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ファシズムの教室 の商品レビュー

4.2

38件のお客様レビュー

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2026/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ちょっとビクっとするタイトルの本。サブタイトルは「なぜ集団は暴走するのか」。 新書でありがちな「なぜ●●は〇〇なのか」系の、軽くて緩くてざっくりした、著者の個人的主張がつらつら書かれてるような本かと思ったのだが、読んでみたら全然違った。 甲南大学で教鞭を執る著者が、大学の科目の一つとして「ファシズムの体験学習」をし、その記録と論考をまとめた本で、テーマとしても内容としてもけっこう重い。というか、この授業を授業として認め、単位を出すまでやった甲南大学の経営陣の判断力が凄い。一歩間違うと危険なことだが、学問として追及することにちゃんとした意義がある、ということを理解して、科目認定することに踏み切ったのだろう。英断である。 著者は、授業の中でファシズムを体験するワークショップを企画。綿密に構成されたこのワークショップは、人がどうしてファシズムという狂気に陥り、それが容易に権力側に利用され、参加者がどうしてその異常な精神状態をむしろ楽しむようにすらなるのか、ということを、体験を通じて学べるようになっている。今はさすがにこの科目は実施していないようだが、教育機関の中でファシズムを模擬体験させ、その危うさを学ばせるということには大きな意味があると思う。 著者は最後に、現代によみがえるファシズムとしてのポピュリズムに触れ、その危険性を指摘している。すぐに思い浮かぶのはアメリカのトランプであり、オランダのウィルダースであり、フランスのルペンであり、日本だとだいぶ格が落ちるが小池百合子や参政党の神谷あたりである。 シンプルでわかりやすい言葉を使い、大衆の不満を燃料にして対立を煽り、特権層や外部を排除することで人気を得る。道徳やモラルよりも、困難や苦痛を感じている人々に共感して「アイツが悪い」という敵を作り、社会を寸断していく。愚かしい思考だが、それがかぐわしい香りを放つ甘い果実に見えてしまうように仕向けるのがポピュリズムであり、それが政治的権力に結び付いてしまうとファシズム的な形に変化しうる。 社会を突き崩す危うさや怖さを知ったうえで対応をしていくためには、「ファシズムには魅力がある」のだということをまずきちんと受け止め、人がどうしてそのような流れに与していくのかについても、しっかりと学ばないといけないのだろう。

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2025/07/18

参院選前の異様にも思える状況を理解するヒントになるのではないかと思い読んだ。結論としては、知りたいことが書かれていた。もちろん授業実践の話は興味深かったのだけれど、それ以外のコラムやRADの騒動に関する考察がよかった。

Posted byブクログ

2025/07/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

こんな面白そうでかつ有意義ななことをしている人がいるんだと思ったけど本書を読んで、その授業自体がもうやっていないことを知り、残念に思いました。 ファシズムに加担することは、快感をはらんでいるというのは確かになと思いました。 読みながら自分がもしもこの教室に参加していたら、確かに楽しいと思うだろうなと思ったし、ひとりでここから抜け出すことは不可能だろうなとも思いました。 絶対の指導者に従う=責任感の欠如というのも、なるほどなと思いました。 しかし屋外で活動してるところに、面白半分の部外者が混ざり込んで敬礼やリア充罵倒をし出す、っていうのを読んで、こいつが一番やばい奴じゃん…と思った。 授業に参加してファシズムを理解しようとしてる生徒よりよっぽど学ぶ必要のやるバカヤロウじゃん…。 後半の『ファシズムと現代』の章で、RADWIMPSの「HINOMARU」についても触れていて、それもとても面白かった。 (以下、引用) だが、それにしてもなぜ、野田はこうも「抑圧」に反発するのだろう。「自分の国が好きだ」と言ってはいけないと、誰かに制止されることなどありうるのか。 とか笑ってしまった。ほんとになって思ったから。

Posted byブクログ

2025/06/29

「ダークサイドミステリー」でスタンフォード監獄実験の回を見た際に、著者が解説者で出演していてこの本を知った。体験学習の中で、いかに学生がファシズムに取り込まれていくかが分析されており、コロナの時も感じたけど人間て脆いな、弱いなクズだなーと実感。「大きな権力に従う事で自分も小さな権...

「ダークサイドミステリー」でスタンフォード監獄実験の回を見た際に、著者が解説者で出演していてこの本を知った。体験学習の中で、いかに学生がファシズムに取り込まれていくかが分析されており、コロナの時も感じたけど人間て脆いな、弱いなクズだなーと実感。「大きな権力に従う事で自分も小さな権力者となり、虎の威を借りて力をふるうことに魅力を感じている」というのは特に怖い。今の日本の状況に改めて不安を感じる。 ナチスに関するコラムも興味深く読んだ。「ヒトラーは社会主義者だった」なんて冗談のような主張が出てくるのはマジで怖い。

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2025/04/20

2025/04/20 ファシズムの教室 田野大輔 甲南大学の授業で「ファシズム実験」を試みる そのレポート ファシズムはヒトラー時代の専売特許ではない  1. 権威への服従→無責任・残忍な行動を受け入れる ① 指導者の存在 ② 共同体の力を認識 集団で示威・熱狂 ③ 目的 敵の存...

2025/04/20 ファシズムの教室 田野大輔 甲南大学の授業で「ファシズム実験」を試みる そのレポート ファシズムはヒトラー時代の専売特許ではない  1. 権威への服従→無責任・残忍な行動を受け入れる ① 指導者の存在 ② 共同体の力を認識 集団で示威・熱狂 ③ 目的 敵の存在 2. 集団の変化  ①集団の力を実感 ②責任感の麻痺 ③規範の変化 3. ドイツ人のヒトラー支持  E.フロム「自由からの逃走」   ハンナ・アーレント「悪の陳腐さ」・・・何時でも・誰にでも可能性

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2024/10/27

ファシズムの成立するプロセスを社会学的な観点から解説している。 特定の狂信者が支持するわけではなく、ごく普通の市民が他責にできる状況で急進する現象のようだ。自身の経験からも納得できる説明だった。 ★★★★★ 彼らは客観的に見ると従属的な立場にいるのだが、本人の内面では自分が何を...

ファシズムの成立するプロセスを社会学的な観点から解説している。 特定の狂信者が支持するわけではなく、ごく普通の市民が他責にできる状況で急進する現象のようだ。自身の経験からも納得できる説明だった。 ★★★★★ 彼らは客観的に見ると従属的な立場にいるのだが、本人の内面では自分が何をしても責任を問われないという、解放感とでも呼ぶべきものが生じている。逆説的なことに、服従によってある種の「自由」が経験されているのである。

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2024/10/04

ファシズムをテーマにした大学の体験学習の内容とそのやり方 「権威への服従」をファシズムの本質と捉えて展開される突っ込んだ分析は、是非とも教養として広く伝わってほしい内容である。 また教育方法について、かなり詳しく書かれており、圧力がかかって現在行われていないのがとても惜しまれ...

ファシズムをテーマにした大学の体験学習の内容とそのやり方 「権威への服従」をファシズムの本質と捉えて展開される突っ込んだ分析は、是非とも教養として広く伝わってほしい内容である。 また教育方法について、かなり詳しく書かれており、圧力がかかって現在行われていないのがとても惜しまれる。 監獄実験、ミルグラム実験、ハンナ・アーレントの「悪の陳腐さ」は知っていたが、 映画「es」「The wave」、ジェーン・エリオットの「青い目、茶色い目」など気になった。

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2024/03/21

受講生のレポートに書かれていた「自分は監獄実験の看守役の人たちのような虐待行為をおこなわないと思っていたが、この授業に参加してそれは間違いだと気づいた」という言葉が心に残った。私も自分はやらないと思っていたが、この人と同じだろうと思うと怖くなる。ファシズムは遠い昔のことではなく、...

受講生のレポートに書かれていた「自分は監獄実験の看守役の人たちのような虐待行為をおこなわないと思っていたが、この授業に参加してそれは間違いだと気づいた」という言葉が心に残った。私も自分はやらないと思っていたが、この人と同じだろうと思うと怖くなる。ファシズムは遠い昔のことではなく、いつでも起こり得ること。ファシズムとは何か、どのようにして集団は暴走するのかを知っていれば、流されずに立ち止まって抵抗するための力になるだろう。

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2023/11/19

 共同体意識のある集団では、残酷な指示でも従ってしまう。責任感が麻痺し、帰属意識が強く働くからである。 上からの指示だから自分には責任がないと感じ、残酷な行動もできてしまう。その集団に属していることが誇らしく思えて、高揚感を覚えてしまう。個人の倫理観は防波堤としては貧弱である。 ...

 共同体意識のある集団では、残酷な指示でも従ってしまう。責任感が麻痺し、帰属意識が強く働くからである。 上からの指示だから自分には責任がないと感じ、残酷な行動もできてしまう。その集団に属していることが誇らしく思えて、高揚感を覚えてしまう。個人の倫理観は防波堤としては貧弱である。  自分が残酷な行動をしないためにはどうしたらいいのだろう。集団の力に逆らうのは難しそうである。そのため、属している集団が危険な方向に向かっていると感じたときに、即座に脱出できる準備をする必要がありそうだ。一般人が属している集団は、会社や友人コミュニティだろう。会社をいつでも辞めれるように、ある程度生活資金をためておく。1つの友人コミュニティと縁を切っても大丈夫なように、他にも友人との繋がりを作っておく。  本書を読み、集団が怖い力を持っていることを意識できるようになったのでよかった。    

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2023/01/06

他人事ではない、自分はそうならないと思っている人ほど必読! 気を付けていないと、誰でも(私も含めて)渦中の人になり得る。 服装をそろえたり、同じことをみんなで発したりって、日本にいると、日常のあちこちで実は経験している。運動会のチームTシャツ、制服に然り。号令による起立に然り。...

他人事ではない、自分はそうならないと思っている人ほど必読! 気を付けていないと、誰でも(私も含めて)渦中の人になり得る。 服装をそろえたり、同じことをみんなで発したりって、日本にいると、日常のあちこちで実は経験している。運動会のチームTシャツ、制服に然り。号令による起立に然り。 著者が実際に「体験学習」をして、学生からの振り返りを分析してみると、集団行動にのめり込む原因として、「集団の力の実感」「責任感の麻痺」「規範の変化」の3つが大いに関係していることが詳らかに。 ファシズムは過去のことではなく、現代もヘイトスピーチなどと形を変えて、存在する。この闇に取り込まれないように、できることを考えたい。

Posted byブクログ