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恐るべき子供たち の商品レビュー

3.2

7件のお客様レビュー

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2024/08/07

ほとばしる感情の波が言葉となってその部屋を包む。エリザベートとポールにとっての聖域は、しかし出会いによって侵され、徐々に関係性を変えていく。まるで真っ白に降り積もった雪にどかどかと足跡をつけていくかのように。だから彼らは大人になることを拒むのだろう。美しいままでいるために。我らが...

ほとばしる感情の波が言葉となってその部屋を包む。エリザベートとポールにとっての聖域は、しかし出会いによって侵され、徐々に関係性を変えていく。まるで真っ白に降り積もった雪にどかどかと足跡をつけていくかのように。だから彼らは大人になることを拒むのだろう。美しいままでいるために。我らが聖域をこれ以上破壊される前に。閃光のごとき感情を放ちながら。 括弧を使わずに台詞を表現する訳によって舞台劇の様相を示し、劇として箱庭の崩壊が表現される。その躍動感と神秘性が私には痛々しくも魅惑的に映った。

Posted byブクログ

2023/06/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

子供たち、という言葉からイメージしてたより年齢が高かったけど、でもこの登場人物たち、とくに姉弟は「子供たち」という呼び方がぴったり。モラトリアムにしては長いし、いつまでもこんな関係や生活は続かないだろうと思っていたら崩壊しました。姉弟がこの家や人生から退場することによって。 先に映画『ドリーマーズ』を観ていて、原作がこちらだと知り読んだのですが、近親相姦的な官能というよりは、姉弟はお互いに、相手を愛憎渦巻く己の半身と感じてるのか…みたいに思えました。 弟ポールを側に置いておくためにエリザベートが企てたこと凄い…ジェラールは彼女を崇拝してるから言いなりだろうし。アガートを含めた4人で会う気不味さったらないけど、最終的に取り戻したのだからうーん。。。 姉をエヴァ・グリーン、弟をルイ・ガレルが演じていた『ドリーマーズ』とは随分違うんだなぁ。コクトーが制作した?映画もあるようなので観てみたいです。

Posted byブクログ

2023/02/24

お互いに依存しなければ生きていけない子供たち。子供ならではの閉ざされた世界の中で、愛し、愛され、傷つけ、気遣う日々を描いた作品。 いわゆる恋の矢印が色々な方向に向けられ、それらが重なり合っているのだが、泥沼と一言では片付けられないような重みのある小説だった。 子どもとはいえども...

お互いに依存しなければ生きていけない子供たち。子供ならではの閉ざされた世界の中で、愛し、愛され、傷つけ、気遣う日々を描いた作品。 いわゆる恋の矢印が色々な方向に向けられ、それらが重なり合っているのだが、泥沼と一言では片付けられないような重みのある小説だった。 子どもとはいえども、元気さや明るさが全くなく、暗くて荒んだ雰囲気だった。

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2022/05/11

岩波文庫/鈴木力衛訳のほうを読んだ。萩尾望都による漫画化、コクトー本人が脚本、ナレーション、キャスティングを行った映画化もされているようなのでそっちも見てみたい!愛ゆえの恐るべき陰謀、悪魔的で雰囲気は好きだけど全部理解できたわけではない

Posted byブクログ

2021/02/03

買った理由は 帯にローランドがいたから 別にローランドファンじゃないが どんな本読んでんのか気になったから ですよねー ってラストだったので かろうじて星2つ ちょっと自分には理解できない 変人ばっかでてくる話だったなー

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2020/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

同性愛や近親愛など様々な愛し方をするお話が面白いと思い読んでみた。しかし、中学生以下の子には少し早い話であった。正直私はあまり本を読まないタイプなので誰が何を思い、考えているか等を深く読み取ることが出来なかった。でも、自分の中で納得した部分もある。それはポールとエリザベートは『愛』のせいで変わった行動をするということ。 ここからは私の考察である。 それぞれの愛の関係について(2) ポールとダンジェロ →最後ポールはダンジェロから間接的に貰った「毒?」のようなものを体に取り込んで死んでしまった。この時ポールはダンジェロを愛していたから贈り物を大切に思い使用したのではないかと考えた。 エリザベートとポール →最後エリザベートはポールが死んだ後すぐにこめかみにピストルに当てて死んでいった。これも愛していたからこその行動であると思う。 これらを読んで『愛』というものがどれほど深いものなのか学ぶことが出来た。

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2020/08/17

別の出版社の文庫で既読でしたが装丁が素敵だったので購入。ポール、エリザベート、ジェラール、アガートの間で渦巻く愛憎。ポールとエリザベートは姉弟というにはあまりにも強い感情で結ばれていた。それはポールなくしてはエリザベートはエリザベートでいられなかったからだと思う。「部屋」の中での...

別の出版社の文庫で既読でしたが装丁が素敵だったので購入。ポール、エリザベート、ジェラール、アガートの間で渦巻く愛憎。ポールとエリザベートは姉弟というにはあまりにも強い感情で結ばれていた。それはポールなくしてはエリザベートはエリザベートでいられなかったからだと思う。「部屋」の中での自分の役割を手放したくなかったのだ。彼女が最後に選んだ行動も悲劇的でありながら、何処か芝居めいて見える。ポールにとってダルジュロは愛の対象と憧れ、そして「毒薬」を齎す死の象徴だった。危うい均衡を保っていた「部屋」はやがて瓦解する。そこにはもう子供たちはいない。

Posted byブクログ