猫を棄てる 父親について語るとき の商品レビュー
「おそらく僕らはみんな、それぞれの世代の空気を吸い込み、その固有の重力を背負って生きていくしかないのだろう。そしてその枠組みの傾向の中で成長していくしかないのだろう。良い悪いではなく、それが自然の成り立ちなのだ。」 猫を棄てに行った記憶。父親のこと。 幼少期のことや自分のルーツ...
「おそらく僕らはみんな、それぞれの世代の空気を吸い込み、その固有の重力を背負って生きていくしかないのだろう。そしてその枠組みの傾向の中で成長していくしかないのだろう。良い悪いではなく、それが自然の成り立ちなのだ。」 猫を棄てに行った記憶。父親のこと。 幼少期のことや自分のルーツを辿ると、より自分が見えてくる。根源にある感情やなぜか大事にしてる自分の嫌いなところ。 ふと思い出した記憶が、温度や湿度まで記憶していた時、私の中の大事な記憶なのかもと考えちゃう。
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父と一緒に猫を棄てに行って、自転車で帰ってきたら、その猫に出迎えられた。 本書にある、この不思議な話に近い体験を、案外と多くの人が持っているのじゃなかろうか。私事で恐縮だが、ずっと昔の高校の頃の話。学校前で友人と別れ、自転車を10分ぐらいかっとばし、赤信号に出くわしたので停止し...
父と一緒に猫を棄てに行って、自転車で帰ってきたら、その猫に出迎えられた。 本書にある、この不思議な話に近い体験を、案外と多くの人が持っているのじゃなかろうか。私事で恐縮だが、ずっと昔の高校の頃の話。学校前で友人と別れ、自転車を10分ぐらいかっとばし、赤信号に出くわしたので停止した。ふと横を見ると、その友人が立っていた。友人は徒歩であった。 その現象はいまだにきちんと説明できないが、自分では確かに体験したものとして受け入れている。でも人に伝える時は、リアリティを保つのにギリギリになってしまうような話だと思う。あるいは、信じられないが自分も似た体験をしたんだと打ち明けてくれる人が多いようにも思う。 『猫を捨てる 父親について語るとき』は、この手の話が冒頭にポンとあって、いやに共感しながら読んでしまった。リアリティがギリギリの話でも、分かる分かると読んでしまうのが村上作品の魅力である。いつもながら完読はあっという間であった。 本書は、『ねじまき鳥クロニクル』の著者本人による重要な解説書なのだと思う。ねじまき鳥が超常現象話ではなく確かな体験の重みのようなものを感じさせる理由は、本書を読んで若干ながら分かった気がした。 父の回想は、軍刀で人の首がはねられる残忍な光景は、言うまでもなく幼い僕の心に強烈に焼き付けられることになった。父の心に長いあいだ重くのしかかってきたものを息子である僕が部分的に承継した(本書引用) 著者は、父親のことを書くのにどんなところからどんな風に書き始めれば良いのかつかめなかったが猫を棄てに行った話を思い出したら自然に書けた、と記している。猫の話が、著者を父の戦時体験に連れ出している。 あのよく出てくる「井戸」は、猫だったんだなあ。
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記憶の中に埋もれてしまいそうな、ほんの小さな思い出。忘れてしまってもおかしくないような出来事が、心の片隅で『忘れないで』と時々声をあげる。様々な人たちが選択してきた人生があり、それによって今の自分が存在する。そして、これからも、今生きている人たちが何を選択するか(本意、不本意はあ...
記憶の中に埋もれてしまいそうな、ほんの小さな思い出。忘れてしまってもおかしくないような出来事が、心の片隅で『忘れないで』と時々声をあげる。様々な人たちが選択してきた人生があり、それによって今の自分が存在する。そして、これからも、今生きている人たちが何を選択するか(本意、不本意はあると思うが)で、新たな人生が誕生する。 様々な人たちの人生に想いを馳せたくなる本。
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「猫を棄てる」ってどういうこと? と思って手にとったこの本は、村上春樹さんが父千秋さんについて書いたもの。 猫を棄てた話しももちろんあるのだけど、千秋さんの生い立ち、青年期、家庭を持ったあとの春樹さんと暮らしが綴られています。 千秋さんは20代の若く、未来へ向け希望を持つ時代が戦...
「猫を棄てる」ってどういうこと? と思って手にとったこの本は、村上春樹さんが父千秋さんについて書いたもの。 猫を棄てた話しももちろんあるのだけど、千秋さんの生い立ち、青年期、家庭を持ったあとの春樹さんと暮らしが綴られています。 千秋さんは20代の若く、未来へ向け希望を持つ時代が戦争と重なり、思うように学業に励めなかったり戦地で過酷な体験をされている。トラウマのようなものもあり、また生き残れなかった方たちへの思いも生涯胸に秘め続けていたことがうかがえる。 千秋さんだけではなくこの時代を生きてきたひとりひとりにそのような体験があることだろう。戦争を体験した世代が亡くなりつつあるいま、体験していない私たちは少しでも多く思いを受け取らねばならないのではないかと思う。体験した人と同じ思いは決して抱けないけれど、想像しどう生きるかを考える人がひとりでも増えることが、これからの日本を世界を変えてゆくのかもしてないと感じます。 戦地に赴いた男性だけでなく、戦地に大切な人を送り出した女性についても知りたい。
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著者が、自身の父親について語る本です。 淡々とした文章で綴られています。 人の歴史は一滴の雨水が落ちるように名も無いものですが、 その一滴には語り継がれるべき歴史があることを教わりました。
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幼少時、父親とともに猫を川べりに捨てにゆく、という話で始まる本作は、村上氏による父親へのオマージュ、否、一種の消化活動の結晶とでも言う作品だと思います。 長らく不和であったという父親との関係が回復したのは父親が亡くなる前とのこと。 恐らく父子関係のわだかまりは未だ消化しきれていなかったのだと思料します。 そうした背景もあり、本作は父親が語っていたという出征の話を事実と比較しつつ父親や当時の日本に思いを馳せる、とでも言った作品だったと思います。 ・・・ 戦争への言及といえば、村上作品の中では『ねじまき鳥クロニクル』(ノモンハン事件を生き残った間宮さん・原田さん)や『海辺のカフカ』(猫と話せるナカタさん)でもあったわけですが、こうして振り返ると父親の体験談やそれが残した印象は村上氏に非常に大きな影響を及ぼしたのかもしれないと感じます。 ・・・ ということで村上氏の作品でありました。 本人も後段で語るように、極々私的な話を問わず語りの如く書き出した本作はエッセイと位置付けてよいでしょう。 ただ、村上氏の手にかかると何となく靄がかかり、幻想的な雰囲気になるから不思議。 高妍さんの挿絵がこれまた素朴で良い味を出しています。
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村上春樹が、確執もあった父について書いた佳品。祖父以降仏門にあった親族、ともに国語の教師であった両親、言葉少なではあるが語られた父の戦争体験など、村上春樹の原風景のようなものが垣間見られる。
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この本の書籍化は2020年。 文庫化もされたので読みたいと思っていた1冊でした。 村上春樹さんは猫にまつわる不思議なエピソードをたくさんお持ちですが、父親と猫を棄てた時のエピソードは、さすがに「ほんまかいな…」と思ってしまいました(笑) その奇妙なエピソードから展開される父親...
この本の書籍化は2020年。 文庫化もされたので読みたいと思っていた1冊でした。 村上春樹さんは猫にまつわる不思議なエピソードをたくさんお持ちですが、父親と猫を棄てた時のエピソードは、さすがに「ほんまかいな…」と思ってしまいました(笑) その奇妙なエピソードから展開される父親との関わり、戦争のこと、自分のルーツ、当たり前の事実。 今年は昭和100年、終戦から80年。 戦後80年を迎えた夏の終わりにこの本を手に取り、読み終えたのは、まさに“集合的な何かに置き換えられていく”感覚になりました。 戦争は、夢中で駆け上がって行く前に止めなければ。 一滴の雨水として吸い込まれていくとしても、注力しなければ。
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村上春樹と父との関係が誇張されることなく記してあり、亡き父との軋轢や懺悔の気持ちがメインである。 多くを語らない父に対して抱く違和感があったものの、父がいたからこそ今日の自身が存在することに感謝をしている。文字に残すことで気持ちや記憶を整理したかったのだと思う。
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村上春樹の作品を初めて読んだ。大学生の頃、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の村上春樹訳を読もうとして、癖がありすぎて数ページで挫折した記憶しかない。『猫を棄てる』は小説というよりエッセイだったからか、すんなり内容が入ってきた。文章量も少ないので、村上春樹にチャレンジするなら取っつきやすいのではと思ったが、村上春樹自身も文中に書いているとおり、普段の小説とは雰囲気が違うので、この作品が面白いと思っても、通常の村上春樹作品を楽しめるのかといったらそうとは限らないかもしれない。 『猫を棄てる』というタイトルで、「動物が死ぬ話は絶対に嫌だ!」と思う人がいるかもしれないなあと思いながら読んだ。この本は別に猫が悲惨な目にあう内容ではないから安心してほしい。生死不明の猫は出てくるし、猫を棄てようとはするんだけど。なんなら猫メインの話でもない。 わたしはAudibleで読んだので、挿絵があるならそれも見てみたいと思った。
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