夜の向こうの蛹たち の商品レビュー
小説家のわたし、織部妙。「虫が好きな子供だった」から始まる。だから「橋本さなぎ」というペンネームの作家に興味を持ち、会う機会にも恵まれる。橋本さなぎの作品『やさしいいきもの』を夢中になって読み、その作品と、会った本人に違和感を感じる。こういう勘は当たるもので、読み進めるうちにやっ...
小説家のわたし、織部妙。「虫が好きな子供だった」から始まる。だから「橋本さなぎ」というペンネームの作家に興味を持ち、会う機会にも恵まれる。橋本さなぎの作品『やさしいいきもの』を夢中になって読み、その作品と、会った本人に違和感を感じる。こういう勘は当たるもので、読み進めるうちにやっぱりと思う。やっぱりとは思うのだが、話がどこにいこうとしているのかはわからず、最後の文章も、「いつだって、自分のことがいちばんよくわからないのだ。」で終わる。 それにしても、素敵な表紙だ。装画 平野実穂。淡い色の髪に花や蝶を描き、虚ろな表情の女性のなまめかしさ、ずっと見ていたくなる絵がこの本を物語っている気がする。
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小説家でレズビアンの織部が、新人賞を取った橋本さなぎに興味を持って関わっていく様子。 パーティーで出会った橋本さなぎは誰が見ても美しく、明るい愛想で溢れていた。 同じ場所にいたのは橋本さなぎの秘書という、橋本と容姿が真逆の初芝だった。 華やかな橋本よりも、地味だけど自然な本音を言ってくれる 初芝に織部は惹かれていくが 橋本と初芝には二人だけの秘密があった。 ネタバレ。 小説を書いているのは初芝で、橋本さなぎを外で演じているのは速水という名前。 二人とも外見にコンプレックスを持ちながら生きている。 最後が清々しい感じ。 自分らしく生きていくと決めた二人の決意が気持ちい。 同性愛者の人がすぐいろんな人を性的な目で見てるみたいな感じが強くて、大丈夫かなあとも思ったのです。
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ひとは完璧を求める。自分には無いものを欲張る。その狭間で生きる女性の苦しさを考えさせられました。 複雑な関係や気持ちにどこか惹かれてしまうお話。
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容姿が人に与える印象って大きいんだなぁ。 たしかに、この本書いてる人ってどんな人だろう〜 と気になって調べて、エッ!?なる事たまにあったな レズビアンな女子の複雑な関係の話だった
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ドロドロ!だけどさらっと書いてるので、さらっと読める。 女性同士の恋愛。女性の心理、といっても女性同士のものはわたしにはちょっとNGかもしれない。 ジョージア料理気になる。 やっぱり近藤さんの本は料理の話が出てくるのがいい。
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面白くてスラスラと読み進めた。 女性の三角関係を描いた物語は初めてだったので新鮮でドキドキした。 作家の才能に溢れいるのに、自分の容姿に自信がない初芝は、咲子というアバターを利用して本当の姿を隠しながら作家活動をしている。自分の姿を曝け出せずにいる蛹だった。 物語が進むうちに、咲子も自分の容姿のせいで辛い人生を送ってきたことが明らかになる。美しい容姿を有しているが他に才能なさがないと思っている彼女は、誰かに依存(寄生)しないと生きていけない。自分がしたいことをする、自由な生き方がわからない蛹だ。 一方主人公の妙は容姿端麗、本も売れ続けていて作家として活躍している。彼女の目線で蛹たちがどう変化していくかが描かれている。そして読み手からすると、この3人の対比が面白かった。 個人的には妙に本当に愛せる人が見つかって、幸せに生きてほしいと思う。
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こんな話だったとは。レズビアンサスペンスだった。レズビアンである小説家の妙は、美貌の新人小説家さなぎを紹介される。妙は、美しいさなぎよりも朴訥とした彼女の秘書、祐に一目惚れする。祐と親しくなりたい妙だが、やがて彼女たちに違和感を持ち始める。期待していたミステリー要素は途中で雲散霧...
こんな話だったとは。レズビアンサスペンスだった。レズビアンである小説家の妙は、美貌の新人小説家さなぎを紹介される。妙は、美しいさなぎよりも朴訥とした彼女の秘書、祐に一目惚れする。祐と親しくなりたい妙だが、やがて彼女たちに違和感を持ち始める。期待していたミステリー要素は途中で雲散霧消してしまったものの、かなり好きな話だった。妙・さなぎ・祐の3人の女性陣の対比に惹きつけられたし、始めは存在感の薄いさなぎが、最後まで読むとしっかり巻き返してきたのが意外で意表をつかれた。人を選ぶかもしれないが私は面白く読めた。
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近藤さん、ブランドの『はなれわざ』は意識してるのかな。 大人の肉体的関係を伴った百合は、初めて読んだかも。海外なら、捜査官ケイトシリーズとかあったけど。
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楽しめて読めた。皆無いものねだりだが、咲子と祐は自分自身を受け入れ、飛び立つ事を選択出来て良かったと思う。主人公は自身が容姿も、ある程度の才能もありながら器用貧乏なのかも。 個人的には祐が織部のレズビアンを聞いても驚きもせず、冷静なキャラクターに見え、1番芯がしっかりして好きだ。
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小説家2人とその秘書との女3人の恋物語。 主人公、妙の素直な心情が痛く切ない。 「いつも、わたしが誰かを本当に愛しはじめるのは、すべてが手遅れになってからなのだ」 この気持ちはすごく分かる。
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