアの人生からは、様々な感情が喚起させられ、強い印象を受けた。 幼いころに父親を亡くしたノアは、働きながら勉学に励み、早稲田大学に合格する。 家族は貧しく、東京で大学に通うことは難しかったが、母ソンジャの釜山からの知り合いであるハンスが大学で勉強するための費用をすべて支払ってくれることになる。 お金の心配をせずに勉学に励んでいたノアだが、あることをきっかけに、ハンスがやくざ者であり、自分の実の父親であることを知る。ノアは、コリアンは暴力的で汚い犯罪者だと日本人から言われることに耐え、父のように正直で謙虚な人間になろうと努力してきた。しかし、自分にはコリアンのやくざ者の血が流れており、どんなに努力したところで、”汚さ”は拭えないと考え、絶望する。 絶望したノアは、自分の出生の秘密を隠していた母親を責め、行き先も告げずに出奔する。コリアンであることを隠し、出奔先でパチンコ会社に就職する。家庭を築き、静かに暮らすノア。長い歳月を経て、彼の元に母ソンジャが訪ねてくる。再会を喜ぶ母をなだめ、また会いに行く約束をして帰らせた直後、ノアは自ら、、、。 差別される屈辱、自分に流れる血が”汚い”と知った時の絶望、自分の出生の秘密を隠していた母への怒り、母と再会した時の、、、、。頭が熱くなるほどの感情量だ。
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朝鮮民族の方たちの"情"の深さ、家族との距離の近さ、強い結びつきを改めて感じる作品。 私の父の代はまだまだコリアンの人々に偏見を持ってる世代で、昔からパチンコなんて北朝鮮に金が入るだけやとか辛いもの食べすぎて激情しやすいとかそういう差別発言を度々耳にして、私も...
朝鮮民族の方たちの"情"の深さ、家族との距離の近さ、強い結びつきを改めて感じる作品。 私の父の代はまだまだコリアンの人々に偏見を持ってる世代で、昔からパチンコなんて北朝鮮に金が入るだけやとか辛いもの食べすぎて激情しやすいとかそういう差別発言を度々耳にして、私も知らず知らずのうちに偏った偏見を刷り込まれていたと思う。現代の日本人でも韓国ポップカルチャーは好きだけど、日韓の歴史?慰安婦?なにそれ関係ないし興味ないなんで怒ってんの?って人多すぎてなかなかしんどい。 日本の植民地時代からの絶望的な貧困から現在の急発展社会を築いたのはきっと彼らの芯の強さや忍耐力、結束力、母国に対する想いなんだろうと思った。 色んな人に読んで欲しいと感じた作品。私の父にも。
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CL 2023.12.20-2023.12.22 在日コリアン一家の4代に渡る苦難の物語。 "家族"の物語。 日本人のわたしには正直全てに共感できるわけでもないし、アイデンティティに苦悩することもない。身近に在日コリアンの方がいなくて深く考えたこともなかった。...
CL 2023.12.20-2023.12.22 在日コリアン一家の4代に渡る苦難の物語。 "家族"の物語。 日本人のわたしには正直全てに共感できるわけでもないし、アイデンティティに苦悩することもない。身近に在日コリアンの方がいなくて深く考えたこともなかった。自分の中に偏見があることはわかっているけど、もう少し正面から向き合うべきかもと思った。
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天使のような人って、いるのだろうと思うけど、イサクさんのように生きられるか… 社会にうけいれられない、というのは、大きい小さいはないのかもしれないけれど、それでも逃れるため、受け入れてもらうため、生きていくための生活は、どんなにか心細く、どんなにか息苦しいことだろう。 人の思いに...
天使のような人って、いるのだろうと思うけど、イサクさんのように生きられるか… 社会にうけいれられない、というのは、大きい小さいはないのかもしれないけれど、それでも逃れるため、受け入れてもらうため、生きていくための生活は、どんなにか心細く、どんなにか息苦しいことだろう。 人の思いに寄り添いながら生きていくことが、どれくらいできるだろうか?
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パチンコの意味が何となく分かった。あとがきにて、アメリカでこの本が受け入れられたのは、アメリカが移民の国だからだとあったが、確かにと思った。私が登場人物たちにうまく感情移入できなかったのは、故郷がないとか、故郷を感じられないという経験がないからだろうと思った。 様々な事情から現実...
パチンコの意味が何となく分かった。あとがきにて、アメリカでこの本が受け入れられたのは、アメリカが移民の国だからだとあったが、確かにと思った。私が登場人物たちにうまく感情移入できなかったのは、故郷がないとか、故郷を感じられないという経験がないからだろうと思った。 様々な事情から現実とうまく折り合いをつけられない登場人物が多い中では、主人公の次男(モーザス)は、上手に生きているなと思った。自分は馬鹿だと思っているから、優秀なために考えても仕方ないことまでも考えてしまう兄(ノア)がいたからこそだろう。
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異国に移住した一世と二世は異なる部分で苦労する、移民一世は生活難に苦労するが、二世三世はアイデンティティに苦悩する。兎に角面白い物語で、この本がアメリカでベストセラーになったのが興味深い。
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