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運命の八分休符 の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2024/01/04

「連城三紀彦」の連作ミステリ短篇集『運命の八分休符(英題:The Eighth Rest of Fate)』を読みました。『夜よ鼠たちのために』に続き、「連城三紀彦」の作品です。 -----story------------- ささやかな?を胸の裡に秘めて、彼女たちは現れる。 ...

「連城三紀彦」の連作ミステリ短篇集『運命の八分休符(英題:The Eighth Rest of Fate)』を読みました。『夜よ鼠たちのために』に続き、「連城三紀彦」の作品です。 -----story------------- ささやかな?を胸の裡に秘めて、彼女たちは現れる。 心優しき青年が出会う五人の女性、五つの事件。 水際立つ論理と、澄み渡った感傷 謎解きの名手の隠れた傑作が甦る。 困ったひとを見掛けると放ってはおけない心優しき落ちこぼれ青年「軍平」は、お人好しな性格が災いしてか度々事件にまきこまれては、素人探偵として奔走する羽目に。 殺人の容疑をかぶせられたモデルを救うため鉄壁のアリバイ崩しに挑む表題作をはじめ、数ある著者の短編のなかでもひときわ印象深い名品「観客はただ一人」など五人の女性をめぐる五つの事件を収める。 軽やかな筆致が心情の機微を巧みにうかびあがらせ、隠れた傑作と名高い連作推理短編集。 解説=「岡崎琢磨」 ----------------------- 『夜よ鼠たちのために』と同時代の1980年(昭和55年)から1983年(昭和58年)に発表された作品、、、 大学を卒業しても定職に就かずぶらぶらしており、髪が薄く、眼鏡にどんぐり目、中肉中背で空手をやっていたので腕っぷしだけは強いけど、見た目はてんでさえない25歳の青年「田沢軍平」が探偵役となり事件を解決する連作短篇です。  ■運命の八分休符<装子>  ■邪悪な羊<祥子>  ■観客はただ一人<宵子>  ■紙の鳥は青ざめて<晶子>  ■濡れた衣装<梢子>  ■あとがき  ■解説 岡崎琢磨 各話に女性の名前が副題として付けられており、その女性と「軍平」の淡い恋が綴られることもあり、やや軽めのミステリに仕上がっていますが、犯罪のトリックは複雑で意外性もあり、本格ミステリとしても十分に愉しめるクオリティでしたね… 5作品ともホントに面白くて、さすが「連城三紀彦」作品って感じでした、、、 特に人物関係、構図がものの見事に逆転する意義が異性と鮮やかさが素晴らしいですよねー ホントに愉しめました。 その中でも、2分間のアリバイ崩しに挑み、犯行場所の入れ替えと電話の短縮ダイヤルサービスを利用したトリックを鮮やかに解き明かす『運命の八分休符』がイチバン印象的でしたね、、、 その他では、 子どもが間違えられて誘拐!? 誘拐事件の被害者を誘拐犯とミスリードさせられる『邪悪な羊』、 失踪者を探している人物が実は失踪者だったとミスリードさせられ、トラベルミステリっぽさも愉しめる『紙の鳥は青ざめて』、 が印象に残りました。 次は「連城三紀彦」の長篇作品を読んでみようと思います。

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2020/11/09

とても良かった。5人の女性をめぐる連作短編。容姿は冴えないが心優しい青年・軍平が、女性に関わり、事件に巻き込まれ、素人探偵としてふっと閃いて事件の真相に気づいてしまう。ひとつひとつの話が反転に目を見張る綺麗なミステリで、なおかつ細やかに心情を描いた恋愛ものでもある。なにより印象的...

とても良かった。5人の女性をめぐる連作短編。容姿は冴えないが心優しい青年・軍平が、女性に関わり、事件に巻き込まれ、素人探偵としてふっと閃いて事件の真相に気づいてしまう。ひとつひとつの話が反転に目を見張る綺麗なミステリで、なおかつ細やかに心情を描いた恋愛ものでもある。なにより印象的なのはどの話もラストの一文だ。込められた優しさとほろ苦さにため息が出る。それに加えて各話の題名も見事なこと。所々にユーモアも交えているから参ってしまう。初刊から40年近い月日を経ているとのことだが、今読んでも素晴らしかった。

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2020/10/26

困ったひとを見掛けると放ってはおけない心優しき落ちこぼれ青年軍平さ、お人好しな性格が災いして度々事件に巻き込まれては素人探偵として奔走する羽目に。殺人の容疑をかけられたモデル、初恋の女性、奔放な猫のような新人女優に熟れたベテラン女優、夫をうしなった静かな主婦、震える新人の情婦…果...

困ったひとを見掛けると放ってはおけない心優しき落ちこぼれ青年軍平さ、お人好しな性格が災いして度々事件に巻き込まれては素人探偵として奔走する羽目に。殺人の容疑をかけられたモデル、初恋の女性、奔放な猫のような新人女優に熟れたベテラン女優、夫をうしなった静かな主婦、震える新人の情婦…果たして振り回されているのは軍平か、それとも。 あらすじからもっとドタバタ強い女性に引っ張り回される系かと思いきや、全然違った。短いけど丁寧なロジック、叙情的な空気感、女性たちの美しさが目に浮かぶような描写、そしてなぜか惹かれてしまうのがわかる軍平。表題作はちょっととっぴだったけど、他の話は地に足のついた落ち着いた話でけっこう好き。『邪悪な羊』と『紙の鳥は青ざめて』が好きかな。

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2020/10/21

田沢軍平が鮮やかなどんでん返しの推理を開陳する短編が5つ.どれも面白かったが、青井蘭子が一人芝居をする「観客はただ一人」が楽しめた.45歳の彼女に関わりのあった100人近い人を集める.蘭子に気に入られた宵子が軍平と楽屋を訪ね、物語が始まる.芝居が進行し銃声で舞台は大混乱となり、蘭...

田沢軍平が鮮やかなどんでん返しの推理を開陳する短編が5つ.どれも面白かったが、青井蘭子が一人芝居をする「観客はただ一人」が楽しめた.45歳の彼女に関わりのあった100人近い人を集める.蘭子に気に入られた宵子が軍平と楽屋を訪ね、物語が始まる.芝居が進行し銃声で舞台は大混乱となり、蘭子は射殺された.この謎めいた事件を軍平が解明するが、蘭子の気持ちをしっかり掴んでいるのが素晴らしい.

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2020/10/01

明らかに女性にもてない容姿の男の主人公が、5人の美女との邂逅しつつ、不思議な事件を解決するという短編集ですね。 1986年に出版された作品らしく、流石に時代的には古いなぁ、と感じる事も多かったですが、朴訥な性格からか妙にもてる主人公が、魅力的な謎を解決していく様は見事ですね。個...

明らかに女性にもてない容姿の男の主人公が、5人の美女との邂逅しつつ、不思議な事件を解決するという短編集ですね。 1986年に出版された作品らしく、流石に時代的には古いなぁ、と感じる事も多かったですが、朴訥な性格からか妙にもてる主人公が、魅力的な謎を解決していく様は見事ですね。個人的には舞台の話が本作の白眉だと感じました。 あと、全然主人公のタイプは違いますが、映画の寅さんを連想してしまいました。 切れ味の良いミステリを読みたい、という人は読んでみると面白いと思います。

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2020/09/15

上質な金平糖みたい。時代を反映きて少し古ぼけてみえるところもあるけど、丁寧な仕事が美しい文章で綴られている。

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2020/09/14

田沢軍平25歳。野暮ったい眼鏡にどんぐり目、髪が薄くてガニ股、大学時代に空手の試合で相手に生涯の傷を負わせた負い目から、幸せになることに背を向け、就職も棒に振り定職につかない日々を送る気弱な男。 軍平ちゃん、冴えない見た目に反していやにモテる。底抜けに優しく、惚れっぽいが誠実で、...

田沢軍平25歳。野暮ったい眼鏡にどんぐり目、髪が薄くてガニ股、大学時代に空手の試合で相手に生涯の傷を負わせた負い目から、幸せになることに背を向け、就職も棒に振り定職につかない日々を送る気弱な男。 軍平ちゃん、冴えない見た目に反していやにモテる。底抜けに優しく、惚れっぽいが誠実で、一たび事件が起こると鋭い洞察力で真相を見抜いていく。 その軍平ちゃんが5人の女性と事件に遭遇し、惚れ、惚れられ、だけど離れていく5つの連作短編集。 初刊1983年、文庫化1986年、そして今年文庫復刊されたこの短編集は、あの名作短編「恋文」とはがらりと趣を変え、軍平ちゃんのキャラクターから察せられるとおりのユーモラス路線。そして、時代はザ・昭和。 洒落のセンスも、喩えに使われている言葉も「古っ!」とツッコミを入れたくなる。さらに、ミステリのトリックも若い子にはわからないだろうな~というものまで。 それでも、軍平ちゃんの推理によってすべての事件の真相が明らかになるときの”鮮やかな反転”には目を見張るものがあり、さすが大御所「そうきたか!」と唸らされる楽しさ。 おまけにユーモアとミステリを彩る、情歌溢れる描写も美しく、この美しい文章だけは時を経ても色褪せない連城作品の魅力。もう望めないけれど、連城さんにはこの続編を書いて軍平ちゃんを幸せにしてやってほしかった~

Posted byブクログ

2020/09/09

どの話も一筋縄ではいかない。ミステリーなので捻りがあるのは当然だが「え、そっち?」というのが多かった。 軍平は、良い。見た目がイケてないところがまた良い。

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2020/09/07

直木賞作家の連作ミステリ短編集、恥ずかしながら・・・初めての連城三紀彦。 5人の女性をめぐる事件を解決へ導く素人探偵:田沢軍平の活躍を描いています。 ちょっと不思議な世界観と、適度にゆるいミステリが良い感じで融合し、読後感の良い短編集です。 が・・書かれたのが80年代初頭なので、...

直木賞作家の連作ミステリ短編集、恥ずかしながら・・・初めての連城三紀彦。 5人の女性をめぐる事件を解決へ導く素人探偵:田沢軍平の活躍を描いています。 ちょっと不思議な世界観と、適度にゆるいミステリが良い感じで融合し、読後感の良い短編集です。 が・・書かれたのが80年代初頭なので、少し古い感じです。そういう文体が苦手な方にはオススメしません。

Posted byブクログ

2020/07/04

バカね、軍平ちゃん。 オンナに振り回されっぱなしの心優しき少年の、切ない恋と、切ないミステリーの話。 美しい女には辛い過去と事件がつきものなのね。

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