深夜特急 新版(4) の商品レビュー
タイのあたりでも列車に乗る時の描写が活き活きしていたが、パキスタンは街の描写の何倍も移動のバスについて鮮やかに描写されていた。 インドから出るにはそれだけの気力が必要で、よって移動にパワーが漲っていた、のかな? 巻末の今福龍太との対談は気になるテーマが多くて興味深かった。 ...
タイのあたりでも列車に乗る時の描写が活き活きしていたが、パキスタンは街の描写の何倍も移動のバスについて鮮やかに描写されていた。 インドから出るにはそれだけの気力が必要で、よって移動にパワーが漲っていた、のかな? 巻末の今福龍太との対談は気になるテーマが多くて興味深かった。 人類学、ノンフィクション、フィクションの垣根が曖昧になってきたことと、世の中のfact、言葉、理解に対する姿勢、どちらも同じ課題に直面しているのではないか。 自分の社会的政治的位置を非日常のボランティア活動等を通じてしか感じられない近代都市の特有の「貧しさ」。 何かを理解したと思い込んでいるが故に時間の流れとともに「腐って」行く文章と、意気込みや弁えが芯に残っている文章。
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あらすじ ノンフィクション作家である沢木耕太郎による紀行小説です。 1986年に1便が新潮社から刊行され、新潮文庫からは全6冊の文庫本として出版されています。 感想 時間があればこんな旅が出来るんだなって感じ。
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前回は思わぬ終わり方をしたけど、ページをめくれば著者がケロッとしてくれていて安心した笑 気楽なようでやっぱり前途多難な旅だけど、それと反比例して著者の人間が丸くなっていくのが良い。(元々丸い方だとは思うが…) 「シルクロード」ー 何度聞いてもそのエキゾチックな響きにうっとりして...
前回は思わぬ終わり方をしたけど、ページをめくれば著者がケロッとしてくれていて安心した笑 気楽なようでやっぱり前途多難な旅だけど、それと反比例して著者の人間が丸くなっていくのが良い。(元々丸い方だとは思うが…) 「シルクロード」ー 何度聞いてもそのエキゾチックな響きにうっとりしてしまう。そんなオリエンタルな感傷(⁉︎)に浸っていたらバス同士のチキンレースで旅の幕が上がった。その後もパキスタンでは爆弾魔に誤認されたりとアクション映画に出てきそうな踏んだり蹴ったりが続く笑(←冷静に考えると笑えないが…) 今の旅人はバスでシルクロードを横断する。でも窓から見える景色は異国情緒に溢れ、世界史の授業で学んだままの世界が生き続けている。著者が空路よりも地表を這うような手段を選ぶ理由が本当の意味で、ようやく、分かりかけてきた。(検疫の役人が旅人の私物を欲しがる事だって何世紀も変わっていないのでは?笑) 現代のキャラバンとでも言うのだろうか。乗客一行はまさに運命共同体といった感じで仲良くバスに揺られ、時には運転手の都合に振り回される。どうやら今回のW主人公は著者と「青春発墓場行き」っぽい。(バスの「名付け親」に拍手!) 日本語が恋しくなるからと、会った日本人と手持ちの本を交換するという著者の習慣は自分も真似したい。著者が言うように、本が人の手を渡ってシルクロードをめぐりめぐる絵を思い描くと、やっぱり旅と本は切り離せないと強く頷いてしまう。 次回はトルコ・ギリシャ・地中海と、いよいよヨーロッパに踏み込む。今まではアジア色が強かったから、きっとここで空気がガラリと変わるんだろうな。そして次の”Something Happens”が何なのか密かに期待している自分がいる笑
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移動ではなく、旅がしたい 地点から地点へ 移動するのではなく ここへ と決めた目的地への道のり その旅路全てがひとつづきの道になるような旅がしたい 少し長い期間をかけて 1ヶ所にせめて1週間くらい それこそ1ヶ月とかかけて その地の人々の生活をのぞいてみなければ 見えてこな...
移動ではなく、旅がしたい 地点から地点へ 移動するのではなく ここへ と決めた目的地への道のり その旅路全てがひとつづきの道になるような旅がしたい 少し長い期間をかけて 1ヶ所にせめて1週間くらい それこそ1ヶ月とかかけて その地の人々の生活をのぞいてみなければ 見えてこないものは多い ましてや、現地の人だって やっては去っていくだけの観光客に 自分たちの内なるものを見せてくれるわけはないし それを切り取るようにひょいっと見せてもらって わかった気になろうなんていうのも 違うなとも、思うし 〝旅を続けていくうちに 終わることができなくなっていくのではないか 旅の終わりから また始まる、真っ当な生活、と折り合いをつけることができなくなる感覚〟 すごくわかる気がする…… ハシシを吸うヒッピーたち 異国の地で、年端もいかない少女たちを コーラ一杯分ほどの金額で買う人々… そんな 快楽の先にはなにがあるのだろう なぜそこまでして人は快楽を求めるのか 旅先ですら、貪欲に快楽を求めるその快楽の先には なにがあるんだろう… 人道的にどうなの とか、そういうことを言いたいわけではなくて 買われなければ、その少女は その日食べることもできないかもしれないのだから いまの現状では そういうふうに回っている世界があることもことも事実で そういう環境で育ったこともない自分が それについての是非を問うつもりもないけれど やっぱり、何か間違っているのではと思うし なにか変わってほしい 変えていかなくてはいけないことなのだということは事実だとおもう…
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ピンとこない巻。旅という長いトンネルを意識したとき、確かに不安になると思う。トンネルを越えた先に何があるのか、何をやってるのか。ある意味現実逃避が終わった時が一番怖い。
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旅が長くなってきた頃の心情変化の描写が見事。 以下、印象的な1文。 『若いうちは若者らしく、年をとったら年寄りらしくせよ。』 時の流れに抗うことなく、ありのままに生きることが自然で良い。
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イランやアフガニスタンをバスで横断した筆者の記録。一期一会の旅行者やスタッフ、物売りとの会話などが印象深い。 現地についてから飛び入りで宿を探す・日本人の旅人どうしで本を交換する・大使館にメッセージを残すなどネットやスマホがない時代だからこそのユニークな文化を垣間見ることができた...
イランやアフガニスタンをバスで横断した筆者の記録。一期一会の旅行者やスタッフ、物売りとの会話などが印象深い。 現地についてから飛び入りで宿を探す・日本人の旅人どうしで本を交換する・大使館にメッセージを残すなどネットやスマホがない時代だからこそのユニークな文化を垣間見ることができた。今の旅行はスマホがあるから全部自分で完結する。便利で快適(詐欺とかに引っかかる可能性も低いし)だが、面白味に欠けるかもなと思う。 また筆者が横断したアフガニスタンやイランは、政情不安、そしてなによりもコロナで行くのが難しい。その過程で筆者が感じた活気や風土が失われてしまった地域がたくさんあるのだろうなと思うととても惜しい。旅は行けるうちに行くのが正解だな〜
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中学校の時に読んだ本を、思い立って読み返してみた。 大学時代以降、バックパック旅行にハマってあちこちに行っていたため、作中に出てくるイランの主要都市はほとんど行ったことがある(メシェッド、シーラズ、イスファアン) 作者がシルクロードを旅したのは今から40年前。本の中に書かれて...
中学校の時に読んだ本を、思い立って読み返してみた。 大学時代以降、バックパック旅行にハマってあちこちに行っていたため、作中に出てくるイランの主要都市はほとんど行ったことがある(メシェッド、シーラズ、イスファアン) 作者がシルクロードを旅したのは今から40年前。本の中に書かれている世界を見ると、変わらないもの、大きく変わったものの両方が見えて面白い。 ・変わったなと感じるもの パキスタンやアフガニスタンは、今はどう頑張っても当時のように旅するのが難しいので、作者の通り過ぎた旅路がなんとも贅沢なものに感じられる。カイバル峠をバスで通ったり、カブールの市場を冷やかしたり、バーミヤンの遺跡を眺めたりできる日がまた来てほしい。 アフガニスタンは悪い方へ変わってしまったが、 インド、パキスタン、イランは、40年前に較べたら格段に豊かになっている。 インドには行ったことがないが、インド人と国際電話やメールを使って仕事をすることはあるので、ムンバイの発展具合はなんとなく知っている。ボリウッドの映画や、IT面でのインドの大躍進を知っているので、筆者の見たインド世界と今のインド世界は全然違うんだよなと感慨深い。 パキスタンは、簡単にはいけない国ではあるが、一年間留学した友人、旅行した友人を知っているのでどんな感じなのか話に聞いている。 40年といえば、ちょうど、ファクトフルネスの作者が「世界は格段に良くなっている」とデータを上げて証明した期間に一致している。 ファクトフルネスでは、世界の貧富ランクを1ヶ月の所得で4段階に分けて付けている。この40年はちょうど、多くのLV2の国がLV3,LV4へと成長し豊かな生活を享受するようになった期間である、というの。 深夜特急の世界と私の見聞きした世界を比べるとそれがすごく実感できる。 作者はテヘランで、公衆電話がたくさんあること、そこで生き生きと話す若者がたくさんいたことに衝撃を受けていた。 しかし今や、インド、イランは言うまでもなくパキスタンにも携帯電話とインターネットが普及している。 イランの田舎町に行っても物乞いに囲まれることはないし…インドはその点相変わらずだけど… そしてパキスタンはテロの危険が格段に増してしまったけど… 作者がイランに行った時、現地の学生が「僕にはパフレビーネットワークが無いから出世できないね」って言ってたのびっくりした。そうか、この時はまだホメイニ師によるイラン・イスラム革命前の時代なのか! 今ではイランはシーア派によるイスラム国家なので、旅行者でも女性はスカーフが要る。イランの熱い日差しを思うとスカーフは良い熱中症対策になって良かったが、それでも強制されたものだと思うと、ここで生きるのはしんどいだろうなと旅をした時に思った。 ただし、イスラム規範によるルール付けも悪いことばかりではない。メシェッドに行った時、思い立って市民プールへ行った。宿の親父がプールまで乗せていってくれたところまでは良かったのだが、その後プールに一緒に入ろうと言って来た。それまでのやりとりから、親父は助平な奴だとわかっていたので正直かなり嫌だったのだが、そこで係員が一言。「中は完全に男女で分かれてるぜ」 宿の親父は「イラン革命が起きたこの方、世の中は悪くなるばかりだ」と英語で嘆いたが、私は助かったとアッラーに感謝した。 男女で空間が分かれていること、ヒジャブやブルカを着ることは、一方ではハラスメントから身を守り、容姿を品評されないという尊厳に繋がる。 しかしそれが一歩間違えは隔離と抑圧に繋がる…諸刃の剣 良くなった点、悪くなった点、いずれにしても40年という時間は長い インターネットのない時代の旅なので、旅に必要な情報があまりにも少ない。 宿は飛び込みで予約、有名なバックパッカー宿は口コミで広がっていく、というのは面白くもスリリング。 旅先の名所旧跡の情報を調べられないのも勿体ないよなと思う。 もちろん、現地に行って、現地の人に教えてもらったところに行くというのも乙なものだが、せっかく遥か遠くまで旅をするのだから、その場所の歴史や文化や地形や宗教やらを全部味わい尽くし学びたい…というのが旅人としての人情なので、現代にインターネットがあってよかったなとしみじみ思った。 ・変わらないもの 作者が見たイスファハンの光景、特に王の広場の風景は今と全然変わっていない。かつて世界の半分だった歴史を伝える街。古の記憶と美にまどろむ様な街…世界遺産に登録されたから変にさわれないというのもあるのかもしれないが…。 シルクロードに生きる人の信仰、砂漠と岩肌の織りなす自然の美、そういうのは40年たっても変わらぬ素晴らしさ、旅の醍醐味として変わらずあると思う。
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バスでの情景が多かったようにおもう。 旅を続けると曖昧になっていく感覚、人の親切を食ってしまう感覚。 自分が主人公と同じ立場になって旅をしてみても楽しめる自信がない。 全てを噛み締める間もなく時間が流れていきそう。 でもだからこそそんな旅をしている人を想像して自分とは違う感覚を...
バスでの情景が多かったようにおもう。 旅を続けると曖昧になっていく感覚、人の親切を食ってしまう感覚。 自分が主人公と同じ立場になって旅をしてみても楽しめる自信がない。 全てを噛み締める間もなく時間が流れていきそう。 でもだからこそそんな旅をしている人を想像して自分とは違う感覚を感じられるからなんだかんだ読んでしまう。 やっぱり最後の対談がいつも面白い。 今回は今福龍太さん。 理解できたと思ったようなことはみんな腐っていく。わかったようなことは言わない。
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インドからパキスタン、イラクへとバスの旅が続く。 前半の香港、マカオ、マレーシアに比べると街散策が淡白になっている様に感じる。それともこの旅行記に慣れて来たのか、デリーからロンドンへ当初の目的地にやっと到着した為か、急ぎ足で中東の旅が進む。
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