老人と海 の商品レビュー
老人の自然との付き合い方が美しい。 この老人のそばで漁を学んだ少年は心の豊かな大人になるのだろうなと思った。
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年の重ね方が美しい主人公。 マノーリンとの師弟関係や、海の生き物たちとの友情、各々の命に対する考え方など彼の価値観全てが繊細で美しく、闘いのシーンなどは人としての生き方を教えてもらった気がして、惹きつけられた。
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老人が漁師としてとてもかっこよかった。特に終盤のサメと戦う場面はカジキはもうダメだと分かっていても最後まで戦い抜く姿が男らしかった。また、老人と少年の関係が微笑ましい。これからも一緒に漁に出てほしいと感じた。 とても感動したし、面白い作品でした。
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「バーナード嬢曰く。」で知って、ヨルシカの特別カバーにひかれて購入。爺さんが漁に出て魚を釣る話ですが、こんなに面白いとは思いませんでした。正直海外文学の日本語訳はあまり好きではなかったのですが、これを読んでだいぶイメージが変わりました。特にカジキと格闘し始めてからは本の世界に入れたような気がして、一気に読むしかありませんでした。ページ数は少ないのに超大作を読み終えたかのような満足感が得られました。
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読んだのは何回目かな~?読む度に微妙に感想が変わります。今回は…生きることの意味、自尊心の意義など考えながら、読み進めました。
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老人と少年の交流、カジキとの死闘、帰路につくまでの戦い、これだけのシンプルな話が臨場感のある描写に、最後までずっと息を呑んで読んだ。老人の折れない強さに励まされるが、一本の綱を通して通じ合うカジキとの死闘の末、兄弟と呼び人生を讃えあうことの満足感は本人にしか分からないだろう。少年...
老人と少年の交流、カジキとの死闘、帰路につくまでの戦い、これだけのシンプルな話が臨場感のある描写に、最後までずっと息を呑んで読んだ。老人の折れない強さに励まされるが、一本の綱を通して通じ合うカジキとの死闘の末、兄弟と呼び人生を讃えあうことの満足感は本人にしか分からないだろう。少年との交流も温かく、終始孤独感が無くてよかった。サメはクソ。
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作品の特徴として、漁に関連した用語がたくさん出てくることが挙げられる。また、日の出の描写、魚の身体の美しさの表現など、とても細かく、イメージがしやすい。例えば、鱪(シイラ)、玳瑁(タイマイ)、カツオノエボシの浮袋など、魚や海洋生物に詳しくないと分からない用語が出てくる。その際は調...
作品の特徴として、漁に関連した用語がたくさん出てくることが挙げられる。また、日の出の描写、魚の身体の美しさの表現など、とても細かく、イメージがしやすい。例えば、鱪(シイラ)、玳瑁(タイマイ)、カツオノエボシの浮袋など、魚や海洋生物に詳しくないと分からない用語が出てくる。その際は調べて画像を見ながら読み進めると、理解が深まる。作品中に、海岸線の色が緑色であるという風景描写がある。特に気にすることが無ければ、気に留めることもなく疑問に思わないであろう。しかし、海は青いという固定概念を持っているので疑問に感じ、立ち止まってしまった。実際に海岸線の画像を見てみると、綺麗な海の海岸線は黄緑色をしており、海岸線から離れるにつれて青みが深まっていっていることが分かる。これは普段海で漁師をしている老人の観察眼があってこそ気づくことのできる描写である。 作品の中で、老人は常に何かと闘っている。それは鳥であったり、大きな鮪であったり、時には自分自身である時もある。初めの戦いは鳥との戦いである。飛魚が名前の通り水面に出て飛んでいる時を狙って急降下をしてくる軍艦鳥と、飛魚を追う鱪を狙う老人が対比的に描かれている。鳥の方が虎視眈々と機会を冷静に狙っているかのように思われるが、鳥は焦って荒々しく羽ばたき、一方で老人は非常に冷静な言動をしている描写が面白い。 対して、中盤からは大きな鮪をどうしても捕獲したい老人と、老人の舟を引っ張り続ける鮪の戦いが続く。鮪がどこに向かっているのか、何をしようとしているのかが分からず、鮪に翻弄される。また、体力を失っていき、独り言も次第に大きくなっていく老人と、網を緩ませたり、ひっぱったり、体力のある大きな鮪が対称的である。一方は水中から、もう一方は海上の舟から互いに一歩も譲らない様子は次の展開を期待させた。
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"老人の目は海と同じ色をしていた。生き生きとしていて、まだ挫けてはいなかった。" "信頼の色のこもる優しい眼差しだった。" 和訳とはいえ、老人の目についての描写の、この言葉選びのセンスに序盤から心を掴まれっぱなしだった。 老人が魚と葛藤す...
"老人の目は海と同じ色をしていた。生き生きとしていて、まだ挫けてはいなかった。" "信頼の色のこもる優しい眼差しだった。" 和訳とはいえ、老人の目についての描写の、この言葉選びのセンスに序盤から心を掴まれっぱなしだった。 老人が魚と葛藤するシーンについても、海だけでなく太陽の様子、老人を取り囲むあらゆるものについての描写が細かいのに言葉選びが繊細で、綺麗で、ありありと頭に浮かんできた。 最低限の人工物のみを使い、ほぼ自分体と頭のみを使って大海原に繰り出す人間の逞しさがこんなに綺麗に描けるのか〜、とにかく素敵だったなあ。
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感想 私が高校生の時隣りの同級生(彼女)が読んでいた本。洋書なんか読んでお高くとまった子だなと思った。数十年経ったある日ふと本屋で見つけたので買って読んでみた。素晴らしい小説た、私もその時代に読んでいたら感性が変わったかな。 素晴らし漁師の老人サンチャゴ、街で彼を慕う者はただ一人...
感想 私が高校生の時隣りの同級生(彼女)が読んでいた本。洋書なんか読んでお高くとまった子だなと思った。数十年経ったある日ふと本屋で見つけたので買って読んでみた。素晴らしい小説た、私もその時代に読んでいたら感性が変わったかな。 素晴らし漁師の老人サンチャゴ、街で彼を慕う者はただ一人、少年マノーリンの物語。 鮫
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ヘミングウェイ自体が初読。2020年の新訳が出ていたので手に取った次第。年譜も詳しく(その年の出版・映画界の主な代表作や、世界や日本の転換点も抑えられているのが良い)、解説も丁寧で、翻訳ノートと称された註釈も分かりやすい。ただ、本編の語句から翻訳ノートに飛べたらもっと便利かな。自力で調べながら読んだよ、、、 ノーベル文学賞受賞も当然と思わせる文句なしの名作。風景や漁に対する客観的な描写と、老人の独り言や独白を担う主観的な描写の往来が若干読み難くもあったが(あと漁に関する専門用語がピンとこなかった、図解もあったら有難い)、文体自体は一貫して簡素なためとっつき易い。にも関わらず、サラッと通り過ぎる場所はどこにもなく、全ての言葉に意味が、愛が、誠実さが宿っているのが感じられる。一度読んだだけで完全に自分の糧にできたとは決して言えない、これから先何度でも読み返すべき作品。 老人の知力と体力を超えた、壮絶で孤独な戦いが報われることはないにも関わらず、物語全体を覆う切ない温かさはなんなのか。あらゆる場面から静かに湧出する豊かで深甚な愛情は、海を、海に連なる生き物たちを心から愛する老人の想いそのものであり、朴訥で不器用で誠実なこの男の、大変に愛おしい人格そのものでもある。自分の老いと孤独への悲哀を抱えつつも、海を愛し、生き物を愛し、村や少年を愛し、自分の人生を愛するその愚直さと、海や生き物の狡猾で残酷な部分をも在るが儘に受け入れる寛大さ。これらを備える人格の強さと深さが、ただただ本能のまま素直に生きる大魚やサメとの死闘を、よりドラマチックに仕上げている。そして、あくまで客観的で冷静で、なによりリアルな闘いの様子が、物語をセンチメンタルなだけで終わらせない、その絶妙な塩梅が見事です。 伏せられた亡き妻の写真で老人の孤独を知り、少年とのやりとり(抵抗なく酒を奢ってもらったり、野球について喋ったり)で二人の穏やかで対等な関係に胸を温める。トビウオや鳥、海亀への独特な視線は面白くも和やかだし、孤独に海で戦う老人が何度も自らに問い、答え、慰め、鼓舞する様子はなんだか哲学的だ。引き攣る左手に腹を立てたり、励ましたり、まるで人格を与えているような描写は可愛らしい。何度も呟く「あの子がいてくれりゃ」という言葉には、寂しさと信頼と諦念と、自分の技術や海について少年に余さず伝えたいという愛情が感じられる。大魚やサメたちとの息をつかせぬ死闘の様子に、老人の豊富な経験と漁師としてのプライド、並外れた我慢強さを知り、それでも力及ばずに兄弟同然と愛した大魚がサメに食い散らかされる悲痛を追体験する。這う這うの体で帰還した老人の手の傷を一目見たマノーリンが、その惨憺たる戦いと筆舌に尽くし難い悔恨を察し涙する場面では、思わず目が潤むほどに没入していた(あんなに簡素な文体なのに、、、)。中編小説でよくぞこの濃さを!ヘミングウェイの当時の奥さんが「老人と海」を読んで、人目を憚らずに心変わりを謳う夫を許した逸話、すごい共感した。この作品を世に出すための恋ならば、もう許すしかないよな、、、あと表紙がとても素敵です。初版の表紙も見てみたいな。 祈る場面も度々あったし、「手のひらを釘で板まで打ち貫かれた人間が思わず発する声」みたいな叙述で絶対にキリストに絡めて批評する奴いるだろうなとは思ったけどやっぱりか、、、でもあんまり関係ないと思うな。それよりもカジキの夫婦の話が出てきたときに、大魚のカジキってこのとき生き残ったカジキの雄なのでは?と思ったんだけど、穿ちすぎか。現実味もないし、作品に合わないかも。でもいろんな視点の解釈が知りたい。レビュー読み漁ります。
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