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サロメ の商品レビュー

4.1

159件のお客様レビュー

  1. 5つ

    50

  2. 4つ

    69

  3. 3つ

    27

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

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2023/08/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『リボルバー』のように、現代アートの研究者のもとにアーティストにまつわる謎が持ち込まれる。本作は現代パートはほとんどないし、読み応えはちょっと『リボルバー』より少ないけど、ビアズリーの姉メイベルに引き込まれ一気に読んでしまいました。相変わらず原田マハ作品はアーティストの背景などの理解が深まるので嬉しいです。 ジェーンが出した「未発表のサロメ」とは?「事件」とは? 読み進めるにつれて、少しづつ糸が解きほぐれていく爽快感がありましたが、衝撃のラスト...なんか分かったような分からなかったようなモヤモヤな後味。嫌いじゃないけども。 エリック・エリエールって誰だっけ? メイベルはワイルドの首を切ったの? 元から切るつもりでエリックに相談したの? ジェーンが言う「本当のサロメ」とは、オーブリーが書いた翻訳のことじゃなくて、メイベルが主人公の話ってこと? ちょっと話が出来過ぎなところもありましたが、実在した人物の「もしこうだったら?」の想像の話って面白いなぁと思いました。

Posted byブクログ

2023/08/19

19世紀末。結核に冒された弟オーブリーと、彼を献身的に支える姉メイベルの姉弟は、オーブリーの画家としての才能が世に認められる日を信じていた。そしてその願いは鬼才の小説家オスカー・ワイルドとの出会いによって叶えられることになる‥。 メイベルのオーブリーに対する家族愛を超えた執着とも...

19世紀末。結核に冒された弟オーブリーと、彼を献身的に支える姉メイベルの姉弟は、オーブリーの画家としての才能が世に認められる日を信じていた。そしてその願いは鬼才の小説家オスカー・ワイルドとの出会いによって叶えられることになる‥。 メイベルのオーブリーに対する家族愛を超えた執着ともいえる想いが、物語を大きく動かしていく。オーブリーの妖しい画風と相まって徐々に狂気を帯びていくようで目が離せない。

Posted byブクログ

2023/08/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ワイルドの同名小説に関連した画家オブリー・ビアズリーの伝記小説 19世紀イギリス、ヴィクトリア朝のデカダンス文化をあたかもリアリティがあるように体感させる描写は以前読んだ『楽園のカンヴァス』にも感じた事ではあるものの作者の取材力や情報量に舌を巻く ここに登場してくるワイルドは気取り屋で嫌味ったらしくもあるが、人を惹きつける才能とカリスマ性もあり同時に魅力的でもある 現実にはどういう人物であったかは当時を知っていた人間の伝記でしか知る由もないが、その立ち振る舞いは現在のロックスターの位置付けに近いものを感じられて後々彼が世界に様々なカルチャーへの影響を与えているのだと思えば非常に感慨深く感じられた 今回その彼が主人公のオーブリーを悪徳と不道徳の世界へと誘おうとしている態度を見ればワイルドがメフィストファレスの存在の様に思えてくる しかし物語では実際に悪の道を進んだのはオーブリー自身ではなくワイルドに憧れていた姉の方で少しづつサロメとシンクロさせていく様な怪物になっていく様は読んでいて圧倒される事となる すでに歴史の事実として語られている事ではあるが、それをフィクションと事実を混じり合わせて一つの物語に構築していくだけでも優れた作り手であると思う その上でさらに物語の展開を予測つかない物にしていくのは本人の才覚もあるからだと思う この作品は西洋絵画好き以外にも19世紀ヨーロッパ文化を嗜む人、アングラ文化が好きな人にも一緒に楽しめる内容であるので好事家には手元に取っておいた方がいい一冊であると思われる

Posted byブクログ

2023/08/02

メイベルもオスカー・ワイルドもオーブリーも、皆芸術に飲み込まれたのだ。情熱的で尽きることのない欲望を宿す彼らは皆芸術の被害者である。禁じられれば禁じられるほど、つい手を伸ばしてしまいたくなる。そこには理性など存在せず、子どものような無邪気な好奇心に突き動かされるまま、踏み込んでし...

メイベルもオスカー・ワイルドもオーブリーも、皆芸術に飲み込まれたのだ。情熱的で尽きることのない欲望を宿す彼らは皆芸術の被害者である。禁じられれば禁じられるほど、つい手を伸ばしてしまいたくなる。そこには理性など存在せず、子どものような無邪気な好奇心に突き動かされるまま、踏み込んでしまった底無し沼のような世界。書く者、描く者、表現する者、全てはもう手遅れで、その命の火が消えるまで、芸術家でいなければならない。芸術家でいなければ、この世界になんの意味も見いだすことはできないのだ。

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2023/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本当にこの時代に入り込んでしまったかのような世界観。オーブリーが亡くなるラストシーンでの一言がサロメそのもの。弟を支えるメイベルが頁を進める度にとんでもない行動力を発揮していく事に恐ろしささえ感じた。オーブリーがメイベルの行動を事細かに全部知っちゃったら絶縁レベルだろうな・・ オーブリーとワイルドが出会わなければきっとこの原田マハさんのサロメも無かったことと思うと...。

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2023/07/15

戯曲「サロメ」の作家オスカー・ワイルド、その挿絵で有名画家となったビアズリー、そしてその姉メイベル、さらにワイルドの同性の恋人の4人が織りなす物語。 ワイルドもビアズリーもそもそも「サロメ」という物語もその絵も初めて知りました(笑) Googleでビアズリーの絵を探しながら、読み...

戯曲「サロメ」の作家オスカー・ワイルド、その挿絵で有名画家となったビアズリー、そしてその姉メイベル、さらにワイルドの同性の恋人の4人が織りなす物語。 ワイルドもビアズリーもそもそも「サロメ」という物語もその絵も初めて知りました(笑) Googleでビアズリーの絵を探しながら、読み進めました。 そもそも「サロメ」という物語がぶっ飛び! 預言者のヨカナーンを好きになったサロメ。 妖艶な「7つのヴェイルの踊り」をヘデロ王の前で踊り、ヘデロ王から褒美を取らせるということで、ヨカナーンの首を所望。躊躇するも、結局処刑されたヨカナーン。さらにその生首にサロメの前にもたらされると、その生首にサロメはキスをする。 ひょえーーー なんという物語。 そして、そんなサロメのような印象を持つビアズリーの姉のメイベルの視点で本書は語られていきます。 メイベルの生き様がサロメ同様恐ろしい! ドロドロっとした世界観が好きな人にお勧め

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2023/07/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この感想文を見ている方は読了済みの方だと思いますが、まずタイトルについて話そうと思います。 私自身サロメという言葉は作中では名詞をさしますが形容詞として目にする機会が多いものでした。現在Googleでサロメと検索しても予測変換はVTuberやアニメのキャラなどが多く検索に上がります。私自身本の中では私のことはサロメと呼んで頂戴、サロメのような有ざまと、本書を最後まで読まれた方ならわかるはずであろうその異質な魅力、禍々しさ、禁忌としてこの上ない多義語として現代では使われているような気がします。 『あゝ、!あたしはとうとうお前に口づけしたよ、ヨナカーン、お前に口づけしたよ。』とても有名なセリフです。サロメ自身多くは登場しません。ただこの一文で隠しきれてないくらいサロメに歪んだ愛情や人をこちらに引き込む魅力に作中の人物達そして私を含めた読者もその渦に巻きこれながら話は進んできます。 本書の冒頭にある話の新たに出てきたイラストはサロメが手にしている器に置かれている首はヨナカーンではなく頭に包帯を巻き付け、やつれて恍惚としたその顔。誰だ?謎が浮かび上がるそれはサロメが生み出した渦の鱗片であって深層では何があったのを楽しいんで行きます メイベルとベアズリーは仲睦ましい兄弟でお互い舞台女優、画家として日々何かチャンスがないかと奔走していく中でオスカーワイルドとの出会いによって翻弄されていきます。ベアズリーの作品は蠱惑的にあり、ほかの人が見えない独特の世界観をもちわせているのをワイルドに見いだされ会社勤めを辞め夢へ大きく近づくがまたワイルドも同じ世界の住人とワイルドの才能や禁忌を犯すほどの狂気ともいえる熱量に焦がれあっていきます ベアズリーはワイルドと出会ってからというものその才能を大きく昇華させ怪しい噂も多いワイルドとの関係をメイベルが疑いながらも自身の夢の為に野心を燃やす中、戯曲サロメの台本を両者別の方法で手に入れてします。サロメの台本はあまりにも恐ろしい問題作の魅力に見た人が引き寄せられていきます サロメという多くのタブーを盛り込んだ作品からの影響を受け方は様々で、終盤に向けてベアズリーはその不気味で妖艶なサロメ像というか禍々しさに見舞われ持病を悪くし、メイベルはサロメを美姫とし7つのヴェールの踊りに感化され人を魅了するために踊りを続ける事や最後にワイルドの首を手に入れることで弟の作品を完成させようとする憎悪、ワイルドは男色を好み時代のタブーへ逆行していく様もまるでサロメのようだという概念的な言葉で括ろうと思いますし、またこれからも使っていきます

Posted byブクログ

2023/06/30

原田マハさんにしては珍しく結構おどろおどろしい感じ。血を吸って味を感じてるシーンはちょっと気持ち悪い感じはした。メイベルがどんどん強く?したたかになっていくのが見ててスカッとした。オーブリーの姿を読んでると、やっぱり芸術家って特殊な人なんだなと思う。個人的に原田マハさんの本は海外...

原田マハさんにしては珍しく結構おどろおどろしい感じ。血を吸って味を感じてるシーンはちょっと気持ち悪い感じはした。メイベルがどんどん強く?したたかになっていくのが見ててスカッとした。オーブリーの姿を読んでると、やっぱり芸術家って特殊な人なんだなと思う。個人的に原田マハさんの本は海外が舞台だとより面白い気がする。

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2023/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いや〜女って怖いっすね。 最初はオーブリービアズリーが主役やと思いこんで読んでましたが姉ちゃんが主役やったとは! やられました。面白かったです。

Posted byブクログ

2023/06/03

この度、オペラ「サロメ」を観に行くことなったので再読。 私は原田マハさんの本で、画家を知るのですが今回のオーブリービアズリー はまた異質。一度知ってしまうと目を離すことが出来ない恐怖、禁忌、淫靡そして罪。癒されもしないし心が穏やかにも全くならない芸術。なのに、強烈な中毒性。 そ...

この度、オペラ「サロメ」を観に行くことなったので再読。 私は原田マハさんの本で、画家を知るのですが今回のオーブリービアズリー はまた異質。一度知ってしまうと目を離すことが出来ない恐怖、禁忌、淫靡そして罪。癒されもしないし心が穏やかにも全くならない芸術。なのに、強烈な中毒性。 そしてビアズリーに深く関わっているオスカーワイルドとの唯ならぬ関係。 当時の世界を旅しながら、サロメの物語とともに進む内容はビアズリーの挿絵同様、仄暗くガスがかかって先が見えない、でも知りたい…そんな毒味の効いたいつもの感じとは少し違う趣向の作品でした。 これを踏まえた上でのシュトラウスの「サロメ」楽しみすぎる!! 私も地獄に堕ちます、オスカー先生!

Posted byブクログ