身分帳 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
善悪の価値観は時代よって変わっていくもので、たまたまこの時代に生まれ現代の法律や道徳にそぐわない性格や考え方を持ったせいで爪弾きにされる、というのは往々にしてあると思うが、実在の人物がモデルの主人公はどうかというと、それには当てはまらないように思う。利己的であったり人を簡単に傷つけたり、感情を制御できず見栄っ張りであり狡いところも見えた。 苦労を乗り越えれば強くなるかもしれないが乗り越えられずに汚れてしまう人もいる。だから苦労すればいいってものではないと思うが、その後自分と戦わず汚れたままでいるのはその人の弱さ。
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淡々と事実に基づいた話が展開していくだけなのに、なぜかぐいぐい読めた。変に感情移入させるような描写が無いことで、逆に人物の心情を想像しながら読むことができた。これを映像化したいと思った西川美和監督の気持ちが分かった。
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山川の身分帳の量を知るだけで問題多し人物なのがわかる。刑期を終え満期釈放出所した山川が癇癪を起こさないか心配でしかたがなかった。子供の頃は放浪での補導、いつから神経質で癇癪な性格になってしまったのか… スーパーの主人の優しさが救いになりました。悩んだ時に親身になってくれる人、相談...
山川の身分帳の量を知るだけで問題多し人物なのがわかる。刑期を終え満期釈放出所した山川が癇癪を起こさないか心配でしかたがなかった。子供の頃は放浪での補導、いつから神経質で癇癪な性格になってしまったのか… スーパーの主人の優しさが救いになりました。悩んだ時に親身になってくれる人、相談できる人がいると気持ちが落ち着く気がします。
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読み終わったあとにノンフィクションと知って驚愕。 身分帳の後ろに収載されてる行路病死人を読んでるうちに、あれ?っとなり少し混乱した。まさかノンフィクションとは。 無知も甚だしく恥ずかしいのだが、「復讐するは我にあり」という名前は聞いたことがあったが佐木さんの作品だった。またこ...
読み終わったあとにノンフィクションと知って驚愕。 身分帳の後ろに収載されてる行路病死人を読んでるうちに、あれ?っとなり少し混乱した。まさかノンフィクションとは。 無知も甚だしく恥ずかしいのだが、「復讐するは我にあり」という名前は聞いたことがあったが佐木さんの作品だった。またこの身分帳は西川美和監督の元で映画化されている(アマプラで見れる)2020年、超最近である。 複雑な気持ちが交差してなかなか言葉にはできないが。戦後親から捨てられ孤児院に馴染めず悪い道に入っていく過程、獄中での生活態度、自分の主張は何があっても曲げられず執拗に自分の中の正義を正そうとするところ等々。読んでて苦しい。幼少期に何があっても100%で守ってくれる存在がいるってだけで幸せなんだな。多分彼は愛ある環境で生活できていたら絶対違う人生になっていたと思う。それくらい環境っていうのは大事なんだなと思う作品だった。出所後、絶対にうまくやっていけないと思われたが、周りの人たちの温かさや、本人の努力があって最後まで普通の社会で生きていけた事は立派であるという他ない。精神的病を持ちつつ独りで生きていく事は大変だ。彼は社会に出てもがきながらホントによくやったと思う。 手に取るように彼の事が立体化して浮かびあがってくる作品だった。 翌日。アマプラですばらしき世界を見た。こちらも秀作だ。骨子となるところは原作に忠実に再現されていて、心の動きは挿入されているエッセンスに散りばめられている。原作には書かれていなくても普通の社会を生きる毎日の中で沢山辛いこともあっただろう。元いた場所には戻らないため歯を食いしばって生活されてたんだなと苦しくて切ない気持ちになった。
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映画を見て原作が気になり購入。 本全体が読みやすい。原作と映画を比較することでどのように現代版として馴染ませたのかが分かって興味深い。 個人的には後半の「行路病死人」が面白かった。
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映画を鑑賞した際、いくつか理解できなかった主人公の心情を理解したく、本書に手をつけた。が、映画ではかなり脚色がされていたため、気になる主人公がサッカーをしている時の心情は読了後も分からなかった。 個人的には、あまり刺さらなかった作品。 出所後の元受刑者たちへの支援の在り方、をこの...
映画を鑑賞した際、いくつか理解できなかった主人公の心情を理解したく、本書に手をつけた。が、映画ではかなり脚色がされていたため、気になる主人公がサッカーをしている時の心情は読了後も分からなかった。 個人的には、あまり刺さらなかった作品。 出所後の元受刑者たちへの支援の在り方、をこの本の一つのテーマとして捉えることもできるが、どこまで社会的な構造or本人の問題として帰結すればいいのか私の中では整理がつけられなかった。よって本書を自身の中でどう位置付けていいのかが分からない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昭和61年2月、殺人罪など前科10犯の男(仮名・山川 一)が、極寒の旭川刑務所から刑期満了で出所した。 東京の身元引受人の弁護士を頼り、人生を再出発しようと職探しを始めるが、世間の規範への順応が難しく、衝突と挫折の繰り返しに紋々とする日々。・・・前科者の社会復帰に立ち塞がる「日常生活」のぶ厚い壁、不遇の境遇(私生児、無戸籍、孤児院、ヤクザ) ・・・いたたまれぬ苦しさに息詰まる、佐木隆三著の衝撃のノンフィクション・ノベル。
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とても不器用な生き方をしている主人公。でも、憎めないキャラクターで、私自身は嫌いではないかも。 もっとうまく立ち回れないものかなぁと、ヤキモキしながら読み進めました。 役所広司さんが好きで映画も先に見ましたが、本の方が好きかも!
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そう言えば映画は3年位観に行って無いな… ってな事で、佐木隆三の『身分帳』を原作に映画化したのが西川美和監督の『すばらしき世界』 結構前に出張中に読む本が無くて買った文庫本。 買ったはええが何となく勿体なくて中々読めなかった変な貧乏性 西川美和監督は好きなんでこの映画は観た...
そう言えば映画は3年位観に行って無いな… ってな事で、佐木隆三の『身分帳』を原作に映画化したのが西川美和監督の『すばらしき世界』 結構前に出張中に読む本が無くて買った文庫本。 買ったはええが何となく勿体なくて中々読めなかった変な貧乏性 西川美和監督は好きなんでこの映画は観たいな。 原作はまさかのノンフィクションじゃったみたいで、こんなに世間は優しいのかと思うほどの内容。 山川の人柄が真っ直ぐ過ぎて誰もその気持ちを受け止められないながらも、必死に生きていこうとする姿は助けたくなるんじゃろうか… こう言うの読むと人のルーツと言うか、生きる環境ってのは恐ろしいね。自分では選べないから、自分で変えて行くしかないけどそんなに甘くはないよな人生。 という事で西川美和監督のすばらしき世界は観たいな。 2021年36冊目
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この小説を読み終えたら観ようと思っていた映画が、まさにこの小説を原案に映画化したものだということを読了直後に知って驚くと同時に、山川の姿が生々しく浮かんでくるような思いがする。
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