山月記 の商品レビュー
添えられたイラストが適切なのかどうかは、私には評価できない。わからないからだ。山月記に登場するのは虎であって、猫は一匹たりとも登場しないが、ここにはたくさんの猫のイラストが描かれる。イラストレーターが「ねこ助」という名前の方であるようなので、たぶん猫がお得意で、だからたくさん猫の...
添えられたイラストが適切なのかどうかは、私には評価できない。わからないからだ。山月記に登場するのは虎であって、猫は一匹たりとも登場しないが、ここにはたくさんの猫のイラストが描かれる。イラストレーターが「ねこ助」という名前の方であるようなので、たぶん猫がお得意で、だからたくさん猫のイラストを描いているのかもしれないし、出版社もそれを求めて依頼したのかもしれない。しかしそれが適切なのか、よくわからない。李徴でも袁傪でもない、幼児的人物のイラストも、どういうつもりで添えているのか、よくわからない。よくわからないけど、これが現代イラストレーターとのコラボレーションによる新しい文学の提案だと言われれば、納得せざるを得ないのかもしれない。よくわからない。また、これによって、名作文学に触れる読者層が広がるという効果もあるであろうから、一概にイラストの適不適だけで論じられない面もある。 ただイラストそのものが美しいのは確かで、また、イラストとは別に、文章の区切り方(このページにはこの文章だけ)のような編集については、良いと思うし、実際読みやすい。 山月記という文学作品単体で言うなら、これはもう間違いなく名作中の名作である。山月記については迷わず★5つである。あまりにも美しい文章とともに、李徴という人間の心の奥深くまでが、この短編の中に異様なまでの生命感をもって描き出される。たとえば、"木の間を伝って、何処からか、暁角が哀しげに響き始めた。"という一文を抜き出してみても、そのあまりの美しさには絶句する程だ。人物の心象と情景の両者が見事に融け合って響き合い、美しさが限界突破しているほどに思われる。なにより、全体を通して、李徴という人物の、ここに描かれる心理描写が、あまりにも迫るものがあるのです。
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夏川草介さんが「あの本、読みました?」で暗唱するほど好きな作品ということで手に取った。 自尊心と出世をテーマにした、なんとも切ない物語だと思った。 『己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢えて刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信じるが故に、碌々として瓦に伍することも...
夏川草介さんが「あの本、読みました?」で暗唱するほど好きな作品ということで手に取った。 自尊心と出世をテーマにした、なんとも切ない物語だと思った。 『己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢えて刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信じるが故に、碌々として瓦に伍することもできなかった。』 (瓦に伍する・・・平凡な人と肩を並べる、の意) この文章がグサリときた。 大抵の人が、特別な才能なんか持っていない。 でも、人と交わって、自分を磨こうとする姿勢が大事なんだと感じ、内向性が高まる自分への警鐘のような気がした。
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文豪の名作×人気イラストレーター 小説としても画集としても楽しめる『乙女の本棚』シリーズ15弾 妖しくも美しい表紙に惹かれて。 山月記の主人公『李徴』は若かりし頃美少年と書かれているが、こちらのイラストは美少年を通り越して美少女のよう。 もちろんトラがふんだんに描かれているが、...
文豪の名作×人気イラストレーター 小説としても画集としても楽しめる『乙女の本棚』シリーズ15弾 妖しくも美しい表紙に惹かれて。 山月記の主人公『李徴』は若かりし頃美少年と書かれているが、こちらのイラストは美少年を通り越して美少女のよう。 もちろんトラがふんだんに描かれているが、ところどころに対比としてだろうか描かれているネコが可愛い。特に自尊心を猛獣に例えている個所のイラストが可愛い。
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山月記 2025.12.13 初めて高校生で出会った時は漢文のようで読みにくく、つまらなそうと感じた。しかし読み始めたら、どんどんストーリー展開に目が離せなくなり、またかえって漢字で書かれる堅い文に引き込まれた。 自分が思っているよりも能力が低いのにもかかわらず、プライドが捨て...
山月記 2025.12.13 初めて高校生で出会った時は漢文のようで読みにくく、つまらなそうと感じた。しかし読み始めたら、どんどんストーリー展開に目が離せなくなり、またかえって漢字で書かれる堅い文に引き込まれた。 自分が思っているよりも能力が低いのにもかかわらず、プライドが捨てられない主人公。私も虎になるほどではないが僅かながらこの状態にあり、葛藤することがある。 月が印象的で、主人公の憧れのよう(孤独でも輝く)であり冷たい存在(ただ上から見下ろす)であるのが感じられた。
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授業で「山月記」を取り扱うとのことで、予習も兼ねて図書室で借りました 絵本のような装丁だったので内容も分かりやすいのだろうなと思ったのですが、文言は同じで驚きました しかし絵が追加されたことで理解のしやすさは高かったです 凄く繊細で綺麗な絵だったので、他の作品も読んでみたいです
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2025/08/24 『刺青』(谷崎潤一郎 夜汽車)を読んで、乙女の本棚シリーズ読破しようと思い立った『山月記』(ねこ助、中島敦)。 現実に憂いを感じて不幸せだと感じているなら、自分を消して虎になるのも良いのでは?とも思ったかな。 モヤモヤ抱えたままダラダラ生きるよりは。 とりあえず…… ないものねだりで生きるのはもったいない。
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自尊心とは「自分を大切に思う気持ち」のことだと感じる。 ただ、それが高すぎると「プライド」として表れてしまうのだろう。 自尊心が過剰になると、「自分は他人よりも秀でている」と思い込みやすくなり、現実での評価とのギャップに苦しむことになるのかもしれない。 もちろん、自尊心が低すぎ...
自尊心とは「自分を大切に思う気持ち」のことだと感じる。 ただ、それが高すぎると「プライド」として表れてしまうのだろう。 自尊心が過剰になると、「自分は他人よりも秀でている」と思い込みやすくなり、現実での評価とのギャップに苦しむことになるのかもしれない。 もちろん、自尊心が低すぎるのも生きづらさの原因になる。 けれど、同じように高すぎてもバランスを崩してしまうのだと、改めて思った。
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この本の装画と以前読んだ新潮文庫の『李陵・山月記』の挿画とでは、最初に受けるイメージがかなり違います。装画の影響は大きいと思いました。 読了後は、以前よりも李徴(りちょう)の思いが私の心に響きました。大人になってから読み返すと、気持ちがよく理解できるようになっていました。特に、...
この本の装画と以前読んだ新潮文庫の『李陵・山月記』の挿画とでは、最初に受けるイメージがかなり違います。装画の影響は大きいと思いました。 読了後は、以前よりも李徴(りちょう)の思いが私の心に響きました。大人になってから読み返すと、気持ちがよく理解できるようになっていました。特に、袁惨(えんさん)の心の広さに答えるかのような最後の思いやりが、なんとも言えず物悲しく感じました。最後のページのイラストが、それをよく表していました。 それにしても、中国の『人虎伝』に拠る小説とはいえ、32歳でこの小説を書いたなんて、すごいです。早世していなければ、他にどんな小説を書いたんだろうと、改めて思いました。
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乙女の本棚シリーズの一冊。 「山月記」は、言うまでもなく名作。 イラストはたしかにきれいなのだが、イメージとはずいぶん違うな。乙女には、こういう要素が有効なのだろう。
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久々に読んだ山月記。 何故、虎になってしまったのかと考えていたのに最後には何故、人間だったのかとなるあたりが怖い。
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