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砂上 の商品レビュー

3.5

33件のお客様レビュー

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2022/11/26

友達が貸してくれて読み始めました。 中盤から展開が気になってグングンと読み進めた。 最期は解説に至るまで、勢いは止まず。話はじっとりと暗い重たい感じはあるのに、疲れて飽き飽きすることなくどっぷりとこの世界にのめり込みました!

Posted byブクログ

2022/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白くて苦しくて、読んでも読んでも読み終われなかった。 女3人のうち、ミオは令央の再構築した虚構からしか探れない。他人への興味が薄い令央のである。 ただ、最後の令央と美利の実際のやりとりで、息をつける。

Posted byブクログ

2022/06/19

著者在住地が舞台となっています。実際にあるビストロもそのままの名で出ていることから、何となくリアリティーを感じてしまいそうでした。 同級生のビストロでアルバイトをしながら小説を書き続ける柊令央。 新人賞に何度応募しても落選。しかし、ある編集者から声がかかる。期待して会うと、母親に...

著者在住地が舞台となっています。実際にあるビストロもそのままの名で出ていることから、何となくリアリティーを感じてしまいそうでした。 同級生のビストロでアルバイトをしながら小説を書き続ける柊令央。 新人賞に何度応募しても落選。しかし、ある編集者から声がかかる。期待して会うと、母親に対し、乾いた感情を持つ自分の親子関係を書いた小説を令央の胸をえぐるような短い言葉でダメ出し。でも、視点を変えてこの小説を書き直すことを勧められる。 何度書き直しても、表情も変えずダメ出しされるが、しがみついて書き続ける令央。 母親とはどういった人物だったのか、それを知るために母を昔から知る、そして自分も出産のときにお世話になった助産師を訪ね、知らなかった母親の姿を知るのです。 小説を書くことで、家族のことを理解し、見ないふりをしていたものに目を向ける。 1冊の小説を書く生みの苦しみというのは、凄まじいな、と感じました。そして、編集者の腕の見せ所、というか、優秀な編集者がいて、初めて読み手が面白い小説が書けるということがある、ということも知りました。 家族関係のことがテーマなのかもしれないけれど、私は、編集者と作家の関係や、本ができるまでの大変さの方が心に残りました。 2021/12/22

Posted byブクログ

2022/03/21

北海道・江別市に暮らす柊令央は、友人が経営するビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から毎月振り込まれる5万円の慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたいと思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま気づけば40代を迎えた。 ある日、令央の前に1人の女性編集者が現れ、彼女は強...

北海道・江別市に暮らす柊令央は、友人が経営するビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から毎月振り込まれる5万円の慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたいと思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま気づけば40代を迎えた。 ある日、令央の前に1人の女性編集者が現れ、彼女は強い口調で今後何がしたいのかと令央に問うた。彼女との出逢いにより令央は過去に書いた自伝的小説の改稿に取り掛かることになる。理解しきれずにいた亡き母のこと、そして他人任せだった自分自身のことを見つめ直した果てに、令央はひとつの小説を書き上げる。 主人公の令央は作家志望の女で、作品の中で令央は小説を書く。令央が書いた小説の一部が時折挟まれていて、読んでいてとても不思議な感覚になる。なぜなら、どちらも主人公が令央だから。 何世代かにわたる女の小説的な作品が桜木紫乃さんはとても巧い。親子だからこそ知らないことがある。知ろうともしない事実もたくさんある。それで当たり前だと生きていたけれど、小説を書き上げるために令央は徐々に向き合い始める。 そうしているうちに彼女自身も気づかない内面の変化があり、周りとの人間関係が変化していく。良い風に変わった関係もあるし、悪い風に変わった関係もある。 自分と向き合う、ってどういうことだろうと考えたりする。よく使われる言葉だけど、向き合っているつもりでも自覚的に自分自身と向き合うことはなかなか難しい。つい「これでいいや」「こんなものだろう」と思ってしまうのが人間だと思うから。 令央はあまり良い女ではない。容姿という意味ではなく、生き方や性質にあまり賛同はできないという意味で。自分から逃げてきた結果、うだつの上がらない生活をしている。そしてひとつ秘密を抱えている。 だけどそういうところが「でも解る」という感じで共感も出来てしまう。どこにでもいるような人間にも、探ってみればひとつの濃い人生ドラマがある。 令央も、母のミオも、妹の美利も、編集者の乙美も、それぞれに一癖ある。 小説家が書く小説だからこそ、「小説を書くこととは」にスポットを当てた、ある意味でとても苦しい一冊なのかもしれないと思った。

Posted byブクログ

2022/03/15

小説家が書く小説家の話。痛烈な編集者の言葉が面白い。小説家としてデビューするって厳しいんだな。他の桜木紫乃の作品と比べると少しカラーが明るめな感じがした。

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2022/02/03

編集者という職業が存在することは知っていましたが、作家に与える影響や関係性がどの程度のものかを考えたことはありませんでした。この本を読む限り、その存在は大きく、力量次第で作家も変わるほどなのだろうと感じました。 自分の卒業論文を思い出しました。教授が朱書きを入れ、自分の文章はど...

編集者という職業が存在することは知っていましたが、作家に与える影響や関係性がどの程度のものかを考えたことはありませんでした。この本を読む限り、その存在は大きく、力量次第で作家も変わるほどなのだろうと感じました。 自分の卒業論文を思い出しました。教授が朱書きを入れ、自分の文章はどこへやら。そして力作になったことが懐かしい。 2022,1/31-2/3

Posted byブクログ

2022/02/02

スラスラ読みやすい桜木紫乃をイメージして 読み進めると、あれ?となりながらも どうなっていくのかが気になっていく。 登場人物の女たちが これからどうなっていくのか 気になったままラスト こんなラストもまた良い

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2022/01/26

四十女の物書きがデビュー作となる「砂上」を書き上げる話。創作の様子や物書きの思考を辿れるのが初めての感覚でゾワゾワした。 言葉にするのむず笑 気に入った段落↓  令央は「虚構」を信じたかった。すべて嘘に塗り替えてしまえば、己の真実が見えるはずだ。あのときなにが足りなかったのか...

四十女の物書きがデビュー作となる「砂上」を書き上げる話。創作の様子や物書きの思考を辿れるのが初めての感覚でゾワゾワした。 言葉にするのむず笑 気に入った段落↓  令央は「虚構」を信じたかった。すべて嘘に塗り替えてしまえば、己の真実が見えるはずだ。あのときなにが足りなかったのか、あの日どうすればよかったのか、あの人にどう接すれば間違わずに済んだのか。それらの答えはすべて現実ではなく再構築された虚構のなかにある。

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2021/10/03

感想を書くのがとても難しい、けれども読後になにかがずっとこびりついて離れない不思議な作品。 主人公は私小説を投稿する中年女性。以前別の賞に応募した作品「砂上」を改稿しないか、と女編集者から持ちかけられて作業に移る。この女編集者が凄みのある人で、グサグサと刺さることを平気で言う。...

感想を書くのがとても難しい、けれども読後になにかがずっとこびりついて離れない不思議な作品。 主人公は私小説を投稿する中年女性。以前別の賞に応募した作品「砂上」を改稿しないか、と女編集者から持ちかけられて作業に移る。この女編集者が凄みのある人で、グサグサと刺さることを平気で言う。 「主体性のなさって、文章に出ますよね」 「精神的に決定的なダメージを受けたこともなければ、友達もいないんじゃないか」 けれどもそれは身に覚えのあること。主人公は彼女の感性を信じて改稿を進める。 そのうちに、私生活をネタとして捉えるようになったり、別れた夫とのいざこざに以前はなかった行動を取ったりもする。 そうして彼女は『砂上』を刊行する。 身を削るような改稿作業や、人生すべてを作品に捧げるような生活は、芥川龍之介の『地獄変』を連想させる。 これは小説を書く人間には、ものすごく突き刺させる。 砂をつかむような作業、砂上に現れる風紋や足跡の頼りなさ、しかし確かに達成したという感覚。 暗い残酷さが、静かに胸に刺さる作品だった。

Posted byブクログ

2021/09/03

最近欠かさず読んでいる桜木 紫乃さん 主人公は北海道・江別で生活する柊令央(ひいらぎ れお) 別れた夫から振り込まれる月5万の慰謝料と、友人の店で働いて得る数万円の月収で生活しています。 小説家を目指してはいるものの一向に目が出ず… と言った地味な印象の40代の女性です。 そ...

最近欠かさず読んでいる桜木 紫乃さん 主人公は北海道・江別で生活する柊令央(ひいらぎ れお) 別れた夫から振り込まれる月5万の慰謝料と、友人の店で働いて得る数万円の月収で生活しています。 小説家を目指してはいるものの一向に目が出ず… と言った地味な印象の40代の女性です。 そんな彼女が敏腕女性編集者、小川乙三(おがわ おとみ)との出会いで「砂上」と言うタイトルの小説を書上げて行くストーリーなのですが、その背景には令央の家族の秘密が描かれていて言うなれば柊令央自身の私小説に限りなく近いフィクションです。 小説の中で小説が題材となっている事、登場人物全てにクセがあり共感出来る人物がいない事、全体的に不穏な空気が流れている事で中編ながら中々ページが進みませんでした。 特に女性編集者、小川乙三の存在は編集者の枠を超える辛口キャラで、名セリフもありますが、自分が言われたら心が折れるであろう辛辣なセリフもいくつかあり辛かったです。 令央と小川乙三のやり取りから、物書きを生業にしている方達の苦労や苦悩を強く感じました。 ダークで地味、だけど深みがある1冊。

Posted byブクログ