やわらかい砂のうえ の商品レビュー
『感情を言語化し、他人に伝えられる状態にまでまとめあげる という作業にとても時間がかかる』 まじめで融通のきかない万智子さんの成長物語。
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いい子かもしれないが、あまりに「世間知らずで偏狭」自分は正しいを振りかざし他人をジャッジする、めんどくさい子。ホントよく描けているが、鬱陶しすぎて、読んでてイラッと。珍しく寺地サン外した。
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50歳年上の男性がひとりで切り盛りしている税理士事務所で働くことになった24歳の女性が主人公。税理士事務所の顧客のウエディングドレスサロンに書類を届けることを頼まれた主人公は、そこの仙女のようなオーナーに見込まれ、そこで週末にアルバイトをすることになる。それを機会に、美しい年上の...
50歳年上の男性がひとりで切り盛りしている税理士事務所で働くことになった24歳の女性が主人公。税理士事務所の顧客のウエディングドレスサロンに書類を届けることを頼まれた主人公は、そこの仙女のようなオーナーに見込まれ、そこで週末にアルバイトをすることになる。それを機会に、美しい年上の女性たちと交流することになり、成長していく。 自分には何の特技もないと、自信を喪失しかけている若い女性たちに対する応援歌のような作品。
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大人しいと自己評価しているくせに人に対して怠慢であり、潔癖であり、傲慢である万智子を見ていると自分を見ているようで苛立ちを覚える場面が何度もあった。 けれど境遇も年齢も考え方も違う友人たちとの交流によってどんどん視野が広がり失敗を重ねながらも良い関係を築いていく。 自分を好きに...
大人しいと自己評価しているくせに人に対して怠慢であり、潔癖であり、傲慢である万智子を見ていると自分を見ているようで苛立ちを覚える場面が何度もあった。 けれど境遇も年齢も考え方も違う友人たちとの交流によってどんどん視野が広がり失敗を重ねながらも良い関係を築いていく。 自分を好きになれなくても受け入れ、ぐっと顔を上げて目をそらさず人を見つめる強さが自信となるのだろう。 ふわふわした物語を想像していたら意外と身に響く良い小説だった。
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恋愛小説とあったけれど恋愛要素はそんなに強くなく、洋裁店の店主との出会いから主人公の心が成長していく過程を心地よく読めます。 とても素敵な文章を書かれる作家さんですね。 初めて読みましたが、他の本も読みたくなりました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
少女マンガのような素敵なお話だった。とても良かった。 主人公の万智子はとても慎重で理屈っぽくて生真面目で不器用で傷つきやすくて、一言でいえばめんどくさい子だけど、いろんな人との出会いや関わりを通して少しずつしなやかに変わっていこうとしていて、すごく応援したくなった。 まわりの人たちもみんな魅力的だった。それぞれの悩みとか必死さを抱えていて、やわらかい砂の上をそれぞれちゃんと歩いて行こうとしていて、素敵で愛おしかった。 以下、特にずしんときたところ3箇所。 「彼らの心は、彼ら自身のものだった。わたしはただ欠けたり不用意に傷をつけることのないように、そっと手のひらにのせればよかった」 「菊ちゃんはだいじょうぶなので!」 「あなたたちはほんまに、自分のきれいなところばっかり見せたがって、相手のきれいなところばっかり見たがって」
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万智子は、大阪の税理士事務所で働く24歳。 顧客のウェディングドレスサロンのオーナー・了から週末だけのアルバイトを頼まれたことから、静かだけれどどこか心もとなかった万智子の日々は変わってゆく。 了と彼女の友人たちは、美しく自信に満ちあふれた年上の女性たち。 そして、サロンに出入...
万智子は、大阪の税理士事務所で働く24歳。 顧客のウェディングドレスサロンのオーナー・了から週末だけのアルバイトを頼まれたことから、静かだけれどどこか心もとなかった万智子の日々は変わってゆく。 了と彼女の友人たちは、美しく自信に満ちあふれた年上の女性たち。 そして、サロンに出入りする業者の早田さんに、初めての恋。 ちょっとした他人の言動に引っかかりながら、簡単にやり過ごすことも出来ず、悩みとまどうことの多かった万智子は、少しずつ勇気を出して自分と向き合い、装ったり、話したり、怒ったりする力をつけていく。 『水を縫う』に続いて、これが2冊目の寺地はるなさん。 万智子の繊細さをそのまま受け入れて、あたたかく導いてくれる女性たちがカッコいい。 こんな風にズバッと言ってくれる他人なんて、なかなか出会えない。 「自信は生まれながらに備わってるものでもないし、自然に身につくものとも違うの。他人から授かるもんでもないし」 「内面を見てほしい、ってさっき言うてたけど、あんたってだいぶめんどくさいで。なんでそんなに自分の内面を良いもんと思えるんか謎やわ」 ええ年して、いまだに万智子並みに何かと自信がないくせに繊細さはかなり失った私にも、力強くありがたい言葉だった。
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2020.12 美しくなるとは、他の誰かのようになることを目指すのではなく、自分が自分のまま世界と向き合う力を得ること。冬さん、美華さん、了さんのつながりが素敵。
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やわらかい砂のうえを歩いているような、不安な気持ち、知らず知らずのうちに他人と比べて自分に自信が持てない感じ、相手にどう思われるか気になって思うように話せなくなる感じなどなど、主人公万智子に共感できるところが沢山ありました。 だからこそ、あつまりで出来た年上の友達や、万智子のお父...
やわらかい砂のうえを歩いているような、不安な気持ち、知らず知らずのうちに他人と比べて自分に自信が持てない感じ、相手にどう思われるか気になって思うように話せなくなる感じなどなど、主人公万智子に共感できるところが沢山ありました。 だからこそ、あつまりで出来た年上の友達や、万智子のお父さんの言葉に勇気づけられ、心に刻みたいと思いました。 久々に読んでよかったなぁと思える作品に出会えました。
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良かった。本を読み終えてまず思った感情。この良かったは、この物語が良かったというのではなく、主人公の万智子に良かったねと言ってあげたい『良かった』だ。 さて、この物語の主人公、万智子は大阪の税理士事務所で働く24歳の女性。今まで自分の意見をはっきりと相手に伝えられないような...
良かった。本を読み終えてまず思った感情。この良かったは、この物語が良かったというのではなく、主人公の万智子に良かったねと言ってあげたい『良かった』だ。 さて、この物語の主人公、万智子は大阪の税理士事務所で働く24歳の女性。今まで自分の意見をはっきりと相手に伝えられないような女性だった。これまで恋人ができたこともない。 そんな万智子だが、ウェディングドレスサロンの了さんと出会い、カッコいい2人の歳上の女性と知り合いになり、『自分に自信を持てるように』と思えるようになる。 やがて男性嫌いだった万智子にも好きな人ができる。早田という男性だ。一見スマートで全てを包み込んでくれそうな早田と恋人関係になるが、万智子の理想とは違う早田と面倒くさい万智子。2人はすれ違い・・・。 結局はハッピーエンドって話だが、ハッピーエンドありきで作られた物語ではないような気がする。一つ一つの感情やら友達との関係性、恋人に言いたくても言えない気持ちとか、本当にリアルで、だからこそ読んでいてイライラもするし共感もできた。 この物語には魅力的な人物がたくさん登場するが、万智子の父親がいい。そうだよな。親ってこうだよな。こうあるべきだよな!って思わせてくれた。 自分の好みに合わせてくれるあなたを気に入ってくれる人じゃなくて、あなたが好きなあなたを好きになる人に、いつかきっと会える。 きっと早田はいつの日か万智子にとってそんな人になってくれるだろうなと思えた。
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