鳥の歌いまは絶え の商品レビュー
CL 2023.12.4-2023.12.6 三代にわたる年代記。 放射能によって絶滅の危機に瀕した人類はクローン人間を生み出し種の存続を図るが、クローンたちは旧人類を排除し始める。 やがてクローンだけの社会となり、そこでは「個人」はなく、強い共感性でまるで姉妹兄弟で一人の人間の...
CL 2023.12.4-2023.12.6 三代にわたる年代記。 放射能によって絶滅の危機に瀕した人類はクローン人間を生み出し種の存続を図るが、クローンたちは旧人類を排除し始める。 やがてクローンだけの社会となり、そこでは「個人」はなく、強い共感性でまるで姉妹兄弟で一人の人間のようになっている。その中でモリーは「私」を発見しマークを出産する。クローンではなく。 そしてクローンではないマークが、衰退していくクローン社会に抗い、新たな人類社会を築こうとする。 個と共感。1976年の作品ながら全く古びることなく、現代にも通じる問題とも言える。 それにしても素晴らしい邦題。
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面白すぎる。素晴らしかったです。 そしてタイトル邦訳があまりにも美しい。 三代にわたるSF年代記。 核によって生殖能力を失い滅びゆく人類のうち、サムナー一族だけがクローン技術という慧眼によって生き延びます。 しかし、クローンたちは旧人類にはない共感能力を有しており、やがて旧人類...
面白すぎる。素晴らしかったです。 そしてタイトル邦訳があまりにも美しい。 三代にわたるSF年代記。 核によって生殖能力を失い滅びゆく人類のうち、サムナー一族だけがクローン技術という慧眼によって生き延びます。 しかし、クローンたちは旧人類にはない共感能力を有しており、やがて旧人類を排除するようになりました。 クローンの中でも孤独を経験することで「私」を獲得した女性による第二部、谷で唯一クローンの兄弟を持たない少年による第三部。 共感能力に優れたクローンたちが、やがて創造性を失っていく展開に圧倒されました。 芸術とは、表現とは、共感によってのみ評価されるのでも理解されるのでもないんだと思います。
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「共感」と「自我」は相対するものなのか……。 1976年のSF小説 出だしは“ある田舎の集落”で育った少年の成長が描かれている。 でもその陰には伝染病、不妊、飢饉、戦争などで人類の終焉が忍び寄っている。 成長した少年とその一族は、人類維持のための医療・研究とともにひそかにクロー...
「共感」と「自我」は相対するものなのか……。 1976年のSF小説 出だしは“ある田舎の集落”で育った少年の成長が描かれている。 でもその陰には伝染病、不妊、飢饉、戦争などで人類の終焉が忍び寄っている。 成長した少年とその一族は、人類維持のための医療・研究とともにひそかにクローン研究を始める。 生存率、生殖率が「劣化する」というクローン技術の研究は、当初人間(原種)が行っていたが、次第に「クローン」自身の手で行われることになる。 クローンには従来の人間とは別の特徴があった。 同じ元からクローン培養された子供たちは「兄弟」「姉妹」として、同じ外見のみならず互いに共感しあうことで精神の安定を図り、社会を形成する。そこには利己的で「何を考えているかわからない」人間(原種)は、次第に隅に追いやられていく。 二部以降では、人間(原種)はもう存在せず、クローンたちの「兄弟」「姉妹」での社会が形成されているが、問題は解決されていないどころか、元の科学技術を発展させることも次第に廃れていく。 そこに登場したのが、クローンの中で異質な経験をもとに自然出産で生まれた、「兄弟」を持たない少年。 彼がクローン社会に巻きおこすものは、人類の未来にとって光明か弊害か……。 作者は当時の思想である「社会主義」「全体主義」から「個性と集団社会」をテーマにSF小説として描いている。 現代、「教育の画一性」と「共感力を求める社会風潮」が、SNSの発展とともに問題化している。 今、我々は、この物語のクローンたちの社会と同様に破滅に向かっているのか……。
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環境破壊により不妊が蔓延した人類は滅亡の危機に瀕していた。クローン技術に活路を見出すも、異変が起こり……。 都市は滅び、動物たちが姿を消し、氷河期が迫るという世界観。人類の存続のために生み出されたクローンの人間たちは強い共感力を持つが、同時に個として生きる力を失っていく。徐々に...
環境破壊により不妊が蔓延した人類は滅亡の危機に瀕していた。クローン技術に活路を見出すも、異変が起こり……。 都市は滅び、動物たちが姿を消し、氷河期が迫るという世界観。人類の存続のために生み出されたクローンの人間たちは強い共感力を持つが、同時に個として生きる力を失っていく。徐々にディストピア化していく世界の変遷が切ない。三部構成のそれぞれが異なる趣を持ち、味わい深いものがある。科学と文明がもたらすもの、人間と自然の調和というようなテーマ性。ラブストーリーを基調に三代に渡って展開する壮大な物語。手塚治虫を彷彿とさせると誰かが言っていたが、確かに。タイトルの名訳から受ける印象通りの傑作だった。
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環境破壊が進み、病気や災害などにより人類が滅亡の危機に追いやられる所から話はスタートする。 作り出されたクローンたちによって 小さく社会は維持される。 とても優秀に見えるクローンたちだが 人間が持つ喜びというものを知らない。 芸術や音楽、娯楽などもない。 ただ生きるために作ら...
環境破壊が進み、病気や災害などにより人類が滅亡の危機に追いやられる所から話はスタートする。 作り出されたクローンたちによって 小さく社会は維持される。 とても優秀に見えるクローンたちだが 人間が持つ喜びというものを知らない。 芸術や音楽、娯楽などもない。 ただ生きるために作られたクローンたち。 「個」の意識を持つ者は異端とされ排除される。 描写がとても美しい本だった。 始めは読みにくいかと思ったけれど 少しゾワゾワ、あとはウットリとしたまま読了。
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この作品は1976年に書かれているが、この作品の中の世界では、放射能によって大気が汚染され、旱魃と洪水が起こり、飢饉と感染症がひろがり、地球上の生物が生殖機能を失っていく、とある。 今、この作品をSF小説、ファンタジー小説、と簡単に思えない複雑な心境だ。 ある谷に住む一族は研究...
この作品は1976年に書かれているが、この作品の中の世界では、放射能によって大気が汚染され、旱魃と洪水が起こり、飢饉と感染症がひろがり、地球上の生物が生殖機能を失っていく、とある。 今、この作品をSF小説、ファンタジー小説、と簡単に思えない複雑な心境だ。 ある谷に住む一族は研究所を作り、クローン技術によって人類を存続させようとする。 クローンを生み出すディヴィッドたち人類の章。 クローンたちがその独自の性質で作り出した世界の中で、自己を見つけ出し出産したモリーの章。 モリーの子として生まれ、クローン社会の中で孤独に生きるマークの章。 この中で特に、モリーの章は印象的だった。 クローンと人類との対比となっているが、今の人間社会の中でも似たような問題はあるように思う。 物語としては、もっと一つの話として引き込まれたかった感じはあるが、抒情詩のような美しい文章とタイトルもあり満足です。
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陰鬱に展開し、新しい世代が登場して終わるが、鳥や川魚が居なくなった世界でクローンの社会が果たして持続可能とは私には思えないので希望を感じられなかった
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戦争と気候変動に加え、世界人類は放射能汚染により生殖能力を失ないつつあり、滅亡に瀕していた。 シェナンドア一族は、人類の生き延びる道をクローン技術に求め、汚染を免れた清浄な水を得られる谷の上流に密かに研究所を建設する。 一族の一員で、生物学者を目指す青年デイヴィッドは、有性生殖を数世代経ることにより再び生殖能力を取り戻す可能性があるという研究により、未来に望みを託して一族のクローンたちを生み出すが… 面白かった! しかも、ものすごく格調高い解説で知った、この作品が1976年の作品で、1982年にサンリオSF文庫から刊行されたものの復刊だということ。 それを知ると、今読んでもストーリーの瑞々しさ、荒廃した都市の描写の生々しさに、再び驚かされた。 東逸子さんのイラストも、その頃のものなのですね!またまた嬉しい驚き。 デイヴィッドと、彼らの世代が生み出したクローンたち、そしてさらに数世代を経たクローンたち。 第一部では、こりゃ完全にディストピアSFだと思ったけれど、第二部のモリーは、想像力/創造力の大切さを問い、第三部ではモリーの子・マークが新たな道を切り拓く。 ディストピア…で終わらなかったのが、いい。 より優位な種族による、旧種族の淘汰。 ヒトは遺伝子であらゆる事を決定づけられてしまうのか、それとも後天的な要素や学習で変化し得るのか。 何度も繰り返し取り上げられているテーマだけれど…この作品は、クローン技術のごく初期に書かれたものだけれど、まだこれからも通用しそう。 たぶんまだ、もうしばらくは… フォロー中のいるかさんのレビューのおかげで、読むことができました。 そして、ネタバレ注意で読了するまで我慢していた地球っこさんのレビューも、すごく良かった。 おふたりとも、どうもありがとうございました!
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図書館の新着コーナーにあり、いくつか賞も受賞しているようなので読んでみました。著者の作品は初読です。クローン技術で人が増えるということがどういうことか、倫理的な側面からではなくて生物学的?に起こり得る現象が描かれており興味深く読みました。物語の設定・展開に説得力・納得感があります...
図書館の新着コーナーにあり、いくつか賞も受賞しているようなので読んでみました。著者の作品は初読です。クローン技術で人が増えるということがどういうことか、倫理的な側面からではなくて生物学的?に起こり得る現象が描かれており興味深く読みました。物語の設定・展開に説得力・納得感があります。後半は冒険譚の要素もあって荒涼としながらも美しいイメージに引き込まれました。
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ちょっと『エデンの東』的な。しかし70年代の本とは思えないぐらい現代的なテーマ。谷のエリート主義のホモソーシャリティが意識的に描かれている(巻末解説から)というのが際立っていた。
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